184 / 278
第5章 地球と彼の地を結ぶ門
5-46 会議は踊るよ、どこまでも
しおりを挟む
直前に思わぬ乱入があったものの、遠征の報告会が始まった。メンバーは司、舞、宗司、兎神だ。リリは舞の膝の上、クーシュは司の膝の上でオブザーバーである。子供なので。
「最初に、皆さま、よくぞご無事でお帰りくださいました。今回、快く依頼を受けて頂いた宗司様、舞様には感謝を。司様が無事なのは2人と……リリ、クーシュのおかげです」
まずは兎神の言葉から入った。途中、私たちを忘れるな、という視線を感じて2匹にも感謝を述べる。リリは誇らしそうに、クーシュはムフーと鼻息荒く安定のドヤ顔である。
ちなみに、ここにいないメンバーはというと、竜は大樹に寄り添って、ずっと無言で樹を見つめていた。どうやら何か会話していそうだが、内容はリリにしかわからない。
母鳥はヴォルフとルーヴと意見交換をしている。きっと地球の歩き方を学んでいるのだろう。姉妹鳥たちは暇なのでヴォルフたちのコンテナハウスで毛布に包まってお昼寝中。
他のウルの民は大樹様係を残して、各々に寛いでいた。今日はお休みの日らしい。しばらく見なかった間に、どうやらカップリングが成立したようで雄雌2匹ずつペアで行動しているのが確認された。子狼が見られる日も近いのかもしれない。
プラちゃんたちはいつもと変わらない。日中は大樹の側で光合成タイムである。マッドチャリオットたちは、橙花が地下に作った畑の側で佇んでいた。自分たちの食料確保を主張しているのだろうか? 毎日のご飯はレタスや白菜などが与えられているのだが……。
会議に戻る。
道中の経過は若干端折りながら説明をして、重要な空飛ぶ島での出来事はしっかりと。各々の主観で説明をし、修正箇所や補足事項があれば発言するスタイルである。
「結果ですが、例の石を泉の水につけたところ、急速に成長し、私の身体を乗っ取ろうとしましたので、やむを得ず破壊することとなりました。最終的には力技になりましたが、無理やり身体から剥がしたら粉々になり、後に砂になって消えました」
宗司はそう報告すると、司に目配せを送る。
「石というか、結晶みたいな印象だったけど、それと同時に液体のようでもあったかな。兎神からもらったアレでも中々砕けないような強度があって、宗司さんの身体の動きに追従して動けるくらいだからな」
「そうですね。生身の宗司兄には劣るにしても、本来の50%……いえ70%程度の動きは出来ていたと思います。あれは驚異的でした」
構造的にだが、小さな物質が集まったなら兎も角として、宗司の身体を覆い尽くすような結晶で出来たゴーレムというのは、本来動けるはずがない。歩くという動作1つを取っても、人体の様に滑らかな動きをするには複雑な構造が必要になる。神経命令によって骨格、関節、筋肉などが連動し同時に作動することで、初めて歩く、ことができるのである。ろくな関節も備わっていない人型の結晶体が人間の様に動いただけで普通ではないのだ。
「あの赤い石の正体は血液ですので、液体のような性質を持っていたとしても不思議ではない……ということですか。そして、予想通り成長しましたか。嫌な予想ほど、よく当たるものですね」
兎神は知り合いの学者から分析結果を受け取った時に、石がどういう挙動をするかを予想していた。予想はしていたが、出来ることならば外れてほしいとも思っていた。だからこそ、今回の依頼を出したのである。
「それで私が石に覆われた時のことですが、身体の機能は完全に停止。神経が途切れているような感覚でした。頭で動かそうとしても身体が動かない、そんな感覚ですね。たぶんですが、その間は私の身体は操られていたのでしょう。その後は、どこからか声が聞こえるようになり、最初は聞き取りにくかったのですが、徐々に鮮明になっていきましたね」
謎の声は宗司に語り続けていた。内容はまさに呪詛のようなもの。一方的に、延々と恨み辛みを叩きつけるように。もはや洗脳の領域であった。
「声……ですか。何か特徴みたいなものはありましたか?」
「そうですね、会話をしているという感じではありません。まるで録音されている音声を延々と流されている感じでしょうか。中身は気分が悪くなるような内容ですけどね」
宗司から内容を聞いた兎神は僅かに顔を顰めた後、両目を瞑って何かを考え始めた。何か思うところでもあったのだろうか? いつもであれば考えられないことだが、最近の兎神はふとした拍子に感情が表情に出てしまうらしい。
「ここまでくると……もはや予想というよりは確実な情報、でしょうね。それに、私の依頼で直に確認頂いた皆様にはお話しておかなければいけません」
兎神は目を見開くと、意を決したように口を開いた。
「では、私の予想をお話ししましょう……」
「最初に、皆さま、よくぞご無事でお帰りくださいました。今回、快く依頼を受けて頂いた宗司様、舞様には感謝を。司様が無事なのは2人と……リリ、クーシュのおかげです」
まずは兎神の言葉から入った。途中、私たちを忘れるな、という視線を感じて2匹にも感謝を述べる。リリは誇らしそうに、クーシュはムフーと鼻息荒く安定のドヤ顔である。
ちなみに、ここにいないメンバーはというと、竜は大樹に寄り添って、ずっと無言で樹を見つめていた。どうやら何か会話していそうだが、内容はリリにしかわからない。
母鳥はヴォルフとルーヴと意見交換をしている。きっと地球の歩き方を学んでいるのだろう。姉妹鳥たちは暇なのでヴォルフたちのコンテナハウスで毛布に包まってお昼寝中。
他のウルの民は大樹様係を残して、各々に寛いでいた。今日はお休みの日らしい。しばらく見なかった間に、どうやらカップリングが成立したようで雄雌2匹ずつペアで行動しているのが確認された。子狼が見られる日も近いのかもしれない。
プラちゃんたちはいつもと変わらない。日中は大樹の側で光合成タイムである。マッドチャリオットたちは、橙花が地下に作った畑の側で佇んでいた。自分たちの食料確保を主張しているのだろうか? 毎日のご飯はレタスや白菜などが与えられているのだが……。
会議に戻る。
道中の経過は若干端折りながら説明をして、重要な空飛ぶ島での出来事はしっかりと。各々の主観で説明をし、修正箇所や補足事項があれば発言するスタイルである。
「結果ですが、例の石を泉の水につけたところ、急速に成長し、私の身体を乗っ取ろうとしましたので、やむを得ず破壊することとなりました。最終的には力技になりましたが、無理やり身体から剥がしたら粉々になり、後に砂になって消えました」
宗司はそう報告すると、司に目配せを送る。
「石というか、結晶みたいな印象だったけど、それと同時に液体のようでもあったかな。兎神からもらったアレでも中々砕けないような強度があって、宗司さんの身体の動きに追従して動けるくらいだからな」
「そうですね。生身の宗司兄には劣るにしても、本来の50%……いえ70%程度の動きは出来ていたと思います。あれは驚異的でした」
構造的にだが、小さな物質が集まったなら兎も角として、宗司の身体を覆い尽くすような結晶で出来たゴーレムというのは、本来動けるはずがない。歩くという動作1つを取っても、人体の様に滑らかな動きをするには複雑な構造が必要になる。神経命令によって骨格、関節、筋肉などが連動し同時に作動することで、初めて歩く、ことができるのである。ろくな関節も備わっていない人型の結晶体が人間の様に動いただけで普通ではないのだ。
「あの赤い石の正体は血液ですので、液体のような性質を持っていたとしても不思議ではない……ということですか。そして、予想通り成長しましたか。嫌な予想ほど、よく当たるものですね」
兎神は知り合いの学者から分析結果を受け取った時に、石がどういう挙動をするかを予想していた。予想はしていたが、出来ることならば外れてほしいとも思っていた。だからこそ、今回の依頼を出したのである。
「それで私が石に覆われた時のことですが、身体の機能は完全に停止。神経が途切れているような感覚でした。頭で動かそうとしても身体が動かない、そんな感覚ですね。たぶんですが、その間は私の身体は操られていたのでしょう。その後は、どこからか声が聞こえるようになり、最初は聞き取りにくかったのですが、徐々に鮮明になっていきましたね」
謎の声は宗司に語り続けていた。内容はまさに呪詛のようなもの。一方的に、延々と恨み辛みを叩きつけるように。もはや洗脳の領域であった。
「声……ですか。何か特徴みたいなものはありましたか?」
「そうですね、会話をしているという感じではありません。まるで録音されている音声を延々と流されている感じでしょうか。中身は気分が悪くなるような内容ですけどね」
宗司から内容を聞いた兎神は僅かに顔を顰めた後、両目を瞑って何かを考え始めた。何か思うところでもあったのだろうか? いつもであれば考えられないことだが、最近の兎神はふとした拍子に感情が表情に出てしまうらしい。
「ここまでくると……もはや予想というよりは確実な情報、でしょうね。それに、私の依頼で直に確認頂いた皆様にはお話しておかなければいけません」
兎神は目を見開くと、意を決したように口を開いた。
「では、私の予想をお話ししましょう……」
0
あなたにおすすめの小説
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
毒舌アイドルは毒の魔物に転生する。
馳 影輝
ファンタジー
毒舌を売りにして芸能界で活躍できる様になった。
元々はアイドルとしてデビューしたが、ヒラヒラの衣装や可愛い仕草も得意じゃ無かった。
バラエティーの仕事を貰って、毒舌でキャラを作ったらこれがハマり役で世間からのウケも良くとんとん拍子で有名人になれた。
だが、自宅に帰ると玄関に見知らぬ男性が立っていて私に近づくと静かにナイフで私を刺した。
アイドル時代のファンかも知れない。
突然の事で、怖くて動けない私は何度も刺されて意識を失った。
主人公の時田香澄は殺されてしまう。
気がつくとダンジョンの最下層にポイズンキラーとい魔物に転生する。
自分の現象を知りショックを受けるが、その部屋の主であるリトラの助言により地上を目指す。
ダンジョンの中で進化を繰り返して強くなり、人間の冒険者達が襲われている所に出くわす。
魔物でありながら、擬態を使って人間としても生きる姿や魔王種への進化を試みたり、数え切れないほどの激動の魔物人生が始まる。
異世界ビルメン~清掃スキルで召喚された俺、役立たずと蔑まれ投獄されたが、実は光の女神の使徒でした~
松永 恭
ファンタジー
三十三歳のビルメン、白石恭真(しらいし きょうま)。
異世界に召喚されたが、与えられたスキルは「清掃」。
「役立たず」と蔑まれ、牢獄に放り込まれる。
だがモップひと振りで汚れも瘴気も消す“浄化スキル”は規格外。
牢獄を光で満たした結果、強制釈放されることに。
やがて彼は知らされる。
その力は偶然ではなく、光の女神に選ばれし“使徒”の証だと――。
金髪エルフやクセ者たちと繰り広げる、
戦闘より掃除が多い異世界ライフ。
──これは、汚れと戦いながら世界を救う、
笑えて、ときにシリアスなおじさん清掃員の奮闘記である。
田舎農家の俺、拾ったトカゲが『始祖竜』だった件〜女神がくれたスキル【絶対飼育】で育てたら、魔王がコスメ欲しさに竜王が胃薬借りに通い詰めだした
月神世一
ファンタジー
「くそっ、魔王はまたトカゲの抜け殻を美容液にしようとしてるし、女神は酒のつまみばかり要求してくる! 俺はただ静かに農業がしたいだけなのに!」
ブラック企業で過労死した日本人、カイト。
彼の願いはただ一つ、「誰にも邪魔されない静かな場所で農業をすること」。
女神ルチアナからチートスキル【絶対飼育】を貰い、異世界マンルシア大陸の辺境で念願の農場を開いたカイトだったが、ある日、庭から虹色の卵を発掘してしまう。
孵化したのは、可愛らしいトカゲ……ではなく、神話の時代に世界を滅亡させた『始祖竜』の幼体だった!
しかし、カイトはスキル【絶対飼育】のおかげで、その破壊神を「ポチ」と名付けたペットとして完璧に飼い慣らしてしまう。
ポチのくしゃみ一発で、敵の軍勢は老衰で塵に!?
ポチの抜け殻は、魔王が喉から手が出るほど欲しがる究極の美容成分に!?
世界を滅ぼすほどの力を持つポチと、その魔素を浴びて育った規格外の農作物を求め、理知的で美人の魔王、疲労困憊の竜王、いい加減な女神が次々にカイトの家に押しかけてくる!
「世界の管理者」すら手が出せない最強の農場主、カイト。
これは、世界の運命と、美味しい野菜と、ペットの散歩に追われる、史上最も騒がしいスローライフ物語である!
転生したらスキル転生って・・・!?
ノトア
ファンタジー
世界に危機が訪れて転生することに・・・。
〜あれ?ここは何処?〜
転生した場所は森の中・・・右も左も分からない状態ですが、天然?な女神にサポートされながらも何とか生きて行きます。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
初めて書くので、誤字脱字や違和感はご了承ください。
転生したら追放された雑用スキルで世界最強になっていた件~無自覚に救国してハーレム王になった元落ちこぼれの俺~
fuwamofu
ファンタジー
冒険者ギルドで「雑用」スキルしか持たなかった青年・カイ。仲間から無能扱いされ、あげく追放された彼は、偶然開花したスキルの真の力で世界の理を揺るがす存在となる。モンスターを従え、王女に慕われ、美少女賢者や女騎士まで惹かれていく。だが彼自身はそれにまるで気付かず、ただ「役に立ちたい」と願うだけ――やがて神々すら震える無自覚最強の伝説が幕を開ける。
追放者、覚醒、ざまぁ、そしてハーレム。読後スカッとする異世界成り上がり譚!
異世界召喚された俺の料理が美味すぎて魔王軍が侵略やめた件
さかーん
ファンタジー
魔王様、世界征服より晩ご飯ですよ!
食品メーカー勤務の平凡な社会人・橘陽人(たちばな はると)は、ある日突然異世界に召喚されてしまった。剣も魔法もない陽人が頼れるのは唯一の特技――料理の腕だけ。
侵略の真っ最中だった魔王ゼファーとその部下たちに、試しに料理を振る舞ったところ、まさかの大絶賛。
「なにこれ美味い!」「もう戦争どころじゃない!」
気づけば魔王軍は侵略作戦を完全放棄。陽人の料理に夢中になり、次々と餌付けされてしまった。
いつの間にか『魔王専属料理人』として雇われてしまった陽人は、料理の腕一本で人間世界と魔族の架け橋となってしまう――。
料理と異世界が織りなす、ほのぼのグルメ・ファンタジー開幕!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる