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第三十話:竜宮城に響く嬌声!?ぽっちゃり刺客(?)お福ちゃんとこちょこちょ地獄!
しおりを挟む廃墟と化した竜宮城、その最深部「潮騒の玉座」。眠れる乙姫様と五つ目の「天逆毎の鍵」の破片を巡り、桃色助平太一行と海の守り手・鋏之介&墨之丞、そして玉藻の前の刺客・血煙のお蝶&鉄仮面の玄蕃による激しい三つ巴の戦いの火蓋が切って落とされた!
お蝶の妖刀「紅蜘蛛」が妖艶な軌跡を描き、玄蕃の鉄甲が空気を震わせる!鋏之介の巨大なハサミが迎え撃ち、墨之丞の触手が変幻自在に敵を絡め取ろうとする!カゲリのクナイが闇を走り、辰五郎の銛が力強く突き出され、プルルンが戦場をちょこまかと動き回り、助平太は…
「おお!この三つ巴の死闘!美女と野獣と海の幸!まさに『美の坩堝(るつぼ)』!この助平太、そのカオスの中から、新たな『エロスの秩序』を見つけ出してご覧にいれましょうぞ!」
と、筆を片手に(なぜか)恍惚の表情で戦況を分析(という名の鑑賞)していた。
その時、戦いの喧騒をぶち破るように、のんびりとした、しかしよく通る声が玉座の間に響き渡った。
「あらあら~、なんだかこっちの方から、お魚の焼けるいい匂いがすると思ったら、皆さんお祭りでもやってらっしゃるのかしら~?」
声の主は、どこからともなくひょっこりと現れた、福々しい体つきの若い女であった。年の頃は二十歳前後か、桜色のふっくらとした頬に、人の好さそうな笑顔を浮かべ、手には大きな串団子を三本も持っている。豊かな胸元と、丸みを帯びた腰つきは、まさに健康的な「ぽっちゃり美人」といった風情だ。その名は「お福(おふく)」。
「な、何奴だ!?」お蝶が驚いて振り返る。
「…敵か?」玄蕃が低い声で唸る。
「お嬢ちゃん、ここは危ねえから、とっとと逃げな!」辰五郎が叫ぶ。
しかし、お福は戦場の緊迫感などどこ吹く風、きょとんとした顔で周囲を見回し、首を傾げた。
「お祭りじゃないのかしら?あら、でも、あの蟹のお侍さんと蛸のお侍さん、なんだか強そうでおいしそう…じゃなくて、かっこいいですわねぇ」
お福は、鋏之介と墨之丞の異形に目を輝かせ、なぜか食欲をそそられているようだ。
その時、お蝶が放った蜘蛛の糸が、狙いを外れてお福の脇腹あたりをかすめた!
「ひゃひゃひゃひゃっ!あっはははは!だ、だめぇ~!そこは…そこはこしょばいんだってばぁ~!」
お福は、突然の刺激に、持っていた団子を宙に放り投げ、その場で転げ回って大爆笑し始めた!そのあまりの反応の良さ(?)と、無防備に晒された柔らかな肌に、敵も味方も一瞬動きが止まる!
「おおおおおっ!なんと!あの福々しいお体!そして、あのこちょこちょに悶えるお姿!その無邪気なまでの嬌声!まさに『快楽の女神、降臨』!この助平太、新たな『美の扉』が、今、目の前で開かれようとしておりますぞ!」
助平太の目が、これまでにないほど爛々と輝き始めた!新たな「萌え属性」の発見に、彼の変態魂が激しく共鳴している!
「な、なんなのよ、この女は!?」お蝶が、お福の常軌を逸した反応に完全にペースを乱されている。
「…理解不能な状況だ」玄蕃も、鉄仮面の下で困惑しているに違いない。
お福は、その後も戦闘の余波で、あちこちをくすぐられる羽目になった。例えば、墨之丞が威嚇のために振り回した触手の先端が、偶然お福の足の裏を撫でてしまい、「あっはっはっは!足の裏は反則だってばぁ~!ひゃははは!」と、墨をまき散らしながら逃げ惑う墨之丞を追いかけ回したり(本人はくすぐったくて逃げているだけ)、プルルンが面白がって擬態した毛虫(もちろん擬態なので毛はない)で首筋をこちょこちょし、「いやぁ~ん!毛虫さんは苦手なのぉ~!でもくすぐったぁ~い!」と、戦場を奇声と爆笑を上げながら駆け巡り、結果的に敵の攻撃をことごとく妨害し、味方を(意図せず)助ける形となった。
「おのれ…!このぽっちゃり女め!邪魔をするな!」
お蝶が、苛立ち紛れにお福に斬りかかろうとした。その時、お福は驚いて、懐から何かを取り落とした。それは、強烈な匂いを放つ、巨大な「くさやの干物」であった!
「あっ!わたくしの大事なくさや様が!」
くさやの干物は、運悪く玄蕃の足元に転がり、そのあまりの悪臭に、さすがの鉄仮面も顔をしかめ(ているように見え)、一瞬動きが止まった!
「ぐっ…!こ、この臭いは…!?」
「今だ!畳み掛けるぞ!」
辰五郎とカゲリは、この千載一遇(?)のチャンスを逃さなかった!辰五郎の渾身の一撃が玄蕃の胴体に、カゲリの素早いクナイが(臭いに顔をしかめている)お蝶の腕を掠める!
「くっ…このままでは…!」
お蝶と玄蕃は、お福という規格外の乱入者と、助平太一行の予想外の粘りに、徐々に追い詰められていく。特に、助平太が「お福殿!そのくすぐったがるお姿、実に、実に…筆舌に尽くしがたい『美』でござる!もっと!もっとその『生の悦び』を、我々に見せてくだされ!」などと叫びながら、お福を(結果的に)援護しているのが、彼らにとっては最大の誤算であった。
戦いの喧騒と、お福の嬌声と、助平太の奇声が入り乱れる中、玉座で眠っていた乙姫様の体から、ふわりと淡い光が放たれ始めた。胸の上に置かれた五つ目の鍵の破片もまた、その光に呼応するように、より一層強く輝きを増していく!
「な、なんだ…!?乙姫様が…!?」鋏之介が目を見開く。
「おお!乙姫様!ついにその『目覚めのエロス』を、我々にご開帳してくださるのでござるか!?」助平太の期待は最高潮に達する!
お福は、ようやくくすぐったさから解放されたのか、きょとんとした顔で光り輝く乙姫様を見つめ、「あらぁ?なんだかピカピカして綺麗ねぇ。お腹空いちゃったわぁ」と、相変わらずのマイペースぶりを発揮している。
お蝶と玄蕃は、乙姫様のこの予期せぬ変化を前に、一瞬躊躇の色を見せた。このまま戦いを続けるべきか、あるいは一旦退いて玉藻の前に報告すべきか…?
その時、お福が、お腹を押さえながら助平太に近づき、小首を傾げて尋ねた。
「ねえねえ、そこの変な格好のお侍さん。あなた、さっきからとっても楽しそうだけど、もしかして美味しいお団子とか、持ってないかしら?」
乙姫様の覚醒の兆し、強敵の刺客、そして食いしん坊のぽっちゃり乱入者。竜宮城の玉座の間は、ますますカオスな状況へと突き進んでいくのであった!
(第三十話 了)
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