愛しい人よ

璃々

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婚約御断り

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だとしても俺はこいつの婚約者にはならないけどな!と心に誓う。婚約指輪を外し建造さんに向き直る。
「建造さんごめんなさい。ただ、俺は今の生活に満足しています。誰とも寄り添うつもりはありません。そして、俺のことを好きって言ってくれてありがとう。もう俺のことは調べないでくれるとありがたいです。きっと、建造さんが当時誰かに救いを求めていてたまたま俺がいただけなんだよ。あと、建造さんイケメンだしこれからのご活躍お祈りしています。」と少し冗談をめかす。「俺とは友達として付き合ってくれると嬉しいです。」と俺は努めて穏やかに伝えた。
夜空に満天の星
昔見た空に似ている。

朝目が覚めると、俺はなぜか知らない車に乗せられていた。窓から外を見ようとすると、「おはよう!起きた?あと少しで僕達の愛のお家につくからね♥」「え?どゆこと。俺昨日婚約の件を断りましたよね?おっ!おろしてください!」と荷物を探す。「あ~。あの荷物ね。あれはもう新居に送りましたよ?なにか大切なもの入ってますか?大至急ならすぐ買いますけど。」
「え?新居?無理無理。とにかく俺は荷物取ったら帰るんで。」と俺は早口に言う。あたかも聞いていないような様子で建造はながす。「子供は何人ほしいですか?産みますか?養子とりますか?」と俺の下腹部に手を当てながらうっとりと話す。俺は気持ち悪くなって、手を払いのけようとする。すると、昨日外したはずの指輪がついている。急いでてから外し建造に返す。建造は受け取らずに「着きましたよ~」と笑顔で降りれて手を差し出す。俺は差し出された手を握らず、降りる。少し寂しそうな顔をされると俺が悪いことをした気分になる。
木で作られた大きないかにも豪邸のような作りに圧倒される。俺は入ると出られなくなってしまうような感覚に陥る。「陸稲さん。入ろう?」と急かしてくる。俺は肝をくくり、建造の開けた扉の中に入る。
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