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「大商人シュブラースカ? そういえば、三日前にうちに泊まってったねえ」
ラルファリオに入国して、訪れた都市ラトラで見つけた大きな宿で女将に話を聞くと、そう答えた。
三日前と言うと、ミラが母親に会わせてくれる前か。そのときには彼に会うことなど考えてもいなかったから、どのみち出会うことはできなかっただろう。
「どこの街に行くとか言ってなかったか?」
カルが身を乗り出して訊く。彼に会えば旅も早く終わると思っているのだ。その方がカルにとってはありがたいだろう。勿論、私にとってもその方がありがたいのだが。
「さあ……。あたしゃ大商人様自体には興味がないんでねえ……。金は落としてくれるから上客だが、儲け話ばっかり考えてるヤツの話なんか聞きたかないよ」
女将はきっぱりと言ってのけた。サバサバとした性格なのかもしれないが、私たちにとってはそんなことはどうでもいい。ただ、大商人シュブラースカの行方を知りたいだけだった。
「仕方ない。街に出て他をあたろう。カルは休んでいてもいいが」
これは私の旅なのだから、とカルに気遣いを見せると、意外にもカルはこう答えた。
「なんでだよ。一人で行くより二人で行った方が早いだろ。オレも行く」
その申し出はありがたく受け取ることにして、ひとまず宿を確保してから街に出ることにした。
* * * * *
ラルファリオに入国して、訪れた都市ラトラで見つけた大きな宿で女将に話を聞くと、そう答えた。
三日前と言うと、ミラが母親に会わせてくれる前か。そのときには彼に会うことなど考えてもいなかったから、どのみち出会うことはできなかっただろう。
「どこの街に行くとか言ってなかったか?」
カルが身を乗り出して訊く。彼に会えば旅も早く終わると思っているのだ。その方がカルにとってはありがたいだろう。勿論、私にとってもその方がありがたいのだが。
「さあ……。あたしゃ大商人様自体には興味がないんでねえ……。金は落としてくれるから上客だが、儲け話ばっかり考えてるヤツの話なんか聞きたかないよ」
女将はきっぱりと言ってのけた。サバサバとした性格なのかもしれないが、私たちにとってはそんなことはどうでもいい。ただ、大商人シュブラースカの行方を知りたいだけだった。
「仕方ない。街に出て他をあたろう。カルは休んでいてもいいが」
これは私の旅なのだから、とカルに気遣いを見せると、意外にもカルはこう答えた。
「なんでだよ。一人で行くより二人で行った方が早いだろ。オレも行く」
その申し出はありがたく受け取ることにして、ひとまず宿を確保してから街に出ることにした。
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