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第二十一話:天狗の試練は蜜の味!?変態真心、聖域を揺るがす!
しおりを挟む霧深い九州の山中、ついに天狗の隠れ里の入り口にたどり着いた桃色助平太一行。しかし、彼らの前に立ちはだかったのは、鋭い眼光を放つ屈強な烏天狗の門番たちであった。
「人間風情が、我らが長老に何の用だ。この先は天狗の聖域。ただでは通さぬぞ」
門番のリーダー格らしき、一際大きな羽を持つ烏天狗が、威圧するように告げる。
「おお!なんと勇ましきお姿!その黒々とした羽の艶!風を切るその音!そして、その鋭き嘴(くちばし)!まるで、夜空を統べる猛禽の王!この助平太、貴殿方のその『野性的なる機能美』に、深く感銘を受けておりますぞ!」
助平太は、天狗たちを前にしても臆することなく、いつもの調子でその「美」を熱っぽく語り始めた。
「……なんだこの人間は。気味が悪い」
「頭のネジが数本飛んでいると見える」
天狗たちは、助平太の常軌を逸した言動に若干引きながらも、警戒を解かない。
「我らが長老に謁見を願うというのならば、それ相応の『覚悟』と『真心』を示してもらおうか。最初の試練はこれだ!」
リーダー格の烏天狗が、傍らの岩壁を指さした。そこには、古びた石碑が埋め込まれており、何やら難解な絵姿と文字が刻まれている。
「この石碑に刻まれた『古の謎かけ』を解き明かせ。ただし、力ずくで石碑を傷つけようものなら、即刻叩き出す。期限は、日が最も高く昇るまでだ」
「謎かけですと!なんと!それはまた、知的なる遊戯!この助平太、おなごの『心の謎』を解き明かすのは得意中の得意!きっと、この石碑の謎も、その『秘めたる部分』を優しく愛でるように紐解いてご覧にいれましょうぞ!」
「お前の解釈は全部そっち方面なんだな…」辰五郎が呆れ顔で呟く。
石碑に刻まれた謎は、天狗の古い言葉で書かれており、その内容は「天を覆う翼、地を潤す涙、そして夜を焦がす恋心。この三つが交わる時、隠されし道は開かれん」といった、何とも詩的で曖昧なものであった。
カゲリは、持ち前の知識で古い天狗文字を解読しようと試みる。辰五郎は、「翼ってんだから、鳥でも捕まえてくりゃいいのか?」と、的外れなようでいて単純な発想を巡らせる。プルルンは、「涙ってのは、アタイがこのド変態のせいで毎日流してるヤツのことかゾ?」と不機嫌そうだ。
助平太は、石碑に描かれた、翼を持つ女性(天狗の女神か何かだろうか)の絵姿に釘付けになっていた。
「おお!この女神様の、なんと豊満なるお胸!そして、その翼の生え際から覗く、柔らかなる脇の下!ああ、この助平太、その『聖なる腋(わき)』に、我が顔を埋めてみたいものでござる!そして、この『恋心』とは、もしやこの女神様が、夜な夜な人知れず、たくましき若天狗と…むふふ、想像しただけで、筆が…いや、鼻血が…」
助平太が、またもや変態的な妄想の世界へ旅立とうとしたその時、彼の脳裏に、ある閃きが舞い降りた!
「…そうだ!翼は空!涙は雨!そして恋心は…炎!空と雨と炎が交わる場所…それは、雨上がりの虹!そして、虹の袂(たもと)には、お宝が隠されているという言い伝えがある!つまり、この石碑のどこかに、虹の絵柄か、あるいはそれに類する『七色の印』が隠されているのでござる!」
助平太の、あまりにも突飛で、しかし妙な説得力のある解釈に、仲間たちも、そして監視していた烏天狗たちさえも、一瞬言葉を失った。
「…ド変態のくせに、たまに鋭いこと言うんだよな、こいつ…」プルルンが呟く。
一行は、助平太の指示に従い、石碑の表面を丹念に調べ始めた。すると、カゲリが、石碑の隅に、ごく小さな七色の鉱石が埋め込まれているのを発見した!
「あったぞ!これか!?」
助平太が、その七色の鉱石を、特定の順番で(もちろん、おなごの体の特定部位を愛でるような手つきで)優しく撫でると、ゴゴゴゴ…という音と共に、石碑の背後の岩壁がゆっくりと開き、新たな道が現れたではないか!
「なんと!本当に道が開いたでござるか!さすがは拙者の『変態的直感』!」
「…ま、まぐれだろ、たぶん…」
烏天狗たちは、信じられないといった表情で顔を見合わせている。
「…人間風情が、まさかこの謎を解くとはな。だが、試練はまだ終わっておらんぞ!」
新たな道を進む一行。次に彼らを待ち受けていたのは、鬱蒼とした「迷いの森」であった。一度足を踏み入れると、方向感覚を失い、同じ場所をぐるぐる回ってしまうという。そして、森の奥からは、美しい女天狗の歌声のようなものが聞こえてくる。
「おお!あの歌声!なんと甘美で、そして悩ましげな!これは、拙者を誘う『愛のセレナーデ』に違いありませぬぞ!」
助平太が歌声に誘われて森の奥へ進もうとするが、それは巧妙な罠であった。足元の木の根が蛇のように動き出し、一行に絡みついてくる!
「きゃあっ!?」カゲリが足を取られる。
「うおおっ!なんだこの根っこは!」辰五郎も応戦する。
その混乱の最中、森の木々の間から、血煙のお蝶と鉄仮面の玄蕃が、鬼のような形相で襲いかかってきた!
「うふふ、変態侍さん、こんなところで油を売っている場合かしら?あなたたちの『試練』、私たちもご一緒させていただくわ!」
お蝶の妖刀「紅蜘蛛」が、助平太の首筋を狙う!玄蕃の鉄甲パンチが、辰五郎の顔面を捉えようとする!
「おのれ、また貴様らか!天狗の聖域を荒らすとは、許せん!」
烏天狗の門番たちも、この乱入者に気づき、空から急降下して戦闘に加わった!
天狗の隠れ里の入り口は、助平太一行、お蝶・玄蕃の刺客組、そして怒れる烏天狗たちが入り乱れての、まさに三つ巴の大乱戦の舞台と化した!
烏天狗たちは、その翼で自在に空を舞い、鋭い爪や槍で刺客たちを攻撃する。お蝶は、天狗たちの攻撃を華麗にかわしながら、助平太に妖艶な視線を送り続ける。玄蕃は、その剛腕で天狗たちを薙ぎ払い、力任せに道を切り開こうとする。
そして助平太は…
「おお!あの女天狗殿(烏天狗だが、助平太の目には美女に見えているらしい)の、空を舞うお姿!その羽ばたきに合わせて揺れる、豊満なるお胸!そして、風を孕むその緋色(ひいろ)の袴の奥には、一体どのような『秘め事』が隠されているのでござろうか!この助平太、その『高嶺の花』を、いつか必ずや手折ってご覧にいれましょうぞ!」
と、戦いの真っ最中にも関わらず、烏天狗の(おそらくは屈強な男性の)一人に熱烈な視線を送り、口説き始めた。
そのあまりの変態ぶりに、攻撃してきた烏天狗は一瞬動きを止め、「…こいつ、本物だ」と戦慄した。その隙を突き、プルルンが烏天狗の足元に擬態したヘビを這わせ、驚かせて体勢を崩させる。
「このド変態!少しは手伝えだゾ!」
「うふふ、プルルン殿、これぞ拙者なりの『援護射撃』でござるよ」
激しい三つ巴の戦いの末、お蝶と玄蕃は、天狗たちの予想以上の強さと、助平太一行の奇想天外な戦法に苦戦し、再び撤退を余儀なくされた。
「覚えてらっしゃい、変態侍!この天狗の隠れ里、必ずやお前たちの墓場にしてあげるわ!」
刺客を退けた後、烏天狗のリーダーは、助平太たちの前に降り立ち、深くため息をついた。
「…お前たち人間、特にそこの桃色の変態侍。理解しがたい存在だが、その『真心』(なのか何なのかは分からんが)と、刺客を退けた実力は認めよう。長老様も、お前たちに会うことをお許しになるだろう」
ついに、天狗の隠れ里の長老への謁見を許された助平太一行。烏天狗に導かれ、彼らが足を踏み入れたのは、霧の奥に広がる、俗世とは隔絶された神秘的な集落であった。そこには、巨大な杉の木の上に建てられた家々や、清らかな滝が流れ落ちる渓谷など、想像を絶する美しい光景が広がっていた。
そして、その里の最も高い場所にある、荘厳な社(やしろ)の中に、威厳に満ちた白髪の老天狗が、静かに一行を待ち受けていた。
「よく参った、人間たちよ。そして…風変わりな『美の探求者』よ」
長老天狗の深い声が、社に響き渡った。その目は、助平太の心の奥底まで見透かしているかのようであった。
(第二十一話 了)
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