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4.三度目は必然!?
三度目は必然!?③
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「忘れるなよ? 後で連絡するから」
そんな莉桜の気持ちを見透かしたかのように耳元に囁くとにっと笑って、五十里はさっさと歩いていった。
見送りながら莉桜はぼうっとしてしまう。
(忘れるなって)
どうやら本当にあったことらしい。
(夢じゃない……んだ)
莉桜は頬が赤くなってぽわっとした気持ちになるのを抑えることができなかった。
訓練を終えて、ロッカールームに戻り着替えをしてスマートフォンを確認すると『よろしく』とメッセージが残っている。
それを改めて見て、本当に交際することになったんだと実感した莉桜なのだ。
莉桜が自宅に帰り、シャワーを浴びるとスマートフォンが着信を知らせていて、慌てて通話ボタンを押す。相手は五十里だった。
「はい」
『五十里だけど、今大丈夫か?』
ちゃんと状況は確認してくれるらしいと莉桜はなんだか微笑ましいような気持ちになる。
スマートフォンから聞こえる声はやはり美声で甘く響く声にどきどきしてしまう。
『ん? 聞こえてる?』
「はい。聞こえてますよ。今、大丈夫です」
初めての通話はなんだかくすぐったいような気持ちだ。
『よかった。客室乗務員の訓練というものは今日初めて見たんだが、なかなかに迫力のあるものだな』
「そうですね。本番同様にやらないと意味がないんです。実際その場になった時自然に身体が動くぐらいに叩き込まれます」
『ああ、何度もやっているって感じだったな』
「訓練は年に何度かありますからね。客室乗務員はお客様の命をお預かりしていますから」
『うん。その真剣さは感じたよ。明日は?』
「明日は新機種でのサービスの訓練です」
今日の訓練は非常時の訓練だったので、明日はサービスの訓練なのだ。
『訓練、訓練だな』
電話の向こうから感心したような声が聞こえる。莉桜は頷いた。
「そうです。だから、素晴らしいシミュレーターをありがとうございます」
『お役に立てて何よりだ。まさか、こんな形で現場の声を聞くことになるとは思わなかったが』
電話の向こうからはくすくすと楽しそうな笑い声が聞こえた。
『訓練のあとは? 乗務か?』
「はい。四勤二休が勤務体系なので、今日が一日目の勤務で明日も訓練、明後日とその次は国内線乗務です」
航空会社の勤務体系は独特なので先に説明しておいた方がいいと莉桜は思ったのだ。
『では帰ってきた日は迎えに行く。帰り時間は?』
五十里から迎えに行くなんて言われて、どきどきしてしまった。
莉桜は慌ててスマートフォンの画面を切り替えて予定表を見つける。
その日は九州の夜便の乗務で羽丘戻りだった。
「三日目が中部ステイなので、その後九州まで飛んで、夜九州から戻ります。帰着は21時頃の予定ですね」
『なかなかハードなスケジュールだ』
莉桜は首を横に傾げた。通常の乗務なのだ。
「これ、普通ですよ」
『そうなのか? すごいな……』
「客室乗務員は体力勝負です!」
『体力勝負の彼女とはなかなかに逞しい。君と話していると楽しい。癒されるよ』
「え……」
そんな風に言ってもらえるとは思わなくて、たまにぽろっととこぼす五十里の本音にはいつもどきどきさせられてしまう。
(逞しいって言われてしまった。褒められたと思っておこう)
楽しいとか癒されるというのは間違いなく褒め言葉なのだからと、莉桜は自分で自分を納得させる。
次の約束をしたら、なんだか楽しみになってきて心がうきうきとするのが分かった。
残り三日の勤務も乗り越えられそうだ。
莉桜は客室乗務員として三年目になるが、今まで仕事が忙しくてお付き合いというものを考えたことはなかった。
ましてやそれがお客様なんてことはあり得ない。
そんなことすら五十里は乗り越えさせてしまった。
少し強引だけれど、五十里が素敵な人であることは間違いなかった。
『帰着して会うのを楽しみにしてるよ』
「はい。私も楽しみにしています」
『やっと素直に言ったな』
嬉しそうな電話の向こうの声に莉桜はなんだか照れてしまう。
幸せな心地だった。
そんな莉桜の気持ちを見透かしたかのように耳元に囁くとにっと笑って、五十里はさっさと歩いていった。
見送りながら莉桜はぼうっとしてしまう。
(忘れるなって)
どうやら本当にあったことらしい。
(夢じゃない……んだ)
莉桜は頬が赤くなってぽわっとした気持ちになるのを抑えることができなかった。
訓練を終えて、ロッカールームに戻り着替えをしてスマートフォンを確認すると『よろしく』とメッセージが残っている。
それを改めて見て、本当に交際することになったんだと実感した莉桜なのだ。
莉桜が自宅に帰り、シャワーを浴びるとスマートフォンが着信を知らせていて、慌てて通話ボタンを押す。相手は五十里だった。
「はい」
『五十里だけど、今大丈夫か?』
ちゃんと状況は確認してくれるらしいと莉桜はなんだか微笑ましいような気持ちになる。
スマートフォンから聞こえる声はやはり美声で甘く響く声にどきどきしてしまう。
『ん? 聞こえてる?』
「はい。聞こえてますよ。今、大丈夫です」
初めての通話はなんだかくすぐったいような気持ちだ。
『よかった。客室乗務員の訓練というものは今日初めて見たんだが、なかなかに迫力のあるものだな』
「そうですね。本番同様にやらないと意味がないんです。実際その場になった時自然に身体が動くぐらいに叩き込まれます」
『ああ、何度もやっているって感じだったな』
「訓練は年に何度かありますからね。客室乗務員はお客様の命をお預かりしていますから」
『うん。その真剣さは感じたよ。明日は?』
「明日は新機種でのサービスの訓練です」
今日の訓練は非常時の訓練だったので、明日はサービスの訓練なのだ。
『訓練、訓練だな』
電話の向こうから感心したような声が聞こえる。莉桜は頷いた。
「そうです。だから、素晴らしいシミュレーターをありがとうございます」
『お役に立てて何よりだ。まさか、こんな形で現場の声を聞くことになるとは思わなかったが』
電話の向こうからはくすくすと楽しそうな笑い声が聞こえた。
『訓練のあとは? 乗務か?』
「はい。四勤二休が勤務体系なので、今日が一日目の勤務で明日も訓練、明後日とその次は国内線乗務です」
航空会社の勤務体系は独特なので先に説明しておいた方がいいと莉桜は思ったのだ。
『では帰ってきた日は迎えに行く。帰り時間は?』
五十里から迎えに行くなんて言われて、どきどきしてしまった。
莉桜は慌ててスマートフォンの画面を切り替えて予定表を見つける。
その日は九州の夜便の乗務で羽丘戻りだった。
「三日目が中部ステイなので、その後九州まで飛んで、夜九州から戻ります。帰着は21時頃の予定ですね」
『なかなかハードなスケジュールだ』
莉桜は首を横に傾げた。通常の乗務なのだ。
「これ、普通ですよ」
『そうなのか? すごいな……』
「客室乗務員は体力勝負です!」
『体力勝負の彼女とはなかなかに逞しい。君と話していると楽しい。癒されるよ』
「え……」
そんな風に言ってもらえるとは思わなくて、たまにぽろっととこぼす五十里の本音にはいつもどきどきさせられてしまう。
(逞しいって言われてしまった。褒められたと思っておこう)
楽しいとか癒されるというのは間違いなく褒め言葉なのだからと、莉桜は自分で自分を納得させる。
次の約束をしたら、なんだか楽しみになってきて心がうきうきとするのが分かった。
残り三日の勤務も乗り越えられそうだ。
莉桜は客室乗務員として三年目になるが、今まで仕事が忙しくてお付き合いというものを考えたことはなかった。
ましてやそれがお客様なんてことはあり得ない。
そんなことすら五十里は乗り越えさせてしまった。
少し強引だけれど、五十里が素敵な人であることは間違いなかった。
『帰着して会うのを楽しみにしてるよ』
「はい。私も楽しみにしています」
『やっと素直に言ったな』
嬉しそうな電話の向こうの声に莉桜はなんだか照れてしまう。
幸せな心地だった。
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