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第5章 地球と彼の地を結ぶ門
5-7 非常識集団の珍道中
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アーススイーパーが蔓延る荒野を駆け抜け、宗司の案内で北へ向かう。途中で襲い掛かってくるアーススイーパーは、先頭の宗司が一撃で弾き飛ばして処理をする。距離を取れば、襲ってくることはないからだ。宗司は、処理している間も走るのはおろそかにせず、正確にトカゲの横顔に回し蹴りを叩き込んで再び走り出す。動きが超人過ぎる。
岩戸から北へ走ること2時間。荒野と草原の境目の河を渡り、休憩と携帯食での食事を挟んで草原を走る。前回はマッドチャリオットが乗せてくれたので比較的楽に移動できていたのだが、今回は自力で移動しているため体力の消耗も考慮しなければならない。2時間おきに小休憩を取って体力を回復させつつの強行軍だ。
「初日からきついとは思うが、出来る限り移動しておきたいのだ。ここからもう少し行かんと食べる物がないからな。序盤で携帯食を消耗するのは避けたい。頑張ってくれ」
「いえ、俺はいつものことなのでこれくらいは平気ですよ。舞は大丈夫か? リリは……うん、楽しそうだね」
「私はちょっと厳しめでついて行くのがやっとですけど、合間に休憩を挟んでくれてるので大丈夫です」
「舞さん! 疲れたら、私の背中に乗ってください! びゅーんですよ! びゅーん!」
「え、ええ……疲れたらお願いしますね? リリ」
前回、舞を背中に乗せて移動していたのを思い出したのか、リリがやけに舞を誘ってくる。が、舞はリリに頼るのは最終手段だと思っている。なぜなら、リリに乗り続けるためには振り落とされないように全身に力を入れ続ける必要があるため、走るのとは、また別の意味で辛いのだ。主に股が。かなり深刻な問題である。
そんな舞の内心を知ってか知らずか、リリは舞を乗せたくてしょうがない。これでもかと強烈にプッシュしてくる。何故ならば、リリにとっては誰かの手伝いが出来ることがとても嬉しいからだ。
「よし、今日はここまでにしよう。司、舞、よく頑張った。リリちゃんも偉かったな」
朝9時からスタートして現在15時くらいだろうか? どうやら本日はここまでのようだ。宗司が野営場所に選んだのは草原のど真ん中、ひょろっとした木が2本だけ生えているところだった。周りには何もなくとても見晴らしがよい。
「リリ、木がいっぱいありそうなのはどっち? 野営するから薪を集めたいんだけど」
「うーん? うーん。あっちのほうから緑の強い匂いがします?」
司がリリに林がある方向を尋ねると、すぐに答えが返ってきた。司には全く見えないし、匂いもわからないが、リリにはわかるのだ。こういう時は野生の勘が頼りになる。
「じゃ、ロープだけ持って薪とか集めてきますね。荷物置いて行きますので、よろしくお願いします。リリ、背中に乗せてくれ」
「司さん、乗りますか!? 任せてください! びゅーんですよ!」
「いいかー、張り切っちゃだめだぞー、ゆっくりだぞー、俺が落ちちゃうからなー」
司が背中に乗ってくれるとわかった途端、リリはその場で小躍りしそうなくらい喜んだ。今日は出番のなかった分、リリはとても嬉しそうである。司の棒読みのセリフを聞いてくれていることを切に願う。
「では、私たちは設営しておく。木にハンモック型の小型テントを吊るして、2人が休んで1人が火の番、ローテーション4時間交代でいくか」
「そうですね、わかりました」
司が薪拾いに、宗司と舞が設営で役割分担をすることに決まった。この3人は、異常なほどアウトドア慣れしているので、この辺の意思疎通は完璧である。
「あれ? 舞、宗司さんは?」
薪とヤシの実モドキを集めて戻ってきた司は、設営地点に宗司がいないことに、すぐに気が付いた。しかし、テントなどの設営は既に終わっている。
「設営が終わったら、何か夕ご飯を取りに行くと言って出て行きましたよ。いったい、どこに行ったんですかね?」
しばらくすると宗司が戻ってきた。何やら大荷物を担いでの帰還である。
「宗司兄……それって食べられるんですか?」
舞が恐る恐る聞くのは、鳥のような爬虫類のような、一言で言えばダチョウの恐竜タイプのような生き物だった。宗司が持ち帰ってきた戦利品である。既に絞められているのか、グエッという感じでぐったりしていた。南無。
「肉には違いないんだから、いけるんじゃないか? まぁ、大丈夫だろう。血抜きは既に終わっている。後は、実食のみだ」
どうやら宗司も初めて食べるようだ。考え方がワイルドすぎる。宗司は鼻歌を歌いながらごっついナイフで解体していく。さらに、どこからか持ってきた岩を素手で割って鉄板ならぬ石板を作り出し、あっという間に即席の竈を組んでしまった。手慣れすぎていて怖い。
結論から言えば、美味しかった。最も近いのはワニ肉だろうか? ササミのように脂が少ないので、サッパリと食べられるのが利点だった。調味料は塩だけだが、十分に美味しい。
「……美味しいですね。意外でした」
「もきゅもきゅもきゅもきゅ……」
3人でダチョウサイズは多いかと思ったが、宗司とリリががっつりと食べたので、骨以外は欠片も残らなかった。このメンバーで問題なのは食料消費量なのかもしれない。
岩戸から北へ走ること2時間。荒野と草原の境目の河を渡り、休憩と携帯食での食事を挟んで草原を走る。前回はマッドチャリオットが乗せてくれたので比較的楽に移動できていたのだが、今回は自力で移動しているため体力の消耗も考慮しなければならない。2時間おきに小休憩を取って体力を回復させつつの強行軍だ。
「初日からきついとは思うが、出来る限り移動しておきたいのだ。ここからもう少し行かんと食べる物がないからな。序盤で携帯食を消耗するのは避けたい。頑張ってくれ」
「いえ、俺はいつものことなのでこれくらいは平気ですよ。舞は大丈夫か? リリは……うん、楽しそうだね」
「私はちょっと厳しめでついて行くのがやっとですけど、合間に休憩を挟んでくれてるので大丈夫です」
「舞さん! 疲れたら、私の背中に乗ってください! びゅーんですよ! びゅーん!」
「え、ええ……疲れたらお願いしますね? リリ」
前回、舞を背中に乗せて移動していたのを思い出したのか、リリがやけに舞を誘ってくる。が、舞はリリに頼るのは最終手段だと思っている。なぜなら、リリに乗り続けるためには振り落とされないように全身に力を入れ続ける必要があるため、走るのとは、また別の意味で辛いのだ。主に股が。かなり深刻な問題である。
そんな舞の内心を知ってか知らずか、リリは舞を乗せたくてしょうがない。これでもかと強烈にプッシュしてくる。何故ならば、リリにとっては誰かの手伝いが出来ることがとても嬉しいからだ。
「よし、今日はここまでにしよう。司、舞、よく頑張った。リリちゃんも偉かったな」
朝9時からスタートして現在15時くらいだろうか? どうやら本日はここまでのようだ。宗司が野営場所に選んだのは草原のど真ん中、ひょろっとした木が2本だけ生えているところだった。周りには何もなくとても見晴らしがよい。
「リリ、木がいっぱいありそうなのはどっち? 野営するから薪を集めたいんだけど」
「うーん? うーん。あっちのほうから緑の強い匂いがします?」
司がリリに林がある方向を尋ねると、すぐに答えが返ってきた。司には全く見えないし、匂いもわからないが、リリにはわかるのだ。こういう時は野生の勘が頼りになる。
「じゃ、ロープだけ持って薪とか集めてきますね。荷物置いて行きますので、よろしくお願いします。リリ、背中に乗せてくれ」
「司さん、乗りますか!? 任せてください! びゅーんですよ!」
「いいかー、張り切っちゃだめだぞー、ゆっくりだぞー、俺が落ちちゃうからなー」
司が背中に乗ってくれるとわかった途端、リリはその場で小躍りしそうなくらい喜んだ。今日は出番のなかった分、リリはとても嬉しそうである。司の棒読みのセリフを聞いてくれていることを切に願う。
「では、私たちは設営しておく。木にハンモック型の小型テントを吊るして、2人が休んで1人が火の番、ローテーション4時間交代でいくか」
「そうですね、わかりました」
司が薪拾いに、宗司と舞が設営で役割分担をすることに決まった。この3人は、異常なほどアウトドア慣れしているので、この辺の意思疎通は完璧である。
「あれ? 舞、宗司さんは?」
薪とヤシの実モドキを集めて戻ってきた司は、設営地点に宗司がいないことに、すぐに気が付いた。しかし、テントなどの設営は既に終わっている。
「設営が終わったら、何か夕ご飯を取りに行くと言って出て行きましたよ。いったい、どこに行ったんですかね?」
しばらくすると宗司が戻ってきた。何やら大荷物を担いでの帰還である。
「宗司兄……それって食べられるんですか?」
舞が恐る恐る聞くのは、鳥のような爬虫類のような、一言で言えばダチョウの恐竜タイプのような生き物だった。宗司が持ち帰ってきた戦利品である。既に絞められているのか、グエッという感じでぐったりしていた。南無。
「肉には違いないんだから、いけるんじゃないか? まぁ、大丈夫だろう。血抜きは既に終わっている。後は、実食のみだ」
どうやら宗司も初めて食べるようだ。考え方がワイルドすぎる。宗司は鼻歌を歌いながらごっついナイフで解体していく。さらに、どこからか持ってきた岩を素手で割って鉄板ならぬ石板を作り出し、あっという間に即席の竈を組んでしまった。手慣れすぎていて怖い。
結論から言えば、美味しかった。最も近いのはワニ肉だろうか? ササミのように脂が少ないので、サッパリと食べられるのが利点だった。調味料は塩だけだが、十分に美味しい。
「……美味しいですね。意外でした」
「もきゅもきゅもきゅもきゅ……」
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