転生悪役王女は平民希望です!

くしゃみ。

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17:主人公の親友と対面です!?

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「ええと、アスフェ…なんでしたっけ」
「アスフェリオス・ラグナ」
「そうそう、そのアスなんとか様ってどんな方なんでしょう?」

 ラグナ領に入り、そろそろ辺境伯のお屋敷になった頃。
 漫画にも出てきていない謎の人物。城のメイドたちにも聞いてみたけどみんなよく知らないみたいだった。ドーラは話したくないみたいだし…。レオはうーんと首を捻って悩んでいるようだ。

「聞いた話でしかねーけど……なんか、変わったやつらしい」
「まあ」

 確かにお茶会に一度も出ないままというのは変わっている。少なからずこの世界の貴族というのはお茶会やらパーティーやらを無駄にしたがる人たちが多い。だから、そういったことに参加しないのは変わり者と見られてしまうらしい。そしてちょっと前までわたしもその一人だった…と。
 …変わり者同士でくっつけるとか、そういうアレ?小学校のころとかによくあったよね。あぶりもの同士つるむっていう……。

「でもソイツの話を聞くなら――」  
「姫様、レオ様、着きました」

 レオが何かを言おうとすれば馬車が止まって扉が開かれる。ドーラの表情はとても暗い。

「こいつに聞いたほうが早いだろ」
「え?」

 レオがドーラを指差す。

「お嬢様!お帰りなさいませ!」

 お屋敷から数人のメイドや執事たちのお出迎えが出てきたかと思えば、ドーラに頭を下げている。

「え?」
「……お前、ずっと気付かなかったのかよ…。ドーラってラグナ辺境伯の令嬢だろ」
「えー!?」

 行儀見習いで来ているから令嬢なのは知っていたけれど、まさか辺境伯の令嬢だったなんて!?
 ドーラは物凄く眉が八の字になっていて、あんまり知られたくなかったみたいだった…。



「姫様、黙っていて申し訳ありませんでした」
「いや、いいのよ別に。黙ってたからって何かあったわけじゃないし。理由も聞かないよ」
「姫様……」

 ドーラなりに何か理由があって話したくなかったなら無理に聞く必要はない。むしろこんな形で知ってしまったことがかなり申し訳なくなるっていうか…。

「あれ?ってことはアスフェリなんとかって、ドーラの弟になるのかしら?」
「はい、そうなのですが…どうやらお茶会の誘いは弟が勝手にしたことのようでして」

 そういえばさっきドーラが辺境伯に引っ張られていってたな。私とレオが来たことにかなりびっくりしていたようだったから、まるでお茶会を誘ったことを知らないようだった。
 丁寧に謝罪された後、お屋敷に通されたんだけど……貴族の割には結構質素な屋敷だなと感じる。無駄な装飾も無く、権威として必要最低限しか豪華にしてない感じ。お城がごてごてしすぎているから余計にそう感じてしまうのだろうけど。

「お茶会は中止で、姫様は帰られた方がいいと父が…」
「ここまで来て帰れって…」

 わざわざ遠くまで来たのにすぐに帰れってことに不満そうなレオ。わたしは別にこの後村に寄れるなら早く帰るにこしたことはない。

 …それにしても、なんだか妙な違和感があるな。
 お茶会に出席しない引きこもりが、わざわざ王女であるわたし宛てに勝手に誘いなんて出すものだろうか。…もしかして、お茶会に出なかったんじゃなくて、出してもらえなかったのかな。
 でも、一体なんでなんだろう――――

「王女様?いらっしゃったのですか?」

 突然ノックがしたと思えば、男が無理矢理声を高くしたような、違和感バリバリなオカマみたいな声がする。

「あ、アスフェリオス!部屋に居なさいと言われたでしょう!」
「お姉さま……私はアスフェリオスではありませんわ!」
「ぶっ!?」

 大きな音を立てて入ってきたのは、ドーラに似ているのにギャグ漫画みたいに真っ赤な口紅とチークをしたこれまた違和感ある化粧をした男の子だった。
 いや、でもあの顔は知っている気がする。化粧はあんな感じではなかったけど、顔に見覚えがある。
 そうだ、あの子は――!?

「あ、アシュリー!?」

 主人公の親友の、アシュリーじゃないか。
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