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21.守られていること
守られていること①
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美冬は槙野の膝の中でタブレットを見ていた。
槙野は先程から美冬の髪を触ったり、後ろからきゅっと抱きしめたり、胸に触ってぺしっ!と美冬に、はたかれたりしている。
マンションの中で休日を過ごす二人はリビングのソファの上でぴったりとくっつきながら結婚式をあげる場所について、検討していたのである。
ぴったりと……と言うよりも槙野が美冬を足の間に置いて、美冬は槙野を背もたれ代わりにしているような状況なのだけれど。
「ホテルのチャペルとかかなー」
「まあ、それがいちばんいいだろうな?」
「祐輔の都合のいい所があるんじゃないの? 取引先とか?」
槙野は少し考えるような様子を見せた。
「取引先はあるが、決めるなら明確に理由があった方がいいな。むしろ、彼女がここがいいといったので……くらいの」
確かにいくつもある取引先の中からここ、と決めるのであれば、きっちりとした理由付けが必要になるのかも知れなかった。
「ふーん……会場見に行ってみる?」
「確かに。そうだな」
それで、ブライダルフェアとかそんな時に見に行くのかと思えば、槙野はさっさと秘書に電話して、見学の手配をしてしまったのだ。
「美冬、今日の午後からすぐ見に来ていいと言ってる。支度するか」
──早っ!
祐輔のあまりの早さに戸惑うけれど、美冬は最近はそんなのにも慣れてきたように思う。
(この人こういう人だもの)
いいと思えば即座に身体が動く。身体を動かして判断するから会社では部下からの信頼も厚い。
もちろん美冬もなのだけれど、なんとなくそれは分かるような気がしたのだった。
抜かりのない祐輔の秘書が、美冬がタブレットからメールで送ったホテルを何ヵ所か手配してくれていた。
それを二人で見学して、最後のホテルのラウンジでアフタヌーンティーセットをいただきながら、どこがいいかを検討してゆく。
「ここ……かな?」
「二番目のところ、美冬すごく気に入っていただろう?」
それは本当だ。
ホテルの敷地内に素敵なチャペルがあり、迎賓館と呼ばれる建物があって、そこで披露宴ができるということだった。正直、とっても惹かれた。
「でも、建物同士が遠すぎるわ。お客さまの中にはお年を召した方も多いし、移動は少ない方がいい。ここは建物の横にチャペルがあるし格式もあるもの」
ほっそりとした美冬の手を取った槙野は人目も憚らずにその手に唇をつける。
「うちのお嫁さんマジで出来すぎ。そういうことなら、そうしよう。その優しさに惚れなおす」
こっちはその甘々に戸惑うんですけど。
結婚式の準備は会場、ドレスも含めて順調に進んでいた。
また、コラボ企画の方もSNSなどと連動させながらキャンペーンも順調に進んでいると報告を受けていた。
デパートの店頭でも、企画についてお客様から尋ねられたりすることがあるようで、やはり年齢層が若い方が興味を持っているようだったという話も聞いている。
美冬も『ケイエム』で取り扱うコラボ商品をいくつか見せてもらったが、今までのミルヴェイユと少し違ったデザインも取り入れられていて、面白いなと感じた。
新しいデザインでありながら、それでいてコンサバティブなミルヴェイユの雰囲気は残っていたりする。
これならば、お客様にも楽しんで頂けるかも、と美冬は商品の発売を楽しみにしていたのだ。
商品サンプルの何点かは持ち帰って美冬も自分で着てみたりしている。
槙野は先程から美冬の髪を触ったり、後ろからきゅっと抱きしめたり、胸に触ってぺしっ!と美冬に、はたかれたりしている。
マンションの中で休日を過ごす二人はリビングのソファの上でぴったりとくっつきながら結婚式をあげる場所について、検討していたのである。
ぴったりと……と言うよりも槙野が美冬を足の間に置いて、美冬は槙野を背もたれ代わりにしているような状況なのだけれど。
「ホテルのチャペルとかかなー」
「まあ、それがいちばんいいだろうな?」
「祐輔の都合のいい所があるんじゃないの? 取引先とか?」
槙野は少し考えるような様子を見せた。
「取引先はあるが、決めるなら明確に理由があった方がいいな。むしろ、彼女がここがいいといったので……くらいの」
確かにいくつもある取引先の中からここ、と決めるのであれば、きっちりとした理由付けが必要になるのかも知れなかった。
「ふーん……会場見に行ってみる?」
「確かに。そうだな」
それで、ブライダルフェアとかそんな時に見に行くのかと思えば、槙野はさっさと秘書に電話して、見学の手配をしてしまったのだ。
「美冬、今日の午後からすぐ見に来ていいと言ってる。支度するか」
──早っ!
祐輔のあまりの早さに戸惑うけれど、美冬は最近はそんなのにも慣れてきたように思う。
(この人こういう人だもの)
いいと思えば即座に身体が動く。身体を動かして判断するから会社では部下からの信頼も厚い。
もちろん美冬もなのだけれど、なんとなくそれは分かるような気がしたのだった。
抜かりのない祐輔の秘書が、美冬がタブレットからメールで送ったホテルを何ヵ所か手配してくれていた。
それを二人で見学して、最後のホテルのラウンジでアフタヌーンティーセットをいただきながら、どこがいいかを検討してゆく。
「ここ……かな?」
「二番目のところ、美冬すごく気に入っていただろう?」
それは本当だ。
ホテルの敷地内に素敵なチャペルがあり、迎賓館と呼ばれる建物があって、そこで披露宴ができるということだった。正直、とっても惹かれた。
「でも、建物同士が遠すぎるわ。お客さまの中にはお年を召した方も多いし、移動は少ない方がいい。ここは建物の横にチャペルがあるし格式もあるもの」
ほっそりとした美冬の手を取った槙野は人目も憚らずにその手に唇をつける。
「うちのお嫁さんマジで出来すぎ。そういうことなら、そうしよう。その優しさに惚れなおす」
こっちはその甘々に戸惑うんですけど。
結婚式の準備は会場、ドレスも含めて順調に進んでいた。
また、コラボ企画の方もSNSなどと連動させながらキャンペーンも順調に進んでいると報告を受けていた。
デパートの店頭でも、企画についてお客様から尋ねられたりすることがあるようで、やはり年齢層が若い方が興味を持っているようだったという話も聞いている。
美冬も『ケイエム』で取り扱うコラボ商品をいくつか見せてもらったが、今までのミルヴェイユと少し違ったデザインも取り入れられていて、面白いなと感じた。
新しいデザインでありながら、それでいてコンサバティブなミルヴェイユの雰囲気は残っていたりする。
これならば、お客様にも楽しんで頂けるかも、と美冬は商品の発売を楽しみにしていたのだ。
商品サンプルの何点かは持ち帰って美冬も自分で着てみたりしている。
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