18 / 44
17:主人公の親友と対面です!?
しおりを挟む
「ええと、アスフェ…なんでしたっけ」
「アスフェリオス・ラグナ」
「そうそう、そのアスなんとか様ってどんな方なんでしょう?」
ラグナ領に入り、そろそろ辺境伯のお屋敷になった頃。
漫画にも出てきていない謎の人物。城のメイドたちにも聞いてみたけどみんなよく知らないみたいだった。ドーラは話したくないみたいだし…。レオはうーんと首を捻って悩んでいるようだ。
「聞いた話でしかねーけど……なんか、変わったやつらしい」
「まあ」
確かにお茶会に一度も出ないままというのは変わっている。少なからずこの世界の貴族というのはお茶会やらパーティーやらを無駄にしたがる人たちが多い。だから、そういったことに参加しないのは変わり者と見られてしまうらしい。そしてちょっと前までわたしもその一人だった…と。
…変わり者同士でくっつけるとか、そういうアレ?小学校のころとかによくあったよね。あぶりもの同士つるむっていう……。
「でもソイツの話を聞くなら――」
「姫様、レオ様、着きました」
レオが何かを言おうとすれば馬車が止まって扉が開かれる。ドーラの表情はとても暗い。
「こいつに聞いたほうが早いだろ」
「え?」
レオがドーラを指差す。
「お嬢様!お帰りなさいませ!」
お屋敷から数人のメイドや執事たちのお出迎えが出てきたかと思えば、ドーラに頭を下げている。
「え?」
「……お前、ずっと気付かなかったのかよ…。ドーラってラグナ辺境伯の令嬢だろ」
「えー!?」
行儀見習いで来ているから令嬢なのは知っていたけれど、まさか辺境伯の令嬢だったなんて!?
ドーラは物凄く眉が八の字になっていて、あんまり知られたくなかったみたいだった…。
「姫様、黙っていて申し訳ありませんでした」
「いや、いいのよ別に。黙ってたからって何かあったわけじゃないし。理由も聞かないよ」
「姫様……」
ドーラなりに何か理由があって話したくなかったなら無理に聞く必要はない。むしろこんな形で知ってしまったことがかなり申し訳なくなるっていうか…。
「あれ?ってことはアスフェリなんとかって、ドーラの弟になるのかしら?」
「はい、そうなのですが…どうやらお茶会の誘いは弟が勝手にしたことのようでして」
そういえばさっきドーラが辺境伯に引っ張られていってたな。私とレオが来たことにかなりびっくりしていたようだったから、まるでお茶会を誘ったことを知らないようだった。
丁寧に謝罪された後、お屋敷に通されたんだけど……貴族の割には結構質素な屋敷だなと感じる。無駄な装飾も無く、権威として必要最低限しか豪華にしてない感じ。お城がごてごてしすぎているから余計にそう感じてしまうのだろうけど。
「お茶会は中止で、姫様は帰られた方がいいと父が…」
「ここまで来て帰れって…」
わざわざ遠くまで来たのにすぐに帰れってことに不満そうなレオ。わたしは別にこの後村に寄れるなら早く帰るにこしたことはない。
…それにしても、なんだか妙な違和感があるな。
お茶会に出席しない引きこもりが、わざわざ王女であるわたし宛てに勝手に誘いなんて出すものだろうか。…もしかして、お茶会に出なかったんじゃなくて、出してもらえなかったのかな。
でも、一体なんでなんだろう――――
「王女様?いらっしゃったのですか?」
突然ノックがしたと思えば、男が無理矢理声を高くしたような、違和感バリバリなオカマみたいな声がする。
「あ、アスフェリオス!部屋に居なさいと言われたでしょう!」
「お姉さま……私はアスフェリオスではありませんわ!」
「ぶっ!?」
大きな音を立てて入ってきたのは、ドーラに似ているのにギャグ漫画みたいに真っ赤な口紅とチークをしたこれまた違和感ある化粧をした男の子だった。
いや、でもあの顔は知っている気がする。化粧はあんな感じではなかったけど、顔に見覚えがある。
そうだ、あの子は――!?
「あ、アシュリー!?」
主人公の親友の、アシュリーじゃないか。
「アスフェリオス・ラグナ」
「そうそう、そのアスなんとか様ってどんな方なんでしょう?」
ラグナ領に入り、そろそろ辺境伯のお屋敷になった頃。
漫画にも出てきていない謎の人物。城のメイドたちにも聞いてみたけどみんなよく知らないみたいだった。ドーラは話したくないみたいだし…。レオはうーんと首を捻って悩んでいるようだ。
「聞いた話でしかねーけど……なんか、変わったやつらしい」
「まあ」
確かにお茶会に一度も出ないままというのは変わっている。少なからずこの世界の貴族というのはお茶会やらパーティーやらを無駄にしたがる人たちが多い。だから、そういったことに参加しないのは変わり者と見られてしまうらしい。そしてちょっと前までわたしもその一人だった…と。
…変わり者同士でくっつけるとか、そういうアレ?小学校のころとかによくあったよね。あぶりもの同士つるむっていう……。
「でもソイツの話を聞くなら――」
「姫様、レオ様、着きました」
レオが何かを言おうとすれば馬車が止まって扉が開かれる。ドーラの表情はとても暗い。
「こいつに聞いたほうが早いだろ」
「え?」
レオがドーラを指差す。
「お嬢様!お帰りなさいませ!」
お屋敷から数人のメイドや執事たちのお出迎えが出てきたかと思えば、ドーラに頭を下げている。
「え?」
「……お前、ずっと気付かなかったのかよ…。ドーラってラグナ辺境伯の令嬢だろ」
「えー!?」
行儀見習いで来ているから令嬢なのは知っていたけれど、まさか辺境伯の令嬢だったなんて!?
ドーラは物凄く眉が八の字になっていて、あんまり知られたくなかったみたいだった…。
「姫様、黙っていて申し訳ありませんでした」
「いや、いいのよ別に。黙ってたからって何かあったわけじゃないし。理由も聞かないよ」
「姫様……」
ドーラなりに何か理由があって話したくなかったなら無理に聞く必要はない。むしろこんな形で知ってしまったことがかなり申し訳なくなるっていうか…。
「あれ?ってことはアスフェリなんとかって、ドーラの弟になるのかしら?」
「はい、そうなのですが…どうやらお茶会の誘いは弟が勝手にしたことのようでして」
そういえばさっきドーラが辺境伯に引っ張られていってたな。私とレオが来たことにかなりびっくりしていたようだったから、まるでお茶会を誘ったことを知らないようだった。
丁寧に謝罪された後、お屋敷に通されたんだけど……貴族の割には結構質素な屋敷だなと感じる。無駄な装飾も無く、権威として必要最低限しか豪華にしてない感じ。お城がごてごてしすぎているから余計にそう感じてしまうのだろうけど。
「お茶会は中止で、姫様は帰られた方がいいと父が…」
「ここまで来て帰れって…」
わざわざ遠くまで来たのにすぐに帰れってことに不満そうなレオ。わたしは別にこの後村に寄れるなら早く帰るにこしたことはない。
…それにしても、なんだか妙な違和感があるな。
お茶会に出席しない引きこもりが、わざわざ王女であるわたし宛てに勝手に誘いなんて出すものだろうか。…もしかして、お茶会に出なかったんじゃなくて、出してもらえなかったのかな。
でも、一体なんでなんだろう――――
「王女様?いらっしゃったのですか?」
突然ノックがしたと思えば、男が無理矢理声を高くしたような、違和感バリバリなオカマみたいな声がする。
「あ、アスフェリオス!部屋に居なさいと言われたでしょう!」
「お姉さま……私はアスフェリオスではありませんわ!」
「ぶっ!?」
大きな音を立てて入ってきたのは、ドーラに似ているのにギャグ漫画みたいに真っ赤な口紅とチークをしたこれまた違和感ある化粧をした男の子だった。
いや、でもあの顔は知っている気がする。化粧はあんな感じではなかったけど、顔に見覚えがある。
そうだ、あの子は――!?
「あ、アシュリー!?」
主人公の親友の、アシュリーじゃないか。
10
あなたにおすすめの小説
【完結】転生したらラスボスの毒継母でした!
白雨 音
恋愛
妹シャルリーヌに裕福な辺境伯から結婚の打診があったと知り、アマンディーヌはシャルリーヌと入れ替わろうと画策する。
辺境伯からは「息子の為の白い結婚、いずれ解消する」と宣言されるが、アマンディーヌにとっても都合が良かった。「辺境伯の財で派手に遊び暮らせるなんて最高!」義理の息子など放置して遊び歩く気満々だったが、義理の息子に会った瞬間、卒倒した。
夢の中、前世で読んだ小説を思い出し、義理の息子は将来世界を破滅させようとするラスボスで、自分はその一因を作った毒継母だと知った。破滅もだが、何より自分の死の回避の為に、義理の息子を真っ当な人間に育てようと誓ったアマンディーヌの奮闘☆
異世界転生、家族愛、恋愛☆ 短めの長編(全二十一話です)
《完結しました》 お読み下さり、お気に入り、エール、いいね、ありがとうございます☆
家を乗っ取られて辺境に嫁がされることになったら、三食研究付きの溺愛生活が待っていました
ミズメ
恋愛
ライラ・ハルフォードは伯爵令嬢でありながら、毎日魔法薬の研究に精を出していた。
一つ結びの三つ編み、大きな丸レンズの眼鏡、白衣。""変わり者令嬢""と揶揄されながら、信頼出来る仲間と共に毎日楽しく研究に励む。
「大変です……!」
ライラはある日、とんでもない事実に気が付いた。作成した魔法薬に、なんと"薄毛"の副作用があったのだ。その解消の為に尽力していると、出席させられた夜会で、伯爵家を乗っ取った叔父からふたまわりも歳上の辺境伯の後妻となる婚約が整ったことを告げられる。
手詰まりかと思えたそれは、ライラにとって幸せへと続く道だった。
◎さくっと終わる短編です(10話程度)
◎薄毛の話題が出てきます。苦手な方(?)はお気をつけて…!
完結 愚王の側妃として嫁ぐはずの姉が逃げました
らむ
恋愛
とある国に食欲に色欲に娯楽に遊び呆け果てには金にもがめついと噂の、見た目も醜い王がいる。
そんな愚王の側妃として嫁ぐのは姉のはずだったのに、失踪したために代わりに嫁ぐことになった妹の私。
しかしいざ対面してみると、なんだか噂とは違うような…
完結決定済み
残念な顔だとバカにされていた私が隣国の王子様に見初められました
月(ユエ)/久瀬まりか
恋愛
公爵令嬢アンジェリカは六歳の誕生日までは天使のように可愛らしい子供だった。ところが突然、ロバのような顔になってしまう。残念な姿に成長した『残念姫』と呼ばれるアンジェリカ。友達は男爵家のウォルターただ一人。そんなある日、隣国から素敵な王子様が留学してきて……
悪役令嬢は反省しない!
束原ミヤコ
恋愛
公爵令嬢リディス・アマリア・フォンテーヌは18歳の時に婚約者である王太子に婚約破棄を告げられる。その後馬車が事故に遭い、気づいたら神様を名乗る少年に16歳まで時を戻されていた。
性格を変えてまで王太子に気に入られようとは思わない。同じことを繰り返すのも馬鹿らしい。それならいっそ魔界で頂点に君臨し全ての国を支配下に置くというのが、良いかもしれない。リディスは決意する。魔界の皇子を私の美貌で虜にしてやろうと。
王太子妃専属侍女の結婚事情
蒼あかり
恋愛
伯爵家の令嬢シンシアは、ラドフォード王国 王太子妃の専属侍女だ。
未だ婚約者のいない彼女のために、王太子と王太子妃の命で見合いをすることに。
相手は王太子の側近セドリック。
ところが、幼い見た目とは裏腹に令嬢らしからぬはっきりとした物言いのキツイ性格のシンシアは、それが元でお見合いをこじらせてしまうことに。
そんな二人の行く末は......。
☆恋愛色は薄めです。
☆完結、予約投稿済み。
新年一作目は頑張ってハッピーエンドにしてみました。
ふたりの喧嘩のような言い合いを楽しんでいただければと思います。
そこまで激しくはないですが、そういうのが苦手な方はご遠慮ください。
よろしくお願いいたします。
悪役令嬢として断罪? 残念、全員が私を庇うので処刑されませんでした
ゆっこ
恋愛
豪奢な大広間の中心で、私はただひとり立たされていた。
玉座の上には婚約者である王太子・レオンハルト殿下。その隣には、涙を浮かべながら震えている聖女――いえ、平民出身の婚約者候補、ミリア嬢。
そして取り巻くように並ぶ廷臣や貴族たちの視線は、一斉に私へと向けられていた。
そう、これは断罪劇。
「アリシア・フォン・ヴァレンシュタイン! お前は聖女ミリアを虐げ、幾度も侮辱し、王宮の秩序を乱した。その罪により、婚約破棄を宣告し、さらには……」
殿下が声を張り上げた。
「――処刑とする!」
広間がざわめいた。
けれど私は、ただ静かに微笑んだ。
(あぁ……やっぱり、来たわね。この展開)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる