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21:また一つフラグ折ったようです
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「えぇと…つまりラグナ辺境伯は、アスフェリオスがこのような格好をしていたら可愛すぎて余所に攫われてしまうのが怖くて、この屋敷に閉じ込めていたと…??」
「うちの子達はこんなに可愛いだろう!ドーラも本当は城に行儀見習いなどと出したくはなかった…」
うん。ものすっごい親バカだわ、辺境伯。
ドーラは頭痛そうに抱えているし…アスフェリオスはぽかんとしたままだ。
でも……安心した。厳しいように見えて、ただ自分の可愛い子供を守りたかっただけだったんだな。漫画ではアシュリーは家族仲も悪かったし、これで仲良くなればまた一つフラグが折れたことになるだろう。
「お父様…」
アスフェリオスが辺境伯を見る。
辺境伯は今までの態度があるからか、おろおろと視線を彷徨わせた挙句にわたしに助けを求めるような目で見てきた。ここは家族水入らず話し合うべきだろう。つーんとした態度で紅茶を飲めば、こほん、と咳払いをして辺境伯がドーラとアスフェリオスを見る。
「……本当は好きな格好をしてほしい。だが、外では駄目だ。悪いやつらに持っていかれてしまったら、私は…お爺様に二人を取られるわけにはいかないのだ…」
確か、ラグナ辺境伯の奥様はもう亡くなられてしまっているんだっけ……。婿入りをしている手前、この貴族社会で子息が女の格好なんてしていたら、問答無用で騎士団に入れられてしまうんだろう。
二人は、告げられた言葉に困惑しているようだ。今まで無理矢理押し留められていたと思っていたのだから当たり前の反応だ。お互いに目を見合わせて頷くと、ドーラが頭を下げる。それに続いてアスフェリオスも深く頭を下げた。
「女らしく、男らしく…それは私たちのことを守るためだったんですね。お父様、ありがとうございます」
わたしが知らないだけで、ドーラも何か秘めていることがあるのかもしれない。顔を上げたドーラの瞳はどこかすっきりしていた。
「大丈夫ですよ、辺境伯。きっとこの国はそう遠くない未来、絶対に変わりますのよ!」
主人公のアリスが来て、城は…ううん、国は大きく変わっていくだろう。
そしたらきっと、ジェンダーレスっていうものが生まれて、たくさんの自由が生まれる事だろう。
「ええ、私もそう思います。姫様ならこの国を変えてくれますわ」
「僕もそう思うよ」
ドーラとアスフェリオスが笑って言ってくる。え?わたし?わたしは平民に戻る予定…なんですけど……とは言えないまま、乾いた笑いを漏らしていた…。
「では姫様、後程合流しますので」
「また遊びに来てね、姫様」
「いつでもお待ちしております」
辺境伯の家で一泊した次の日。
バスタ村へ行くためにレオとわたしは翌朝すぐに出ることになった。
ラグナ辺境伯とアスフェリオスが見送りに来てくれている。ドーラは折角の帰省なのでと二、三日居るようにと言った。
ラグナ一家はすっかり仲良くなったみたいだ。アスフェリオスは普通に女の子の格好をしている。うんうん、フラグは無事折れたようで安心する。
「わっ!?」
馬車に乗り込もうとしたら、腕を引かれる。
ほっぺたに柔らかいものがくっ付いて、びっくりして何があったのか直ぐに理解できなかったけど、ドーラとアスフェリオスにキスされたようだ。
「え?え??」
「またね、姫様」
アスフェリオスが、勝気な笑顔で言う。強くてきれいで、思わずその笑顔に見惚れてしまった――。
***
フラグが無事折れて、馬車の中でにこにこしていたからだろうか。
レオがじっとわたしを見てきて、首を傾げるとつーんとそっぽ向かれてしまった。
「…どうしたんですの?」
「別に。厄介なのが二人増えたと思っただけだ」
「???」
何の話をしているのかさっぱりわからなかったが、レオはご機嫌ナナメの様子だ。
厄介なのってなんのことだろう…。そういえば、レオはわたし達が話している間何をしていたんだろうか。
レオの話や、ドーラたちのことを話している間に、バスタ村はもうすぐそこまで近づいてきていた――――。
「うちの子達はこんなに可愛いだろう!ドーラも本当は城に行儀見習いなどと出したくはなかった…」
うん。ものすっごい親バカだわ、辺境伯。
ドーラは頭痛そうに抱えているし…アスフェリオスはぽかんとしたままだ。
でも……安心した。厳しいように見えて、ただ自分の可愛い子供を守りたかっただけだったんだな。漫画ではアシュリーは家族仲も悪かったし、これで仲良くなればまた一つフラグが折れたことになるだろう。
「お父様…」
アスフェリオスが辺境伯を見る。
辺境伯は今までの態度があるからか、おろおろと視線を彷徨わせた挙句にわたしに助けを求めるような目で見てきた。ここは家族水入らず話し合うべきだろう。つーんとした態度で紅茶を飲めば、こほん、と咳払いをして辺境伯がドーラとアスフェリオスを見る。
「……本当は好きな格好をしてほしい。だが、外では駄目だ。悪いやつらに持っていかれてしまったら、私は…お爺様に二人を取られるわけにはいかないのだ…」
確か、ラグナ辺境伯の奥様はもう亡くなられてしまっているんだっけ……。婿入りをしている手前、この貴族社会で子息が女の格好なんてしていたら、問答無用で騎士団に入れられてしまうんだろう。
二人は、告げられた言葉に困惑しているようだ。今まで無理矢理押し留められていたと思っていたのだから当たり前の反応だ。お互いに目を見合わせて頷くと、ドーラが頭を下げる。それに続いてアスフェリオスも深く頭を下げた。
「女らしく、男らしく…それは私たちのことを守るためだったんですね。お父様、ありがとうございます」
わたしが知らないだけで、ドーラも何か秘めていることがあるのかもしれない。顔を上げたドーラの瞳はどこかすっきりしていた。
「大丈夫ですよ、辺境伯。きっとこの国はそう遠くない未来、絶対に変わりますのよ!」
主人公のアリスが来て、城は…ううん、国は大きく変わっていくだろう。
そしたらきっと、ジェンダーレスっていうものが生まれて、たくさんの自由が生まれる事だろう。
「ええ、私もそう思います。姫様ならこの国を変えてくれますわ」
「僕もそう思うよ」
ドーラとアスフェリオスが笑って言ってくる。え?わたし?わたしは平民に戻る予定…なんですけど……とは言えないまま、乾いた笑いを漏らしていた…。
「では姫様、後程合流しますので」
「また遊びに来てね、姫様」
「いつでもお待ちしております」
辺境伯の家で一泊した次の日。
バスタ村へ行くためにレオとわたしは翌朝すぐに出ることになった。
ラグナ辺境伯とアスフェリオスが見送りに来てくれている。ドーラは折角の帰省なのでと二、三日居るようにと言った。
ラグナ一家はすっかり仲良くなったみたいだ。アスフェリオスは普通に女の子の格好をしている。うんうん、フラグは無事折れたようで安心する。
「わっ!?」
馬車に乗り込もうとしたら、腕を引かれる。
ほっぺたに柔らかいものがくっ付いて、びっくりして何があったのか直ぐに理解できなかったけど、ドーラとアスフェリオスにキスされたようだ。
「え?え??」
「またね、姫様」
アスフェリオスが、勝気な笑顔で言う。強くてきれいで、思わずその笑顔に見惚れてしまった――。
***
フラグが無事折れて、馬車の中でにこにこしていたからだろうか。
レオがじっとわたしを見てきて、首を傾げるとつーんとそっぽ向かれてしまった。
「…どうしたんですの?」
「別に。厄介なのが二人増えたと思っただけだ」
「???」
何の話をしているのかさっぱりわからなかったが、レオはご機嫌ナナメの様子だ。
厄介なのってなんのことだろう…。そういえば、レオはわたし達が話している間何をしていたんだろうか。
レオの話や、ドーラたちのことを話している間に、バスタ村はもうすぐそこまで近づいてきていた――――。
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