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03:姫は人が変わったと後に噂になるんです
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主人公の事を考える。
確か、はじめは生まれた村でずっと暮らしていて……十五歳の時に母親が病気になって、薬を求めて王都まで来たはず。
母親…わたしの本当のお母さん。残念ながら薬を飲んでも良くならなくて、主人公がお城から戻った時には亡くなってしまうんだけど……今ならその未来だって変えられる。お母様のことは勿論好きだが、本当の親と子供同士が一番よね。今ならまだ幼いものね!
よし、そうと決まればお母様が訪ねたと言う村を調べるのよ。調べる…ううん。直接お母様に聞いた方が早いじゃない!
がばっと起き上がり、侍女達が来る前に寝癖もそのままにお母様がいるであろう場所に向かう。早朝でも城の中は人通りが多い。電気が通っていないこの世界では日の出とともに活動する人が多いみたいだ。うむ、健康的な生活で何よりである。
「姫様、おはようございます」
「おはよー!」
「姫様、城のなかを走っては行けません!」
「明日から気を付けるわー!」
「姫様は元気で可愛いですな、はっはっは」
「ありがと!グレイスリー公爵もナイスイケおじよ!」
おじいちゃん執事の前を突っ切り、侍女の一人の後ろを注意されながら駆け、お父様の臣下であるグレイスリー公爵にウインクして、わたしは城のなかを走る。皆わたしの反応にびっくりして三度見くらいされたがわたしは振り向くことなく真っ直ぐに走る。
この時間、お母様は中庭で趣味であるガーデニングをしているはずだ。
「お母様ーー!!わたくしってどこで生まれたんですのーーーー!!!!?」
走っている途中で中庭までいくのが面倒くさくなったわたしは中庭が見えるテラスに出て、お母様らしき人影に向かって叫ぶ。
声が中庭に、城中に響くと人影はくらりと後ろに倒れて……近くに居た侍女たちが「王妃様ー!?」と大慌てになるのが見えた。
ああよかった。ちゃんとお母様だったみたいだ。声も届いたようで安心……したのも束の間で、後ろに居たドーラとメイド長に捕まってわたしはお母様の部屋に連行されてしまうのであった。
「フィアーナ、貴女はいつかこの国を背負って立つ者。女王に成りうる可能性だってあるのですよ」
冷たい水で冷やしたタオルを額に当てたお母様が、わたしを諭すような声で言う。
本当はわたしではないんだが、立場としては王位継承権第三位である。一位が上兄様、二位が下兄様なのでわたしが女王になれる確率なんてほぼないし、それにわたしは正式な王家ではないので継承権なんて本来はない人間だ。
「お母様!ですので、わたくしは平民なんですの!平民になりたいんですのよ!?」
「フィアーナこれ以上頭を痛くさせないで…どうしてしまったというの?」
本当に頭痛してそうだな。可哀想に。
記憶を取り戻したわたしは、周りから見ればもう丸っと百八十度人が変わってしまったように見えるのだろう。走るわ大声で叫ぶわ寝癖なんてそのまま。三歳とはいえ、もう少しちゃんとしていたはずだった記憶はある。
「でもお母様!わたくし――」
「姫様、これ以上王妃様を困らせてはいけません」
わたしの口を手で塞いだのはメイド長。ハッそうだった、メイド長は怒られてしまうんだものね。それは可哀想なので大人しく口を閉じる。
仕方ないか…また別の方法を探そう。
お母様が具合悪そうなので部屋に戻ることにした。具合が悪いのはわたしの粗暴のせいなのだが気付かない振りをしておく。
確か、はじめは生まれた村でずっと暮らしていて……十五歳の時に母親が病気になって、薬を求めて王都まで来たはず。
母親…わたしの本当のお母さん。残念ながら薬を飲んでも良くならなくて、主人公がお城から戻った時には亡くなってしまうんだけど……今ならその未来だって変えられる。お母様のことは勿論好きだが、本当の親と子供同士が一番よね。今ならまだ幼いものね!
よし、そうと決まればお母様が訪ねたと言う村を調べるのよ。調べる…ううん。直接お母様に聞いた方が早いじゃない!
がばっと起き上がり、侍女達が来る前に寝癖もそのままにお母様がいるであろう場所に向かう。早朝でも城の中は人通りが多い。電気が通っていないこの世界では日の出とともに活動する人が多いみたいだ。うむ、健康的な生活で何よりである。
「姫様、おはようございます」
「おはよー!」
「姫様、城のなかを走っては行けません!」
「明日から気を付けるわー!」
「姫様は元気で可愛いですな、はっはっは」
「ありがと!グレイスリー公爵もナイスイケおじよ!」
おじいちゃん執事の前を突っ切り、侍女の一人の後ろを注意されながら駆け、お父様の臣下であるグレイスリー公爵にウインクして、わたしは城のなかを走る。皆わたしの反応にびっくりして三度見くらいされたがわたしは振り向くことなく真っ直ぐに走る。
この時間、お母様は中庭で趣味であるガーデニングをしているはずだ。
「お母様ーー!!わたくしってどこで生まれたんですのーーーー!!!!?」
走っている途中で中庭までいくのが面倒くさくなったわたしは中庭が見えるテラスに出て、お母様らしき人影に向かって叫ぶ。
声が中庭に、城中に響くと人影はくらりと後ろに倒れて……近くに居た侍女たちが「王妃様ー!?」と大慌てになるのが見えた。
ああよかった。ちゃんとお母様だったみたいだ。声も届いたようで安心……したのも束の間で、後ろに居たドーラとメイド長に捕まってわたしはお母様の部屋に連行されてしまうのであった。
「フィアーナ、貴女はいつかこの国を背負って立つ者。女王に成りうる可能性だってあるのですよ」
冷たい水で冷やしたタオルを額に当てたお母様が、わたしを諭すような声で言う。
本当はわたしではないんだが、立場としては王位継承権第三位である。一位が上兄様、二位が下兄様なのでわたしが女王になれる確率なんてほぼないし、それにわたしは正式な王家ではないので継承権なんて本来はない人間だ。
「お母様!ですので、わたくしは平民なんですの!平民になりたいんですのよ!?」
「フィアーナこれ以上頭を痛くさせないで…どうしてしまったというの?」
本当に頭痛してそうだな。可哀想に。
記憶を取り戻したわたしは、周りから見ればもう丸っと百八十度人が変わってしまったように見えるのだろう。走るわ大声で叫ぶわ寝癖なんてそのまま。三歳とはいえ、もう少しちゃんとしていたはずだった記憶はある。
「でもお母様!わたくし――」
「姫様、これ以上王妃様を困らせてはいけません」
わたしの口を手で塞いだのはメイド長。ハッそうだった、メイド長は怒られてしまうんだものね。それは可哀想なので大人しく口を閉じる。
仕方ないか…また別の方法を探そう。
お母様が具合悪そうなので部屋に戻ることにした。具合が悪いのはわたしの粗暴のせいなのだが気付かない振りをしておく。
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