異世界召喚に巻き込まれたおばあちゃん

夏本ゆのす(香柚)

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それぞれのつぶやき

ミャオの寝袋夫婦のつぶやき

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☆☆☆  《宿屋ミャオの寝袋 》の夫婦の会話  ☆☆☆


 アンナさんから大事な客だと紹介されたお婆さん、コーユ様。昨夜は疲れた顔をしてたから、食事も取らずに寝たみたいだ。今朝は朝食をしっかり召し上がっていたが、時々首を傾げながら食べていた。ただ、スープは残していたな。
 割合早く宿を出て行ったが、どこに行ったのだろう。

 夜は食べるって言ってたから、帰ってはくるだろう。

「あんた、あの人荷物を全て持って出ていってる。部屋に何もないよ」

 部屋の掃除をするため入ってみたら、何もなかったって?
 何か気に入らない事でもあったのか。そういえば、朝食のとき、きょろきょろしたり首を傾げたりしてたな。あれが駄目だったのか……

「ちょっと市場に行って食材を買い足してくる」


  市場で、コーユ様を見かけた。肉や果実水を旨そうに食べてた。やはり、味付けが駄目だったのか。

 買い足してから、またコーユ様を見かけた。野菜や果物や鶏肉を買ってた。しかも大量に。量か!! 量が足りなかったのか!
 夕食はしっかりお出ししよう。そうだ、飲み物も何か出そう。


 宿に帰ってきたコーユ様は見かけた時以上の大量の買い物をしていた。冒険者で有名なシェヌさんが見えないくらいだった。
 部屋に入ったまま、コーユ様はなかなか下りて来なかった。酒を飲む連中が増えて騒がしくなったころ、食べに下りて来られた。

 よし、今度こそ満足してもらうんだ。

 コーユ様が泣き出したと……?
 な、何があったのだろうか……
 


「どうしようかと思ったわ」
「ああ、まさか泣くとは」
「じゃなくて、なんで直ぐに出てきてくれなかったのよ」
「すまん。体が動かんかった」
「そうね、量が多いからって泣くとは思わなかったけど、あんたも何であんな勘違いしたのよ」
「いや、お前もあの量を目の前でみたらそう思う筈だ。俺たちが用意する以上の量を買ってたんだ」
「は?」
「それに俺が見た時の焼き肉の量は三人分はあった」
「え?」
「今思えば、あの付いてた冒険者の分もあったんだろうな」
「ご自分で買ってたの?」
「自分で持ってた」

 顔を見合せて、ため息をつくしかなかった。



 おいっ!! お付きの意味はどこ行ったー!!




☆☆☆  《ミャオの寝袋》夫婦の会話  ☆☆☆

 ギルドのアンナさんから紹介されたコーユ様が今朝、旅だった。
 はぁ……緊張の糸が切れたように椅子に座り込んでしまった。まだ、他のお客さんがいるというのに。
 常連の客は俺達の肩をぽんと叩き店を出ていく。
 また、昨日もいた客は何事だと注視してたからか、呆れたように両手を広げ肩を竦めて部屋へ帰っていった。

 本当に疲れたんだよ!!  ギルドから、紹介された上客は評価が良ければ次にまた紹介してもらえる鍵となる。

 だけど、彼女は何かあっても文句は言わず、常に丁寧に接してくる。何かあるたびごめんなさいと、すみませんと……それは、本来は俺たちがする事、言うことだ。
 居心地の良い部屋。うまい食事。笑顔の接客。
 俺たちは、忙しい毎日で、驕って無かっただろうか。客は満足していたのだろうか。考えてさせられた。
 この宿を始めた時の、あの思いを取り戻した気がする。
 今日から、またやり直しだ。どこよりも、客にまた来たいと言ってもらえる宿にしよう。

「あんた、この皿をみて」

 ん、それはコーユ様が食べ終わった席の皿。なんと、スープが赤い!!
 なんだ、この赤いスープは。指につけて舐めてみた。甘味と旨みが……酸味も感じる……こ、これはマテの味。

「おい、コーユ様が途中でスープに何をいれたか見たか」
「小さな壺をみた気もするけど……」
「舐めて見ろ、たぶんマテのような気がするんだが」
「ええ!! これはマテよ」
「マテをどうにかすると……こんなに旨くなるのかスープが……」
「コーユ様……」
「次にコーユ様が来るまでにこの味を完成させる!」
「コーユ様が私達に足りない味を教えて下さったのね」




 コーユ様、ありがとうございます。次にいらっしゃるまでにこの味を、このスープを完成させてみせます。
 この頂いた金貨を元に。




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