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26:進む時が、不安です
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「そういやお前が探していた…なんつったか」
「アリス、ですかね?」
「ああ、そいつ。レリアに聞いたんだけど、暫く村から離れてるらしい。なんでも体調を崩してる婆さんがいるとかで、この森を抜けた先に行ってるとか」
あの時見掛けたのはやっぱりアリスだったのかな。森を抜けていたのか。慣れた道を歩いて行ったのなら見失って当然か、と納得はした。
でも…体調を崩しているのは母親だったような覚えがあるけど……。アリスの…いや、わたしの家系は体が弱いのかもしれない。でもわたしは体弱くないし……。
漫画の世界で、わたしも知っているはずなのにどこか、何かが、違うような違和感を感じている。
(なんだろう…うまく言えないけど、いい方向にいってる…んだよね?)
自分で言うのもだけど、フィアーナは自分勝手な我儘な王女じゃなくなったし。少しずつ未来がずれていくのも納得できる。
じっとわたしの顔をレオが見詰めてきて、目を合わせるのがちょっとだけ恥ずかしくて視線を逸らせばレオの指先がわたしの眉間の間を小突く。
「な、なんですの?」
「いや。眉間に皺寄ってやがったから」
……そんな顔に出てしまっていたんだろうか。眉間をさすってみるけどもう皺はないようだった。
不意に、レオが月を見上げる。わたしも追い掛けて月を見上げれば、まんまるで真っ白なお月様が星に囲まれて浮かんでいる。
前世で見た月よりも近くて、大きくて、綺麗に見える。周りが暗いからなんだろうか。
「……会いに行くか?」
「え?誰に?」
「誰にって…アリスってやつに」
心臓がどくんと跳ねる。
まだ少し先の未来で死にたくなくて、本当の家族に会おうと思って、そのためにアリスに会うためにここに来たのに。
……なんでだろう。レオとアリスを会わせたくない、と思ってしまっている。
「えっと……」
産みの親に会いたい。処刑なんてされたくない。本当に思っているのに、アリスに会いに行こうと言葉が出てこない。
すぐに頷かないわたしを、怪訝そうに見るレオに、笑顔を作って首を横に振る。
「体調が悪い方がいらっしゃるのにお邪魔するわけにはいきませんわ」
「そうか」
何故か、レオもほっとしている。目を合わせて、少し気まずそうに二人で作り笑いを浮かべる。
レオに運命の女の子に会わせてあげたいと思っていたはずなのに。
わたし、どうしてしまったんだろうか。
月がゆっくりと傾いていくのを見詰めながら、また少し本編への時間が進んだことに言いようのない不安が襲い掛かっていた――――。
「アリス、ですかね?」
「ああ、そいつ。レリアに聞いたんだけど、暫く村から離れてるらしい。なんでも体調を崩してる婆さんがいるとかで、この森を抜けた先に行ってるとか」
あの時見掛けたのはやっぱりアリスだったのかな。森を抜けていたのか。慣れた道を歩いて行ったのなら見失って当然か、と納得はした。
でも…体調を崩しているのは母親だったような覚えがあるけど……。アリスの…いや、わたしの家系は体が弱いのかもしれない。でもわたしは体弱くないし……。
漫画の世界で、わたしも知っているはずなのにどこか、何かが、違うような違和感を感じている。
(なんだろう…うまく言えないけど、いい方向にいってる…んだよね?)
自分で言うのもだけど、フィアーナは自分勝手な我儘な王女じゃなくなったし。少しずつ未来がずれていくのも納得できる。
じっとわたしの顔をレオが見詰めてきて、目を合わせるのがちょっとだけ恥ずかしくて視線を逸らせばレオの指先がわたしの眉間の間を小突く。
「な、なんですの?」
「いや。眉間に皺寄ってやがったから」
……そんな顔に出てしまっていたんだろうか。眉間をさすってみるけどもう皺はないようだった。
不意に、レオが月を見上げる。わたしも追い掛けて月を見上げれば、まんまるで真っ白なお月様が星に囲まれて浮かんでいる。
前世で見た月よりも近くて、大きくて、綺麗に見える。周りが暗いからなんだろうか。
「……会いに行くか?」
「え?誰に?」
「誰にって…アリスってやつに」
心臓がどくんと跳ねる。
まだ少し先の未来で死にたくなくて、本当の家族に会おうと思って、そのためにアリスに会うためにここに来たのに。
……なんでだろう。レオとアリスを会わせたくない、と思ってしまっている。
「えっと……」
産みの親に会いたい。処刑なんてされたくない。本当に思っているのに、アリスに会いに行こうと言葉が出てこない。
すぐに頷かないわたしを、怪訝そうに見るレオに、笑顔を作って首を横に振る。
「体調が悪い方がいらっしゃるのにお邪魔するわけにはいきませんわ」
「そうか」
何故か、レオもほっとしている。目を合わせて、少し気まずそうに二人で作り笑いを浮かべる。
レオに運命の女の子に会わせてあげたいと思っていたはずなのに。
わたし、どうしてしまったんだろうか。
月がゆっくりと傾いていくのを見詰めながら、また少し本編への時間が進んだことに言いようのない不安が襲い掛かっていた――――。
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