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10.首輪をつけてやるっ!
首輪をつけてやるっ!④
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わあ!大型犬に囲まれている気分だよ!
槙野家は皆背が高いのだ。
和室に通された美冬は今度は落ち着いた雰囲気にため息が出そうだ。
サッシから見える縁側に日当たりのいい和室、床の間には掛け軸と花が飾られている。和室の真ん中に大きな一枚板の机が置いてあり、綺麗な座布団が置かれていた。
美冬は槙野とその両親が座ったのを確認してそこにそっと膝をついて座る。
──正しく人をお迎えする家だわ。
にぎにぎしいようにも感じるけれど、客人である美冬を歓迎してくれて、通された和室はきちんとされている。
和室から見える庭もそれは美冬の実家ほど広くはないけれど、きちんと剪定が入って手入れされているのが分かる。
なにもかもをとても大切にしていることが伝わる家だった。
とても温かい雰囲気で、美冬は大好きになってしまったのだ。
「お庭、とても素敵です」
美冬が槙野の父にそう言うと、父はとても嬉しそうな顔をした。その笑顔まで槙野に似ていて美冬は微笑ましくなる。
「本当? とても嬉しいよ」
「ハナミズキですね」
庭に植えられている木を見て美冬は微笑んだ。
「そう。娘の叶愛が産まれた時植えたんだ」
「素敵ですね」
「ピンクと白なのよ。一応紅白でね」
お茶を煎れながら母がそう説明してくれた。
お茶菓子は美冬と槙野と二人で選んだ上生菓子だ。
縁起の良い紅梅の練り切りである。
先程までにぎわしく美冬を歓迎してくれていた兄妹達は部屋にはいない。
それぞれ自室にいるのかもしれなかった。とても行き届いていて、落ち着く。
槙野の父がお茶を一口飲んだ。
「で、祐輔、結婚するって?」
「うん。婚約者の椿美冬さん。美冬のところにもご挨拶に来週行ってくる」
「可愛らしいお嬢さんだが大丈夫だろうかね?」
「どうかな?」
槙野は美冬の顔を覗き込む。
「うちの親はとっても喜んでます」
「そうなのか?」
「ええ。両親は私はもう結婚なんてしないものって思っていたのだもの」
「それはうちもそうだから大歓迎だけれど」
父親が言葉を詰まらせるのに、槙野が口を開く。
「俺が一目惚れしたんだよ。会社に来た美冬に一目惚れして強引に結婚してくれって言った」
「それだけじゃないですよ」
美冬がそう言うと、槙野は美冬の方を見る。槙野の両親も美冬の方を見た。
「祐輔さんはお仕事に関してはうちの祖父が認めるほどの人です。プライベートでは優しくて、よく気が付いてくれて、すごく甘やかしてくれます。強引なだけではなくて頼りがいもあって素敵な人です」
「そうか……」
強引なだけではなかったと知って、父親は安心してくれたようだった。それに両親への挨拶はまだだが、祖父への挨拶を済ましているのにも一安心したようだ。
槙野家では終始和やかな雰囲気で、わあっと囲まれてしまった兄妹にも後で紹介してもらった。
槙野は三人兄妹の長男で、少し下に弟、さらにその下の末っ子が妹らしい。美冬はその弟と妹の中間くらいの年齢になる。
弟は寡黙な人だったけれど、妹はお兄ちゃん大好きなのを隠しもしない明るい女性だった。
槙野は家でも頼りがいのあるお兄さんと言う感じで、面倒見の良さはこの実家での振る舞いから身についたものなんだろうなあと美冬はしみじみと感じたのだった。
一人っ子の美冬には兄妹がたくさんいる槙野が少し羨ましい。
それを悟られたのかは分からないけれど、帰り際に槙野にポン、と頭を撫でられて
「お前の兄妹にもなるんだからな」
と言ってもらえたのが美冬には何だかとても嬉しかったのだ。
槙野家は皆背が高いのだ。
和室に通された美冬は今度は落ち着いた雰囲気にため息が出そうだ。
サッシから見える縁側に日当たりのいい和室、床の間には掛け軸と花が飾られている。和室の真ん中に大きな一枚板の机が置いてあり、綺麗な座布団が置かれていた。
美冬は槙野とその両親が座ったのを確認してそこにそっと膝をついて座る。
──正しく人をお迎えする家だわ。
にぎにぎしいようにも感じるけれど、客人である美冬を歓迎してくれて、通された和室はきちんとされている。
和室から見える庭もそれは美冬の実家ほど広くはないけれど、きちんと剪定が入って手入れされているのが分かる。
なにもかもをとても大切にしていることが伝わる家だった。
とても温かい雰囲気で、美冬は大好きになってしまったのだ。
「お庭、とても素敵です」
美冬が槙野の父にそう言うと、父はとても嬉しそうな顔をした。その笑顔まで槙野に似ていて美冬は微笑ましくなる。
「本当? とても嬉しいよ」
「ハナミズキですね」
庭に植えられている木を見て美冬は微笑んだ。
「そう。娘の叶愛が産まれた時植えたんだ」
「素敵ですね」
「ピンクと白なのよ。一応紅白でね」
お茶を煎れながら母がそう説明してくれた。
お茶菓子は美冬と槙野と二人で選んだ上生菓子だ。
縁起の良い紅梅の練り切りである。
先程までにぎわしく美冬を歓迎してくれていた兄妹達は部屋にはいない。
それぞれ自室にいるのかもしれなかった。とても行き届いていて、落ち着く。
槙野の父がお茶を一口飲んだ。
「で、祐輔、結婚するって?」
「うん。婚約者の椿美冬さん。美冬のところにもご挨拶に来週行ってくる」
「可愛らしいお嬢さんだが大丈夫だろうかね?」
「どうかな?」
槙野は美冬の顔を覗き込む。
「うちの親はとっても喜んでます」
「そうなのか?」
「ええ。両親は私はもう結婚なんてしないものって思っていたのだもの」
「それはうちもそうだから大歓迎だけれど」
父親が言葉を詰まらせるのに、槙野が口を開く。
「俺が一目惚れしたんだよ。会社に来た美冬に一目惚れして強引に結婚してくれって言った」
「それだけじゃないですよ」
美冬がそう言うと、槙野は美冬の方を見る。槙野の両親も美冬の方を見た。
「祐輔さんはお仕事に関してはうちの祖父が認めるほどの人です。プライベートでは優しくて、よく気が付いてくれて、すごく甘やかしてくれます。強引なだけではなくて頼りがいもあって素敵な人です」
「そうか……」
強引なだけではなかったと知って、父親は安心してくれたようだった。それに両親への挨拶はまだだが、祖父への挨拶を済ましているのにも一安心したようだ。
槙野家では終始和やかな雰囲気で、わあっと囲まれてしまった兄妹にも後で紹介してもらった。
槙野は三人兄妹の長男で、少し下に弟、さらにその下の末っ子が妹らしい。美冬はその弟と妹の中間くらいの年齢になる。
弟は寡黙な人だったけれど、妹はお兄ちゃん大好きなのを隠しもしない明るい女性だった。
槙野は家でも頼りがいのあるお兄さんと言う感じで、面倒見の良さはこの実家での振る舞いから身についたものなんだろうなあと美冬はしみじみと感じたのだった。
一人っ子の美冬には兄妹がたくさんいる槙野が少し羨ましい。
それを悟られたのかは分からないけれど、帰り際に槙野にポン、と頭を撫でられて
「お前の兄妹にもなるんだからな」
と言ってもらえたのが美冬には何だかとても嬉しかったのだ。
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