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いつもと変わらないはずだった【コハルとの出会い】
第一話
心地の良い風が吹く、秋の夜。
俺はいつものように開店準備に勤しんでいた。
グラスを磨き、机を整え、お客様が心地よく過ごせるようにと綺麗にしていく。
「よし、今日も仕事しますかぁ!」
俺は気合をいれるようにそう呟き、ドアにかけていたclauseの看板をひっくり返した。
俺の名はトウマ。ひっそりとBARを経営しながら生活をしている。
最初の頃はこんな若造の店なんて……。と馬鹿にされていたが、俺の選ぶ酒、出す料理、それに満足してくれる客が増えてくれて今はそこそこ賑わう店になってくれた。
穏やかなマスターと呼ばれる俺。だが、そんな俺には、もう一つの仕事がある。
情報屋、それが俺のもう一つの仕事だ。色んな組織の情報を集め、それを売りさばく。
危ない仕事だし、後始末も大変だ。だが、俺はこの仕事を続けている理由があった。
俺を育ててくれた親父を殺した奴を見つけ出す、そのためにこの仕事は絶対に辞められない。
今日も情報屋としてターゲットの情報を奪い、後処理をしていた時の事だ。
「み~ちゃった、み~ちゃった!」
急にそんな声が響く。さっきまで気配など感じなかったことから、声の主は相当手慣れだ。
警戒しながら、辺りを見渡す。視界の端に女の姿を捉えた。
「何者だ? 俺に何か用か?」
「そうだねぇ~」
間延びした相手の話し方に少しイラつきながらも、俺は相手の出方を待つ。
どちらも動かないまま数分経ったように感じる。先に動いたのは相手の方だった。
俺に向かって走りだす。俺は攻撃に備えて構えた。
だが、予想外の事が起こる。
俺と距離を詰めた女は、俺の手を握ってきたのだ。
「ねぇ、君って一目惚れって信じる~?」
「……は?」
突拍子もない言葉に、俺は素っ頓狂な声を出す。
「私、君の役に立つと思うよ? 君の駒にしてくれないかなぁ?」
「……そんなこと言われて、はいそうですかって信じれるわけないだろう」
「うん、そうだよねぇ……。じゃあ、これならどう? 君の知っている情報、私も知ってるよぉ?」
知っている、その言葉に俺は怪しみながら最近手に入れた情報について聞いてみる。
「夜光会の若頭。あいつの今の居場所」
「あ~それはね、北海道の✕✕市の○○ホテルで身を隠してるよぉ」
「……どこでその情報を手に入れたんだ」
「ナイショ♡」
この情報は他に漏れないように厳重に扱っていたものだ。
「ね? 私、結構使えると思うけどぉ?」
女のその言葉に俺は考える。こいつの集めている情報を使えば、親父を殺した奴への情報も手に入るかもしれない。
惚れた腫れたなんかどうでもいいが、使えるものは使えばいい。
「お前が俺を裏切らない保証がほしい」
俺がそう言うと、女は俺に何かを投げつける。
「なんだ……?」
投げつけられたものは、色んな組織の隠れ家だと分かる写真だった。
「それは私が所属していた組織の秘密だよぉ! この情報は私しかまだ知らないものだよ」
「なんでこれが裏切らない保証になるんだよ」
「この情報が出回れば私は元の組織から処分されるから、だよぉ」
俺は女の言いたいことが分かり、納得した。
女が俺を裏切ることがあれば、その情報を流せ、ということだ。
「いいだろう、俺はトウマ。あんたは?」
「私はコハルだよぉ! よろしくね、トウマ♡」
妙な仲間が出来たが、これで親父に関する情報に近づけるなら。
俺はそう思い、コハルと共にその場を後にした。
俺はいつものように開店準備に勤しんでいた。
グラスを磨き、机を整え、お客様が心地よく過ごせるようにと綺麗にしていく。
「よし、今日も仕事しますかぁ!」
俺は気合をいれるようにそう呟き、ドアにかけていたclauseの看板をひっくり返した。
俺の名はトウマ。ひっそりとBARを経営しながら生活をしている。
最初の頃はこんな若造の店なんて……。と馬鹿にされていたが、俺の選ぶ酒、出す料理、それに満足してくれる客が増えてくれて今はそこそこ賑わう店になってくれた。
穏やかなマスターと呼ばれる俺。だが、そんな俺には、もう一つの仕事がある。
情報屋、それが俺のもう一つの仕事だ。色んな組織の情報を集め、それを売りさばく。
危ない仕事だし、後始末も大変だ。だが、俺はこの仕事を続けている理由があった。
俺を育ててくれた親父を殺した奴を見つけ出す、そのためにこの仕事は絶対に辞められない。
今日も情報屋としてターゲットの情報を奪い、後処理をしていた時の事だ。
「み~ちゃった、み~ちゃった!」
急にそんな声が響く。さっきまで気配など感じなかったことから、声の主は相当手慣れだ。
警戒しながら、辺りを見渡す。視界の端に女の姿を捉えた。
「何者だ? 俺に何か用か?」
「そうだねぇ~」
間延びした相手の話し方に少しイラつきながらも、俺は相手の出方を待つ。
どちらも動かないまま数分経ったように感じる。先に動いたのは相手の方だった。
俺に向かって走りだす。俺は攻撃に備えて構えた。
だが、予想外の事が起こる。
俺と距離を詰めた女は、俺の手を握ってきたのだ。
「ねぇ、君って一目惚れって信じる~?」
「……は?」
突拍子もない言葉に、俺は素っ頓狂な声を出す。
「私、君の役に立つと思うよ? 君の駒にしてくれないかなぁ?」
「……そんなこと言われて、はいそうですかって信じれるわけないだろう」
「うん、そうだよねぇ……。じゃあ、これならどう? 君の知っている情報、私も知ってるよぉ?」
知っている、その言葉に俺は怪しみながら最近手に入れた情報について聞いてみる。
「夜光会の若頭。あいつの今の居場所」
「あ~それはね、北海道の✕✕市の○○ホテルで身を隠してるよぉ」
「……どこでその情報を手に入れたんだ」
「ナイショ♡」
この情報は他に漏れないように厳重に扱っていたものだ。
「ね? 私、結構使えると思うけどぉ?」
女のその言葉に俺は考える。こいつの集めている情報を使えば、親父を殺した奴への情報も手に入るかもしれない。
惚れた腫れたなんかどうでもいいが、使えるものは使えばいい。
「お前が俺を裏切らない保証がほしい」
俺がそう言うと、女は俺に何かを投げつける。
「なんだ……?」
投げつけられたものは、色んな組織の隠れ家だと分かる写真だった。
「それは私が所属していた組織の秘密だよぉ! この情報は私しかまだ知らないものだよ」
「なんでこれが裏切らない保証になるんだよ」
「この情報が出回れば私は元の組織から処分されるから、だよぉ」
俺は女の言いたいことが分かり、納得した。
女が俺を裏切ることがあれば、その情報を流せ、ということだ。
「いいだろう、俺はトウマ。あんたは?」
「私はコハルだよぉ! よろしくね、トウマ♡」
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俺はそう思い、コハルと共にその場を後にした。
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