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6.黙秘します!
黙秘します!①
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その後倉橋と顔を合わせることもなく、翠咲はいつも通りの生活を送っていた。
「会議行ってきます」
「はい。行ってらっしゃーい」
翠咲が自分の席を立ち、資料を手にエレベーター前で立っていたところ、ドアの開いたエレベーターの中に倉橋がいたのだ。
「あら、倉橋先生」
「どうも」
もしかしたら、前だったらエレベーター前で引き返していたかもしれないと思うと翠咲は少し笑える。
「何か、おかしいか?」
「いいえ」
気にせず乗り込めるのは、やはり一緒に食事をしたりして、少しだけ親しくなったからかもしれない。
「この前はありがとうございました」
「いや」
相変わらず、言葉も少なく表情も薄い。
けど、これが倉橋なのだと分かっているから。
そうしたら、倉橋から声をかけられたのだ。
「あの……資料室って分かるか?」
「もちろん。資料がいるんですか?」
倉橋はこくりと頷く。
翠咲は時計を見た。
ま、少し早めに出たから、案内しても問題はないわね。
「ご案内します。案件はお分かりですか?」
「ああ、資料室の鍵も預かっている」
「じゃあ一緒に行きます。きれいに整理はされているけれど、探しにくいかもしれないので」
「助かるよ」
翠咲は資料室を案内し、倉橋が持っていたカードキーでドアを開けた。
「倉橋先生、案件の番号は分かります?」
「ああ。これだな」
倉橋は胸ポケットから携帯を取り出して、メモ機能を呼び出している。
翠咲はその画面をひょいっと覗き込んだ。
「ん? 2年くらい前ですね。えーと、あっちの棚かな」
一瞬、倉橋との距離がとても近くなって、柑橘系の爽やかな香りが鼻をくすぐる。
何かつけているのかな……さすがイケメン弁護士、いい匂いがする。
翠咲は資料室の奥へと入っていった。
「資料は年ごとで分かれてるんです。案件番号順になっているから……んーこの番号は」
二人は目の前にそびえるような資料の棚を見上げた。
「あの辺……か」
「ですね。確か、脚立が」
翠咲が資料室の中を見回すと、棚の角に可動式の脚立がある。
「あ! あれです」
それをコロコロと引っ張ってきて、めぼしい場所に置いた。
そしてその脚立に翠咲は足をかける。
「おいっ!」
くるりと視界が反転して、倉橋に腕を引かれてその胸の中に抱きこまれた。
「それ、ロックしないで登ったら危ないだろう?」
確かにキャスターのついた脚立にロックをしないで上がったら、危ない。
「……ご、ごめんなさい」
倉橋はぎゅっと翠咲を抱きしめる。
「せ……んせい……?」
「僕は後悔したことはない。」
「はあ……」
なんで抱きしめられたまま、そんな話を聞いているのか。
「けど、この前は後悔したんだ」
ん?この前……食事に行った時のことだろうか?
はっ!
そういえば、倉橋にご馳走になってしまった。
翠咲は出すと言ったのだが、倉橋が全然譲ってくれなくて。
「あの! ご飯のことなら……」
「ご飯? 君は何を言っている?」
はあ……と倉橋はため息をつきながらも、腕を緩めてくれる気配がない。
あの……微妙に居心地がいいんですけど。
「会議行ってきます」
「はい。行ってらっしゃーい」
翠咲が自分の席を立ち、資料を手にエレベーター前で立っていたところ、ドアの開いたエレベーターの中に倉橋がいたのだ。
「あら、倉橋先生」
「どうも」
もしかしたら、前だったらエレベーター前で引き返していたかもしれないと思うと翠咲は少し笑える。
「何か、おかしいか?」
「いいえ」
気にせず乗り込めるのは、やはり一緒に食事をしたりして、少しだけ親しくなったからかもしれない。
「この前はありがとうございました」
「いや」
相変わらず、言葉も少なく表情も薄い。
けど、これが倉橋なのだと分かっているから。
そうしたら、倉橋から声をかけられたのだ。
「あの……資料室って分かるか?」
「もちろん。資料がいるんですか?」
倉橋はこくりと頷く。
翠咲は時計を見た。
ま、少し早めに出たから、案内しても問題はないわね。
「ご案内します。案件はお分かりですか?」
「ああ、資料室の鍵も預かっている」
「じゃあ一緒に行きます。きれいに整理はされているけれど、探しにくいかもしれないので」
「助かるよ」
翠咲は資料室を案内し、倉橋が持っていたカードキーでドアを開けた。
「倉橋先生、案件の番号は分かります?」
「ああ。これだな」
倉橋は胸ポケットから携帯を取り出して、メモ機能を呼び出している。
翠咲はその画面をひょいっと覗き込んだ。
「ん? 2年くらい前ですね。えーと、あっちの棚かな」
一瞬、倉橋との距離がとても近くなって、柑橘系の爽やかな香りが鼻をくすぐる。
何かつけているのかな……さすがイケメン弁護士、いい匂いがする。
翠咲は資料室の奥へと入っていった。
「資料は年ごとで分かれてるんです。案件番号順になっているから……んーこの番号は」
二人は目の前にそびえるような資料の棚を見上げた。
「あの辺……か」
「ですね。確か、脚立が」
翠咲が資料室の中を見回すと、棚の角に可動式の脚立がある。
「あ! あれです」
それをコロコロと引っ張ってきて、めぼしい場所に置いた。
そしてその脚立に翠咲は足をかける。
「おいっ!」
くるりと視界が反転して、倉橋に腕を引かれてその胸の中に抱きこまれた。
「それ、ロックしないで登ったら危ないだろう?」
確かにキャスターのついた脚立にロックをしないで上がったら、危ない。
「……ご、ごめんなさい」
倉橋はぎゅっと翠咲を抱きしめる。
「せ……んせい……?」
「僕は後悔したことはない。」
「はあ……」
なんで抱きしめられたまま、そんな話を聞いているのか。
「けど、この前は後悔したんだ」
ん?この前……食事に行った時のことだろうか?
はっ!
そういえば、倉橋にご馳走になってしまった。
翠咲は出すと言ったのだが、倉橋が全然譲ってくれなくて。
「あの! ご飯のことなら……」
「ご飯? 君は何を言っている?」
はあ……と倉橋はため息をつきながらも、腕を緩めてくれる気配がない。
あの……微妙に居心地がいいんですけど。
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