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◆第三章 人が生み出す怪異◆
第十三話 依頼の顛末②
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「………まさか、この先もまたその漫画の【あやかし】が現れたりしないだろうな?」
「う~ん……もし出現しても今回みたいなことにはならないかとは思うんだよ」
「根拠は何だ?」
「実は……」
バラゴが右手に持っていたのは実は古妖──。
「提灯の古妖? まさか……提灯お化けか?」
「正解。バラゴは提灯お化けを取り込んで存在の力を引き上げたんだろうね」
バラゴを討滅した後……散った幽体とは別の【あやかし】が姿を現した。
『提灯お化け』は人を脅かす程度の怪異ではあるが、古妖故に認知度は割と高い。それは新妖としての存在の薄さを埋めるには十分な怪異である。
伊庭がノートパソコンでバラゴの姿を検索した結果、左手に大太刀・右手には斧槍を携えた姿だった。
「確かにちょっと違うな。で……提灯お化けはどうした?」
「京都の方にフワフワと飛んでったよ」
その性質から封印や討滅の必要性は無いとスミジは判断した。京都は古都なので割と【あやかし】が存在している。夜が明るい今の世でも酒場の軒先やお化け屋敷の様な場所で上手く折り合いを付けていることだろう。
「とにかく、バラゴみたいなのは偶発的だと思うけど……」
「ま、現状保留だな。不確定要素が多すぎて判断が付かん。一応、報告はしておくがな」
「そうだね……」
新たな作務衣を羽織るスミジは左腕を何度か動かし痛みを確認。どうやら日常生活に支障は無い様だ。
「そう言えば秋山さんは?」
「ん? ああ……今日は朝早くに現場に置き忘れたミニバンを保管所に取りに行ったぞ? 何でも今日は観光案内してくれるらしい」
「ハハハ。そう言えばお土産も買ってないから助かる」
怪異に巻き込まれながらも、【祓い師】として怪異を見せたスミジを気味悪がらなかった秋山婦警。彼女は案外胆が座っているのかもしれない……。
その後、スミジと伊庭は秋山が迎えに来たので夕刻まで観光。土産を買い揃え東京への帰路に就いた。
そして翌日───。
「えっ? ス、スミジさん、あの『バラゴ』と戦ったんですか!?」
懐覧堂内──土産を渡されたアカリは驚きの言葉をあげ眼を丸くしている。スミジはいつもの定位置。カウンター代わりの卓に突っ伏しグッタリとしていた。
「だって……漫画のキャラですよ?」
「うん……、ま、まぁ今回は本当に特殊だったんだよ」
最早苦笑いするしかないスミジ。漫画大好き少女のアカリはやはり『バラゴ』のことを知っていた。
「……ところでアカリちゃん。漫画の中のバラゴってどんな奴なの?」
「え~っとですね……漫画の舞台は現代日本で、地獄から魔物が少しづつ出て来ちゃう話なんですけど」
「ふんふん」
「主人公の家族は魔物に殺されちゃって……その時に助けて貰った恩人に退魔師の学校を紹介されるんです。で……学園内で仲間を増やしつつ、修行で成長しながら魔王との戦いを目指すのが本筋です」
「へ、へぇ~……」
割と良くある設定の少年誌連載漫画。ただ、『退魔師の学校とは何ぞや?』とスミジは困惑している。
「バラゴは『冥道業魔将』っていう魔王の腹心で、三人いる魔将の中で一番強いんです。でも、ちょっと人間臭くて正々堂々戦う武人タイプです」
(バラゴ……お前、まんまだったな)
「因みに主人公は一度負けた後、修行してバラゴに挑むんですけどね? その時の台詞がカッコイイんですよ~。あ! あと、主人公の必殺技が」
オタク魂に火が着いたアカリは眼をキラキラと輝かせ漫画談義を始めた。話を振った手前、スミジは笑顔で聞くしかない。
客が訪れない懐覧堂内にはアカリの楽しげな声がいつまでも続いていた。
そして……またしばしの間、平和で退屈な日々が始まる──。
「う~ん……もし出現しても今回みたいなことにはならないかとは思うんだよ」
「根拠は何だ?」
「実は……」
バラゴが右手に持っていたのは実は古妖──。
「提灯の古妖? まさか……提灯お化けか?」
「正解。バラゴは提灯お化けを取り込んで存在の力を引き上げたんだろうね」
バラゴを討滅した後……散った幽体とは別の【あやかし】が姿を現した。
『提灯お化け』は人を脅かす程度の怪異ではあるが、古妖故に認知度は割と高い。それは新妖としての存在の薄さを埋めるには十分な怪異である。
伊庭がノートパソコンでバラゴの姿を検索した結果、左手に大太刀・右手には斧槍を携えた姿だった。
「確かにちょっと違うな。で……提灯お化けはどうした?」
「京都の方にフワフワと飛んでったよ」
その性質から封印や討滅の必要性は無いとスミジは判断した。京都は古都なので割と【あやかし】が存在している。夜が明るい今の世でも酒場の軒先やお化け屋敷の様な場所で上手く折り合いを付けていることだろう。
「とにかく、バラゴみたいなのは偶発的だと思うけど……」
「ま、現状保留だな。不確定要素が多すぎて判断が付かん。一応、報告はしておくがな」
「そうだね……」
新たな作務衣を羽織るスミジは左腕を何度か動かし痛みを確認。どうやら日常生活に支障は無い様だ。
「そう言えば秋山さんは?」
「ん? ああ……今日は朝早くに現場に置き忘れたミニバンを保管所に取りに行ったぞ? 何でも今日は観光案内してくれるらしい」
「ハハハ。そう言えばお土産も買ってないから助かる」
怪異に巻き込まれながらも、【祓い師】として怪異を見せたスミジを気味悪がらなかった秋山婦警。彼女は案外胆が座っているのかもしれない……。
その後、スミジと伊庭は秋山が迎えに来たので夕刻まで観光。土産を買い揃え東京への帰路に就いた。
そして翌日───。
「えっ? ス、スミジさん、あの『バラゴ』と戦ったんですか!?」
懐覧堂内──土産を渡されたアカリは驚きの言葉をあげ眼を丸くしている。スミジはいつもの定位置。カウンター代わりの卓に突っ伏しグッタリとしていた。
「だって……漫画のキャラですよ?」
「うん……、ま、まぁ今回は本当に特殊だったんだよ」
最早苦笑いするしかないスミジ。漫画大好き少女のアカリはやはり『バラゴ』のことを知っていた。
「……ところでアカリちゃん。漫画の中のバラゴってどんな奴なの?」
「え~っとですね……漫画の舞台は現代日本で、地獄から魔物が少しづつ出て来ちゃう話なんですけど」
「ふんふん」
「主人公の家族は魔物に殺されちゃって……その時に助けて貰った恩人に退魔師の学校を紹介されるんです。で……学園内で仲間を増やしつつ、修行で成長しながら魔王との戦いを目指すのが本筋です」
「へ、へぇ~……」
割と良くある設定の少年誌連載漫画。ただ、『退魔師の学校とは何ぞや?』とスミジは困惑している。
「バラゴは『冥道業魔将』っていう魔王の腹心で、三人いる魔将の中で一番強いんです。でも、ちょっと人間臭くて正々堂々戦う武人タイプです」
(バラゴ……お前、まんまだったな)
「因みに主人公は一度負けた後、修行してバラゴに挑むんですけどね? その時の台詞がカッコイイんですよ~。あ! あと、主人公の必殺技が」
オタク魂に火が着いたアカリは眼をキラキラと輝かせ漫画談義を始めた。話を振った手前、スミジは笑顔で聞くしかない。
客が訪れない懐覧堂内にはアカリの楽しげな声がいつまでも続いていた。
そして……またしばしの間、平和で退屈な日々が始まる──。
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