王子の僕が女体化して英雄の嫁にならないと国が滅ぶ!?

蒼宮ここの

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第144話 赤ちゃんがいるのに

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夜になると決まってマナトさんは僕の部屋に訪ねてきた。
寄り添って、キスをして‪……‬最初はそんなささやかな触れ合いで留まっていたけれど、日が経つにつれてエスカレートしていった。

「んむっ」

後ろについた手にすら指を絡められて、覆い被さるようにキスをされている。
執拗に口内に流し込まれる彼の唾液。胎内に赤ちゃんがいる身で飲みたくはなかったけど、逆らうのがこわくておとなしく飲み下した。コク、コクと僕の喉の音を聞いて、マナトさんは満足そうに顎を撫でてくる。

「マッサージを、してあげますね」

いやだ。そんな本心を口にできるはずもなく、僕は彼の言葉に従って衣服を脱いだ。お腹を冷やしたくはないので、下着だけは残してその上からシーツを被せておく。
彼は僕の肩や腕を摩り、デコルテからごく自然に胸を揉みしだいてきた。重さを確認するような仕草の後は、人差し指でピロピロと乳首を弾いてくる。
嫌悪感は増すばかりなのに、勝手に媚びるような声が出て、その嫌悪の対象は完全に自分自身に移った。

「ああ、ああ‪……‬やめて‪……‬」
「甘い匂いがしますね‪……‬妊婦特有の、フェロモンが出てる‪……‬」
「ああっ‪……‬」

首筋をベタベタになるほど舐められて身体を震わせる。今は性的なことなんてちっともしたくないのに、刺激されたら反応してしまうのが腹立たしかった。

「まずは搾乳をしましょう。産まれてくる赤ん坊のために、たくさん出るようにしておいてあげないと」

瓶の中に白い線が走る。胸の張りがなくなって楽になる。好きな時に搾乳をする権利さえ僕には与えられていない。マナトさんがこうして瓶をあてがって自らの手で絞ることにこだわりを持っているのだ。
牛の乳搾り体験でもしているつもりだろうか。この時はマナトさん、なぜだか童心に還ったように無邪気な顔つきなのだ。なぜ……いや。深く考えると彼がますます恐ろしくなりそうなので、なるべく考えないようにしている。

「柔らかいおっぱいになりましたね」

ふにふにと揉まれて自分の中からすっかり乳がなくなったのを実感した。そうするとまた乳首いじりだ。コリコリと二本の指で摘み上げられて、僕は大袈裟に声を上げた。
彼に支配されている感覚が気持ちいい。赤ちゃんを宿している身で、こんなの絶対にダメなのに‪……‬どうしても悦んでしまう。

「気持ちいい?」
「ンッ‪……‬ああ、いや‪……‬」
「いやじゃないでしょう? 気持ちいいですよね?」
「あ、」

かたくなに頷かないでいると、グイッと股を開かされた。マナトさんは僕の露わになった下着部分に器具を押し付ける。
振動音をともなったそれは細かく震えて‪……‬出産を控えた僕の膣に、容赦のない快楽を与えていく‪……‬。

「ああ、そこ、ダメです‪……‬」
「表面を触るくらいいいでしょう? 私、これでも我慢しているんですよ」
「ああ、ああ~~~~、い、イきたく、ないぃ」
「見せてください。私と赤ちゃんに、ベルが無様にイくところを」

なんでそんなこと言うの。悪魔的な言葉選びに心底怒りを感じながらも、僕はマナトさんの腕に縋り付いて達した。プシャアアアッと潮が撒き散らされて、腰からガクガクと揺れてしまう。
赤ちゃん、気付かないで。
ママがパパじゃない男の人に弄ばれているの、気付かないで‪……‬‪……‬。

「ふふ、素敵ですよ、ベル」
「ああんっ‪……‬」

裸に剥かれて全身をいやらしく撫でまわされた。背中ごしのマナトさんの寝巻きの感触が悲しい。彼は自分は脱がず、一方的に僕を弄って愉しむだけなのだ。僕のことを音が出るオモチャか何かと同じに思っているのだろう。
悲しいけれど、僕はこの人に、心から愛されているとは思えない。





夜な夜なマナトさんにいじめられてジクジクと心を腐らせながらも、僕は懸命に子どもを守った。無理してでも食べたし、城内を歩いて運動もした。
少しお腹が目立ってきた姿で迂闊に歩き回ってもいいものかと悩んだが、相変わらず城内には無用な人影がなく、僕は自由に歩数を稼ぐことができた。

ある日、検診のお医者さんに「安定期に入りましたね」と告げられて、ようやくと胸を撫で下ろした。この日が来るまでは片時も安心できなかった。だけどようやくだ。
愛おしい我が子を慈しむように、腹を撫でて二人きりの時間を過ごす。そこに、いつもの無粋な訪問者はやってきた。ノックをしてから返事も待たずに扉が開け放たれる。
彼は、軽い足取りで僕の隣まで来て、僕の手の上からお腹を撫でた。

「安定期らしいですね。おめでとうございます」
「ありがとう、ございます‪……‬」

筒抜けか。仕方ない、彼は王子だ。この城のすべての権力を握っているのだ。医者なり、いつも付き添ってくれるリリイさんなり情報源はいくらでもいる。
嫌気がさして顔を逸らすと、咎めるように手首を掴まれた。まるで我が子を愛でるのをやめろと言われたように、僕は感じた。

「服を脱いで」
「え‪……‬」
「いいお母さんにはご褒美をあげますからね」

安定期とはいえまだ入ったばかりだし、身体を冷やしたくないし‪……‬何より妊娠中に卑猥なことをされるのはやっぱり抵抗がある。
しかもいきなり全部服を脱げだなんて‪。やけに上機嫌なマナトさんの態度も相まって、嫌な予感しかしない。

ぐずぐずしていると一息に上の服を捲られた。胸当てまで乱暴にずり上げられたので、ぶるん、肥大化したおっぱいが露わになってしまう。
すごく張ってる‪……‬やっぱり妊娠中だからだろうか。女として見られるための身体じゃないのに、さっそくマナトさんが手を這わせるものだから悔しいやら恥ずかしいやらで。反射的に強く噛んだ下唇が痛い。

「まずは搾乳しましょうね~」

強引に脱がしたわりにそこはいつもと同じようだ。そう油断していると、絞っている最中にずっとキスしてくるから困惑した。いつもは後ろから抱っこしているだけなのに‪……‬何度も唇を食んで、舐めて、口内を蹂躙してくる。
乳を出しながらこんなことをしていたら、授乳中も快楽と結びつきそうで怖かった。
絞り終わると、マナトさんはいよいよ僕の下も全部剥いで、股間に器具を押し付けてくる。たまらず鋭く叫んだ。

「いやっ……!」
「どうして?」
「赤ちゃんが‪‬いるところ、挿れないで‪……‬‪……‬」
「でも今日から性行為できるんですよ。あなただって嬉しいでしょう?」

そう言うなり押し倒されてまた唇を奪われた。彼の体重で押し潰されないよう懸命に腹を守る。
この人、最後までする気なのか。安定期が来るまで我慢していたのか?

以前ならいじらしいと思ったかもしれないが今は違う。ただただ嫌悪した。
そうしている間にも器具は振動を始めて僕の中にめり込んでくる。身体が勝手に脱力して、僕は後ろから抱きかかえられている格好からずり落ちて寝そべった。

「ああ‪……‬ああ‪……‬いやあ‪……‬」
「ベルも盛り上げて? 久々に私達、繋がるんですから」

目の前に逞しく聳え立つマナトさんの肉棒。たちまち体内を冒す雄臭に、ダメだと思うのに舌が伸びてしまう。ぺちょ。幹に触れて味を感じたらもう我慢できなかった。
エッチなんてしたくないのに、僕はジュポジュポとマナトさんのを咥え込んでしゃぶり始める。刺激を当てられている下半身をいやらしく揺らしてすっかりその気になってしまっている。
シたくないのに‪……‬気持ちいいこと大好きだから‪……‬でも、本当にこれ以上はいやだ‪……‬ルシウスとの赤ちゃん、いるのに‪……‬マナトさんのを挿れる、なんて‪……‬‪……‬。

「ベル、激しい‪……‬そんなに待ち切れない?」
「んん、ん~~」
「ゆっくり挿れてあげますからね、大丈夫ですよ~‪……‬」

ズヌッ。先端が埋まるとぞわりと悪寒が広がって、僕は必死で口元を抑えて首を横に振る。しかしマナトさんはより愉しそうに笑うだけで、容赦なく腰を進めてきた。
ズプ‪……‬ズプ‪……‬ズプズプ‪……‬‪……‬。

「ああっ‪……‬!」

絶望に、浸された。目の横を滑り落ちていく涙の感覚も、深々と膣に嵌った感覚も、自分のものではないようだった。そんな逃避すら許さないというように、マナトさんが腰をしっかりと持って揺り動かしてくる。

「ダメぇ‪……‬揺らさないで~~」
「ふふ‪……‬ふふ! 愛らしい‪……‬そして、憎らしい‪……‬!」

パン! 強烈なビンタに僕は呆気に取られる。マナトさんは心底嬉しそうにグッグッと押し込んでくる。

「妊婦はたくさん抱いてきましたが‪……‬他の男の子どもを孕んだ女はあなたがはじめてですよ! 光栄に思いなさい!」
「やっ、め‪……‬ゆるじで~~」

泣き声をあげても彼にはまったく届かない。どんどん奥深くに侵入して、絶対安静の胎内を暴いてくる。
彼の言葉の意味に気付くのが恐ろしくて、僕は考えるのをやめた。
ただ、彼の思うがままに揺らされて、頬や胸を何度もビンタされて‪……‬陵辱された。
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