6 / 278
第1章 灰色の男はファンタジーな生き物と出会う
1-3 灰色の男と屋敷の執事長と
しおりを挟む
「・・・・・ふう。」
手紙を読み終わり、椅子の背もたれに身体を預ける。考えることが多すぎて、自分の頭の処理能力を超えている気がする。まぁ、なんとかなるか。人、これを問題の先送りという。
机の上にあるハンドベルを手に取り、鳴らす。ハンドベルの音を聞きつけて、すぐに書斎のドアがノックされる。ベルを鳴らして、ノックまで30秒たってない。ベルで呼べばすぐ来るとか、相変わらずどういうシステムになっているのか、この屋敷の七不思議の一つだ。
「入っていいぞ。」
「失礼します。ご用はなんでございますか。司坊ちゃん。」
ドアを開けて入ってきたのは執事服を着た40台くらいの男、所作は洗練されており、動きに無駄がない。外見は清涼感にあふれているが、目元は笑っておらず、眼光だけは無駄に鋭く、やや冷たい印象を受ける。身長185㎝とでかく、身体も鍛えており、筋肉質で肩幅も広い。しかし、黒い服のせいか、全体的に細くスタイリッシュに見える。外見だけなら、ザ・パーフェクト執事って感じだ。
「・・・兎神、いい加減、坊ちゃんはやめてくれ。」
俺は、苦笑しながら答えた。もう18にもなるのに坊ちゃんはないだろう。生まれた頃から面倒をかけている身としてはあまり強く言えないのだが。彼の名前は、兎神(とがみ)。この屋敷の管理全般を担当している執事長だ。
「申し訳ありません。私からすれば、幼少の頃から司坊ちゃんのお世話をさせて頂いておりますので、呼びなれた習慣というものはなかなか修正しにくいものです。」
「まぁ、いい。祖父からの手紙を読んだ。祖父の仕事を引き継ぐことと、お前たちをよろしく頼むと書いてあった。話を聞かせてくれるか?」
「ご説明の前に、坊ちゃん。1つだけお答えをお願いします。すべてを話せば、坊ちゃんは後戻りができなくなります。かの地を調べていくうち、きっと辛いこともたくさんあるでしょう。取り返しのつかない怪我を負うかもしれません。我々はとても心配です。」
「そして、我々はみな、坊ちゃんのことが大好きでございます。そして、坊ちゃんを危険にさらしてまで、我々は生き延びたいとは思ってはおりません。それが我々全員の総意でございます。もし、すべてを知ろうとするならば、絶対に死なない覚悟をもって頂きたい。」
「それでも、かの地を、すべてを、知る『覚悟』はおありですか?」
兎神の眼がスッと細くなり、急に周囲の温度が5度くらい下がったように感じる。飢えた大型肉食獣を目の前にしているような、そんな錯覚を受けた。息が詰まり、つばがうまく呑み込めない。
(くそじじいめ、なにが俺に任せるだ。これは試されてるのは俺のほうじゃねぇか。いいだろう、じじいの思惑に乗ってやる。どうせ、最初から見捨てるなんて選択肢はないんだからな。今までみんなに世話になった恩を見なかったことなんかにできるかよ。)
「俺は、やるよ。じじいのあとを継ぐ。お前らは今も昔も俺の家族だ。家族を見捨てて、自分だけのうのうと生きていくくらいなら、死んだほうがマシだ。」
「・・・・立派になられましたな。わかりました。」
そういうと、兎神が2回手をたたく。すぐにノックがして2人の女性が書斎に入ってくる。片方は屋敷の掃除全般を、片方は料理や備品管理をしている女性だ。歩く音もなくスルスルと兎神の隣までくると一礼して、その場に控える。
「司様、今この時をもって、我ら兎神の一族は、あなた様を主としてお仕え致します。この身が朽ちるその日まで、あなた様だけのために存在し、御身へのあらゆる厄災を打ち払う刀となりましょう。」
「・・・お、おう。頼んだ。」
3人がド真面目な顔をして、そんな物騒なこというものだから、俺のほうこそ目を白黒させてしまった。
手紙を読み終わり、椅子の背もたれに身体を預ける。考えることが多すぎて、自分の頭の処理能力を超えている気がする。まぁ、なんとかなるか。人、これを問題の先送りという。
机の上にあるハンドベルを手に取り、鳴らす。ハンドベルの音を聞きつけて、すぐに書斎のドアがノックされる。ベルを鳴らして、ノックまで30秒たってない。ベルで呼べばすぐ来るとか、相変わらずどういうシステムになっているのか、この屋敷の七不思議の一つだ。
「入っていいぞ。」
「失礼します。ご用はなんでございますか。司坊ちゃん。」
ドアを開けて入ってきたのは執事服を着た40台くらいの男、所作は洗練されており、動きに無駄がない。外見は清涼感にあふれているが、目元は笑っておらず、眼光だけは無駄に鋭く、やや冷たい印象を受ける。身長185㎝とでかく、身体も鍛えており、筋肉質で肩幅も広い。しかし、黒い服のせいか、全体的に細くスタイリッシュに見える。外見だけなら、ザ・パーフェクト執事って感じだ。
「・・・兎神、いい加減、坊ちゃんはやめてくれ。」
俺は、苦笑しながら答えた。もう18にもなるのに坊ちゃんはないだろう。生まれた頃から面倒をかけている身としてはあまり強く言えないのだが。彼の名前は、兎神(とがみ)。この屋敷の管理全般を担当している執事長だ。
「申し訳ありません。私からすれば、幼少の頃から司坊ちゃんのお世話をさせて頂いておりますので、呼びなれた習慣というものはなかなか修正しにくいものです。」
「まぁ、いい。祖父からの手紙を読んだ。祖父の仕事を引き継ぐことと、お前たちをよろしく頼むと書いてあった。話を聞かせてくれるか?」
「ご説明の前に、坊ちゃん。1つだけお答えをお願いします。すべてを話せば、坊ちゃんは後戻りができなくなります。かの地を調べていくうち、きっと辛いこともたくさんあるでしょう。取り返しのつかない怪我を負うかもしれません。我々はとても心配です。」
「そして、我々はみな、坊ちゃんのことが大好きでございます。そして、坊ちゃんを危険にさらしてまで、我々は生き延びたいとは思ってはおりません。それが我々全員の総意でございます。もし、すべてを知ろうとするならば、絶対に死なない覚悟をもって頂きたい。」
「それでも、かの地を、すべてを、知る『覚悟』はおありですか?」
兎神の眼がスッと細くなり、急に周囲の温度が5度くらい下がったように感じる。飢えた大型肉食獣を目の前にしているような、そんな錯覚を受けた。息が詰まり、つばがうまく呑み込めない。
(くそじじいめ、なにが俺に任せるだ。これは試されてるのは俺のほうじゃねぇか。いいだろう、じじいの思惑に乗ってやる。どうせ、最初から見捨てるなんて選択肢はないんだからな。今までみんなに世話になった恩を見なかったことなんかにできるかよ。)
「俺は、やるよ。じじいのあとを継ぐ。お前らは今も昔も俺の家族だ。家族を見捨てて、自分だけのうのうと生きていくくらいなら、死んだほうがマシだ。」
「・・・・立派になられましたな。わかりました。」
そういうと、兎神が2回手をたたく。すぐにノックがして2人の女性が書斎に入ってくる。片方は屋敷の掃除全般を、片方は料理や備品管理をしている女性だ。歩く音もなくスルスルと兎神の隣までくると一礼して、その場に控える。
「司様、今この時をもって、我ら兎神の一族は、あなた様を主としてお仕え致します。この身が朽ちるその日まで、あなた様だけのために存在し、御身へのあらゆる厄災を打ち払う刀となりましょう。」
「・・・お、おう。頼んだ。」
3人がド真面目な顔をして、そんな物騒なこというものだから、俺のほうこそ目を白黒させてしまった。
0
あなたにおすすめの小説
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
毒舌アイドルは毒の魔物に転生する。
馳 影輝
ファンタジー
毒舌を売りにして芸能界で活躍できる様になった。
元々はアイドルとしてデビューしたが、ヒラヒラの衣装や可愛い仕草も得意じゃ無かった。
バラエティーの仕事を貰って、毒舌でキャラを作ったらこれがハマり役で世間からのウケも良くとんとん拍子で有名人になれた。
だが、自宅に帰ると玄関に見知らぬ男性が立っていて私に近づくと静かにナイフで私を刺した。
アイドル時代のファンかも知れない。
突然の事で、怖くて動けない私は何度も刺されて意識を失った。
主人公の時田香澄は殺されてしまう。
気がつくとダンジョンの最下層にポイズンキラーとい魔物に転生する。
自分の現象を知りショックを受けるが、その部屋の主であるリトラの助言により地上を目指す。
ダンジョンの中で進化を繰り返して強くなり、人間の冒険者達が襲われている所に出くわす。
魔物でありながら、擬態を使って人間としても生きる姿や魔王種への進化を試みたり、数え切れないほどの激動の魔物人生が始まる。
異世界ビルメン~清掃スキルで召喚された俺、役立たずと蔑まれ投獄されたが、実は光の女神の使徒でした~
松永 恭
ファンタジー
三十三歳のビルメン、白石恭真(しらいし きょうま)。
異世界に召喚されたが、与えられたスキルは「清掃」。
「役立たず」と蔑まれ、牢獄に放り込まれる。
だがモップひと振りで汚れも瘴気も消す“浄化スキル”は規格外。
牢獄を光で満たした結果、強制釈放されることに。
やがて彼は知らされる。
その力は偶然ではなく、光の女神に選ばれし“使徒”の証だと――。
金髪エルフやクセ者たちと繰り広げる、
戦闘より掃除が多い異世界ライフ。
──これは、汚れと戦いながら世界を救う、
笑えて、ときにシリアスなおじさん清掃員の奮闘記である。
田舎農家の俺、拾ったトカゲが『始祖竜』だった件〜女神がくれたスキル【絶対飼育】で育てたら、魔王がコスメ欲しさに竜王が胃薬借りに通い詰めだした
月神世一
ファンタジー
「くそっ、魔王はまたトカゲの抜け殻を美容液にしようとしてるし、女神は酒のつまみばかり要求してくる! 俺はただ静かに農業がしたいだけなのに!」
ブラック企業で過労死した日本人、カイト。
彼の願いはただ一つ、「誰にも邪魔されない静かな場所で農業をすること」。
女神ルチアナからチートスキル【絶対飼育】を貰い、異世界マンルシア大陸の辺境で念願の農場を開いたカイトだったが、ある日、庭から虹色の卵を発掘してしまう。
孵化したのは、可愛らしいトカゲ……ではなく、神話の時代に世界を滅亡させた『始祖竜』の幼体だった!
しかし、カイトはスキル【絶対飼育】のおかげで、その破壊神を「ポチ」と名付けたペットとして完璧に飼い慣らしてしまう。
ポチのくしゃみ一発で、敵の軍勢は老衰で塵に!?
ポチの抜け殻は、魔王が喉から手が出るほど欲しがる究極の美容成分に!?
世界を滅ぼすほどの力を持つポチと、その魔素を浴びて育った規格外の農作物を求め、理知的で美人の魔王、疲労困憊の竜王、いい加減な女神が次々にカイトの家に押しかけてくる!
「世界の管理者」すら手が出せない最強の農場主、カイト。
これは、世界の運命と、美味しい野菜と、ペットの散歩に追われる、史上最も騒がしいスローライフ物語である!
転生したらスキル転生って・・・!?
ノトア
ファンタジー
世界に危機が訪れて転生することに・・・。
〜あれ?ここは何処?〜
転生した場所は森の中・・・右も左も分からない状態ですが、天然?な女神にサポートされながらも何とか生きて行きます。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
初めて書くので、誤字脱字や違和感はご了承ください。
異世界召喚された俺の料理が美味すぎて魔王軍が侵略やめた件
さかーん
ファンタジー
魔王様、世界征服より晩ご飯ですよ!
食品メーカー勤務の平凡な社会人・橘陽人(たちばな はると)は、ある日突然異世界に召喚されてしまった。剣も魔法もない陽人が頼れるのは唯一の特技――料理の腕だけ。
侵略の真っ最中だった魔王ゼファーとその部下たちに、試しに料理を振る舞ったところ、まさかの大絶賛。
「なにこれ美味い!」「もう戦争どころじゃない!」
気づけば魔王軍は侵略作戦を完全放棄。陽人の料理に夢中になり、次々と餌付けされてしまった。
いつの間にか『魔王専属料理人』として雇われてしまった陽人は、料理の腕一本で人間世界と魔族の架け橋となってしまう――。
料理と異世界が織りなす、ほのぼのグルメ・ファンタジー開幕!
宿敵の家の当主を妻に貰いました~妻は可憐で儚くて優しくて賢くて可愛くて最高です~
紗沙
恋愛
剣の名家にして、国の南側を支配する大貴族フォルス家。
そこの三男として生まれたノヴァは一族のみが扱える秘技が全く使えない、出来損ないというレッテルを貼られ、辛い子供時代を過ごした。
大人になったノヴァは小さな領地を与えられるものの、仕事も家族からの期待も、周りからの期待も0に等しい。
しかし、そんなノヴァに舞い込んだ一件の縁談話。相手は国の北側を支配する大貴族。
フォルス家とは長年の確執があり、今は栄華を極めているアークゲート家だった。
しかも縁談の相手は、まさかのアークゲート家当主・シアで・・・。
「あのときからずっと……お慕いしています」
かくして、何も持たないフォルス家の三男坊は性格良し、容姿良し、というか全てが良しの妻を迎え入れることになる。
ノヴァの運命を変える、全てを与えてこようとする妻を。
「人はアークゲート家の当主を恐ろしいとか、血も涙もないとか、冷酷とか散々に言うけど、
シアは可愛いし、優しいし、賢いし、完璧だよ」
あまり深く考えないノヴァと、彼にしか自分の素を見せないシア、二人の結婚生活が始まる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる