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23:森の中で大ピンチです!?①
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「あれ?こっちに来たと思ったんだけどなあ」
アリスらしき後ろ姿を追って森の中に入ってきたけど、どうやら途中で見失ってしまったみたい。辺りを見回してみるけど、木や草ばっかりだ。
そして…なんとわたしは森で迷子になってしまったらしい。
「……帰り道は…あっちかな」
歩いてきた方向の真反対を歩いたはずなのに、行けども行けども村に着かない。それどころか、どんどん奥に入ってしまっているような気がする。
「………」
森の中、というのは薄暗くて、ちょっとだけ怖い。
一人だからかな、心細くて……いやいや、子供じゃないんだから。見た目が子供でも中身は前世がしっかりある大人なんだから。
ちょっと一人で、ちょっと暗くて、ちょっと帰り道がわからないくらいで怖いだなんて思わない。思ってなんかない。
――ガサッ
「ひゃあっ!?……な、なんだ、うさぎ…か……?」
茂みの中から出てきたのは真っ赤なうさぎだ。そう、真っ赤な……怪我してるうさぎ…。
はっとして、慌ててうさぎに駆け寄って抱き上げる。狼にでも噛まれたのだろうか、腹から血が流れていて痛々しい。
――また、ガサッと音がして。背中に嫌な汗が伝う。恐る恐る顔を上げれば、怖い顔をした狼が居て。
やばい、と思った時には既に足は走り出していた。腕に、落とさないようにしっかりうさぎを抱きながら。
***
「はぁっはあ、はあ…っ!」
慣れない森の道はお嬢様育ちにはかなり厳しい。ドレスで走ることが出来ても、慣れない道というのはなんとも走りにくい。裾が泥まみれで、きっとドーラが知ったら怒るんだろうな…ドーラの怒っている顔が脳裏に浮かんで、じんわり目が熱くなる。
「う、うそ…!」
行き着いた先は、崖下だった。狼というのは思っていた以上に頭のいい動物なんだろう。追い付こうと思えば追い付けたのに、こんな場所まで誘導して……振り返ってみれば、狼は三匹に増えていた。
――死ぬ。これは絶対に死ぬ。
またイベントの取り違えだろうか。漫画で過去シーンがあったかどうか必死に思い出す。……いや、こんな展開なかった。過去のシーンでは森に迷った程度で、狼に襲われるなんてことはなかった。
つまり……前回の時みたいに誰かが助けに来てくれる訳じゃ、ない。
じりじりと、狼達が寄ってくる。
獲物が奪われたから追ってきたわけじゃなくて、わたしという獲物が増えたって感じだ。口からは鋭くて硬そうな牙が生えている。
「お、落ち着いて話しましょ?人間と動物だって話しあえばきっと分かり合えると思うの。種族を越えた語り合いを希望しますわ!」
「グルルルルルル…」
聞いてくれそうもありませんね!
狼が、飛びかかってくる。
「きゃ――――!」
血で濡れた爪が見えて、ぞくっと背筋が冷たくなる。思わず目を瞑って、覚悟を決めた――――けど、一向に痛みは感じない。痛みを感じる暇もないほど早く殺されてしまったの?
そっと、目を開けてみれば……
「いってて……」
「シキ!?」
「姫さん、勝手にほっつき歩いてるとあのメイドが帰ってきたときに怒られるぜ?」
目の前にシキが立っていた。
腕は狼に噛まれて、血が流れている。
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アリスらしき後ろ姿を追って森の中に入ってきたけど、どうやら途中で見失ってしまったみたい。辺りを見回してみるけど、木や草ばっかりだ。
そして…なんとわたしは森で迷子になってしまったらしい。
「……帰り道は…あっちかな」
歩いてきた方向の真反対を歩いたはずなのに、行けども行けども村に着かない。それどころか、どんどん奥に入ってしまっているような気がする。
「………」
森の中、というのは薄暗くて、ちょっとだけ怖い。
一人だからかな、心細くて……いやいや、子供じゃないんだから。見た目が子供でも中身は前世がしっかりある大人なんだから。
ちょっと一人で、ちょっと暗くて、ちょっと帰り道がわからないくらいで怖いだなんて思わない。思ってなんかない。
――ガサッ
「ひゃあっ!?……な、なんだ、うさぎ…か……?」
茂みの中から出てきたのは真っ赤なうさぎだ。そう、真っ赤な……怪我してるうさぎ…。
はっとして、慌ててうさぎに駆け寄って抱き上げる。狼にでも噛まれたのだろうか、腹から血が流れていて痛々しい。
――また、ガサッと音がして。背中に嫌な汗が伝う。恐る恐る顔を上げれば、怖い顔をした狼が居て。
やばい、と思った時には既に足は走り出していた。腕に、落とさないようにしっかりうさぎを抱きながら。
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「はぁっはあ、はあ…っ!」
慣れない森の道はお嬢様育ちにはかなり厳しい。ドレスで走ることが出来ても、慣れない道というのはなんとも走りにくい。裾が泥まみれで、きっとドーラが知ったら怒るんだろうな…ドーラの怒っている顔が脳裏に浮かんで、じんわり目が熱くなる。
「う、うそ…!」
行き着いた先は、崖下だった。狼というのは思っていた以上に頭のいい動物なんだろう。追い付こうと思えば追い付けたのに、こんな場所まで誘導して……振り返ってみれば、狼は三匹に増えていた。
――死ぬ。これは絶対に死ぬ。
またイベントの取り違えだろうか。漫画で過去シーンがあったかどうか必死に思い出す。……いや、こんな展開なかった。過去のシーンでは森に迷った程度で、狼に襲われるなんてことはなかった。
つまり……前回の時みたいに誰かが助けに来てくれる訳じゃ、ない。
じりじりと、狼達が寄ってくる。
獲物が奪われたから追ってきたわけじゃなくて、わたしという獲物が増えたって感じだ。口からは鋭くて硬そうな牙が生えている。
「お、落ち着いて話しましょ?人間と動物だって話しあえばきっと分かり合えると思うの。種族を越えた語り合いを希望しますわ!」
「グルルルルルル…」
聞いてくれそうもありませんね!
狼が、飛びかかってくる。
「きゃ――――!」
血で濡れた爪が見えて、ぞくっと背筋が冷たくなる。思わず目を瞑って、覚悟を決めた――――けど、一向に痛みは感じない。痛みを感じる暇もないほど早く殺されてしまったの?
そっと、目を開けてみれば……
「いってて……」
「シキ!?」
「姫さん、勝手にほっつき歩いてるとあのメイドが帰ってきたときに怒られるぜ?」
目の前にシキが立っていた。
腕は狼に噛まれて、血が流れている。
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