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第4章 旅にアクシデントはお約束?
4-27 いざ! 上陸! 青葉リゾートアイランド⑤
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イルカのほうも好奇心を刺激されたのか、現れてから10分くらい船に並走してくれていた。アーチ状に飛び跳ねたり、2頭が競い合って船を追い越そうとしたり、野性そのままの愛らしい姿は見る者を微笑ませるのに十分な光景だった。
ひとしきりイルカを見てはしゃいだ一行は、興奮冷めやらぬまま、島に着いたら何をするかを思い思いに話し合っていた。宗司は浜辺で筋トレとか、頭は大丈夫なのだろうか?
「澪ちゃん、島での予定は何があるんだい?」
「それよりもアレ(玄爺)は大丈夫なんですか? うーん、特にこれと言って決めてはないですね~。別荘に1週間ほど滞在する予定です。浜辺でBBQと海水浴、マリンレジャー関係がメインでしょうか?」
「あの爺は割と頑丈だから放っておけばいいよ。そのうち生き返るだろ。生命力だけはゾンビ並みだからね。そうだねぇ、引き潮になったら中型のボートで洞窟巡りってのもいいんじゃないかい? あと、別荘以外での食事は私に任せておきな! とびっきりのを用意してあげるよ!」
澪と妙子婆から少し離れたところには、玄爺が甲板に打ち捨てられていた。ピクリとも動く気配がない……どうやら、ただの屍のようだ。しかし、この炎天下での日光浴はおすすめできない。紫外線的にも熱中症的にもだ。良い子の諸君は、マネしないように。
「確かに冒険クルージングもいいですねぇ。あ~、でも私たちってカップル人口少ないですから、効果が薄めなんですよね~。この中で、あとくっつきそうな要素は……うーん、どうなんでしょうか」
「澪ちゃんには誰かいい人いないのかい? あの男の人はどうなんだい? 見た感じ、割といい物件だと思うんだけどね。それにしても、周囲にやけに綺麗どころばかり引き連れているね……」
妙子婆はそう言って司に視線を飛ばす。話題の司はリリを腕に抱えていて、目の前を悠然と飛ぶカモメの群れに、リリが突撃しないように制御するのにいっぱいいっぱいだった。
流石にリリ自身もカモメに跳んだら海に落ちることはわかっている……しかし、それでも本能が疼くのだ。ついでに尻尾も。例え理性ではわかっていたとしても無意識に動いてしまうのだ。
「あの人は、舞ちゃんの許嫁(フィアンセ)さんですね~。結構いい人ですよ~」
「なんだい、もうお手付きかい。それじゃ、あっちのあのでかいのは……筋肉にしか興味がなさそうな面してるね。うん、あれは駄目だね。相手にしたら、澪ちゃんが苦労しそうだ」
対して宗司の評価はひどいモノだった。しかし、妙子婆の認識は非常に正しい。
「宗司さんはああ見えて割といい人ですし、頭も良いのですけど、目の前のものしか見えていない猪突猛進ところがあるんですよね~。まぁ、それはそれでわかりやすくて良いのですけど。あの手のタイプは周りに好意を持った人間がいたとしても、自分の本命以外にはまったく興味がないので、エイミーは可哀想ですね~」
「おや? 詠美ちゃんというと、あそこの船酔いした娘かい? ほうほう、なるほど。そういう関係図かい。若いってことは素晴らしいねぇ」
宗司について語れば、見た目は筋肉の塊で性格が暑苦しくはあるが、顔はかなり美形。家柄も良く、武神流道場の次期当主。武神流を修めているので、当然ながら運動神経は抜群。性格も愚直で真面目、裏表もないし、隠し事もしない。あんな外見だが、子供に物凄く人気があり、地域の子供たちからは憧れの的。それに、もし何か問題が起これば、己の身を挺して前面で守ってくれるタイプであり、見方を変えれば非常に頼りがいもある。
あれ? こう書くと、今更ながら、かなりいい男に思える。不思議。
「エイミーが宗司さんを好きになっちゃうのもわからなくもないんですけどね~。舞ちゃんのお兄さんですから、子供の頃から一緒に遊んで育ってきましたし。昔はアレでしたけど、今はすごく背も高いですし、黙って立っていれば時々ドキッとするくらいのイケメンですし。エイミーも体育会系なので、同じような性格できっと合うんでしょう」
「澪ちゃんはどういう男の人がいいんだい?」
「そうですね~」
「お嬢の相手には、儂のようなナイスガイ! しかおらんじゃろ! 見よ、このたくましい腕! 見よ、この小麦色で健康的な肌! そして、この太陽のように燦然と輝く笑顔と白い歯! これぞ船乗り! 海の男! …………どう? こんな儂、恰好よくね?」
いつの間にか、甲板でゾンビしていた玄爺が復活した。しかし……爺がそんなことを全力で主張しても、正直キモイだけである。
その証拠に澪はコメントできずにポカーンとしていたし、妙子婆は無言でシバキ倒した。結果、玄爺は再び甲板に打ち捨てられることになった。ちなみに、この玄爺のゾンビプレイは到着の時まで続く。
「あのおじいちゃんは、またお昼寝がしたいのでしょうか?」
ぽつりと呟かれたリリの独り言に答えられるものは、誰もいなかった……。
ひとしきりイルカを見てはしゃいだ一行は、興奮冷めやらぬまま、島に着いたら何をするかを思い思いに話し合っていた。宗司は浜辺で筋トレとか、頭は大丈夫なのだろうか?
「澪ちゃん、島での予定は何があるんだい?」
「それよりもアレ(玄爺)は大丈夫なんですか? うーん、特にこれと言って決めてはないですね~。別荘に1週間ほど滞在する予定です。浜辺でBBQと海水浴、マリンレジャー関係がメインでしょうか?」
「あの爺は割と頑丈だから放っておけばいいよ。そのうち生き返るだろ。生命力だけはゾンビ並みだからね。そうだねぇ、引き潮になったら中型のボートで洞窟巡りってのもいいんじゃないかい? あと、別荘以外での食事は私に任せておきな! とびっきりのを用意してあげるよ!」
澪と妙子婆から少し離れたところには、玄爺が甲板に打ち捨てられていた。ピクリとも動く気配がない……どうやら、ただの屍のようだ。しかし、この炎天下での日光浴はおすすめできない。紫外線的にも熱中症的にもだ。良い子の諸君は、マネしないように。
「確かに冒険クルージングもいいですねぇ。あ~、でも私たちってカップル人口少ないですから、効果が薄めなんですよね~。この中で、あとくっつきそうな要素は……うーん、どうなんでしょうか」
「澪ちゃんには誰かいい人いないのかい? あの男の人はどうなんだい? 見た感じ、割といい物件だと思うんだけどね。それにしても、周囲にやけに綺麗どころばかり引き連れているね……」
妙子婆はそう言って司に視線を飛ばす。話題の司はリリを腕に抱えていて、目の前を悠然と飛ぶカモメの群れに、リリが突撃しないように制御するのにいっぱいいっぱいだった。
流石にリリ自身もカモメに跳んだら海に落ちることはわかっている……しかし、それでも本能が疼くのだ。ついでに尻尾も。例え理性ではわかっていたとしても無意識に動いてしまうのだ。
「あの人は、舞ちゃんの許嫁(フィアンセ)さんですね~。結構いい人ですよ~」
「なんだい、もうお手付きかい。それじゃ、あっちのあのでかいのは……筋肉にしか興味がなさそうな面してるね。うん、あれは駄目だね。相手にしたら、澪ちゃんが苦労しそうだ」
対して宗司の評価はひどいモノだった。しかし、妙子婆の認識は非常に正しい。
「宗司さんはああ見えて割といい人ですし、頭も良いのですけど、目の前のものしか見えていない猪突猛進ところがあるんですよね~。まぁ、それはそれでわかりやすくて良いのですけど。あの手のタイプは周りに好意を持った人間がいたとしても、自分の本命以外にはまったく興味がないので、エイミーは可哀想ですね~」
「おや? 詠美ちゃんというと、あそこの船酔いした娘かい? ほうほう、なるほど。そういう関係図かい。若いってことは素晴らしいねぇ」
宗司について語れば、見た目は筋肉の塊で性格が暑苦しくはあるが、顔はかなり美形。家柄も良く、武神流道場の次期当主。武神流を修めているので、当然ながら運動神経は抜群。性格も愚直で真面目、裏表もないし、隠し事もしない。あんな外見だが、子供に物凄く人気があり、地域の子供たちからは憧れの的。それに、もし何か問題が起これば、己の身を挺して前面で守ってくれるタイプであり、見方を変えれば非常に頼りがいもある。
あれ? こう書くと、今更ながら、かなりいい男に思える。不思議。
「エイミーが宗司さんを好きになっちゃうのもわからなくもないんですけどね~。舞ちゃんのお兄さんですから、子供の頃から一緒に遊んで育ってきましたし。昔はアレでしたけど、今はすごく背も高いですし、黙って立っていれば時々ドキッとするくらいのイケメンですし。エイミーも体育会系なので、同じような性格できっと合うんでしょう」
「澪ちゃんはどういう男の人がいいんだい?」
「そうですね~」
「お嬢の相手には、儂のようなナイスガイ! しかおらんじゃろ! 見よ、このたくましい腕! 見よ、この小麦色で健康的な肌! そして、この太陽のように燦然と輝く笑顔と白い歯! これぞ船乗り! 海の男! …………どう? こんな儂、恰好よくね?」
いつの間にか、甲板でゾンビしていた玄爺が復活した。しかし……爺がそんなことを全力で主張しても、正直キモイだけである。
その証拠に澪はコメントできずにポカーンとしていたし、妙子婆は無言でシバキ倒した。結果、玄爺は再び甲板に打ち捨てられることになった。ちなみに、この玄爺のゾンビプレイは到着の時まで続く。
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