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第4章 旅にアクシデントはお約束?
4-25 いざ! 上陸! 青葉リゾートアイランド③
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司たちが歓談しつつ待つことしばし、妙子婆と玄爺が昼食を持って戻ってきた。途中、澪たちが手伝おうかと申し入れたが、頑固として受け入れられなかった。お客様は座って待っていろ、の一点張りだった。
しかし、2人は年齢を感じさせない動きでキビキビと、あっという間に配膳は終わってしまった。そして、一行に振る舞われたのは海鮮丼だった。海が近い特権である。
多種多様の魚介で丼の中に華が彩られていた。マグロの赤身、中トロ、ネギトロ、サーモン、カンパチ、ウニ、イクラ、帆立に甘海老。具材の量が多すぎて、丼からはみ出ているし、肝心のお米は外観からは一切目視することがかなわない。色鮮やかで宝石箱のような盛り付けが身目麗しい豪華な逸品だった。
付け合わせは魚のアラと海老の頭で取った出汁で作った味噌汁。アラは表面を焼き入れして、海老の頭も炒って細かく砕いてから煮込んで出汁を取る本格仕様だ。そうして作られた味噌汁は、豊かな潮の風味と濃厚な魚介エキスがこれでもかと溶けだしている。見た目が華やかな丼に対して、こちらは味と匂いが勝負。一口すすれば、口内に強烈なインパクトを与える逸品だった。
「はわー、まるで海の宝石箱や~」
「あ、あの……優さん? キャラおかしくなってませんか? 一体どうしたんですか?」
あまりの衝撃に優がおかしなことを言い始めた。まぁ、いつものことではあるのだが……。
「うちの自慢の海鮮丼だよ! みんな食べてみておくれ!」
妙子婆が自信満々で呼びかけると、一行は、わっと歓声を上げて思い思いに食べ始めた。皆が笑顔で食べていることから、予想通り、もしくはそれ以上の美味しさだったようで、それぞれ満足そうだ。
リリ用にはマグロやカンパチなどの魚の切り身を大きめにカットして、ミディアムに焼き上げたステーキが振る舞われた。初めて食べる味に尻尾が風車の様に旋回している。どうやらリリの好みにも合ったようである。
量的にも価格的にも大満足な昼食を終えて、一行は玄爺の船へと向かう。尺的に延び延びになっていたが、これからやっと青葉家の島へ船を進めることになるのだ。
「あれー? 妙子お婆様。どうして一緒にいるんですー? お店はどうされたんです?」
澪がふと気づいた。行きと違って帰りは人数が1人増えていることに……どこの怪談か。
「何を言ってるんだい! 婆も一緒に行くからに決まってるんじゃないかい。 今日、昼にこっちの店を開けたのだって、澪ちゃんたちがお昼ご飯を食べていくだろうと思ったからだよ! 明日からは青葉リゾートのほうの店舗を開店さ!」
「……この婆は相変わらず自由すぎるわい。どこの世界に昼の2時間だけしか開けない飯屋があるんじゃよ。しかも、開けるのだって不定期じゃし、店主はこんなしわくちゃの婆だし。それで毎回毎回あれだけのリピーターがいること自体が謎じゃい」
玄爺が妙子婆に容赦ない感想を宣う。しかし、あまりにも素直すぎて何のオブラートにも包まれていない。これは……危ない。
「爺……どうやら魚のエサになりたいようだね? そうだね……爺をエサにシャークウォッチングしながら向かってもいいんだよ? 私も操船できることだしね。そうしようかね? 澪ちゃんたちも船上は暇だろうしね? 爺、よかったじゃないか、少しでもみんなの役に立てて。ちゃんと成仏するんだよ?」
「いやいやいやいや、失言だった! すまぬ! お嬢がいるから少しだけ調子に乗りました! サメのエサだけは勘弁じゃ!」
玄爺が速攻で五体投地して土下座を決める。とても老人とは思えない身体のキレだ。
「ふん。謝るくらいなら初めから言うんじゃないよ。きっとサメのほうも爺の肉なんぞ不味くて食べたかないよ。さっさと仕事しな! 澪ちゃんたちは船でゆっくりしていなさいな」
爺と婆の夫婦漫才を微笑ましく眺めつつ、一行はクルーザーに乗り込む。
それにしても、10人乗ってもかなりの余裕がある。定員は15名らしい。船内には軽く見ただけで、テーブル付きのソファーが3本、6人掛けのテーブル席が1セット、簡易キッチン、シャワーとトイレ完備、今回は使わないがベッドルームが2つ。デッキにもソファー付きのテーブルがあった。
これだけの大きさと機能性のクルーザーだと一体おいくらくらいするのだろうか……価格は恐ろしすぎて聞けたものではない。少なくとも億は軽く超えるはずだ。
「リリ、これから船に乗るけど、水の上を動くから、海に落ちないようにな? あと、ちょっと揺れたりするけど、怖かったら言うんだぞ?」
「わふわふ」
リリにとっては初めての船旅。本来、陸上の生物にとって船の上での感覚は未知のものになるだろう。三半規管が人間よりも発達しているから船酔いにはなりにくいのかもしれないが、それでも相性というものがある。司がわざわざリリに言い聞かせるのは念のための処置である。
しかし、2人は年齢を感じさせない動きでキビキビと、あっという間に配膳は終わってしまった。そして、一行に振る舞われたのは海鮮丼だった。海が近い特権である。
多種多様の魚介で丼の中に華が彩られていた。マグロの赤身、中トロ、ネギトロ、サーモン、カンパチ、ウニ、イクラ、帆立に甘海老。具材の量が多すぎて、丼からはみ出ているし、肝心のお米は外観からは一切目視することがかなわない。色鮮やかで宝石箱のような盛り付けが身目麗しい豪華な逸品だった。
付け合わせは魚のアラと海老の頭で取った出汁で作った味噌汁。アラは表面を焼き入れして、海老の頭も炒って細かく砕いてから煮込んで出汁を取る本格仕様だ。そうして作られた味噌汁は、豊かな潮の風味と濃厚な魚介エキスがこれでもかと溶けだしている。見た目が華やかな丼に対して、こちらは味と匂いが勝負。一口すすれば、口内に強烈なインパクトを与える逸品だった。
「はわー、まるで海の宝石箱や~」
「あ、あの……優さん? キャラおかしくなってませんか? 一体どうしたんですか?」
あまりの衝撃に優がおかしなことを言い始めた。まぁ、いつものことではあるのだが……。
「うちの自慢の海鮮丼だよ! みんな食べてみておくれ!」
妙子婆が自信満々で呼びかけると、一行は、わっと歓声を上げて思い思いに食べ始めた。皆が笑顔で食べていることから、予想通り、もしくはそれ以上の美味しさだったようで、それぞれ満足そうだ。
リリ用にはマグロやカンパチなどの魚の切り身を大きめにカットして、ミディアムに焼き上げたステーキが振る舞われた。初めて食べる味に尻尾が風車の様に旋回している。どうやらリリの好みにも合ったようである。
量的にも価格的にも大満足な昼食を終えて、一行は玄爺の船へと向かう。尺的に延び延びになっていたが、これからやっと青葉家の島へ船を進めることになるのだ。
「あれー? 妙子お婆様。どうして一緒にいるんですー? お店はどうされたんです?」
澪がふと気づいた。行きと違って帰りは人数が1人増えていることに……どこの怪談か。
「何を言ってるんだい! 婆も一緒に行くからに決まってるんじゃないかい。 今日、昼にこっちの店を開けたのだって、澪ちゃんたちがお昼ご飯を食べていくだろうと思ったからだよ! 明日からは青葉リゾートのほうの店舗を開店さ!」
「……この婆は相変わらず自由すぎるわい。どこの世界に昼の2時間だけしか開けない飯屋があるんじゃよ。しかも、開けるのだって不定期じゃし、店主はこんなしわくちゃの婆だし。それで毎回毎回あれだけのリピーターがいること自体が謎じゃい」
玄爺が妙子婆に容赦ない感想を宣う。しかし、あまりにも素直すぎて何のオブラートにも包まれていない。これは……危ない。
「爺……どうやら魚のエサになりたいようだね? そうだね……爺をエサにシャークウォッチングしながら向かってもいいんだよ? 私も操船できることだしね。そうしようかね? 澪ちゃんたちも船上は暇だろうしね? 爺、よかったじゃないか、少しでもみんなの役に立てて。ちゃんと成仏するんだよ?」
「いやいやいやいや、失言だった! すまぬ! お嬢がいるから少しだけ調子に乗りました! サメのエサだけは勘弁じゃ!」
玄爺が速攻で五体投地して土下座を決める。とても老人とは思えない身体のキレだ。
「ふん。謝るくらいなら初めから言うんじゃないよ。きっとサメのほうも爺の肉なんぞ不味くて食べたかないよ。さっさと仕事しな! 澪ちゃんたちは船でゆっくりしていなさいな」
爺と婆の夫婦漫才を微笑ましく眺めつつ、一行はクルーザーに乗り込む。
それにしても、10人乗ってもかなりの余裕がある。定員は15名らしい。船内には軽く見ただけで、テーブル付きのソファーが3本、6人掛けのテーブル席が1セット、簡易キッチン、シャワーとトイレ完備、今回は使わないがベッドルームが2つ。デッキにもソファー付きのテーブルがあった。
これだけの大きさと機能性のクルーザーだと一体おいくらくらいするのだろうか……価格は恐ろしすぎて聞けたものではない。少なくとも億は軽く超えるはずだ。
「リリ、これから船に乗るけど、水の上を動くから、海に落ちないようにな? あと、ちょっと揺れたりするけど、怖かったら言うんだぞ?」
「わふわふ」
リリにとっては初めての船旅。本来、陸上の生物にとって船の上での感覚は未知のものになるだろう。三半規管が人間よりも発達しているから船酔いにはなりにくいのかもしれないが、それでも相性というものがある。司がわざわざリリに言い聞かせるのは念のための処置である。
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