目覚めちゃう聖女と男爵令嬢と高壺のヘビ ~婚約破棄され領地も奪われたので、隣国の第二王子や乙女たちと解放軍を結成します~

本山ヒロ

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22.縛り2~エスト~☆

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「え? お兄様? え? え??」

小さな肩が小刻みに震えている。涙の少女は驚いて石のように固まっていた。

「ナディアは俺の命の恩人なんだ。仇じゃない。彼女を殺すなら、俺からにしろ」

「⋯⋯⋯⋯⋯⋯お兄様⋯⋯」

「俺の大切な人なんだ」

レオナールからの思いもかけなかった言葉だったろう。少女は戸惑いと驚きが混ざったような、複雑な表情をした。

私も初めて彼から大切な人と聞き、複雑、困惑する。

「お兄様のバカ! ロンダルの聖女に骨抜きにされたのね!!」

「違う、落ち着くんだ」

少女は両肩を震わせ、レオナールを指差して怒鳴りつける。

「エストさん⋯⋯姫様、誤解よ」

「ふっ、姫も様もさんもいらないわ!」

「は!?」

「お兄様が仇じゃないと言うから信じる。でも、わたしのお姉様となるのならば、サシで勝負よ」

「はい?」

互いに相手の出方を窺う。
無言の見つめ合いに照れたのか、エストは右手の人差し指を立てて目の前に構えた。

杖を持っていない彼女の魔力は、放散失で凝縮できない。
なので、全力は発揮できないと考えられる(たぶん)。

私は今持っている安物の鎚矛メイスも得意な得物だけど、本当は錫杖ロッドの方が発動も生成、発散、収縮、転換も魔法効率がいい。

(──んん、そうか)

だから指先に魔力を溜め、発動なのかと遅れて気づく。
レオナールの妹姫なので、たぶん即着弾、大地が焦土、広範囲な魔法なんて撃ってこないと信じたい。

「炎の閃き、弾ける熱波、我の前に力を示せ、炎閃弾フレアキャノン!」

エストの指先に炎が浮ぶ。そして手のひらを広げる。

「「ナディア様!!」」

ユマやパージ団長代行らの、危険を察知したような叫び声が聞こえた。
かつてロンダルにも魔力の優れた魔術師が多数いたが、長引く戦乱のおり昔日の面影は無い。大半はおまじないか生活魔法ぐらいしか使えない。
ミネルーセも老齢化や戦死者が相次ぎ、状況は変わらないと聞いていたけど──

だがしかし──

まさに王族の魔力ゆえの才能か、兄譲りの勉強熱心さの賜物なのか、見た目の炎も、たぶん威力もド派手な魔法。大魔術師フォンダ系の赤魔法だ。

(ちょちょちょちょちょちょっ!)

炎の閃光が真っ直ぐ私に向かってくる。
その炎の閃光よりも速く、身体中を熱気が舐め回す。熱い風も荒波のように強く吹きつけてくる。

「水の精霊、水壁を成し、攻撃から守って、水の壁アクアウォール!!」

慌てて精霊魔法で水の壁を現す。
こちらは大魔術師マヤハ系の青魔法で防ぐ。
間近で爆発音と蒸発音が響き、胸元まで衝撃と振動がくる。
恐る恐る見守り、なんとか炎の閃光が、水の壁に当たって消滅していた。水の壁も消えていく。

(レオナールが前に話してた通り、妹姫の得意な魔法は炎系。あっぶないっあぶないっ!)

どんぴしゃのタイミングで炎の魔法が、水の壁に当たって助かった。

でも、黒いローブもチュニックも焦げ、キャミソールが見えてるし、太ももが出るくらいミニスカになっている。
フェイントでもされていたら、爆発炎に炙られ炭か灰になりそうな威力だった。

(もう一回来たら、退散しよう)

周りの温度は高いのに、ぞっと悪寒が背筋を走る。

「あれ!? わたしの魔法が読まれちゃってた?」

訝しげにエストが問い返してくる。

「どうかしら、もう終わり?」

「うぅー、余裕ぶって!」

私の挑発的な言葉。
エストは苛立たしげに語気を荒らげた。

「もぉ、もー」

ちらりと私を見て、ぱちぱちと瞬いた後──
やはり、彼女は兄が気になるのかレオナールの方に視線を向けた。

(今だ、集中。とにかく、やるしかない!)

ヒュッ!!

彼女のよそ見の隙をつくように、私は全力で駆けた。
魔法の有効範囲まで間を詰める。

「⋯⋯えっ? 何!?」

間の抜けた顔のエスト。
ほんの数瞬後。

「あ、あああ、きゃあぁぁぁぁ!!」

さっきまで自信たっぷりだったエストが、情けない悲鳴を上げた。

「どうかな?」

「わ、わわわわわわっ!」

エストはふわふわ宙に浮いている。
最初にレオナールに教えてもらった風の精霊魔法。
対象を浮かせる魔法〈浮遊フローティング〉。

艶めかしいお尻が肌色下着とともに丸見えになった。
捲れてしまうスカートを押さえるために片手がふさがる。身体が上下逆さになったら、ドレスの開いた胸元から柔らかそうな乳房がこぼれそうになる。

「ま、まいったぁ、降参よ。おろして! ほらぁ、助けてお兄様、王子のくせにぃ!」

「なんと!? 王子だったのか?」

「くあぁ、エストちゃん。姫様で、レオナお兄様!?」

「わしゃ、頭から分かってた。うっすらね」

パージ団長代行は大っきく口を開けて驚いていた。
ビリーさんはレオナールをお兄様呼び。ポンプさんの自虐的な反応は横に置いといても、気づいていたのは意外だった。

「じゃあ、重力グラビティ

「ちょっと、待ったあぁ!」

私をレオナールが止めようとしたのか、手を広げる。
その理由を叫ぶより早く、エストは地面にめり込んだ。

「⋯⋯ごめんなさい」

「ううん。それより、聖女様。ナディア様がいいかなぁ」

たんこぶの額。潤んだ瞳で祈るように手を組み、彼女は華奢な身体を横揺れさせた。

「もちろん。好きなように呼んでもらって、いいです」

「本当に? では、お姉様っ」

私の手の上に、エストの柔らかな手が添えられた。
今にも大粒の涙が溢れ出しそうな青い瞳は、可愛く健気で、私の選択肢は頷くしかなかった。

「お姉様⋯⋯」

瞬間、彼女の優しさと心細さが、震える手から伝わってきた。
私は自然と彼女を抱きしめる。

「エスト。一人で辛かったね。いっぱい怖かったね。もう、我慢しなくて、泣いてもいいのよ」

私の頰に彼女の暖かい涙がつたう。背中も小刻みにか弱く震えている。

ちょうどレオナールと目が合った。
エストが気にしないよう、彼に目礼と僅かに頭を下げた。

感動的な兄妹の再会なのに、先に抱きしめちゃたのを謝る気持ちを込めた。
気にするなと彼も嬉しそうに微笑んでいるのが見える。で、すぐその後、どさくさに私ごと抱きしめられた──。


──結局、今日は森を抜けることができず、野宿となった。
いつものようにユマとビリーさんとポンプさんは狩りに出かけ、パージ団長代行とレオナールは簡易テントの準備をしている。

私とエストは水汲みのため小川に来ていた。
お互い焦げた服を着替えて、ぶかぶかの男物のシャツ姿。
パージ団長代行から借りた服だった。

なんというか、いわゆるお泊りの彼シャツみたいなお揃いの格好。
私たちが小柄な分、襟ぐりは深広くセクシー鎖骨は見えてて、谷間はぎりぎり見えないくらい。
下は少し太ももが見えるくらいの大人な感じ、裾が短めのワンピースっぽくなっている。もちろん下着は履いてます。

爽やかな小川のせせらぎを耳にしながら、涼やかに足を浸した。
木の香り小鳥の鳴き声に心が清められてリラックス。
初めてお泊りの彼シャツ(違う)ごと自分の身体を自分でギュッと抱きしめていたら、エストに見られていた。

「お姉様のエッチ!」

「⋯⋯自然を感じてただけなのに」

気を取り直して水汲みに励んでいると──
まだ夕方で陽はあるのに、辺りが急に暗くなり、不思議な霧が発生してくる。

「エスト。危険だから私の側にいて」

「はい、お姉様。わたし、側に行きまーす」

エストは素直に私の側に駆けて来て、腕を組んでくる。
けれど、周囲に魔物の気配がないか警戒した。辺りはすでに白い霧にまみれ、全く視界は効かなくなっている。
微かに甘い香りが漂いはじめた。

「お姉様っ、これ⋯⋯」

「ええ。この匂い⋯⋯早くみんなの所へ戻った方が⋯⋯」

ふらつく私たちは脚がもつれながらも支え合った。なんとか小川から上がり、来た方向へ戻ろうとした。
けれど、太い木に行き当たると、寄りかかることしかできなくなってしまう。身体を何かが這い回る感覚がする。よく見るとつたのような触手に絡め取られていた。

「「きゃああっ!」」

私と重なるようにエストも悲鳴を上げる。
細い蔦や太い蔦がぐねぐねとミミズのようにのたくってて気味が悪い。明らかに魔物の仕業だった。

「エスト、得意の炎は!?」

「無理ぃ、この霧、たぶん火気厳禁。二人とも黒焦げちゃう」

私の魔力はすっからかん。
涙目で首を振り、火気厳禁を教えてくれるエストも同じようだった。
すぐに蔦を振りほどこうとするが、両手も拘束されている。
いつの間にか、木に吊り上げられていた。
冷や汗が頰をつたう。
次第に縛る力が増し、脚も思うように動かせず焦ってくる。

「わたしのおっぱい締めつけるぅ、いやあああっ!」

「ああ、ああぁっ!」

触手は私たちの動きを封じ、獲物を確かめるように身体中を這う。布地ごと乳房をなぞり、お尻や股を擦る。衣服の上からでは足らないのか、生脚や二の腕の柔らかさを堪能するように絡んでくる。
辺りの淫気も生温く濃くなっていた。

「あ⋯⋯ぁあ、お姉様っ⋯⋯」

「⋯⋯エスト⋯⋯」

匂いにも麻痺作用があるのか腕や脚から力が抜けてくる。甘やかな吐息が漏れ、愛撫のような蔦の動きに身体が火照ってきてしまう。

「そこ、やだやだぁ⋯⋯」

「お願いエスト⋯⋯そんなに⋯⋯揺れないでっ」

私とエストのシャツ生地の上から乳首を擦ってきた。
彼女の方が我慢の堰が切れかけている。
真っ赤になって身体をくねらせ、その度に私にも振動と淫猥な刺激がきた。
反応するほど柔肉に食い込む淫靡な蔦。乳房や秘部にまで熱い疼きの刺激を与えてくる。

「ああっ、う⋯⋯くっ」

私の太ももから内へ内へと蔦が巻きつき、這い登ってこようとしていた。
耐えるため太ももにギュッと残りの力を入れ股を閉じた。逆にショーツの湿り気と熱が、内ももにじわっと広がっていく。
徐々に赤茶色に変化してきた触手は、まるで蛇のように太さを増した。

「や、あ、あぁっ!」

「身体を⋯⋯激しく、揺らしちゃだ⋯⋯め⋯⋯」

喘いでお尻を震わせるエストに余計絡みつく。もがけばもがくほど粘液に濡れてきている。触手は愛らしい少女を犯すように身体中を這い回った。
結局じっとしていても、その粘液が肌に塗られるだけでじわじわ身体が熱くなってしまう。
さらに、枝わかれした新たな触手を伸ばしてきた。


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