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第十七話
月虹
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鬼灯。梅雨頃、白い花をつける。けれども、実をイメージする人がほとんどだ。もちろん、あたしもそうだ。幼い時、鬼灯が大好きだった。『ほお月』と書くんだと思い込んでいた。朱の実を剥くと、中に丸くて小さな果実がある。可愛らしくて「ほぉーっ」と溜息をつく。果実は朱の月みたいだ。だから『ほお月』だと思っていた。『鬼灯』鬼の灯と書くと知って、衝撃を受けた。字が怖い。けれども当時に、こんな風に想像もした。
見かけは怖いけれども、本当は優しい赤鬼の提灯。暗闇の中、ボーッと浮き上がる朱の果実。何となく、怖いけれども可愛らしい。朱の皮を剥くと小さな丸い朱玉。
この事から、中身がスカスカで中身が無い。転じて『偽り』『誤魔化し』が花言葉となったらしい。鬼灯にしてみたら良い迷惑だ。行きつけのスーパーで鬼灯を見かけて、そんな事を思い出した。思わず買ってきてしまった。
今、ガラスの花瓶に入れて観賞していたところだ。
花言葉『偽り』『誤魔化し』。まるで、あたしへの戒めのようだ。鬼灯はただ鬼灯であるだけだ。それ以上それ以下でもない。そこに意味を見出したり、理由づけをするのは人間だ。人はそのようにして、物事に意味を見出す。
鬼灯と言えば、『鬼灯祭り』』に行きたがっていた萌恵。あれから何も言って来ない。 諦めたのなら、良いのだけれど。萌恵は、一度言い出したら、己の望みが叶うまで引かない。相手が根負けするのを待つ程の強かさがある。ほとんどの人は、萌恵の可愛さには勝てない。可愛くねだられたら、ついつい言う通りにししてしまうのだ。
もちろん、あたしもそうだ。
萌恵との話し合いは、8月12日に決まった。その日あたしは、当麻と共に帰省する。萌恵にハッキリと伝えねばならない事を、ノートに記入していく。しっかりと萌恵の目を見つめ、伝えなければと思う。当麻がどう結論づけようが、それは彼の自由なのだ。もし当麻が萌恵を選んだら、最高の笑みで、彼を手放そう。そう決意を固めた。
海が見たくなった。
お盆も近づくと、海で泳ぐ人は少なくなる。クラゲが増えるし、波が荒くなるうえ、海水温度が一気に下がる。入らない方が賢明だ。
…ザザー…ザブン…ザザー…ザブン…
あれからすぐに海に来た。いつもの定位置に、シートを敷いて座っている。
…ザザー…ザブン…ザザー…ザブン…
波の音と、
…ウフフ、アハハ…
5歳くらいの男の子。3歳くらいの女の子が、海辺で笑い合う声。絶妙に絡み合ってメロディを奏でる。両親は傍にいて、子供達を見守っている。
…ザザー…ザブン…ザザー…ザブン…
何となく、海で戯れる当麻と萌恵が重なった。幼い頃から、3人で海に来ていた。いつからか、当麻が萌恵に向ける眼差しに、異性としての愛を感じた。だからあたしは、二人から離れて海を見ていた。陽の光を反射してキラキラ光る海をバッグに睦み合う見目麗しい二人。詩人を魅了し、画家を虜にする光景だ。私が画家なら、創作意欲を掻き立てられ、白いキャンパスにその瞬間を留めようと魂を注ぐだろう。もし私が詩人なら、彼らの美しさを表現する言葉選びに己の全てを注ぐだろう。
…ザザー…ザブン…ザザー…ザブン…
あの時、私は誰からも必要とされない寂しさから、地球の鼓動と一体化し、宇宙のリズムと一つになろうとした。母なる海にその身を委ね、波に溶け込もうとした。その時、地上に繋ぎ止めてくれたのが当麻だ。時々思う。
もし萌恵が、死を引き換えに当麻に愛を求めたら? 当麻は萌恵を突き放せるのだろうか?答えは否だ。元々、当麻が私に感じているのは幼馴染みに対する友愛。萌恵を見つめる時に見せる、得も言われぬ優しい眼差し。その眼差しを、あたしに向けた事は一度もない。8月12日に、その答えが判明する。覚悟を決めるべく、海を見つめた。
…ザザー…ザブン…ザザー…ザブン…
胸の奥に巣食った当麻への執着。イメージの中で胸の中に右手を突っ込み、その醜い塊を根こそぎ鷲掴みにする。中々取れない。左手にナイフをイメージする。執着の塊をザクザク切り取る。両手でその塊を取り出す。胸も両手も、どす黒い血にまみれる。おぞましい塊は心臓のように脈打ち、赤黒いエイリアンのようだ。
…ザザー…ザブン…ザザー…ザブン…
イメージの中でその塊を海に投げ、あたし自身も海にその身を委ねる。波は瞬時に醜い塊を透明のクリスタルへと浄化してくれた。あたしも身を清める。醜い執着・嫉妬は潮騒のメロディに乗せ、地球の鼓動と一体化させるのだ。出来るなら、あたしもクリスタルみたいに透明になって宇宙のリズムに溶け込めたなら……。
…ザザー…ザブン…ザザー…ザブン…
あたしは溜息をついて、海を見つめた。当麻が好き。この気持ちだけは、綺麗なまま胸に留めておこう。それは水晶の原石みたいに、ゴツゴツしてるけど素朴で自然のままだ。胸の片隅に出来上がった、純然たる想いの結晶なのだ。
「相沢さん?」
聞き慣れた声が、背後から響いた。その声にハッと我に返る。気付けば人っ子一人居ない海辺。夕日は遥か彼方の海に溶け込み、その名残を残す空。淡いグレーの薄絹を纏っていた。
「こんなところで一人で。危ないよ」
彼は私の左隣に立った。
「海斗」
その名を呟くように呼ぶ。
「考え事してた。気付いたら、もう薄暗くなっててびっくり」
照れて少し笑った。そして立ち上がる。シートを畳んだ。
「あんまり、難しく考えない方が良いよ。実際は、驚くほどシンプルだったりするもんさ」
海斗は海を見ながらそう言った。
「……そうだね」
あたしも海を見つめる。
…ザザー…ザブン…ザザー…ザブン…
逢魔が時を境に、波の音は激しく荒く奏でる。波間に見え隠れした海の精霊達。明るい内は美しく優しい人魚達が、闇の美しさにその身を咲かせるローレライへとバトンタッチする。物事は至ってシンプル。
あたしは当麻が好き。その先の答えは、当麻に委ねよう。それだけの事だ。
「帰るね。いつも有り難う」
海斗に声をかける。
「僕は何もしてないよ。ただ、思うままに行動してるだけさ」
と笑った。あたしもつられて笑みを浮かべる。そして元来た道を歩き出した。
「あ、月……」
去り際に海斗は海の斜め上を指差す。
「月虹《げっこう》だね」
彼の言葉に、まじまじと月を見つめる。
「あ、虹。本当だ」
思わず声に出した。海斗と海を見つめていた時間、思いの外長かったようだ。濃藍の麻を広げたような夜空に、
散りばめられた星の煌めき。そして夜空の海に浮かぶのは、朧気《おぼろげ》な月。歪《いびつ》な丸に輪郭が霞む。月を囲む白い光。そして微かな虹。
月虹、明日は大雨かもしれない。あたし達はしばらく月虹を見つめ続けた。
見かけは怖いけれども、本当は優しい赤鬼の提灯。暗闇の中、ボーッと浮き上がる朱の果実。何となく、怖いけれども可愛らしい。朱の皮を剥くと小さな丸い朱玉。
この事から、中身がスカスカで中身が無い。転じて『偽り』『誤魔化し』が花言葉となったらしい。鬼灯にしてみたら良い迷惑だ。行きつけのスーパーで鬼灯を見かけて、そんな事を思い出した。思わず買ってきてしまった。
今、ガラスの花瓶に入れて観賞していたところだ。
花言葉『偽り』『誤魔化し』。まるで、あたしへの戒めのようだ。鬼灯はただ鬼灯であるだけだ。それ以上それ以下でもない。そこに意味を見出したり、理由づけをするのは人間だ。人はそのようにして、物事に意味を見出す。
鬼灯と言えば、『鬼灯祭り』』に行きたがっていた萌恵。あれから何も言って来ない。 諦めたのなら、良いのだけれど。萌恵は、一度言い出したら、己の望みが叶うまで引かない。相手が根負けするのを待つ程の強かさがある。ほとんどの人は、萌恵の可愛さには勝てない。可愛くねだられたら、ついつい言う通りにししてしまうのだ。
もちろん、あたしもそうだ。
萌恵との話し合いは、8月12日に決まった。その日あたしは、当麻と共に帰省する。萌恵にハッキリと伝えねばならない事を、ノートに記入していく。しっかりと萌恵の目を見つめ、伝えなければと思う。当麻がどう結論づけようが、それは彼の自由なのだ。もし当麻が萌恵を選んだら、最高の笑みで、彼を手放そう。そう決意を固めた。
海が見たくなった。
お盆も近づくと、海で泳ぐ人は少なくなる。クラゲが増えるし、波が荒くなるうえ、海水温度が一気に下がる。入らない方が賢明だ。
…ザザー…ザブン…ザザー…ザブン…
あれからすぐに海に来た。いつもの定位置に、シートを敷いて座っている。
…ザザー…ザブン…ザザー…ザブン…
波の音と、
…ウフフ、アハハ…
5歳くらいの男の子。3歳くらいの女の子が、海辺で笑い合う声。絶妙に絡み合ってメロディを奏でる。両親は傍にいて、子供達を見守っている。
…ザザー…ザブン…ザザー…ザブン…
何となく、海で戯れる当麻と萌恵が重なった。幼い頃から、3人で海に来ていた。いつからか、当麻が萌恵に向ける眼差しに、異性としての愛を感じた。だからあたしは、二人から離れて海を見ていた。陽の光を反射してキラキラ光る海をバッグに睦み合う見目麗しい二人。詩人を魅了し、画家を虜にする光景だ。私が画家なら、創作意欲を掻き立てられ、白いキャンパスにその瞬間を留めようと魂を注ぐだろう。もし私が詩人なら、彼らの美しさを表現する言葉選びに己の全てを注ぐだろう。
…ザザー…ザブン…ザザー…ザブン…
あの時、私は誰からも必要とされない寂しさから、地球の鼓動と一体化し、宇宙のリズムと一つになろうとした。母なる海にその身を委ね、波に溶け込もうとした。その時、地上に繋ぎ止めてくれたのが当麻だ。時々思う。
もし萌恵が、死を引き換えに当麻に愛を求めたら? 当麻は萌恵を突き放せるのだろうか?答えは否だ。元々、当麻が私に感じているのは幼馴染みに対する友愛。萌恵を見つめる時に見せる、得も言われぬ優しい眼差し。その眼差しを、あたしに向けた事は一度もない。8月12日に、その答えが判明する。覚悟を決めるべく、海を見つめた。
…ザザー…ザブン…ザザー…ザブン…
胸の奥に巣食った当麻への執着。イメージの中で胸の中に右手を突っ込み、その醜い塊を根こそぎ鷲掴みにする。中々取れない。左手にナイフをイメージする。執着の塊をザクザク切り取る。両手でその塊を取り出す。胸も両手も、どす黒い血にまみれる。おぞましい塊は心臓のように脈打ち、赤黒いエイリアンのようだ。
…ザザー…ザブン…ザザー…ザブン…
イメージの中でその塊を海に投げ、あたし自身も海にその身を委ねる。波は瞬時に醜い塊を透明のクリスタルへと浄化してくれた。あたしも身を清める。醜い執着・嫉妬は潮騒のメロディに乗せ、地球の鼓動と一体化させるのだ。出来るなら、あたしもクリスタルみたいに透明になって宇宙のリズムに溶け込めたなら……。
…ザザー…ザブン…ザザー…ザブン…
あたしは溜息をついて、海を見つめた。当麻が好き。この気持ちだけは、綺麗なまま胸に留めておこう。それは水晶の原石みたいに、ゴツゴツしてるけど素朴で自然のままだ。胸の片隅に出来上がった、純然たる想いの結晶なのだ。
「相沢さん?」
聞き慣れた声が、背後から響いた。その声にハッと我に返る。気付けば人っ子一人居ない海辺。夕日は遥か彼方の海に溶け込み、その名残を残す空。淡いグレーの薄絹を纏っていた。
「こんなところで一人で。危ないよ」
彼は私の左隣に立った。
「海斗」
その名を呟くように呼ぶ。
「考え事してた。気付いたら、もう薄暗くなっててびっくり」
照れて少し笑った。そして立ち上がる。シートを畳んだ。
「あんまり、難しく考えない方が良いよ。実際は、驚くほどシンプルだったりするもんさ」
海斗は海を見ながらそう言った。
「……そうだね」
あたしも海を見つめる。
…ザザー…ザブン…ザザー…ザブン…
逢魔が時を境に、波の音は激しく荒く奏でる。波間に見え隠れした海の精霊達。明るい内は美しく優しい人魚達が、闇の美しさにその身を咲かせるローレライへとバトンタッチする。物事は至ってシンプル。
あたしは当麻が好き。その先の答えは、当麻に委ねよう。それだけの事だ。
「帰るね。いつも有り難う」
海斗に声をかける。
「僕は何もしてないよ。ただ、思うままに行動してるだけさ」
と笑った。あたしもつられて笑みを浮かべる。そして元来た道を歩き出した。
「あ、月……」
去り際に海斗は海の斜め上を指差す。
「月虹《げっこう》だね」
彼の言葉に、まじまじと月を見つめる。
「あ、虹。本当だ」
思わず声に出した。海斗と海を見つめていた時間、思いの外長かったようだ。濃藍の麻を広げたような夜空に、
散りばめられた星の煌めき。そして夜空の海に浮かぶのは、朧気《おぼろげ》な月。歪《いびつ》な丸に輪郭が霞む。月を囲む白い光。そして微かな虹。
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