山猫に首輪は付けられない

空色蜻蛉

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*一年前* 海神の子

153 レナールたちの反応

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(※レナール視点)

 船着き場に戻ってくると、そこにはノクトとリュンクスの姿は無かった。
 代わりに、縄でぐるぐる巻きにされ、気を失っている女が一人。
 胸元に「祠を壊した犯人」と流麗な文字が書かれた、カードが貼られている。
 
「ノクトは、どこに行った……?!」
 
 レナールは左右を見回した。
 船着き場にいる漁師たちは、魔術師に関わりたくないと、目を逸らしながら通り過ぎていく。
 若い二人の姿は、影も形もない。
 
「風の元素に愛される魔術師のわりに、ノクトは真面目な方なんだが……こういう事が起きると、さすが風の魔術師だと思うよ」
 
 顎をさすりながら、セルディールが遠い目をする。
 他のグラキアスの魔術師も、諦めの雰囲気が濃厚だ。
 
「私の同僚にも、風の魔術師がいますけど、しょっちゅう仕事をサボってますよ。ノクト君はまだ良い方です」
「知ってるよ! ノクトは仕事はきっちりやる奴だ。しかしあいつ、事後処理をまるっと僕に押し付けていきやがった!」
 
 レナールは地団駄を踏むが、もはや後の祭りだ。
 逃げてしまった風の魔術師を捕まえる事はできない。
 魔術師の間で、笑い話と共に語られる格言でもある。
 
「ノクトにとって、この辺りは故郷だ。色々やりたい事もあるだろう。仕方ない。レナール、後処理は私も手伝うよ。仕事の打ち上げも兼ねて、この後どこかで美味い海鮮料理でも、皆で食べようじゃないか」
 
 セルディールの提案に、レナールは感激した。
 
「セルディールさん……あなたは神か?!」
 
 大袈裟だと苦笑するセルディール。
 魔術師の一団は「貝が食べたい」「焼き魚がいい」などと雑談しながら、犯人を引きずって港を後にした。
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