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The Siblings' Oath(兄妹の約束)
第66話 隠し子設定
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ところで、リトスは表向き死刑ということになったのだが、裏では星瞳の魔術師をメレフ国内に留めたい王家との、熾烈な交渉があったことを、ここに記しておこう。
「リトス・アルシャウカトは、死んだということにする、お前の案については通そうと思う」
「さっすが殿下。話が分かる」
「代わりの戸籍を用意する。喜べ、私の弟だ」
「はぁ?!」
カナン王子は、国王の隠し子が見つかったということにして、リトスを自分の弟にしたいと言い出した。
誰だ、王子様に要らん入れ知恵をした奴は!
「大丈夫だ、リトス。既に父上の許可はもらった。今朝一番に了解をもぎとってきたぞ」
「それは寝起きに突撃しただけでしょ!」
恐ろしいことに、国王や重臣たちも、妥当な案だと賛成しているらしい。
彼らは、何としてでもリトスが国内にとどまる理由を作ろうと必死だ。
ただカナン王子については、リトスの行動をおおむね認めてくれてはいるらしい。ちょっと……方向性がアレなだけで。
「死んだことにして、国外に旅に出ることを許してやる! だが代わりに私の弟になれ!」
「意味わかんないよ!!」
「何が不満だ?! 全面的に、お前の案を認めてやっているだろうが!」
「殿下の弟なんて死んでも嫌だ!」
リトスは王子の提案に抵抗しまくった。
あまりにも低レベルな言い争いに、様子を見に来た重臣が「もう兄弟でいいじゃないですか」と呟いたくらいだ。
最初はきちんと別室で話していたのに、カナンはリトスが居候しているレイヴンの居室まで押しかけてきた。審議の日以来、リトスはレイヴンの部屋で寝起きしている。国王も重臣も連日アルシャウカト家絡みの案件で忙しいので、リトスの所在が分かれば良いとすっかり妥協していた。
「流星、俺の味方をしろよ! 元はといえば、お前が邪魔したから、こんなことになってるんだぞ」
連日、寝台を横取りされている部屋の主は、機嫌悪そうな表情でリトスをちらと見た。
「知らん」
「罪悪感とか、ないのかよ」
「……メレフの守護結界の修復だが、聖鳥の魔術師がいるのに、俺がやる意味があるのかと、国王に進言しておいた」
「それ、あんたの仕事だっただろう?!」
そもそも、国の協力を引き出す手がかりとして、守護結界の修復の仕事を受注しただけだという。
遺跡の探索という本当の目的を達成したレイヴンは、もうこの国で働く気がないらしい。
「クソ面倒だな……」
長椅子に寝そべって、猫じゃらしで黒竜をあやすレイヴン。
てこでも動かない気配が漂っている。
「どいつもこいつも、マイペースに面倒事を押し付けやがって」
リトスは頭を抱えた。
聖鳥の魔術師として、どこかのタイミングで国の守護結界は修復するつもりだったが、正式な依頼を受けてやる羽目になるとは。
カナン王子の弟になるのは嫌だが、放置すると話が予想外の方向に転がりそうなので、リトスは妥協して条件を詰めることにした。
もともと権力にこだわりはなく、追放されて身軽になることを良しとしていたが、権力が役立つ時もあると分かっている。
王族の末席に加わることは受け入れるが、王族の責務を負わされたくない。贅沢な願いだが、メレフ国王と重臣は星瞳の魔術師であるリトスと縁を切りたくないと考えているので、こちらの有利に交渉を進められるだろう。
自由を得るため、国王と直接話し合う。
その結果、隠し子病弱設定のため表に出ない、ということで決着した。
ただし……メレフの守護結界について、レイヴンではなくリトスが修復するため、聖鳥の魔術師として一度だけ表舞台に立つことを承諾させられた。
「魔術師のローブなのに、なんで白?」
「聖鳥の魔術師様ですから」
結界修復の魔術を、公開行事としてやることになり、専用の衣装が用意された。国王が内密にお抱え針子に命じて作らせた一点ものだ。
聖地メレフを代表する魔術師にふさわしい、神官イメージのローブらしい。
灰色と白を基調とした最高級の絹の布地には、うっすら翼の模様が幾重にも刺繍されており、とても凝ったデザインになっている。交差する組紐や、真珠貝のボタン、宝石の欠片が散りばめられた装飾……関係者がどれだけ盛り上がって制作したか分かる。
うわぁ。
目立つなーこれ。目立ちなくないなぁ。
リトスは内心葛藤したが、着るのも人前に立つのも一度だけという約束なので、腹をくくった。
「用意はできたか」
カナンが迎えに来て、リトスの装いに目を見張る。
「笑ってくれてもいいんですよ」
「……」
「殿下?」
王子様が固まってしまったので、リトスは首をかしげる。
ようやく復活したカナンは、非常に困惑した表情で、頬を赤らめて視線を逸らした。
「よく、似合っている……」
「どういう反応それ。まあ、いいや。さっさと終わらせて、一刻も早く服脱いで自由になるぞ~」
リトスは、儀式の会場になっている王城の裏庭に向かった。
「リトス・アルシャウカトは、死んだということにする、お前の案については通そうと思う」
「さっすが殿下。話が分かる」
「代わりの戸籍を用意する。喜べ、私の弟だ」
「はぁ?!」
カナン王子は、国王の隠し子が見つかったということにして、リトスを自分の弟にしたいと言い出した。
誰だ、王子様に要らん入れ知恵をした奴は!
「大丈夫だ、リトス。既に父上の許可はもらった。今朝一番に了解をもぎとってきたぞ」
「それは寝起きに突撃しただけでしょ!」
恐ろしいことに、国王や重臣たちも、妥当な案だと賛成しているらしい。
彼らは、何としてでもリトスが国内にとどまる理由を作ろうと必死だ。
ただカナン王子については、リトスの行動をおおむね認めてくれてはいるらしい。ちょっと……方向性がアレなだけで。
「死んだことにして、国外に旅に出ることを許してやる! だが代わりに私の弟になれ!」
「意味わかんないよ!!」
「何が不満だ?! 全面的に、お前の案を認めてやっているだろうが!」
「殿下の弟なんて死んでも嫌だ!」
リトスは王子の提案に抵抗しまくった。
あまりにも低レベルな言い争いに、様子を見に来た重臣が「もう兄弟でいいじゃないですか」と呟いたくらいだ。
最初はきちんと別室で話していたのに、カナンはリトスが居候しているレイヴンの居室まで押しかけてきた。審議の日以来、リトスはレイヴンの部屋で寝起きしている。国王も重臣も連日アルシャウカト家絡みの案件で忙しいので、リトスの所在が分かれば良いとすっかり妥協していた。
「流星、俺の味方をしろよ! 元はといえば、お前が邪魔したから、こんなことになってるんだぞ」
連日、寝台を横取りされている部屋の主は、機嫌悪そうな表情でリトスをちらと見た。
「知らん」
「罪悪感とか、ないのかよ」
「……メレフの守護結界の修復だが、聖鳥の魔術師がいるのに、俺がやる意味があるのかと、国王に進言しておいた」
「それ、あんたの仕事だっただろう?!」
そもそも、国の協力を引き出す手がかりとして、守護結界の修復の仕事を受注しただけだという。
遺跡の探索という本当の目的を達成したレイヴンは、もうこの国で働く気がないらしい。
「クソ面倒だな……」
長椅子に寝そべって、猫じゃらしで黒竜をあやすレイヴン。
てこでも動かない気配が漂っている。
「どいつもこいつも、マイペースに面倒事を押し付けやがって」
リトスは頭を抱えた。
聖鳥の魔術師として、どこかのタイミングで国の守護結界は修復するつもりだったが、正式な依頼を受けてやる羽目になるとは。
カナン王子の弟になるのは嫌だが、放置すると話が予想外の方向に転がりそうなので、リトスは妥協して条件を詰めることにした。
もともと権力にこだわりはなく、追放されて身軽になることを良しとしていたが、権力が役立つ時もあると分かっている。
王族の末席に加わることは受け入れるが、王族の責務を負わされたくない。贅沢な願いだが、メレフ国王と重臣は星瞳の魔術師であるリトスと縁を切りたくないと考えているので、こちらの有利に交渉を進められるだろう。
自由を得るため、国王と直接話し合う。
その結果、隠し子病弱設定のため表に出ない、ということで決着した。
ただし……メレフの守護結界について、レイヴンではなくリトスが修復するため、聖鳥の魔術師として一度だけ表舞台に立つことを承諾させられた。
「魔術師のローブなのに、なんで白?」
「聖鳥の魔術師様ですから」
結界修復の魔術を、公開行事としてやることになり、専用の衣装が用意された。国王が内密にお抱え針子に命じて作らせた一点ものだ。
聖地メレフを代表する魔術師にふさわしい、神官イメージのローブらしい。
灰色と白を基調とした最高級の絹の布地には、うっすら翼の模様が幾重にも刺繍されており、とても凝ったデザインになっている。交差する組紐や、真珠貝のボタン、宝石の欠片が散りばめられた装飾……関係者がどれだけ盛り上がって制作したか分かる。
うわぁ。
目立つなーこれ。目立ちなくないなぁ。
リトスは内心葛藤したが、着るのも人前に立つのも一度だけという約束なので、腹をくくった。
「用意はできたか」
カナンが迎えに来て、リトスの装いに目を見張る。
「笑ってくれてもいいんですよ」
「……」
「殿下?」
王子様が固まってしまったので、リトスは首をかしげる。
ようやく復活したカナンは、非常に困惑した表情で、頬を赤らめて視線を逸らした。
「よく、似合っている……」
「どういう反応それ。まあ、いいや。さっさと終わらせて、一刻も早く服脱いで自由になるぞ~」
リトスは、儀式の会場になっている王城の裏庭に向かった。
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