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第一話「さすらいの軍神」
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──荒廃した街を、ボロ雑巾のようにさすらう。
火薬の爆撃により吹き飛んだ家屋。その下敷きとなって潰れている人間達は、辺りに臓物や骨を晒して無惨な屍と成り果てていた。
日が昇り切った今でも瓦礫と瓦礫の間から黒煙が天高く登り、この地で起きた混沌の数々を体現しているようだった。
太陽は皮肉を言うかのように顔を出し、ギラギラと地上を焼き焦がす。
亜人ユニオンが武力蜂起したことで始まった今回のクーデター。その中に鎮圧剤として投下されたのが、僕が所属する対亜人軍隊であるAKSMUであった。クーデターは昨晩で終わりを迎えたが、その代償として亜人ユニオンに所属していたすべての亜人の死と、近隣に住む罪のない人々の死は免れなかった。
──そしてAKSMUメンバーの死も、防ぐことはできなかった。
唯一の生き残りである僕も、身体に深刻なダメージを負った。竜の回復能力でも追いつかないほどに。
愛用していたサーベルはボロボロに刃こぼれし、今では僕の体を支える杖と成り果ててしまった。
僕は返り血や黒炭がへばりついた軍服を羽織り、カツカツと剣先で地面を掴みながら荒地の中を茫然と彷徨っていた。
作業のように足を運んで瓦礫の隙間を進んでいると、白い塗料で塗られた家屋を見つけた。戦場跡地の中ではどの建物よりも綺麗に外装が残っており、骨組みは焼け落ちずに健在であるようだ。
僕は壁にもたれかかり、全体重を預けながらずるりと腰を下ろす。
ふーっと息をついたのち、ウエストホルスターから一丁の拳銃を取り出した。AKSMUに所属することを許された軍人にのみ与えられる拳銃、黒鉄銃。僕が愛用しているサーベルはアーデリナ国軍軍人全員に支給されるが、この銃だけは例外になる。
弾倉を確認すると、残っている弾はあと一発。
『それ』をするには十分な弾数であった。
この世界に存在する二つの種族──人と、亜人。
長年に渡り繰り返される二つの種族の争いに終止符を打つ。その為に軍に入隊したというのに、争いを止めるどころか、僕はその争いに加勢し、両者の溝をより一層深くしてしまった。
償いをしなくてはならない。
自らの愚かさと非力さとこれまでの愚行。その全てを僕自身の死をもって償うのだ。
僕はこめかみに銃口を突きつけ、静かに引き金を引こうとした。
──幕引きだ。
「口を挟むようですまないが、自害ほどつまらないことはないよ。少年」
突如聞こえてきた何者かの声に、僕は引き金にかけた手を静止してしまった。
火薬の爆撃により吹き飛んだ家屋。その下敷きとなって潰れている人間達は、辺りに臓物や骨を晒して無惨な屍と成り果てていた。
日が昇り切った今でも瓦礫と瓦礫の間から黒煙が天高く登り、この地で起きた混沌の数々を体現しているようだった。
太陽は皮肉を言うかのように顔を出し、ギラギラと地上を焼き焦がす。
亜人ユニオンが武力蜂起したことで始まった今回のクーデター。その中に鎮圧剤として投下されたのが、僕が所属する対亜人軍隊であるAKSMUであった。クーデターは昨晩で終わりを迎えたが、その代償として亜人ユニオンに所属していたすべての亜人の死と、近隣に住む罪のない人々の死は免れなかった。
──そしてAKSMUメンバーの死も、防ぐことはできなかった。
唯一の生き残りである僕も、身体に深刻なダメージを負った。竜の回復能力でも追いつかないほどに。
愛用していたサーベルはボロボロに刃こぼれし、今では僕の体を支える杖と成り果ててしまった。
僕は返り血や黒炭がへばりついた軍服を羽織り、カツカツと剣先で地面を掴みながら荒地の中を茫然と彷徨っていた。
作業のように足を運んで瓦礫の隙間を進んでいると、白い塗料で塗られた家屋を見つけた。戦場跡地の中ではどの建物よりも綺麗に外装が残っており、骨組みは焼け落ちずに健在であるようだ。
僕は壁にもたれかかり、全体重を預けながらずるりと腰を下ろす。
ふーっと息をついたのち、ウエストホルスターから一丁の拳銃を取り出した。AKSMUに所属することを許された軍人にのみ与えられる拳銃、黒鉄銃。僕が愛用しているサーベルはアーデリナ国軍軍人全員に支給されるが、この銃だけは例外になる。
弾倉を確認すると、残っている弾はあと一発。
『それ』をするには十分な弾数であった。
この世界に存在する二つの種族──人と、亜人。
長年に渡り繰り返される二つの種族の争いに終止符を打つ。その為に軍に入隊したというのに、争いを止めるどころか、僕はその争いに加勢し、両者の溝をより一層深くしてしまった。
償いをしなくてはならない。
自らの愚かさと非力さとこれまでの愚行。その全てを僕自身の死をもって償うのだ。
僕はこめかみに銃口を突きつけ、静かに引き金を引こうとした。
──幕引きだ。
「口を挟むようですまないが、自害ほどつまらないことはないよ。少年」
突如聞こえてきた何者かの声に、僕は引き金にかけた手を静止してしまった。
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