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気絶した振りをしながらジョーが戻ってくるのを待っているんだけど、一向に戻って来ない。
なにか問題が起きたのだろうか?
あ、違う。
問題がなにも起きていないのなら、そもそもお茶に毒なんか仕込まれてない。
ってことは、初めからなにかを疑われていた可能性がある?
だとしたら王に呼ばれたジョーが危ないんじゃ……いやいや、城の中だぞ?そんな大々的になにかが起こるはずない……とは言い切れないのか。
ジョーはフルヘルム姿とか妙に様になっていたけど、王子として暮らしてきたせいであまり強くはない。
もし戦争を仕掛けた責任はジョーにあるとか物凄い勘違いをされて兵士に捕まったら、ひとたまりもないだろう。
捕らえられて、島の国に強制送還とかされたら?
駄目だ、気絶してる場合じゃない!
「ちょっと、謁見室はどこ?案内してくれないかな」
ガバッと起き上がり、世間話に花を咲かせていた兵士に詰め寄る。
「ひぇぇ……」
「こ、こちらですぅ……」
……そんなビックリしなくても……。
部屋を出て、謁見室に向かう途中で妙なものを発見した。
それは、家にもあった魔法陣のひとつで、それ自体は特に珍しいものでもないんだけど、魔法陣の発動が妙だ。
魔法陣っていうものは、描いたと同時に発動させることが一般的なんだけど、魔力操作で発動に条件を付けることができ、条件に合う限りは何度でも発動できる。
例えば、前を通り過ぎるたびに発動するとか、一定の衝撃を受けたら発動するとか。
防御系の魔法陣はこれにあたる。
でだ、何故精神系の魔法陣がこんな分かり難い所に小さく描かれているのか、それがまた前を通り過ぎると発動する条件なのかが分からない。
そしてさっきまではお喋りだった2人の兵士は、その魔方陣を通り過ぎたあたりから無言で、「謁見室はこっちですよ」と歩き出したくせに、今は全く別の方向に向かって歩いている。
もしかして、久しぶりに喋った気がするというのは、魔法陣による魔法効果が切れたってことかも知れない。
だとしたら……魔法陣の書き換えをした方が良いだろうか?
とはいえ、城の中に何カ所仕掛けられているか分からないし、城を守るってのはこういった統制ってのが必要なのかもしれないし?
少なくともスパイはいなくなりそうだ。
人ん家の事情に口をはさむのも気が引けるし、とりあえず今はジョーを探し出して一緒に帰るってことだけを考えよう。
そんなわけで2人いる兵士のうち1人の精神異常を治癒し、更には精神攻撃に対する防御の魔法陣を描いてから再び謁見室に案内して欲しいと頼んだ。
「あれ?そうでしたよね……謁見室。こちらです」
クルッと回れ右をして歩き出した兵士は、何度か魔法陣による精神攻撃を受けたが、最後までしっかりと道案内をしてくれて、俺はそこで誰もいない謁見室を見ていた。
「終わってる?」
「そのようですね……入れ違いになったのかも?」
急いで待機部屋に戻ってみたが、そこにも誰もいなくて、どこに行ったのだろう?と窓から外を見れば、だだっ広い庭の向こう側に明かりが見えた。
「あそこにはなにがあるんだ?」
と、今は気さくに話してくれるようになった兵士に尋ねてみれば、中庭ですと至ってシンプルな返答をしてくれた。
もう夜だというこんな時間に、中庭で散歩だろうか?
それは別に可笑しいことではないのかもしれないけど、今その明かりに向かって1人の兵士がお茶を運んでいるのを見ると、こんな時間から暗い庭でティータイムと洒落込むには不自然な気がした。
俺に持ってこられたお茶のことを思うと、あのお茶も安全な飲み物なのか疑問だ。
窓から飛び降り、明かりに向かって走り出してみると、
「待ってくださいよー!」
と、兵士も窓から飛び降りてついてきて、2人で向かった場所ではジョーが襲われていた。
大慌てで近付いていくと、ジョーを囲んでいた3人の兵士がノソリノソリと立ち上がり、特に悪びれた様子も見せず、特に謝罪文を口にするわけでもなくボンヤリと俺達から数歩離れた。
これは、精神の術にどっぷりとかかっている状態だな……そんな兵士がジョーを攻撃しているのだから、大陸の王はジョーを敵とみなしたって解釈で良いのだろう。
「帰ろっか」
「うん。帰ろ」
ジョーは兄さん達のことを信用してないみたいだけど、やっぱり兄さん達のいる洞窟に戻った方が良いよな……。
いや、まずはチビが戻ってくるまでは宿屋にいなきゃならない。
父さんを俺が殺してしまったのだ、兄さんが今まで通り味方だとは言い切れないのだから。
なにか問題が起きたのだろうか?
あ、違う。
問題がなにも起きていないのなら、そもそもお茶に毒なんか仕込まれてない。
ってことは、初めからなにかを疑われていた可能性がある?
だとしたら王に呼ばれたジョーが危ないんじゃ……いやいや、城の中だぞ?そんな大々的になにかが起こるはずない……とは言い切れないのか。
ジョーはフルヘルム姿とか妙に様になっていたけど、王子として暮らしてきたせいであまり強くはない。
もし戦争を仕掛けた責任はジョーにあるとか物凄い勘違いをされて兵士に捕まったら、ひとたまりもないだろう。
捕らえられて、島の国に強制送還とかされたら?
駄目だ、気絶してる場合じゃない!
「ちょっと、謁見室はどこ?案内してくれないかな」
ガバッと起き上がり、世間話に花を咲かせていた兵士に詰め寄る。
「ひぇぇ……」
「こ、こちらですぅ……」
……そんなビックリしなくても……。
部屋を出て、謁見室に向かう途中で妙なものを発見した。
それは、家にもあった魔法陣のひとつで、それ自体は特に珍しいものでもないんだけど、魔法陣の発動が妙だ。
魔法陣っていうものは、描いたと同時に発動させることが一般的なんだけど、魔力操作で発動に条件を付けることができ、条件に合う限りは何度でも発動できる。
例えば、前を通り過ぎるたびに発動するとか、一定の衝撃を受けたら発動するとか。
防御系の魔法陣はこれにあたる。
でだ、何故精神系の魔法陣がこんな分かり難い所に小さく描かれているのか、それがまた前を通り過ぎると発動する条件なのかが分からない。
そしてさっきまではお喋りだった2人の兵士は、その魔方陣を通り過ぎたあたりから無言で、「謁見室はこっちですよ」と歩き出したくせに、今は全く別の方向に向かって歩いている。
もしかして、久しぶりに喋った気がするというのは、魔法陣による魔法効果が切れたってことかも知れない。
だとしたら……魔法陣の書き換えをした方が良いだろうか?
とはいえ、城の中に何カ所仕掛けられているか分からないし、城を守るってのはこういった統制ってのが必要なのかもしれないし?
少なくともスパイはいなくなりそうだ。
人ん家の事情に口をはさむのも気が引けるし、とりあえず今はジョーを探し出して一緒に帰るってことだけを考えよう。
そんなわけで2人いる兵士のうち1人の精神異常を治癒し、更には精神攻撃に対する防御の魔法陣を描いてから再び謁見室に案内して欲しいと頼んだ。
「あれ?そうでしたよね……謁見室。こちらです」
クルッと回れ右をして歩き出した兵士は、何度か魔法陣による精神攻撃を受けたが、最後までしっかりと道案内をしてくれて、俺はそこで誰もいない謁見室を見ていた。
「終わってる?」
「そのようですね……入れ違いになったのかも?」
急いで待機部屋に戻ってみたが、そこにも誰もいなくて、どこに行ったのだろう?と窓から外を見れば、だだっ広い庭の向こう側に明かりが見えた。
「あそこにはなにがあるんだ?」
と、今は気さくに話してくれるようになった兵士に尋ねてみれば、中庭ですと至ってシンプルな返答をしてくれた。
もう夜だというこんな時間に、中庭で散歩だろうか?
それは別に可笑しいことではないのかもしれないけど、今その明かりに向かって1人の兵士がお茶を運んでいるのを見ると、こんな時間から暗い庭でティータイムと洒落込むには不自然な気がした。
俺に持ってこられたお茶のことを思うと、あのお茶も安全な飲み物なのか疑問だ。
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「待ってくださいよー!」
と、兵士も窓から飛び降りてついてきて、2人で向かった場所ではジョーが襲われていた。
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「帰ろっか」
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ジョーは兄さん達のことを信用してないみたいだけど、やっぱり兄さん達のいる洞窟に戻った方が良いよな……。
いや、まずはチビが戻ってくるまでは宿屋にいなきゃならない。
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