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*一年前* 研究課題
113 新しい関係のかたち(※)
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マスター二人掛かりで押さえ込まれ、ひっくり返されて、すっかりまな板の鯉だ。背中にごつごつとした岩があるが、興奮でその凹凸は感じられなくなっている。
両手はまとめて頭の上でカノンに抑えられた。
仰向けでノクトを受け入れる。
男性のサーヴァントは体内に魔力を溜める器官があるので、慣れてくると女性のような分泌液がにじむようになる。体質が中性よりになるのだ。
発情しているせいで体が熱い。
既に後ろは受け入れる準備が出来ていた。
貫かれる感触に、体が勝手に快感を拾う。じわじわと幸福感で満たされ、リュンクスは徐々に正気を失っていく。
しかし、いつもと違い、ノクトはこちらが感じるポイントを微妙に外しながら穿ってくる。
「あっ、ん! あぁっ……なんでっ」
喘ぎながら問いかけると、ノクトは目を細める。
「次があるのに、今達するときついだろう、リュンクス」
「?!」
男根の元部分を封じられて、精がせき止められた。
サーヴァントはマスターの魔力で達するとは言え、生理現象も開放されないときつい。
ノクトは、リュンクスが絶頂しないように浅いところで抜き差しを繰り返す。
もどかしくて、リュンクスは腰をねじった。
「こらこら、自分で動かない」
「だって……っ」
快感は高まる一方なのに、今ひとつ足りない。
「……っ」
そうこうしている内に、ノクトが達した。
リュンクスの腹に、ノクトの額から零れた汗がしたたる。
体内に浅く広がるノクトの魔力と精液。
リュンクスはサーヴァントの本能で、マスターの魔力を得た充実感と、性欲処理のため体を使われた被虐的な悦楽を感じる。
自分がノクトの役に立っている。
絶頂できないようにされていても、不思議な満足感があった。
自分とは違うマスターを受け入れ、喘いでいるリュンクスを、カノンは興味深そうに見ている。嫉妬以上に、好きな相手の色んな表情を見たいという好奇心が勝っていた。
そんなカノンの視線に、絶頂したリュンクスは気付いていない。
暮れなずむ空を見上げて呼吸を整えている。
リュンクスがとろけた表情になっているのを確かめ、名残り惜しそうにしながら、ノクトは体を離した。
「あ……」
体内からずるりと彼が抜ける感触に、リュンクスは唐突な寂しさを感じた。
寝覚めの子供のようにノクトを見上げる。
「せんぱい?」
「後はカノンに任せるよ」
ノクトは振り切るように立ち上がると、脱ぎ捨てたローブを拾って身支度を始めた。
「そうだ、リュンクス。君の研究室を少し貸してくれるかい? 仮眠を取ってから帝国に帰るよ」
「あ、うん」
視線が勝手にノクトの背中を追い掛ける。
遮るようにカノンが動いた。
「リュンクス。今はこっちに集中しろ」
早めに終わらせるから、と耳元でカノンがささやく。
すぐに空白を埋めるようカノンが入ってきた。
先程と違い、的確に良いところを突上げられ、リュンクスは何も考えられなくなる。
途中まで練り上げられ、せき止められていた快感が、一気に頂点まで駆け上がった。
ノクトの魔力を上書きするように、カノンの熱い魔力が注がれる。
「……はぁ」
カノンがリュンクスを抱きしめながら、溜め息をついた。
「悔しいな。リュンクスは、先輩がいないと困るんだろう」
リュンクスは応えるように、カノンの背中に腕を回して抱きしめ返す。
「カノンがいなくても困るよ……」
きっとノクトの隣にいれば、カノンが気になるのだろうと思う。今はカノンの方が身近だから、ノクトが気になるのだけど。
「イーブンか。それならまだ、許せるな」
「先輩を見送りに行っていいか?」
穏やかな表情のカノンに、今なら大丈夫と判断して聞く。
「ああ」
しっかり頷き返すカノンに「ありがとう」と礼を言い、リュンクスはゆっくりと起き上がった。
(※カノン視点)
パタパタと身軽に、塔に向かって駆けて行くリュンクスを見送った。終わりかけの夕暮れに照らされて、塔の壁面は薄い紫色に染まっている。
「意外と腹が立たないものだな」
ノクトと恋人を共有するなんて、とんでもないと考えていた。
リュンクスの落ち込み具合を見て先輩に連絡を取った時も、三人でセックスすることまでは、想定していなかった。
『試してみるかい? リュンクスが、私達の両方を前にして、私と君、どちらを選ぶか』
先輩のその言葉がきっかけだった。
それならこの機会に試してやろう、と思ったのだ。
短気なカノンは、答えを先延ばしするのは我慢ならなかった。
研究室では、結局、どちらの側にも付かない席を選んだリュンクスに落胆したが。
「先輩とリュンクスが、あんな風に会話しているとは知らなかった」
先輩と後輩というより、まるで仲の良い兄弟のようだ。
見たことがないリュンクスの表情を、もっと見ていたいと思った。
それに……先輩と会話したり、セックスしたりする間も、リュンクスは常にカノンを気にしていた。
「先輩に会いに行くのに、俺の許可をねだる、か」
その態度に、カノンは密かに満足していた。
慕っている先輩の前でも、リュンクスは常にカノンを立てていた。自分の主人はカノンだと、無意識に知っているように。
だからノクトを追い掛けるリュンクスに寛容になれた。
「本当に、三人でやっていけるのだろうか」
リュンクスはそれを望んでいるようだが、問題は山積みだ。アウレルムに来る件について、ノクトは実際どう考えているか。二人の時にさりげなくカノンからも確認したが、ノクトは明言を避けた。
未来は誰にも分からない。
だが今日、リュンクスの研究室で顔を合わせた三人の会話は、妙にバランスが取れていて。
不本意ながら、居心地が良かった。
「……」
塔を見上げるカノンの黄金の髪を、ざあっと風が巻き上げる。
夜を迎えた冷たい風だ。
冷え込んで風邪を引く前に、リュンクスが先輩と別れて帰ってくることを、カノンは疑っていなかった。
両手はまとめて頭の上でカノンに抑えられた。
仰向けでノクトを受け入れる。
男性のサーヴァントは体内に魔力を溜める器官があるので、慣れてくると女性のような分泌液がにじむようになる。体質が中性よりになるのだ。
発情しているせいで体が熱い。
既に後ろは受け入れる準備が出来ていた。
貫かれる感触に、体が勝手に快感を拾う。じわじわと幸福感で満たされ、リュンクスは徐々に正気を失っていく。
しかし、いつもと違い、ノクトはこちらが感じるポイントを微妙に外しながら穿ってくる。
「あっ、ん! あぁっ……なんでっ」
喘ぎながら問いかけると、ノクトは目を細める。
「次があるのに、今達するときついだろう、リュンクス」
「?!」
男根の元部分を封じられて、精がせき止められた。
サーヴァントはマスターの魔力で達するとは言え、生理現象も開放されないときつい。
ノクトは、リュンクスが絶頂しないように浅いところで抜き差しを繰り返す。
もどかしくて、リュンクスは腰をねじった。
「こらこら、自分で動かない」
「だって……っ」
快感は高まる一方なのに、今ひとつ足りない。
「……っ」
そうこうしている内に、ノクトが達した。
リュンクスの腹に、ノクトの額から零れた汗がしたたる。
体内に浅く広がるノクトの魔力と精液。
リュンクスはサーヴァントの本能で、マスターの魔力を得た充実感と、性欲処理のため体を使われた被虐的な悦楽を感じる。
自分がノクトの役に立っている。
絶頂できないようにされていても、不思議な満足感があった。
自分とは違うマスターを受け入れ、喘いでいるリュンクスを、カノンは興味深そうに見ている。嫉妬以上に、好きな相手の色んな表情を見たいという好奇心が勝っていた。
そんなカノンの視線に、絶頂したリュンクスは気付いていない。
暮れなずむ空を見上げて呼吸を整えている。
リュンクスがとろけた表情になっているのを確かめ、名残り惜しそうにしながら、ノクトは体を離した。
「あ……」
体内からずるりと彼が抜ける感触に、リュンクスは唐突な寂しさを感じた。
寝覚めの子供のようにノクトを見上げる。
「せんぱい?」
「後はカノンに任せるよ」
ノクトは振り切るように立ち上がると、脱ぎ捨てたローブを拾って身支度を始めた。
「そうだ、リュンクス。君の研究室を少し貸してくれるかい? 仮眠を取ってから帝国に帰るよ」
「あ、うん」
視線が勝手にノクトの背中を追い掛ける。
遮るようにカノンが動いた。
「リュンクス。今はこっちに集中しろ」
早めに終わらせるから、と耳元でカノンがささやく。
すぐに空白を埋めるようカノンが入ってきた。
先程と違い、的確に良いところを突上げられ、リュンクスは何も考えられなくなる。
途中まで練り上げられ、せき止められていた快感が、一気に頂点まで駆け上がった。
ノクトの魔力を上書きするように、カノンの熱い魔力が注がれる。
「……はぁ」
カノンがリュンクスを抱きしめながら、溜め息をついた。
「悔しいな。リュンクスは、先輩がいないと困るんだろう」
リュンクスは応えるように、カノンの背中に腕を回して抱きしめ返す。
「カノンがいなくても困るよ……」
きっとノクトの隣にいれば、カノンが気になるのだろうと思う。今はカノンの方が身近だから、ノクトが気になるのだけど。
「イーブンか。それならまだ、許せるな」
「先輩を見送りに行っていいか?」
穏やかな表情のカノンに、今なら大丈夫と判断して聞く。
「ああ」
しっかり頷き返すカノンに「ありがとう」と礼を言い、リュンクスはゆっくりと起き上がった。
(※カノン視点)
パタパタと身軽に、塔に向かって駆けて行くリュンクスを見送った。終わりかけの夕暮れに照らされて、塔の壁面は薄い紫色に染まっている。
「意外と腹が立たないものだな」
ノクトと恋人を共有するなんて、とんでもないと考えていた。
リュンクスの落ち込み具合を見て先輩に連絡を取った時も、三人でセックスすることまでは、想定していなかった。
『試してみるかい? リュンクスが、私達の両方を前にして、私と君、どちらを選ぶか』
先輩のその言葉がきっかけだった。
それならこの機会に試してやろう、と思ったのだ。
短気なカノンは、答えを先延ばしするのは我慢ならなかった。
研究室では、結局、どちらの側にも付かない席を選んだリュンクスに落胆したが。
「先輩とリュンクスが、あんな風に会話しているとは知らなかった」
先輩と後輩というより、まるで仲の良い兄弟のようだ。
見たことがないリュンクスの表情を、もっと見ていたいと思った。
それに……先輩と会話したり、セックスしたりする間も、リュンクスは常にカノンを気にしていた。
「先輩に会いに行くのに、俺の許可をねだる、か」
その態度に、カノンは密かに満足していた。
慕っている先輩の前でも、リュンクスは常にカノンを立てていた。自分の主人はカノンだと、無意識に知っているように。
だからノクトを追い掛けるリュンクスに寛容になれた。
「本当に、三人でやっていけるのだろうか」
リュンクスはそれを望んでいるようだが、問題は山積みだ。アウレルムに来る件について、ノクトは実際どう考えているか。二人の時にさりげなくカノンからも確認したが、ノクトは明言を避けた。
未来は誰にも分からない。
だが今日、リュンクスの研究室で顔を合わせた三人の会話は、妙にバランスが取れていて。
不本意ながら、居心地が良かった。
「……」
塔を見上げるカノンの黄金の髪を、ざあっと風が巻き上げる。
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