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がちむち泣きぼくろキャラはお色気担当
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「ホニィ、彼は?そこで何を?」
真っ赤に染まった服、今の体勢はわたしが男を押し倒しているようにも見えたのだろう、レジェは笑顔なのに全然目が笑ってない顔でわたしを見ている。
「何って……知らない人に押し倒されたから」
「押し倒された?」
本当の事ではあるが誤解が生まれたようだ。
レジェの笑顔は真顔に変わって腰から剣が抜かれる。しっかりと研がれた刃はキラリと輝いて眩しい。
「とりあえず落ち着いてよレジェ。わたしは怪我してないし、この人瀕死だったんだよ」
傷口はしっかり塞がっているのを確認して立ち上がる。
ワンピースが血でどろどろだ。早く洗濯しないと染みになっちゃうな。
「……帝国の騎士か」
「わかるの?」
レジェの顔が険しくなる。王国の人間としては、こっち側に帝国の騎士が入ってきたら大変なのはわかるけど。
「…殺さないでね」
折角治したというのに、骨折り損になるのは良くない。ちょこっとだけとはいえMPは消費されたのだから、労働がパアになってしまうのは納得できないからね。
「わかってるよ。……ホニィはお風呂にでも浸かってくるといい。汚れたままでは気持ち悪いだろう」
自分の体が汚れるのは慣れてはいるんだけど、服の洗濯はしておきたい。レジェもいくら敵国とはいえ話も聞かずに物騒なことをするような人でもないだろう。
レジェは剣を仕舞うと軽々と男をお姫様抱っこする。
身長はそれなりにあるけど、細身のレジェが結構がっちりした男を簡単に抱き上げたものだから驚いてしまった。
「まじか」
「え?なにが?」
しかも無自覚でやった行動みたいだ。
簡単に抱き上げたこともだけど、対男に対しても何も思わずやっちゃうところは紳士を通り越して無自覚タラシの気を感じる。
(砦にいる男女ともに人気があるのはこういうところか)
抱いたまま一階の誰も使っていない部屋に連れて行く。
一応は地下に閉じ込められる部屋があるというのに、一階に置くということは逃げられてもいい…むしろ逃げてほしいということだろうな。
「お風呂入るか」
体だけ流して、服を着替えよう。もう外に出ることはないしパジャマでいいよね。ずっとパジャマで居たらレジェに怒られるんだけど、夕方だしきっと許してくれることだろう。
お風呂をぱぱっと終えて、男が連れて行かれた部屋に入る。
「――――これは失礼しました」
レジェがベッドの上で男に組み敷かれていた。ベッドに剣が突き刺さっているけれど、レジェは涼しい顔しているし、男の方は険しい顔をしている。
たった十分くらいの間に何があったのかを聞くのは無粋というものだろう。
男女ではないとはいえ、とても気まずい場面に遭遇してしまった。こういうときは無理に知らない振りをするよりも後でからかったほうが気が楽になるというもの。
「じゃあ後はお若い人たちで――」
「聖女様!」
レジェが目くばせをすると、男が走ってきて扉を閉めようとするのを制止する。いきなり開かれた扉に驚いたけど直ぐに走ってこれるくらい元気になったならいいかな。男はわたしの前に膝を付く。
「探しておりました、聖女様!そして…不肖の私を救っていただきありがとうございます…」
命を助けてもらった割には複雑な顔をしているけど、まあ触れないでおこう。男の子だし事情はあるだろうし。
男は一度息を吸い込むと顔を切り替えて真面目な表情でわたしを真っ直ぐに見る。左目に泣きぼくろがあって、色っぽい顔をしているな、とも思った。
「聖女様、我が帝国に共に帰りましょう」
「……はあ?」
ぽかんとしたまま首を傾げて聞き返してしまった。
レジェだけはなんか知ってそうで楽しそうに笑っていたのがちょっとだけ腹が立ったのは内緒である。
真っ赤に染まった服、今の体勢はわたしが男を押し倒しているようにも見えたのだろう、レジェは笑顔なのに全然目が笑ってない顔でわたしを見ている。
「何って……知らない人に押し倒されたから」
「押し倒された?」
本当の事ではあるが誤解が生まれたようだ。
レジェの笑顔は真顔に変わって腰から剣が抜かれる。しっかりと研がれた刃はキラリと輝いて眩しい。
「とりあえず落ち着いてよレジェ。わたしは怪我してないし、この人瀕死だったんだよ」
傷口はしっかり塞がっているのを確認して立ち上がる。
ワンピースが血でどろどろだ。早く洗濯しないと染みになっちゃうな。
「……帝国の騎士か」
「わかるの?」
レジェの顔が険しくなる。王国の人間としては、こっち側に帝国の騎士が入ってきたら大変なのはわかるけど。
「…殺さないでね」
折角治したというのに、骨折り損になるのは良くない。ちょこっとだけとはいえMPは消費されたのだから、労働がパアになってしまうのは納得できないからね。
「わかってるよ。……ホニィはお風呂にでも浸かってくるといい。汚れたままでは気持ち悪いだろう」
自分の体が汚れるのは慣れてはいるんだけど、服の洗濯はしておきたい。レジェもいくら敵国とはいえ話も聞かずに物騒なことをするような人でもないだろう。
レジェは剣を仕舞うと軽々と男をお姫様抱っこする。
身長はそれなりにあるけど、細身のレジェが結構がっちりした男を簡単に抱き上げたものだから驚いてしまった。
「まじか」
「え?なにが?」
しかも無自覚でやった行動みたいだ。
簡単に抱き上げたこともだけど、対男に対しても何も思わずやっちゃうところは紳士を通り越して無自覚タラシの気を感じる。
(砦にいる男女ともに人気があるのはこういうところか)
抱いたまま一階の誰も使っていない部屋に連れて行く。
一応は地下に閉じ込められる部屋があるというのに、一階に置くということは逃げられてもいい…むしろ逃げてほしいということだろうな。
「お風呂入るか」
体だけ流して、服を着替えよう。もう外に出ることはないしパジャマでいいよね。ずっとパジャマで居たらレジェに怒られるんだけど、夕方だしきっと許してくれることだろう。
お風呂をぱぱっと終えて、男が連れて行かれた部屋に入る。
「――――これは失礼しました」
レジェがベッドの上で男に組み敷かれていた。ベッドに剣が突き刺さっているけれど、レジェは涼しい顔しているし、男の方は険しい顔をしている。
たった十分くらいの間に何があったのかを聞くのは無粋というものだろう。
男女ではないとはいえ、とても気まずい場面に遭遇してしまった。こういうときは無理に知らない振りをするよりも後でからかったほうが気が楽になるというもの。
「じゃあ後はお若い人たちで――」
「聖女様!」
レジェが目くばせをすると、男が走ってきて扉を閉めようとするのを制止する。いきなり開かれた扉に驚いたけど直ぐに走ってこれるくらい元気になったならいいかな。男はわたしの前に膝を付く。
「探しておりました、聖女様!そして…不肖の私を救っていただきありがとうございます…」
命を助けてもらった割には複雑な顔をしているけど、まあ触れないでおこう。男の子だし事情はあるだろうし。
男は一度息を吸い込むと顔を切り替えて真面目な表情でわたしを真っ直ぐに見る。左目に泣きぼくろがあって、色っぽい顔をしているな、とも思った。
「聖女様、我が帝国に共に帰りましょう」
「……はあ?」
ぽかんとしたまま首を傾げて聞き返してしまった。
レジェだけはなんか知ってそうで楽しそうに笑っていたのがちょっとだけ腹が立ったのは内緒である。
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