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4.三度目は必然!?
三度目は必然!?④
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その三日後、莉桜はデブリーフィングを終え、お疲れさまでしたと同僚たちと声をかけあったあと、ロッカールームに戻り着替えてスマートフォンをチェックした。
乗務中はスマートフォンのチェックはできないことを五十里には伝えてある。
帰着は運行情報でも確認できるから大丈夫だと言っていた。
『JSAビルから少し離れたところで車を停めて待っている』
必要なことだけ書かれたメッセージが五十里らしかった。
胸をどきどきさせながらビルを出ると三十メートルほど離れた場所にハザードを付けて停車している車を見つけた。
莉桜はキャリーバッグを引いて早歩きし車に向かうと、運転席から五十里が降りてくる。
黒のSUVからスーツ姿で降りてくる姿を見て、胸の鼓動が大きくなった。交際しようと言われてからは初めて見る姿だったからだ。
莉桜に気づいて軽く手を上げたのが見えた。思わず自分も笑顔になっていたことに莉桜は気づいていない。
「無事に戻ったな」
なんと表現すればいいのだろう。
胸をきゅっと締め付けられるような気持ちで温かさを感じる。
「ただいま、戻りました」
「おかえり」
おかえりと言ってくれる人のいることがこれほどに幸せなものだとは思わなかったのだ。
五十里は自然に莉桜を抱き寄せて軽くハグする。
「会いたかった」
甘くてストレートなその言葉に莉桜は軽く抱き返した。
五十里の腕の中はとても逞しくて、グリーンとムスクの混じった香水の香りはとても落ち着く。
「迎えに来てくださってありがとうございます」
「一刻も早く会いたかったからな」
本当にとても意外なことなのだが、五十里は思っていることを莉桜にストレートに伝えてくれる。
莉桜の方が時々その甘さに戸惑ってしまうくらいだ。
会いたかったと言われて莉桜は胸を高鳴らせた。
五十里はそんなことは気にしていないようで、莉桜の荷物を預かって後部座席に入れてくれている。
「乗って」
そう言われて莉桜は助手席に乗った。SUVではあるけれど内装はとても高級だ。
革張りのシートは外装に合わせて黒で、パネルも全て黒の革張りとなっていて、とても落ち着いた雰囲気の内装が五十里に合っていた。
「素敵な車ですね」
「ありがとう。運転は好きなんだがなかなか機会がなくてね。恋人を迎えに空港へ車で向かうのはいい気分だ」
発言の通り五十里はとてもご機嫌そうだった。
忙しい中、無理させてしまったのでは? と心配していた莉桜もホッと胸を撫で下ろす。
五十里の運転はとてもスムーズでハンドリングも丁寧だ。
「家まで送ろう。明日は休みだな?」
「ありがとうございます。明日、明後日がお休みです」
「明後日は仕事の準備もあるだろう。明日の夜、食事でも一緒にしないか?」
五十里はさすがに航空会社と仕事しているだけあって、ある程度内部のことに詳しいようだ。
「はい。あの、でもお忙しいのでは?」
「忙しいな。けれど可愛い恋人のために時間を作ることは構わない」
この人が恋人……なかなか実感は湧かないけれど、こうやって迎えにきてくれたり、一緒に食事へ行くのは確かに間違いなく恋人としての優しさだ。
──大事にされている。
そう思うと莉桜は嬉しくて、五十里を愛おしく思う。
「嬉しいです」
「よしよし、少しずつ素直に甘えるようになったな。もっと甘えていいぞ」
なんだか自分があまり懐かないネコにでもなった気分だ。
この人には素直に甘えていい。そう思えることもくすぐったくて、幸せな気分だった。
「私、さっき五十里さんの車を見つけて嬉しかったです。それって甘えてるってことじゃないんですか?」
莉桜がそう言うと五十里は運転席から手を伸ばし、わしゃわしゃと莉桜の頭を撫でる。
「そんなことを思っていたのか。たまらない。可愛いよ、莉桜」
急に名前を呼ばれてどきんと胸が大きく音を立てた。
「なんだ?」
「いえ……名前で呼ばれてちょっとどきっとしてしまっただけです。それだけです」
「ふうん? 俺のこともいつか名前で呼んでほしいな。もちろん今でもいいが」
「それは無理です……」
「じゃあ、いつか」
そう言って笑う五十里はとても幸せそうに見えて、莉桜はこの人をもっと笑顔にしたいと心から思ったのだ。
乗務中はスマートフォンのチェックはできないことを五十里には伝えてある。
帰着は運行情報でも確認できるから大丈夫だと言っていた。
『JSAビルから少し離れたところで車を停めて待っている』
必要なことだけ書かれたメッセージが五十里らしかった。
胸をどきどきさせながらビルを出ると三十メートルほど離れた場所にハザードを付けて停車している車を見つけた。
莉桜はキャリーバッグを引いて早歩きし車に向かうと、運転席から五十里が降りてくる。
黒のSUVからスーツ姿で降りてくる姿を見て、胸の鼓動が大きくなった。交際しようと言われてからは初めて見る姿だったからだ。
莉桜に気づいて軽く手を上げたのが見えた。思わず自分も笑顔になっていたことに莉桜は気づいていない。
「無事に戻ったな」
なんと表現すればいいのだろう。
胸をきゅっと締め付けられるような気持ちで温かさを感じる。
「ただいま、戻りました」
「おかえり」
おかえりと言ってくれる人のいることがこれほどに幸せなものだとは思わなかったのだ。
五十里は自然に莉桜を抱き寄せて軽くハグする。
「会いたかった」
甘くてストレートなその言葉に莉桜は軽く抱き返した。
五十里の腕の中はとても逞しくて、グリーンとムスクの混じった香水の香りはとても落ち着く。
「迎えに来てくださってありがとうございます」
「一刻も早く会いたかったからな」
本当にとても意外なことなのだが、五十里は思っていることを莉桜にストレートに伝えてくれる。
莉桜の方が時々その甘さに戸惑ってしまうくらいだ。
会いたかったと言われて莉桜は胸を高鳴らせた。
五十里はそんなことは気にしていないようで、莉桜の荷物を預かって後部座席に入れてくれている。
「乗って」
そう言われて莉桜は助手席に乗った。SUVではあるけれど内装はとても高級だ。
革張りのシートは外装に合わせて黒で、パネルも全て黒の革張りとなっていて、とても落ち着いた雰囲気の内装が五十里に合っていた。
「素敵な車ですね」
「ありがとう。運転は好きなんだがなかなか機会がなくてね。恋人を迎えに空港へ車で向かうのはいい気分だ」
発言の通り五十里はとてもご機嫌そうだった。
忙しい中、無理させてしまったのでは? と心配していた莉桜もホッと胸を撫で下ろす。
五十里の運転はとてもスムーズでハンドリングも丁寧だ。
「家まで送ろう。明日は休みだな?」
「ありがとうございます。明日、明後日がお休みです」
「明後日は仕事の準備もあるだろう。明日の夜、食事でも一緒にしないか?」
五十里はさすがに航空会社と仕事しているだけあって、ある程度内部のことに詳しいようだ。
「はい。あの、でもお忙しいのでは?」
「忙しいな。けれど可愛い恋人のために時間を作ることは構わない」
この人が恋人……なかなか実感は湧かないけれど、こうやって迎えにきてくれたり、一緒に食事へ行くのは確かに間違いなく恋人としての優しさだ。
──大事にされている。
そう思うと莉桜は嬉しくて、五十里を愛おしく思う。
「嬉しいです」
「よしよし、少しずつ素直に甘えるようになったな。もっと甘えていいぞ」
なんだか自分があまり懐かないネコにでもなった気分だ。
この人には素直に甘えていい。そう思えることもくすぐったくて、幸せな気分だった。
「私、さっき五十里さんの車を見つけて嬉しかったです。それって甘えてるってことじゃないんですか?」
莉桜がそう言うと五十里は運転席から手を伸ばし、わしゃわしゃと莉桜の頭を撫でる。
「そんなことを思っていたのか。たまらない。可愛いよ、莉桜」
急に名前を呼ばれてどきんと胸が大きく音を立てた。
「なんだ?」
「いえ……名前で呼ばれてちょっとどきっとしてしまっただけです。それだけです」
「ふうん? 俺のこともいつか名前で呼んでほしいな。もちろん今でもいいが」
「それは無理です……」
「じゃあ、いつか」
そう言って笑う五十里はとても幸せそうに見えて、莉桜はこの人をもっと笑顔にしたいと心から思ったのだ。
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