リアルにファンタジーのほうがやってきた! ~謎の異世界からやってきたのは健気で可愛いモフモフでした~

ねこのにくきう

文字の大きさ
98 / 278
第4章 旅にアクシデントはお約束?

4-25 いざ! 上陸! 青葉リゾートアイランド③

しおりを挟む
 司たちが歓談しつつ待つことしばし、妙子婆と玄爺が昼食を持って戻ってきた。途中、澪たちが手伝おうかと申し入れたが、頑固として受け入れられなかった。お客様は座って待っていろ、の一点張りだった。

しかし、2人は年齢を感じさせない動きでキビキビと、あっという間に配膳は終わってしまった。そして、一行に振る舞われたのは海鮮丼だった。海が近い特権である。

 多種多様の魚介で丼の中に華が彩られていた。マグロの赤身、中トロ、ネギトロ、サーモン、カンパチ、ウニ、イクラ、帆立に甘海老。具材の量が多すぎて、丼からはみ出ているし、肝心のお米は外観からは一切目視することがかなわない。色鮮やかで宝石箱のような盛り付けが身目麗しい豪華な逸品だった。

 付け合わせは魚のアラと海老の頭で取った出汁で作った味噌汁。アラは表面を焼き入れして、海老の頭も炒って細かく砕いてから煮込んで出汁を取る本格仕様だ。そうして作られた味噌汁は、豊かな潮の風味と濃厚な魚介エキスがこれでもかと溶けだしている。見た目が華やかな丼に対して、こちらは味と匂いが勝負。一口すすれば、口内に強烈なインパクトを与える逸品だった。

「はわー、まるで海の宝石箱や~」

「あ、あの……優さん? キャラおかしくなってませんか? 一体どうしたんですか?」

 あまりの衝撃に優がおかしなことを言い始めた。まぁ、いつものことではあるのだが……。

「うちの自慢の海鮮丼だよ! みんな食べてみておくれ!」

 妙子婆が自信満々で呼びかけると、一行は、わっと歓声を上げて思い思いに食べ始めた。皆が笑顔で食べていることから、予想通り、もしくはそれ以上の美味しさだったようで、それぞれ満足そうだ。

 リリ用にはマグロやカンパチなどの魚の切り身を大きめにカットして、ミディアムに焼き上げたステーキが振る舞われた。初めて食べる味に尻尾が風車の様に旋回している。どうやらリリの好みにも合ったようである。


 量的にも価格的にも大満足な昼食を終えて、一行は玄爺の船へと向かう。尺的に延び延びになっていたが、これからやっと青葉家の島へ船を進めることになるのだ。

「あれー? 妙子お婆様。どうして一緒にいるんですー? お店はどうされたんです?」

 澪がふと気づいた。行きと違って帰りは人数が1人増えていることに……どこの怪談か。

「何を言ってるんだい! 婆も一緒に行くからに決まってるんじゃないかい。 今日、昼にこっちの店を開けたのだって、澪ちゃんたちがお昼ご飯を食べていくだろうと思ったからだよ! 明日からは青葉リゾートのほうの店舗を開店さ!」

「……この婆は相変わらず自由すぎるわい。どこの世界に昼の2時間だけしか開けない飯屋があるんじゃよ。しかも、開けるのだって不定期じゃし、店主はこんなしわくちゃの婆だし。それで毎回毎回あれだけのリピーターがいること自体が謎じゃい」

 玄爺が妙子婆に容赦ない感想を宣う。しかし、あまりにも素直すぎて何のオブラートにも包まれていない。これは……危ない。

「爺……どうやら魚のエサになりたいようだね? そうだね……爺をエサにシャークウォッチングしながら向かってもいいんだよ? 私も操船できることだしね。そうしようかね? 澪ちゃんたちも船上は暇だろうしね? 爺、よかったじゃないか、少しでもみんなの役に立てて。ちゃんと成仏するんだよ?」

「いやいやいやいや、失言だった! すまぬ! お嬢がいるから少しだけ調子に乗りました! サメのエサだけは勘弁じゃ!」

 玄爺が速攻で五体投地して土下座を決める。とても老人とは思えない身体のキレだ。

「ふん。謝るくらいなら初めから言うんじゃないよ。きっとサメのほうも爺の肉なんぞ不味くて食べたかないよ。さっさと仕事しな! 澪ちゃんたちは船でゆっくりしていなさいな」

 爺と婆の夫婦漫才を微笑ましく眺めつつ、一行はクルーザーに乗り込む。

 それにしても、10人乗ってもかなりの余裕がある。定員は15名らしい。船内には軽く見ただけで、テーブル付きのソファーが3本、6人掛けのテーブル席が1セット、簡易キッチン、シャワーとトイレ完備、今回は使わないがベッドルームが2つ。デッキにもソファー付きのテーブルがあった。

 これだけの大きさと機能性のクルーザーだと一体おいくらくらいするのだろうか……価格は恐ろしすぎて聞けたものではない。少なくとも億は軽く超えるはずだ。

「リリ、これから船に乗るけど、水の上を動くから、海に落ちないようにな? あと、ちょっと揺れたりするけど、怖かったら言うんだぞ?」

「わふわふ」

 リリにとっては初めての船旅。本来、陸上の生物にとって船の上での感覚は未知のものになるだろう。三半規管が人間よりも発達しているから船酔いにはなりにくいのかもしれないが、それでも相性というものがある。司がわざわざリリに言い聞かせるのは念のための処置である。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

毒舌アイドルは毒の魔物に転生する。

馳 影輝
ファンタジー
毒舌を売りにして芸能界で活躍できる様になった。 元々はアイドルとしてデビューしたが、ヒラヒラの衣装や可愛い仕草も得意じゃ無かった。 バラエティーの仕事を貰って、毒舌でキャラを作ったらこれがハマり役で世間からのウケも良くとんとん拍子で有名人になれた。 だが、自宅に帰ると玄関に見知らぬ男性が立っていて私に近づくと静かにナイフで私を刺した。 アイドル時代のファンかも知れない。 突然の事で、怖くて動けない私は何度も刺されて意識を失った。 主人公の時田香澄は殺されてしまう。 気がつくとダンジョンの最下層にポイズンキラーとい魔物に転生する。 自分の現象を知りショックを受けるが、その部屋の主であるリトラの助言により地上を目指す。 ダンジョンの中で進化を繰り返して強くなり、人間の冒険者達が襲われている所に出くわす。 魔物でありながら、擬態を使って人間としても生きる姿や魔王種への進化を試みたり、数え切れないほどの激動の魔物人生が始まる。

異世界ビルメン~清掃スキルで召喚された俺、役立たずと蔑まれ投獄されたが、実は光の女神の使徒でした~

松永 恭
ファンタジー
三十三歳のビルメン、白石恭真(しらいし きょうま)。 異世界に召喚されたが、与えられたスキルは「清掃」。 「役立たず」と蔑まれ、牢獄に放り込まれる。 だがモップひと振りで汚れも瘴気も消す“浄化スキル”は規格外。 牢獄を光で満たした結果、強制釈放されることに。 やがて彼は知らされる。 その力は偶然ではなく、光の女神に選ばれし“使徒”の証だと――。 金髪エルフやクセ者たちと繰り広げる、 戦闘より掃除が多い異世界ライフ。 ──これは、汚れと戦いながら世界を救う、 笑えて、ときにシリアスなおじさん清掃員の奮闘記である。

田舎農家の俺、拾ったトカゲが『始祖竜』だった件〜女神がくれたスキル【絶対飼育】で育てたら、魔王がコスメ欲しさに竜王が胃薬借りに通い詰めだした

月神世一
ファンタジー
​「くそっ、魔王はまたトカゲの抜け殻を美容液にしようとしてるし、女神は酒のつまみばかり要求してくる! 俺はただ静かに農業がしたいだけなのに!」 ​ ​ブラック企業で過労死した日本人、カイト。 彼の願いはただ一つ、「誰にも邪魔されない静かな場所で農業をすること」。 ​女神ルチアナからチートスキル【絶対飼育】を貰い、異世界マンルシア大陸の辺境で念願の農場を開いたカイトだったが、ある日、庭から虹色の卵を発掘してしまう。 ​孵化したのは、可愛らしいトカゲ……ではなく、神話の時代に世界を滅亡させた『始祖竜』の幼体だった! ​しかし、カイトはスキル【絶対飼育】のおかげで、その破壊神を「ポチ」と名付けたペットとして完璧に飼い慣らしてしまう。 ​ポチのくしゃみ一発で、敵の軍勢は老衰で塵に!? ​ポチの抜け殻は、魔王が喉から手が出るほど欲しがる究極の美容成分に!? ​世界を滅ぼすほどの力を持つポチと、その魔素を浴びて育った規格外の農作物を求め、理知的で美人の魔王、疲労困憊の竜王、いい加減な女神が次々にカイトの家に押しかけてくる! ​「世界の管理者」すら手が出せない最強の農場主、カイト。 これは、世界の運命と、美味しい野菜と、ペットの散歩に追われる、史上最も騒がしいスローライフ物語である!

転生したらスキル転生って・・・!?

ノトア
ファンタジー
世界に危機が訪れて転生することに・・・。 〜あれ?ここは何処?〜 転生した場所は森の中・・・右も左も分からない状態ですが、天然?な女神にサポートされながらも何とか生きて行きます。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 初めて書くので、誤字脱字や違和感はご了承ください。

転生したら追放された雑用スキルで世界最強になっていた件~無自覚に救国してハーレム王になった元落ちこぼれの俺~

fuwamofu
ファンタジー
冒険者ギルドで「雑用」スキルしか持たなかった青年・カイ。仲間から無能扱いされ、あげく追放された彼は、偶然開花したスキルの真の力で世界の理を揺るがす存在となる。モンスターを従え、王女に慕われ、美少女賢者や女騎士まで惹かれていく。だが彼自身はそれにまるで気付かず、ただ「役に立ちたい」と願うだけ――やがて神々すら震える無自覚最強の伝説が幕を開ける。 追放者、覚醒、ざまぁ、そしてハーレム。読後スカッとする異世界成り上がり譚!

異世界召喚された俺の料理が美味すぎて魔王軍が侵略やめた件

さかーん
ファンタジー
魔王様、世界征服より晩ご飯ですよ! 食品メーカー勤務の平凡な社会人・橘陽人(たちばな はると)は、ある日突然異世界に召喚されてしまった。剣も魔法もない陽人が頼れるのは唯一の特技――料理の腕だけ。 侵略の真っ最中だった魔王ゼファーとその部下たちに、試しに料理を振る舞ったところ、まさかの大絶賛。 「なにこれ美味い!」「もう戦争どころじゃない!」 気づけば魔王軍は侵略作戦を完全放棄。陽人の料理に夢中になり、次々と餌付けされてしまった。 いつの間にか『魔王専属料理人』として雇われてしまった陽人は、料理の腕一本で人間世界と魔族の架け橋となってしまう――。 料理と異世界が織りなす、ほのぼのグルメ・ファンタジー開幕!

処理中です...