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10、婚約を解消しましょう
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「さて、これで終わりね。お疲れ様でした」
「お疲れ様でした。うん。無事にあちらの国にも恩が売れて、まずまずの結果となったよ。まさか君が話していた第3王子が陛下の御子でないというのが、事実となるとは思わなかったが」
おっしゃる通り、まさかの展開にそのネタを書きながら帰国していた私達は驚きを隠せませんでした。余計な詮索されないように書いたネタはすべてお蔵入りにせざるを得ませんでした。本日は暗部と宰相の私室を取材させてくれて、大満足の1日になりました。
「じゃ、婚約もお疲れ様でした。解消の手続きはクラフトがしてくださいね。私が申し込むとなるとまた話題になるので」
「…あ、う、わかった」
「期間限定でしたけど、ありがとうございました」
「うん。こっちこそ、ファーストダンスから迷惑をかけてすまなかった。世話になった。ありがとう」
ファーストダンスから今までときめきをありがとうございました。いい思い出ができました。たっぷり暗部の取材もさせていただきましたし、情報は少し制限されるけれど、あとは妄想よね!筆が乗るわ!
王宮の廊下で握手をして別れました。これでおしまいです。寂しいですがこのままでは彼が困りますものね。うっかりファーストダンスを誘って婚約した女なんて、好きじゃないのに婚約なんて迷惑ですもの。馬車の中でちょっとだけ泣きましたよ。でも、これで私の恋はおしまいです。この経験を執筆に活かしましょう。私は作家ですもの。
彼との思い出になったアレンドール王国の次巻は来月発売。そうだ。このまま完結まで書ききるわ!
私はひと月かけてアレンドール王国を完結させました。その間は誰にも会いませんでした。まさに引き籠もりでの作業です。没頭しておりました。まだ校正はありますが一旦目処がついたので、久しぶりにモニカに会うことにしましょう。
「えー!それで婚約は本当に解消したの?もったいない。あなたの作家活動を知ってるし、反対なさそうな感じだし、嫌じゃないんでしょ?」
「…嫌じゃないわよ。むしろ好きになりかけてたからこれ以上は無理なのよ」
正直に話します。惹かれているからこれ以上は距離を取らなきゃと思っていることも話します。
「期間限定の婚約ね。あー、そうね。好きになって欲しいなんて欲がでちゃうしね。うん、もどかしい」
あれからクラフトからのリアクションはありません。期待してないですが期待したい自分もいる面倒な女になっています。自分でわかってます。何事もないことが彼の答えなんだからもうすっぱり割り切らなきゃと思うのです。
「だからって、ちょっと家に籠もりすぎよ。ひと月もどこにも姿を見せないなんて」
「ごめんね。連絡もしないで。クラフトの元婚約者としてしばらく話題にされると思い、人目につくことを避けたいところもあったのよね。あとはアレンドール王国を仕上げたところだったのよ」
「わぁ!本当に?おめでとう!!」
「まだ校正もあるけれど、一先ず満足の完結かなー。ふふふ。楽しみにしててね」
「もちろん!」
婚約解消は形式の書式だけだからすぐに書いているはずよね。お互い成人してますから両家の承認もいらないし、私の署名は委任状を書いているから兄夫婦が代筆できます。婚約解消のために会うなんて、わざわざ失恋の傷を抉るような馬鹿なことはしません。握手してるときから泣きそうだったのを我慢していたのに。そして泣いたら絶対に困らせる。それでやっぱり婚約解消しないって困らせちゃう。嫌だ。
「引き籠もりの親友に情報提供よ。ついに王太子殿下の婚約者が決まったそうよ。今度の夜会で発表されるそうよ」
出席は必須ね。次代のお祝い事に欠席はゆるされないもの。クラフトに会うのが怖い。向こうは義務でしかなかったお付き合いですもの。もう他人です。やっぱり会うわよね。振られた彼女たちと同じように氷点下の瞳で見つめられるのかしら。
「お疲れ様でした。うん。無事にあちらの国にも恩が売れて、まずまずの結果となったよ。まさか君が話していた第3王子が陛下の御子でないというのが、事実となるとは思わなかったが」
おっしゃる通り、まさかの展開にそのネタを書きながら帰国していた私達は驚きを隠せませんでした。余計な詮索されないように書いたネタはすべてお蔵入りにせざるを得ませんでした。本日は暗部と宰相の私室を取材させてくれて、大満足の1日になりました。
「じゃ、婚約もお疲れ様でした。解消の手続きはクラフトがしてくださいね。私が申し込むとなるとまた話題になるので」
「…あ、う、わかった」
「期間限定でしたけど、ありがとうございました」
「うん。こっちこそ、ファーストダンスから迷惑をかけてすまなかった。世話になった。ありがとう」
ファーストダンスから今までときめきをありがとうございました。いい思い出ができました。たっぷり暗部の取材もさせていただきましたし、情報は少し制限されるけれど、あとは妄想よね!筆が乗るわ!
王宮の廊下で握手をして別れました。これでおしまいです。寂しいですがこのままでは彼が困りますものね。うっかりファーストダンスを誘って婚約した女なんて、好きじゃないのに婚約なんて迷惑ですもの。馬車の中でちょっとだけ泣きましたよ。でも、これで私の恋はおしまいです。この経験を執筆に活かしましょう。私は作家ですもの。
彼との思い出になったアレンドール王国の次巻は来月発売。そうだ。このまま完結まで書ききるわ!
私はひと月かけてアレンドール王国を完結させました。その間は誰にも会いませんでした。まさに引き籠もりでの作業です。没頭しておりました。まだ校正はありますが一旦目処がついたので、久しぶりにモニカに会うことにしましょう。
「えー!それで婚約は本当に解消したの?もったいない。あなたの作家活動を知ってるし、反対なさそうな感じだし、嫌じゃないんでしょ?」
「…嫌じゃないわよ。むしろ好きになりかけてたからこれ以上は無理なのよ」
正直に話します。惹かれているからこれ以上は距離を取らなきゃと思っていることも話します。
「期間限定の婚約ね。あー、そうね。好きになって欲しいなんて欲がでちゃうしね。うん、もどかしい」
あれからクラフトからのリアクションはありません。期待してないですが期待したい自分もいる面倒な女になっています。自分でわかってます。何事もないことが彼の答えなんだからもうすっぱり割り切らなきゃと思うのです。
「だからって、ちょっと家に籠もりすぎよ。ひと月もどこにも姿を見せないなんて」
「ごめんね。連絡もしないで。クラフトの元婚約者としてしばらく話題にされると思い、人目につくことを避けたいところもあったのよね。あとはアレンドール王国を仕上げたところだったのよ」
「わぁ!本当に?おめでとう!!」
「まだ校正もあるけれど、一先ず満足の完結かなー。ふふふ。楽しみにしててね」
「もちろん!」
婚約解消は形式の書式だけだからすぐに書いているはずよね。お互い成人してますから両家の承認もいらないし、私の署名は委任状を書いているから兄夫婦が代筆できます。婚約解消のために会うなんて、わざわざ失恋の傷を抉るような馬鹿なことはしません。握手してるときから泣きそうだったのを我慢していたのに。そして泣いたら絶対に困らせる。それでやっぱり婚約解消しないって困らせちゃう。嫌だ。
「引き籠もりの親友に情報提供よ。ついに王太子殿下の婚約者が決まったそうよ。今度の夜会で発表されるそうよ」
出席は必須ね。次代のお祝い事に欠席はゆるされないもの。クラフトに会うのが怖い。向こうは義務でしかなかったお付き合いですもの。もう他人です。やっぱり会うわよね。振られた彼女たちと同じように氷点下の瞳で見つめられるのかしら。
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