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02:証拠はこの身です

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「フィアーナ……どうしてそんな発想になったのだ」

 はあぁ…と深いため息を吐くのは厳格で、歴代の中でも特に立派だと言われているお父様。

「フィアーナはつい先日熱を出したばかりですから……」

 驚いた後に困った顔をしてわたしを見るのは心優しい王妃のお母様。

「ははは、フィアーナは面白いね」
「全くだな」

 にこにこ笑っているのに全く目が笑ってない上兄様と、淡々とつまらなさそうに言うのは下兄様。
 父母兄と呼んでいるが全く血のつながりはないので呼んでいい筋合いはわたしには無いんだけど一応こう呼んでおく。
 ここで前世の記憶があるので平民になりたいんだと言っても、わたしを見る視線は皆残念そうなのできっと信じて貰えないパターンだろう。ならば仕方ない。奥の手をこの場で使うしかない。

「いいえ、お父様!わたくしには平民になるに値する証拠が――」
「姫様いけません!!」
「おい、姫様を止めろー!」

 わたしが椅子の上に立って重苦しいドレスを脱ごうとすれば慌ててメイド達が掴んで制止する。
 脱いで痣がないこと見てもらえば一発なのに!ちょっとみんなどうして止めるの!
 掴みかかられて椅子の上から引き摺り降ろされる頃にはお父様は頭を抱えて、お母様に至っては今にも吐きそうに体調を悪そうにしていたのであった。ちなみにお兄様達の反応はわかりきっているので見なかった。



 食事中に変なことを言ったこと。
 仮にも王女である身が粗暴に椅子の上に乗ったこと。
 この二つの罰としてお部屋に強制送還されてしまった。ちなみにご飯はまだ途中だったのでお腹が空いているんだが食事も没収されてしまった。

「わたし、平民なのよ!本当なのよ!信じてよドーラ!!」
「はい、姫様。お熱があるようなので寝ましょう」

 行儀見習いとしてわたしの侍女をしている、五つ上のドーラに必死に訴えかけるがベッドに放り投げられて布団のなかに仕舞われてしまった。

 痣がないよね!?ってお風呂の時にメイド長に聞いてみたが「あーありますあります」って適当な返事をされた。
 そういえば赤子を取り上げたのはメイド長だったって話を聞いた気がする。そうか、それなら取り違えたなんてバレたら怒られちゃうのか。下手したらクビになるかもしれない。お城をクビになった、なんて広まったら雇うところだってなくなってしまう…働くところが無くなれば生きていけないし……。
 メイド長の為にも取り違えられて実は王女じゃないの!なんて言ったら可哀想に思ってきた。
 ならば仕方ない。

 自分で、本当の王女の主人公を見付け出して、入れ替わってしまえばいいのよね!我ながら天才的な発想だわ!

 ドーラにお腹辺りをぽんぽんされると三歳児の体はすぐに眠たくなってしまいながら、わたしは主人公と入れ替わり大作戦を考えるのであった…。
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