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第5章 地球と彼の地を結ぶ門
5-54 ハムダマたちの新居を考える
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父ハムダマから相談を受けた後、寝床を新設するべく条件などを書きだしていた司。先ほどまでは真っ暗だったが、気づけば空が白んで来ていた。時計を見れば、もう6時前であった。これでは2度寝の時間はなさそうである。
朝の静寂の中、書き物をしていた司の背後で蠢く気配を感じる。いつもよりちょっと早いが、リリの目が覚めたのだろう。布団の中で、出口を探してモゾモゾしているのが見て取れる。ちなみにリリは毎朝の散歩のため6時前後には起きるが、クーシュは朝食の7時半まで寝ている。性格が如実に表れるヒトコマである。
「ふあ~」
起床したリリは、布団からちょこんと顔を出し、可愛い欠伸を1つして、キョロキョロと周りを見渡し始める。いつもならリリが司を起こすパターンが多いので、今日は珍しく早起きな司を探しているようだ。
「司さん~、おはようございます~。何やってるんですか?」
机で書き物をしている司を見つけたリリは、ベッドから飛び降りてトコトコと歩いて行く。声はまだちょっと眠そうだ。寝起きは良いほうなので、もう少ししたら覚醒するだろう。
司の膝の上に飛び乗って、すぐにリラックスの体勢を取る。朝の散歩も大好きだが、膝の上でまったりするのも捨てがたい。そんな気分のリリであった。さらにここにいれば、司の手が空いた時には撫でてもらえるオマケが付く。司の膝取り合戦するクーシュも、この時間なら寝ているので独り占めである。
「おはよう、リリ。ハムダマたちに子供ができたって聞いたんで、母ハムダマが安心できるように寝床を新しく作る計画かな?」
「おおー!」
司の報告を聞いたリリは、まるで自分の事の様に喜んでいる。先日に続いて2件目、仲間内での吉報にテンションが上がっているようだ。
「だから、なるべく早く寝床を準備してやりたいんだ。今日の散歩は、ちょっと行くのが遅くなるよ。ごめんな」
「いえ! 大丈夫です! お仕事のほうが大切ですから!」
膝の上でウキウキしているリリを撫でて落ち着かせながら、書きかけだったメモを仕上げていく。解り易いように手書きの図でアイディアを書いているのである。
必要なのは、司の部屋の横に空き部屋を作る、縦横2メートル×高さ1メートルくらいのケージ、ケージ内に設置するクッションと給水タンクとトイレ、日光99%カットの遮光カーテン、保存の効くナッツ類の備蓄である。
「この絵が新しいお家ですか? 変わった形です?」
「暗くて狭い寝床がいいんだってさ。だから、お家に布をかけて中を暗くしてあげるんだ。あとは部屋の扉を開けっ放しにして、入口をカーテンにして他のハムダマたちが入りやすくしようかなと」
「司さん、天才です!」
リリは司の話を聞いて、キラッキラな目をしてしきりに褒めるが、司としては大したことを考えたわけではないので非常に恥ずかしいところ。しかし、リリの素直な称賛には嬉しいものがこみ上げるのだった。
その後は、書き終わったメモを持って兎神と橙花と相談する。言葉での説明と、ざっくりとしたイメージ図を2人に見せて、修正や不足があればアレンジすることを伝えと、2人はすぐさま行動を開始した。あの様子なら、どうにかして今日中に集めてしまうかもしれない。
それが終われば、すぐさま散歩にゴーである。今日は少し遅くなってしまったので、朝食の時間が後ろにずれ込むはず。橙花たちがクーシュだけに先に出すということはありえないので、いつもの時間におきるクーシュが待たされてむくれるのは間違いない。クーシュの機嫌が少し心配な司であった。尤も、朝食を食べ始めれば、あっという間にご機嫌になるのだが。
司とリリは、日課の散歩を終えて食堂に向かうと、案の定、クーシュが定位置に座ってむくれていた。そして、遅れてやってきた司たちを目にすると、遅いっと言わんばかりにテーブルをバシバシと手ビレで叩く。まだ幼いので、このアクションも仕方のないことだろう……が。
「ダメですよ、クー。それは行儀が悪いです。次同じことをしたら、ご飯はあげません」
橙花が見咎めてクーシュに言うと、手のひらを返したように媚びを売り始めた。反省した様子は見受けられないが、誰を怒らせてはいけないというのは理解しているのだろう。食欲には忠実なクーシュだった。
食事が終われば上機嫌になったクーシュを身体にくっつけて、司は部屋へ。先ほど、兎神から聞いた内容を、父ハムダマに伝える。遅くとも3日後には1次試作が完成予定だ。その後は実際にハムダマたちに使ってもらいながら改善を行う予定となる。報告を聞いた父ハムダマはペコペコとお辞儀を繰り返していた。相変わらず、腰の低い小動物である。
「さて、今日はこの後、プラントエリアか……あのままにして大丈夫だろうか。日に日に魔改造されていってるのが不安すぎる」
「? お父さんと竜さんはとっても楽しそうですよ?」
地下に向かいながら一抹の不安を隠せない司。ちなみにクーシュは既に食休みという名の睡眠に入っている。さっき起きたばかりなのに……寝る子は育つのだろうか?
朝の静寂の中、書き物をしていた司の背後で蠢く気配を感じる。いつもよりちょっと早いが、リリの目が覚めたのだろう。布団の中で、出口を探してモゾモゾしているのが見て取れる。ちなみにリリは毎朝の散歩のため6時前後には起きるが、クーシュは朝食の7時半まで寝ている。性格が如実に表れるヒトコマである。
「ふあ~」
起床したリリは、布団からちょこんと顔を出し、可愛い欠伸を1つして、キョロキョロと周りを見渡し始める。いつもならリリが司を起こすパターンが多いので、今日は珍しく早起きな司を探しているようだ。
「司さん~、おはようございます~。何やってるんですか?」
机で書き物をしている司を見つけたリリは、ベッドから飛び降りてトコトコと歩いて行く。声はまだちょっと眠そうだ。寝起きは良いほうなので、もう少ししたら覚醒するだろう。
司の膝の上に飛び乗って、すぐにリラックスの体勢を取る。朝の散歩も大好きだが、膝の上でまったりするのも捨てがたい。そんな気分のリリであった。さらにここにいれば、司の手が空いた時には撫でてもらえるオマケが付く。司の膝取り合戦するクーシュも、この時間なら寝ているので独り占めである。
「おはよう、リリ。ハムダマたちに子供ができたって聞いたんで、母ハムダマが安心できるように寝床を新しく作る計画かな?」
「おおー!」
司の報告を聞いたリリは、まるで自分の事の様に喜んでいる。先日に続いて2件目、仲間内での吉報にテンションが上がっているようだ。
「だから、なるべく早く寝床を準備してやりたいんだ。今日の散歩は、ちょっと行くのが遅くなるよ。ごめんな」
「いえ! 大丈夫です! お仕事のほうが大切ですから!」
膝の上でウキウキしているリリを撫でて落ち着かせながら、書きかけだったメモを仕上げていく。解り易いように手書きの図でアイディアを書いているのである。
必要なのは、司の部屋の横に空き部屋を作る、縦横2メートル×高さ1メートルくらいのケージ、ケージ内に設置するクッションと給水タンクとトイレ、日光99%カットの遮光カーテン、保存の効くナッツ類の備蓄である。
「この絵が新しいお家ですか? 変わった形です?」
「暗くて狭い寝床がいいんだってさ。だから、お家に布をかけて中を暗くしてあげるんだ。あとは部屋の扉を開けっ放しにして、入口をカーテンにして他のハムダマたちが入りやすくしようかなと」
「司さん、天才です!」
リリは司の話を聞いて、キラッキラな目をしてしきりに褒めるが、司としては大したことを考えたわけではないので非常に恥ずかしいところ。しかし、リリの素直な称賛には嬉しいものがこみ上げるのだった。
その後は、書き終わったメモを持って兎神と橙花と相談する。言葉での説明と、ざっくりとしたイメージ図を2人に見せて、修正や不足があればアレンジすることを伝えと、2人はすぐさま行動を開始した。あの様子なら、どうにかして今日中に集めてしまうかもしれない。
それが終われば、すぐさま散歩にゴーである。今日は少し遅くなってしまったので、朝食の時間が後ろにずれ込むはず。橙花たちがクーシュだけに先に出すということはありえないので、いつもの時間におきるクーシュが待たされてむくれるのは間違いない。クーシュの機嫌が少し心配な司であった。尤も、朝食を食べ始めれば、あっという間にご機嫌になるのだが。
司とリリは、日課の散歩を終えて食堂に向かうと、案の定、クーシュが定位置に座ってむくれていた。そして、遅れてやってきた司たちを目にすると、遅いっと言わんばかりにテーブルをバシバシと手ビレで叩く。まだ幼いので、このアクションも仕方のないことだろう……が。
「ダメですよ、クー。それは行儀が悪いです。次同じことをしたら、ご飯はあげません」
橙花が見咎めてクーシュに言うと、手のひらを返したように媚びを売り始めた。反省した様子は見受けられないが、誰を怒らせてはいけないというのは理解しているのだろう。食欲には忠実なクーシュだった。
食事が終われば上機嫌になったクーシュを身体にくっつけて、司は部屋へ。先ほど、兎神から聞いた内容を、父ハムダマに伝える。遅くとも3日後には1次試作が完成予定だ。その後は実際にハムダマたちに使ってもらいながら改善を行う予定となる。報告を聞いた父ハムダマはペコペコとお辞儀を繰り返していた。相変わらず、腰の低い小動物である。
「さて、今日はこの後、プラントエリアか……あのままにして大丈夫だろうか。日に日に魔改造されていってるのが不安すぎる」
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