大江戸えろえろ草紙~天下無双のド変態、魔を斬り悪を撫でる!~

覚醒シナモン

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第十九話:変態は実験台!?お龍の秘密と古歌が示す天狗の隠れ里

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長崎出島での大騒動の後、桃色助平太一行は、阿蘭陀お龍の屋敷へと戻った。月光草を手に入れたものの、お龍は「古歌の解読の前に、少々興味深い『実験』にお付き合い願いますわ、特にそこの変態侍さんには」と、妖しい笑みを浮かべていた。
案内されたのは、屋敷の地下にある、さらに怪しげな器具や薬品が並ぶ秘密の研究室であった。壁には人体解剖図らしきものや、意味不明な数式がびっしりと書き込まれている。
「おお!この部屋!なんとアカデミックで、そして背徳的な香り!まるで、禁断の知識を探求する錬金術師の隠れ家のよう!この助平太、貴女様の『知的なる変態性』に、ますます興味が湧いてまいりましたぞ!」
助平太は、目を輝かせて部屋の隅々まで見回している。
「うふふ、光栄ですわ。では早速、あなたのその…常軌を逸した『変態エネルギー』と、月光草の相互作用について、詳しく調査させていただきますわね」
お龍は、助平太を奇妙な金属製の椅子に座らせると、頭や手足に電極のようなものを取り付け始めた。さらに、月光草を蒸留して作ったという怪しげな緑色の液体を飲ませようとする。
「さあ、これを飲んで、あなたの『リビドー』を最大限に高めてくださいな。どんな反応が起きるか、実に楽しみですわ」
「なんと!これは『精力増強秘薬』でござるか!?おお、お龍殿、貴女様は拙者の理解者!喜んでこの身を捧げましょうぞ!」
助平太は、疑うこともなく(むしろ期待に胸を膨らませて)その液体を飲み干した。
「このド変態、何飲まされてるか分かってんのかゾ…」プルルンが呆れ顔で呟く。
辰五郎とカゲリは、お龍の常軌を逸した実験(という名の助平太いじり)を、若干引きながらも、どこか面白そうに見守っている。
助平太に様々な刺激(美しい女性の絵を見せる、悩ましげな声を聞かせる、くすぐるなど)を与え、その際の月光草の光の変化や、助平太自身の生理的反応(心拍数、発汗量、そして何故か鼻血の噴出量など)を、お龍は冷静沈着に記録していく。
「ふむ…なるほど。彼の『変態エネルギー』は、月光草の持つ魂の増幅作用と共鳴し、特定の周波数の『快楽波動』を放出するようですわね。これは…ひょっとすると、古代の封印を解く鍵になるやもしれませんわ」
お龍は、眼鏡の奥の瞳を妖しく光らせた。
数日間に及ぶお龍の「実験」と並行して、月光草の光を使った古歌の解読も進められた。それは、まさしく知恵の輪のような、複雑怪奇なものであった。カゲリが古文書の知識を活かし、辰五郎が江戸っ子の勘で「この文字、なんか団子みてえだな!」と的外れなようでいて核心を突くヒントを出し、プルルンが妖怪としての直感で「この部分、なんかケモノ臭いんだゾ!」と重要な指摘をする。そして助平太は…
「おお!この文字のうねり!この墨の掠れ具合!これは間違いなく、恋に悩む乙女が、その秘めたる想いを綴った恋文の一部!この『く』の字のハネは、彼女の恥じらいを表し、この『め』の字の丸みは、彼女の豊満なる乳房を…」
「お前の解読は全部それか!」
しかし、そんな助平太の変態的妄想が、時折、お龍の知的な閃きと奇跡的に結びつき、暗号は一つ、また一つと解き明かされていった。どうやら、古歌は、男女の交わりや生命の誕生といった、根源的な「性」のメタファーで満ちており、助平太の歪んだ知識(?)が、その解読に役立ったらしい。
その間、一行は長崎の町でしばしの休息と情報収集を楽しんでいた。助平太は、唐人屋敷で出会った、スリットの深いチャイナドレスを纏った美女の「脚線美の黄金比」に開眼し、その研究に没頭。丸山遊郭では、「花魁道中の艶やかさと、その裏に隠された悲哀のコントラストの美学」について熱く語り、遊女たちから逆にドン引きされていた。辰五郎は、ちゃんぽんや皿うどんといった長崎名物を食べ歩き、すっかり体重を増やしている。カゲリは、出島のオランダ商館で、珍しい南蛮渡来の武器やカラクリに目を輝かせていた。プルルンは、港でオランダから来たという大型犬(マスチフ)と縄張り争いを繰り広げ、最終的にはその背中に乗って遊ぶという奇妙な友情を育んでいた。
一方、江戸城では、玉藻の前が、お蝶と玄蕃からの報告に、扇の奥で静かに怒りを燃やしていた。
「…またしても、あの桃色の変態侍にしてやられたと申すか。お蝶、玄蕃、そなたたちの失敗は、この妾の計画に大きな遅れを生じさせておる。もはや猶予はない。次こそは、必ずや『天逆毎の鍵』を全て奪い、そしてあの不愉快な変態侍を、この世から消し去るのじゃ。そのためには…『変態四天王』の残り二人を差し向ける必要があるやもしれぬのう…」
玉藻の前の呟きは、長崎にいる助平太たちの知らないところで、新たな脅威の胎動を告げていた。
そして、ついに古歌の解読が完了した日。お龍は、一枚の羊皮紙に清書された解読結果を、助平太たちの前に広げた。
「…解読できましたわ。あなた方が探している次の『天逆毎の鍵』の破片は、九州のさらに奥深く、霧深い山々に隠された『天狗の隠れ里』にあります。そこは、古来より俗世との関わりを絶ち、独自の戒律と文化を守る天狗たちが住まう秘境。そして、鍵の破片は、その里の長老が守る『神籬(ひもろぎ)の石』に封じられているとのことですわ」
「天狗の隠れ里!そして長老天狗!おお!それはまた、新たな『美の境地』が待っていそうでござるな!天狗の美女は、その鼻の高さ故に、接吻の際にはどのような角度で…むふふ、想像しただけで、この助平太、天にも昇る心地でござる!」
「お前は本当にどこへ行ってもそればっかりだな…」
「ただし」とお龍は言葉を続けた。「その隠れ里へたどり着くには、険しい山道を踏破し、天狗たちが仕掛ける様々な『試練』を乗り越えなければなりません。そして、里の天狗たちは、人間に対して強い警戒心と、時には敵意を抱いているとも聞きます。あなた方のような『珍獣ご一行』が無事にたどり着けるかどうか…見ものですわね」
お龍は、美しい唇に皮肉な笑みを浮かべた。
「望むところでござる!いかなる試練であろうとも、この桃色助平太、我が変態道と、仲間たちとの絆をもって乗り越えてご覧にいれましょうぞ!」
助平太は、新たな冒険への期待に胸を膨らませる。
お龍は、解読の礼として、一行にいくつかの南蛮渡来の便利な道具(強力な煙幕弾、万能解毒薬、そしてなぜか非常に肌触りの良い絹のハンカチーフなど)を渡した。そして、意味深な言葉を付け加える。
「この先の旅も、退屈せずに済みそうですわね…うふふ、せいぜい私の『研究対象』として、面白いデータを提供し続けてくださいな、変態侍さん」
こうして、四つ目の「天逆毎の鍵」の破片の手がかりを得た助平太一行は、お龍に見送られ(という名の観察を受け)、長崎の港を後にした。目指すは、九州の山深くに隠された「天狗の隠れ里」。しかし、彼らの出発を、港の物陰から鋭い目で見つめる二つの影があった。血煙のお蝶と鉄仮面の玄蕃である。彼らの手には、玉藻の前から授けられたのであろう、新たな妖気を放つ武器が握られていた…。
(第十九話 了)
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