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Power of Salvation(救世の力)
第69話 星瞳の魔術師同士が出会ったら
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「ずっと違和感があった。この夢は私が望んだ世界なのかと……エリザの望みなら納得がいく」
束の間、声を荒げたアッシュだが反省したのか、冷静になろうとしているようだ。
思慮深さが戻ってきている。
「しかし彼女の夢に、魔物がいるのはなぜだ?」
「簡単ですよ」
リトスは笑って答えた。
手の掛かる妹がいたので、女性が望むことは、よく知っている。
「殿下に助けて欲しいからです」
「は?」
「お姫様が魔物にさらわれて、王子様が助けに行く。王子様は魔物を倒し、お姫様を助け出して、プロポーズする。二人は結婚してハッピーエンドです!」
「……」
アッシュ王子は絶句している。
この人、軍生活で男に囲まれて育ったっぽいもんな。女の子の考えは分からないか。
「そ、そういうものなのか」
「そういうものです。ちなみに、殿下が蒼炎の騎士として有名になったのは、いつですか?」
「……グラナド山脈の氷穴にて、岩竜を討った際に付いた二つ名だ。あの時、私は岩の鱗を斬るために、超高熱の炎を剣に宿す技を会得した」
通常は赤い炎だが、温度が上がるにつれ中心が青くなる。
そこに着目して術の威力を上げるとは、この人魔術師としても超優秀だよな。
ん? でも、高熱過ぎたら剣が熔けちゃわない?
リトスは一人の魔術師として、技術面がとても気になった。
「殿下、その魔術について詳しく教えてくださいよ」
「話が逸れているぞ、リトスくん。このままいくと、エリザは魔物にさらわれるのか?」
「そうですね……」
アッシュ王子は強引に話題を元に戻してくれる。
「彼女を、危険な目に合わせたくない。私がさっさとプロポーズすればいいのか?」
「何の前触れもなくプロポーズするんですか。エリザさんは事情をまったく知らないのに。変に思われて、恋愛どころじゃなくなりますよ」
そう突っ込むと、アッシュ王子は困惑したように唸った。
「……どうすればいいんだ」
「ふつうに花を贈るとか、デートに誘うとか、してくださいよ。思いつかないなら、俺がカンペ書きましょうか」
「君は、私を止めるかと思ったが」
エリザの夢を叶えれば、永遠の夢の住人になると、警告したばかりだ。
リトスは肩をすくめる。
「殿下は立派な大人でしょ。あなたが決めたことに口出ししませんよ」
「そ、そうか」
彼女の願いを叶えたいという殿下の気持ちは、理解できる。
世界中が敵でも、殿下ひとりくらいは、彼女の味方でいてもいいだろう。
アッシュは眉を下げて情けない顔をしている。
「それにしても、花を贈る?……何も役に立たない物を送る意味が分からない」
「そこからですかー」
彼が優秀なのは、武術方面だけらしい。
(※レイヴン視点)
魔物の男の処理は容易かったが、耳障りな悲鳴には、多少閉口してしまった。
「待ってください! 知りたくないのですか?! 最下層の世界に墜ちた、あなたの弟の座標を!」
「……」
「魔族の私なら、魔界のさらに下」
「望みどおり地獄に落ちろ」
命乞いをする男を切り刻んで燃やし尽くし、宇宙の果てに灰を捨ててやる。これでようやく静かになった。
戦闘が終わった後、レイヴンは自力で現実世界に移動する。
時空を操る魔術師であるレイヴンは、魂を操るリトスとは別の次元で夢の世界に囚われない。夢と言っても、実体化してしまっている以上、それは極小かつ薄っぺらに展開された並行世界だ。擬似的な時空の壁が出来ているので、そこはレイヴンの領分でもあった。
現実世界のカレンドラ侯爵の城は、雪氷に包まれて静まりかえっている。カツンカツンと、レイヴンの歩くブーツの音だけが、城の廊下にこだました。
「……リトスの遣いか」
レイヴンは謁見の間を前に、足を止める。
彼の肩めがけ、半透明の白い鳥が舞い降りてきた。
小鳥はリトスの声でしゃべる。
『よう、レイヴン。その先に、魔王はいないと思うぜ』
「そのようだ。お前はどこにいる?」
『聞いて驚け。魔王の夢の中だ』
レイヴンはリトスの声を聞きながら、影月の杖で氷の床を軽く突く。紫光の魔方陣が瞬時に広がり、波紋を描いて霧散した。
時空の壁を越えるレイヴンの探査が、一夜城に重なった様々な夢の世界を精査する。無数の世界の中で、マーキングしてあるリトスの位置を確認した。
「……なぜ、そんなことになっている?」
『西風のせいだよ。あいつのおかげで、魔王が起きて動き回るようになってしまった。彼女は氷の寝台よりもっと寝心地の良い、恋人の夢の中に移動してしまったのさ』
氷晶だらけの謁見の間に入る。
玉座を占拠するひときわ大きい氷晶の中は、空っぽだ。
その時、レイヴンは自分以外の足音を聞き、振り返った。
「……は~。ここまで来るのに、思いのほか時間がかかっちまったぜ。くそっ、聖鳥の奴め」
声の主は、明るい髪を逆立てた、若い魔術師の男だ。
彼は、小脇に抱えていた猫を、床に投げ捨てた。
「レオナ、お前のご主人様はどこにいるんだ? まったく、探しても見つからないって、どういうことだよ?」
氷の床に転がった、茶金の毛色の猫は、魔物の女レオナが変化した姿だ。西風の魔術によって、無害な猫に変えられてしまったのである。
これが星瞳の魔術師の力だ。
星瞳の魔術師は、それぞれ特異な能力を有している。一見、軽薄な若者に見える西風の魔術師ウルも、本気を出せば魔物を猫に変えてしまえる訳だ。笑い話では済まない恐ろしい力でもある。
魔神も竜も、星瞳の魔術師の相手にはならない。星瞳の魔術師の敵は、同じ星瞳の魔術師か、あるいは弱い人間だ。傲慢による油断が、星瞳の魔術師の大敵になる。
レイヴンは無表情のまま、猫から西風の魔術師ウルに視線を移す。
「……てめえ、流星か」
ウルは、距離を置いて立ち止まった。
足元の猫は、二人の間の剣呑な空気に怯えたように、慌てて物陰に逃げ込む。
「どういうことだ。聖鳥とグルなのか」
「そうだ」
説明が面倒なレイヴンは、気だるげに首肯する。
雑な返事に、ウルが呆気に取られている。
「……はん。そういうことなら話が早い。魔王の姫さんはどこだ? 答えねえなら、てめえを倒して聖鳥を探す!」
気を取り直したウルが、杖の先を突き付けてくる。
二人の星瞳の魔術師の間に、殺気だった気配が漂い始めた。
束の間、声を荒げたアッシュだが反省したのか、冷静になろうとしているようだ。
思慮深さが戻ってきている。
「しかし彼女の夢に、魔物がいるのはなぜだ?」
「簡単ですよ」
リトスは笑って答えた。
手の掛かる妹がいたので、女性が望むことは、よく知っている。
「殿下に助けて欲しいからです」
「は?」
「お姫様が魔物にさらわれて、王子様が助けに行く。王子様は魔物を倒し、お姫様を助け出して、プロポーズする。二人は結婚してハッピーエンドです!」
「……」
アッシュ王子は絶句している。
この人、軍生活で男に囲まれて育ったっぽいもんな。女の子の考えは分からないか。
「そ、そういうものなのか」
「そういうものです。ちなみに、殿下が蒼炎の騎士として有名になったのは、いつですか?」
「……グラナド山脈の氷穴にて、岩竜を討った際に付いた二つ名だ。あの時、私は岩の鱗を斬るために、超高熱の炎を剣に宿す技を会得した」
通常は赤い炎だが、温度が上がるにつれ中心が青くなる。
そこに着目して術の威力を上げるとは、この人魔術師としても超優秀だよな。
ん? でも、高熱過ぎたら剣が熔けちゃわない?
リトスは一人の魔術師として、技術面がとても気になった。
「殿下、その魔術について詳しく教えてくださいよ」
「話が逸れているぞ、リトスくん。このままいくと、エリザは魔物にさらわれるのか?」
「そうですね……」
アッシュ王子は強引に話題を元に戻してくれる。
「彼女を、危険な目に合わせたくない。私がさっさとプロポーズすればいいのか?」
「何の前触れもなくプロポーズするんですか。エリザさんは事情をまったく知らないのに。変に思われて、恋愛どころじゃなくなりますよ」
そう突っ込むと、アッシュ王子は困惑したように唸った。
「……どうすればいいんだ」
「ふつうに花を贈るとか、デートに誘うとか、してくださいよ。思いつかないなら、俺がカンペ書きましょうか」
「君は、私を止めるかと思ったが」
エリザの夢を叶えれば、永遠の夢の住人になると、警告したばかりだ。
リトスは肩をすくめる。
「殿下は立派な大人でしょ。あなたが決めたことに口出ししませんよ」
「そ、そうか」
彼女の願いを叶えたいという殿下の気持ちは、理解できる。
世界中が敵でも、殿下ひとりくらいは、彼女の味方でいてもいいだろう。
アッシュは眉を下げて情けない顔をしている。
「それにしても、花を贈る?……何も役に立たない物を送る意味が分からない」
「そこからですかー」
彼が優秀なのは、武術方面だけらしい。
(※レイヴン視点)
魔物の男の処理は容易かったが、耳障りな悲鳴には、多少閉口してしまった。
「待ってください! 知りたくないのですか?! 最下層の世界に墜ちた、あなたの弟の座標を!」
「……」
「魔族の私なら、魔界のさらに下」
「望みどおり地獄に落ちろ」
命乞いをする男を切り刻んで燃やし尽くし、宇宙の果てに灰を捨ててやる。これでようやく静かになった。
戦闘が終わった後、レイヴンは自力で現実世界に移動する。
時空を操る魔術師であるレイヴンは、魂を操るリトスとは別の次元で夢の世界に囚われない。夢と言っても、実体化してしまっている以上、それは極小かつ薄っぺらに展開された並行世界だ。擬似的な時空の壁が出来ているので、そこはレイヴンの領分でもあった。
現実世界のカレンドラ侯爵の城は、雪氷に包まれて静まりかえっている。カツンカツンと、レイヴンの歩くブーツの音だけが、城の廊下にこだました。
「……リトスの遣いか」
レイヴンは謁見の間を前に、足を止める。
彼の肩めがけ、半透明の白い鳥が舞い降りてきた。
小鳥はリトスの声でしゃべる。
『よう、レイヴン。その先に、魔王はいないと思うぜ』
「そのようだ。お前はどこにいる?」
『聞いて驚け。魔王の夢の中だ』
レイヴンはリトスの声を聞きながら、影月の杖で氷の床を軽く突く。紫光の魔方陣が瞬時に広がり、波紋を描いて霧散した。
時空の壁を越えるレイヴンの探査が、一夜城に重なった様々な夢の世界を精査する。無数の世界の中で、マーキングしてあるリトスの位置を確認した。
「……なぜ、そんなことになっている?」
『西風のせいだよ。あいつのおかげで、魔王が起きて動き回るようになってしまった。彼女は氷の寝台よりもっと寝心地の良い、恋人の夢の中に移動してしまったのさ』
氷晶だらけの謁見の間に入る。
玉座を占拠するひときわ大きい氷晶の中は、空っぽだ。
その時、レイヴンは自分以外の足音を聞き、振り返った。
「……は~。ここまで来るのに、思いのほか時間がかかっちまったぜ。くそっ、聖鳥の奴め」
声の主は、明るい髪を逆立てた、若い魔術師の男だ。
彼は、小脇に抱えていた猫を、床に投げ捨てた。
「レオナ、お前のご主人様はどこにいるんだ? まったく、探しても見つからないって、どういうことだよ?」
氷の床に転がった、茶金の毛色の猫は、魔物の女レオナが変化した姿だ。西風の魔術によって、無害な猫に変えられてしまったのである。
これが星瞳の魔術師の力だ。
星瞳の魔術師は、それぞれ特異な能力を有している。一見、軽薄な若者に見える西風の魔術師ウルも、本気を出せば魔物を猫に変えてしまえる訳だ。笑い話では済まない恐ろしい力でもある。
魔神も竜も、星瞳の魔術師の相手にはならない。星瞳の魔術師の敵は、同じ星瞳の魔術師か、あるいは弱い人間だ。傲慢による油断が、星瞳の魔術師の大敵になる。
レイヴンは無表情のまま、猫から西風の魔術師ウルに視線を移す。
「……てめえ、流星か」
ウルは、距離を置いて立ち止まった。
足元の猫は、二人の間の剣呑な空気に怯えたように、慌てて物陰に逃げ込む。
「どういうことだ。聖鳥とグルなのか」
「そうだ」
説明が面倒なレイヴンは、気だるげに首肯する。
雑な返事に、ウルが呆気に取られている。
「……はん。そういうことなら話が早い。魔王の姫さんはどこだ? 答えねえなら、てめえを倒して聖鳥を探す!」
気を取り直したウルが、杖の先を突き付けてくる。
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