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第5話 sideアーネスト
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私はアーネスト・トルコーダ。トルコーダ侯爵家の嫡男だ。
そして今日、初めて顔を合わせた10歳以上も年下の令嬢と結婚し、トルコーダ侯爵となった。
本来ならばこれから新妻と初夜を迎えるところだが、私は今馬車に乗っている。
心から愛する女性、アリスに会うために。
グレイバック公爵家に到着すると、出迎えた公爵様に驚かれた。
「アーネスト、まさか今日ここへ来るなんて・・・。それはいくら何でも夫人に失礼なのではないかい?」
「・・・。彼女には結婚前に話してありますから。それよりもアリスに会いたくてたまらないのです。本来なら・・・挙式で私の隣に立つのはアリスなのです。神の前でともに夫婦の誓いをたてるのは、アリスなのです。そう思ってしまって、一時もアリスのことが頭から離れませんでした。どうか一目だけでも会わせてください。」
「・・・・・・アーネスト・・・・・・。」
痛ましそうな顔をしながら公爵様はアリスの部屋へ通すように執事に命じた。
アリスの部屋に入り、寝台に横たわるアリスの頬にそっと触れる。
「アリス・・・。会いたかった。私が愛しているのは君だけだ。心から愛しているよ、アリス。」
どれだけ見つめても、愛を囁いても、今日もアリスは目を開かない。
○○○
アリス・グレイバック。グレイバック公爵家の長女。
母親同士が友人であったため、同じ年のアリスとは幼い頃から会っていた。
いつも明るく笑顔が絶えない彼女が、次第に美しい女性へと成長し気付けば私は彼女に恋をしていた。
幸運なことに、彼女も私に好意を寄せてくれた。
15歳で公爵家へ婚約を申し込み、すぐに了承してもらいアリスは婚約者となった。
ともに魔法学園で学び、学業に励みながらも順調に愛を育んでいた。
何もかも順調で、学園を卒業したらすぐに婚姻する予定で二人は幸せに過ごしていた。
あの日までは。
18歳となり、卒業を3ヶ月後に控えていたあの日。
突如として学園内に出現した魔物によって、私たちの幸せは奪われてしまったのだ。
当時、この王国は魔物の脅威にさらされていた。
それまでは王都から離れたところで魔物との攻防戦を行っていたが、突如として魔法学園に魔物が姿を現した。
最高学年の主席であった私は、アリスを含む他の成績上位の生徒達と教師達とともに魔物の討伐にあたった。
何とか魔物と拮抗しながら他の生徒を学外へ避難させ、もうすぐ王国騎士団が到着するというそのとき。
魔物が私に攻撃を放った。
他の魔物に気を取られて気付いていなかった私をかばい、アリスが攻撃を受けてしまった。
私はすぐさま魔物を攻撃し抹殺したが、アリスは意識を失いその場に倒れた。
魔物の攻撃を受けたアリスは、不思議なことに傷一つついていなかった。
そして命に別状はないにも関わらず、アリスの意識が戻ることは二度と無かった。
その後、魔物がわき出る淀みが森の奥地に発見され、そこを浄化することで魔物の脅威は解消された。
それでもアリスは目覚めなかった。
私や公爵様は、様々な手を尽くしてアリスの回復を試みた。
回復魔法、浄化魔法を使用しても、ありとあらゆる方法を試してもアリスが目覚めることはなかった。
○○○
あれから15年経った今も、私はアリスが目覚める日を待ち続けている。
婚約は一旦解消されているが、私はアリス以外と結婚するつもりなどなかった。
しかしこの国では、未婚では爵位を継承することができない。
私は候爵位よりもアリスが大切だが、私に兄弟はなく両親は私に候爵位を継がせたいと願っていた。
そのため、しかたなく他の女性と結婚することにした。
だが私が愛するのはアリスだけ。だからあの契約書を作った。
まさか、あの条件をのんでくれる相手がすんなり見つかるとは思ってもみなかった。
彼女にも事情があるのかもしれない。
それとも金銭が目的か。
どちらにしてもアリスが目覚めてくれれば彼女との縁は切れる。
私は今もこれからもアリスだけを愛している。
頼むから、目を覚ましてくれ。アリス。
そして今日、初めて顔を合わせた10歳以上も年下の令嬢と結婚し、トルコーダ侯爵となった。
本来ならばこれから新妻と初夜を迎えるところだが、私は今馬車に乗っている。
心から愛する女性、アリスに会うために。
グレイバック公爵家に到着すると、出迎えた公爵様に驚かれた。
「アーネスト、まさか今日ここへ来るなんて・・・。それはいくら何でも夫人に失礼なのではないかい?」
「・・・。彼女には結婚前に話してありますから。それよりもアリスに会いたくてたまらないのです。本来なら・・・挙式で私の隣に立つのはアリスなのです。神の前でともに夫婦の誓いをたてるのは、アリスなのです。そう思ってしまって、一時もアリスのことが頭から離れませんでした。どうか一目だけでも会わせてください。」
「・・・・・・アーネスト・・・・・・。」
痛ましそうな顔をしながら公爵様はアリスの部屋へ通すように執事に命じた。
アリスの部屋に入り、寝台に横たわるアリスの頬にそっと触れる。
「アリス・・・。会いたかった。私が愛しているのは君だけだ。心から愛しているよ、アリス。」
どれだけ見つめても、愛を囁いても、今日もアリスは目を開かない。
○○○
アリス・グレイバック。グレイバック公爵家の長女。
母親同士が友人であったため、同じ年のアリスとは幼い頃から会っていた。
いつも明るく笑顔が絶えない彼女が、次第に美しい女性へと成長し気付けば私は彼女に恋をしていた。
幸運なことに、彼女も私に好意を寄せてくれた。
15歳で公爵家へ婚約を申し込み、すぐに了承してもらいアリスは婚約者となった。
ともに魔法学園で学び、学業に励みながらも順調に愛を育んでいた。
何もかも順調で、学園を卒業したらすぐに婚姻する予定で二人は幸せに過ごしていた。
あの日までは。
18歳となり、卒業を3ヶ月後に控えていたあの日。
突如として学園内に出現した魔物によって、私たちの幸せは奪われてしまったのだ。
当時、この王国は魔物の脅威にさらされていた。
それまでは王都から離れたところで魔物との攻防戦を行っていたが、突如として魔法学園に魔物が姿を現した。
最高学年の主席であった私は、アリスを含む他の成績上位の生徒達と教師達とともに魔物の討伐にあたった。
何とか魔物と拮抗しながら他の生徒を学外へ避難させ、もうすぐ王国騎士団が到着するというそのとき。
魔物が私に攻撃を放った。
他の魔物に気を取られて気付いていなかった私をかばい、アリスが攻撃を受けてしまった。
私はすぐさま魔物を攻撃し抹殺したが、アリスは意識を失いその場に倒れた。
魔物の攻撃を受けたアリスは、不思議なことに傷一つついていなかった。
そして命に別状はないにも関わらず、アリスの意識が戻ることは二度と無かった。
その後、魔物がわき出る淀みが森の奥地に発見され、そこを浄化することで魔物の脅威は解消された。
それでもアリスは目覚めなかった。
私や公爵様は、様々な手を尽くしてアリスの回復を試みた。
回復魔法、浄化魔法を使用しても、ありとあらゆる方法を試してもアリスが目覚めることはなかった。
○○○
あれから15年経った今も、私はアリスが目覚める日を待ち続けている。
婚約は一旦解消されているが、私はアリス以外と結婚するつもりなどなかった。
しかしこの国では、未婚では爵位を継承することができない。
私は候爵位よりもアリスが大切だが、私に兄弟はなく両親は私に候爵位を継がせたいと願っていた。
そのため、しかたなく他の女性と結婚することにした。
だが私が愛するのはアリスだけ。だからあの契約書を作った。
まさか、あの条件をのんでくれる相手がすんなり見つかるとは思ってもみなかった。
彼女にも事情があるのかもしれない。
それとも金銭が目的か。
どちらにしてもアリスが目覚めてくれれば彼女との縁は切れる。
私は今もこれからもアリスだけを愛している。
頼むから、目を覚ましてくれ。アリス。
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