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適当に勇者
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少し早めに学校についてしまった俺は、自分の席に座りながらボンヤリと窓の外を眺めていた。
しばらくするとセイが登校してきたので、軽く片手を挙げて挨拶すると、
「おはよ。俺さ、昨日ゲーム買ってんけど」
急に話が始まった。
しかも微妙に長くなりそうな話だ。とは言え、HRが始まるまではどうせ暇なんだし、付き合う事にしよう。
「ゲームって、なんの?」
「RPG。んで、ゲームって最初に名前聞かれるやん?急に聞かれても思いつかんわ」
いちいち考えているのか!そんなのは適当に付けとけば良いと思う。自分の名前とか、その時に見ているアニメの登場人物の名前とか、好きな人の名前は……ちょっと勇気がいるか。
「で、名前何にしたん?」
「結構考えてんけど思い付かんかったから、適当にアホってつけた」
適当過ぎるわ!
「したらさー、事ある毎にアホアホ言われるようになって」
アホって名前にしたからね!
「称えられてんのか馬鹿にされてんのか分からんくなって」
アホって名前にしたからね!
「転職しようと神殿行ったらさ、あぁアホ様とか言われるし」
アホって名前にしたからね!
「普通ゲームって、どっかで名前変更とか出来るんちゃうの?」
セイは溜息なんか吐きながらイスに座ると、肘を付いて携帯画面を見始めた。多分ゲームの攻略サイトか何かを見ているのだろう。
「もうアホを受け入れるしかないやろ」
「そやなぁ~。でさ、レベル上がるとパロメーター自分で振り分けられるねん」
自分で決められるとは、自由度の高いゲームだな。転職とかさっき言ってたから色々考えて振り分けた方が良さそうな感じなのかな?だったら初めからなりたい職種はしぼっていた方が良さそうだ。
「で、パロメーターがどうしたん?」
「ドロップとか、宝くじが良く当たるようにって運しか上げてない」
職種無視か!そんで、ドロップやら宝くじと運に関連がちゃんとあるんだろうな?
「レベル結構高いのに、全然敵倒せんくてさー」
運に全てを費やしてるからね!
「転職しようにも、力が足りないとか言われるし」
運に全てを費やしてるからね!
「折角新しい技が使えるようになっても1回しか出されへんしー」
運に全てを費やしてるからね!
「どっかでリセット出来へんのかなぁ」
携帯画面から視線を逸らしたセイは、溜息を吐きながら空を見上げた。多分ゲーム攻略サイトにめぼしい情報はなかったのだろう。
「次のレベルからは運以外を上げてくしかないやろ」
「なんか、初めからやった方が良い気がしてきたわ」
うん、俺も同じ気持ちだわ。
待てよ、このままやり直した所でまた名前の所で詰まるんじゃないか?また適当な名前をつけて始めて、また適当にレベル上げして。そんでまた明日同じようなボヤキを聞かされるかも知れない。
「先に名前決めてたら?」
「あ、そっか。何がえぇかなぁ~」
そう言いながら室内を見渡すセイ。
自分が操作する主人公に、自分の名前ではなく同級生の名前をつけようと言うのか?
「あっ!放課後俺ん家おいでーや」
ゲームの話は何処に行った!?
「じゃあ帰りはコンビニ寄ってー……そうや、新作のアイス出たん知ってる?」
ゲームの話は何処に行った!?
「一緒にゲームしよ」
ゲームの話は……あ、ゲームの話だ。
「色々分からん所もあるんやけど、攻略サイトに説明ないし……なっ」
目の前でパンッと手を合わせるセイ。
頼りにされてるのだろうか?だったら……悪い気はしない。それに、話を聞いてるうちにちょっと気になってたんだ。
今日から俺も勇者デビュー、冒険を始めようじゃないか!
「お?セイ、コウおはよー」
話が一段落着いてから登校してきたシロは、携帯画面を眺めながら俺達の方に歩いてくると軽く溜息を吐いた。
「どしたの?」
首を傾げるセイ。
「昨日さ、特売でゲーム買ってんけど、それがまた難しくて」
どうやらシロも昨日ゲームを買ったらしい。
なんだろうな、物凄く嫌な予感がするぞ?
「それで、どうやったん?」
「オープニング始まる前に名前入力があってさー」
まさか、嫌な予感的中!?
「急に思い付かんかったから、あああああって名前にしたんやけど」
お前もかっ!
「何処行っても、あああああやで?」
お前もかっ!
「転職しようと思って神殿行ったら、あああああああ様って、何回あ言うねんって」
お前もかっ!
「どっかで名前変更出来たらえぇんやけどなぁ」
シロの愚痴を聞いていたセイは、自分の事など棚に上げているのだろう、ニヤニヤしている。
「で……パロメーターは何に告ぎ込んでるん?」
先回りして質問してみると、目を大きく開けたシロは、それでもちゃんと、
「力一択!」
と、答えてくれた。
運よりは良い!とは思ったが、転職があるなら魔力とかもそれなりに必要になるんじゃないだろうか?
見た事もないゲームなのに、少しだけシステムが分かった気がする。
「セイ、シロ。ゲームの名前は?俺もそれ買うわ」
2人は顔を見合わせるとニヤリと笑い、ゲームタイトルを教えてくれた。だけに留まらず、安かったからと言う理由だけで俺の分までソフトを買ってくれていた。
どうやら昨日2人でゲーム屋に行ったようだ。
「ありがとう。放課後セイの家で早速やろう!」
「やな!俺アホでシロがあああああやから、コウも“あ”から始まる名前な」
何故!?
「パロメーターは俺が力でセイが運やろ?コウは素早さやで」
何故!?
初めからやり直すって話はどうなったんだよ!
しばらくするとセイが登校してきたので、軽く片手を挙げて挨拶すると、
「おはよ。俺さ、昨日ゲーム買ってんけど」
急に話が始まった。
しかも微妙に長くなりそうな話だ。とは言え、HRが始まるまではどうせ暇なんだし、付き合う事にしよう。
「ゲームって、なんの?」
「RPG。んで、ゲームって最初に名前聞かれるやん?急に聞かれても思いつかんわ」
いちいち考えているのか!そんなのは適当に付けとけば良いと思う。自分の名前とか、その時に見ているアニメの登場人物の名前とか、好きな人の名前は……ちょっと勇気がいるか。
「で、名前何にしたん?」
「結構考えてんけど思い付かんかったから、適当にアホってつけた」
適当過ぎるわ!
「したらさー、事ある毎にアホアホ言われるようになって」
アホって名前にしたからね!
「称えられてんのか馬鹿にされてんのか分からんくなって」
アホって名前にしたからね!
「転職しようと神殿行ったらさ、あぁアホ様とか言われるし」
アホって名前にしたからね!
「普通ゲームって、どっかで名前変更とか出来るんちゃうの?」
セイは溜息なんか吐きながらイスに座ると、肘を付いて携帯画面を見始めた。多分ゲームの攻略サイトか何かを見ているのだろう。
「もうアホを受け入れるしかないやろ」
「そやなぁ~。でさ、レベル上がるとパロメーター自分で振り分けられるねん」
自分で決められるとは、自由度の高いゲームだな。転職とかさっき言ってたから色々考えて振り分けた方が良さそうな感じなのかな?だったら初めからなりたい職種はしぼっていた方が良さそうだ。
「で、パロメーターがどうしたん?」
「ドロップとか、宝くじが良く当たるようにって運しか上げてない」
職種無視か!そんで、ドロップやら宝くじと運に関連がちゃんとあるんだろうな?
「レベル結構高いのに、全然敵倒せんくてさー」
運に全てを費やしてるからね!
「転職しようにも、力が足りないとか言われるし」
運に全てを費やしてるからね!
「折角新しい技が使えるようになっても1回しか出されへんしー」
運に全てを費やしてるからね!
「どっかでリセット出来へんのかなぁ」
携帯画面から視線を逸らしたセイは、溜息を吐きながら空を見上げた。多分ゲーム攻略サイトにめぼしい情報はなかったのだろう。
「次のレベルからは運以外を上げてくしかないやろ」
「なんか、初めからやった方が良い気がしてきたわ」
うん、俺も同じ気持ちだわ。
待てよ、このままやり直した所でまた名前の所で詰まるんじゃないか?また適当な名前をつけて始めて、また適当にレベル上げして。そんでまた明日同じようなボヤキを聞かされるかも知れない。
「先に名前決めてたら?」
「あ、そっか。何がえぇかなぁ~」
そう言いながら室内を見渡すセイ。
自分が操作する主人公に、自分の名前ではなく同級生の名前をつけようと言うのか?
「あっ!放課後俺ん家おいでーや」
ゲームの話は何処に行った!?
「じゃあ帰りはコンビニ寄ってー……そうや、新作のアイス出たん知ってる?」
ゲームの話は何処に行った!?
「一緒にゲームしよ」
ゲームの話は……あ、ゲームの話だ。
「色々分からん所もあるんやけど、攻略サイトに説明ないし……なっ」
目の前でパンッと手を合わせるセイ。
頼りにされてるのだろうか?だったら……悪い気はしない。それに、話を聞いてるうちにちょっと気になってたんだ。
今日から俺も勇者デビュー、冒険を始めようじゃないか!
「お?セイ、コウおはよー」
話が一段落着いてから登校してきたシロは、携帯画面を眺めながら俺達の方に歩いてくると軽く溜息を吐いた。
「どしたの?」
首を傾げるセイ。
「昨日さ、特売でゲーム買ってんけど、それがまた難しくて」
どうやらシロも昨日ゲームを買ったらしい。
なんだろうな、物凄く嫌な予感がするぞ?
「それで、どうやったん?」
「オープニング始まる前に名前入力があってさー」
まさか、嫌な予感的中!?
「急に思い付かんかったから、あああああって名前にしたんやけど」
お前もかっ!
「何処行っても、あああああやで?」
お前もかっ!
「転職しようと思って神殿行ったら、あああああああ様って、何回あ言うねんって」
お前もかっ!
「どっかで名前変更出来たらえぇんやけどなぁ」
シロの愚痴を聞いていたセイは、自分の事など棚に上げているのだろう、ニヤニヤしている。
「で……パロメーターは何に告ぎ込んでるん?」
先回りして質問してみると、目を大きく開けたシロは、それでもちゃんと、
「力一択!」
と、答えてくれた。
運よりは良い!とは思ったが、転職があるなら魔力とかもそれなりに必要になるんじゃないだろうか?
見た事もないゲームなのに、少しだけシステムが分かった気がする。
「セイ、シロ。ゲームの名前は?俺もそれ買うわ」
2人は顔を見合わせるとニヤリと笑い、ゲームタイトルを教えてくれた。だけに留まらず、安かったからと言う理由だけで俺の分までソフトを買ってくれていた。
どうやら昨日2人でゲーム屋に行ったようだ。
「ありがとう。放課後セイの家で早速やろう!」
「やな!俺アホでシロがあああああやから、コウも“あ”から始まる名前な」
何故!?
「パロメーターは俺が力でセイが運やろ?コウは素早さやで」
何故!?
初めからやり直すって話はどうなったんだよ!
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