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雪国の救世主
18 盗賊団のアジトで夕飯をご馳走になりました
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ルーナのあまりの阿呆っ子ぶりに、俺はちょっと和んでいた。
「そんな生暖かい目で見ないで! 私には奥の手があるのよ」
「どんな?」
「森の外れにアジトを作っている人間の盗賊団に、ティオを襲って捕まえるように言っておいたわ。友達を助けたくば、私の呪いを解きなさい!」
「ほー」
ハンターのロイドとミカが護衛に付いているから、滅多なことは起きないと思うが、確かに気になるな。
「じゃあ、竜にへんしんして飛んでいこうかな」
「え?!」
俺は変身の魔法を使って、竜に変身した。
一気に目線の高さが変わり身体が大きくなる。
鱗の色は、フェンリルの時と同じ白銀で、目はアイスブルー。竜への変身は慣れていないので、角は無くて羽が生えたトカゲといった姿だが、十分さまになっている。
「嘘?! ちょっと前に変身の魔法を教わっただけなのに、何でそんなに使いこなしてるの?!」
ふっ。この数週間でいろいろ修行したからな。
驚愕するルーナをくわえて背中に乗せると、俺は森の木々を押し退けて、コウモリ型の翼で大空に舞い上がった。
ルーナに盗賊団のアジトの場所を聞いた俺は、彼らのキャンプ場のど真ん中に着地した。
時刻はもう夜だ。そこは真白山脈から離れた人里に近い地域で、まばらな雑木林の間に焚き火の明かりが見える。
「な、なんだ、ドラゴンだと?! しかも上位種の白竜か?!」
盗賊団員たちは慌てふためいている。
身体の色が白銀なのは、フェンリルの名残で白竜だからという訳じゃないが……まあ、そんなことはどうでもいい。
俺は彼らの前で、人間の姿に変身した。
熟練度が上がったからか、最近、服を着た格好に変身できるようになった。すっぽんぽんで恥ずかしい思いをするのが嫌だったので、一番に練習したのだ。
「あ、ゼフィ!」
目を白黒させている盗賊団員の後ろから、俺の姿を見つけてティオが飛び出してくる。元気そうだ。拘束されている様子はない。
「久しぶり、ティオ。ここは盗賊団のアジトだって聞いたけど……」
「盗賊? 俺たちは義賊だぜ」
体格の良い、頭にバンダナを巻いた男が話に割り込んだ。
無精髭をそったら、そこそこ見られるんじゃないかと思う、若い黒髪の男だ。腰のベルトに剣をさしている。
「ロキさん」
「白竜は人間よりも賢いと聞く。見ての通り、俺たちはティオくんを客人として歓待してるところだ。どうだ、友好の証に、一緒に夕飯を食べないか?」
ティオに「ロキさん」と呼ばれた男は、俺をじろじろ見ながら提案してきた。俺が答える前に、ルーナが白煙と共に人間の姿に変身して会話に参加する。
「ロキ! 私はその子を捕まえなさいと命じたはずよ!」
「なんで捕まえたいのか分からなかったから、とりあえず話を聞こうとしてたとこだ。ティオくん、素直な良い少年じゃないか。ははは」
ロキはルーナの苦情を笑って受け流した。
最初から分かってたけど、ルーナ、君は本当に残念な娘だ。やることなすこと、全部裏目に出とるがな。
「白竜くんはどうする?」
わなわな震えるルーナをよそに、ロキは俺に向かって問いかける。
「じゃあ、お言葉に甘えようかな」
俺は義賊だという彼らに、夕飯をご馳走してもらうことにした。
二~三十人の大所帯だからか、食事は豪快に大鍋で調理するようだ。
猪の肉と、カブや人参を煮込んだスープが入ったお椀を渡された。ついで、刻んだ棒パンが配られる。パンをスープに浸けて食べるみたいだ。
「あったまるー!」
ティオは、湯気の出るスープをふうふう冷ましながらすすっている。
こういう寒い地方だと、温かい食べ物は身に染みるよな。
真白山脈から離れてもまだ、地面のあちこちに雪は残っている。
そういえば、ティオの護衛に付いて行った、ロイドとミカの姿を見かけないな。
「ティオ、お前ひとりなの? ロイドとミカは?」
俺は熱いものが苦手なので、スープが冷めるのを待っていた。
ガツガツ食べているティオに聞く。
「ロイドさん? 僕を置いて逃げていっちゃったよ」
「……」
あれまあ、なんと頼りない護衛か。
「何で皆、私の言うことを聞かないのよぅー!」
俺の隣で、山猫のルーナが地団駄を踏んでいる。
やれやれだな。
「ルーナ。なんで、こいつらが盗賊だと思ったの?」
「なんでって……武器を持っていて、森の近くに住みついたから」
ルーナはめっちゃ適当に、盗賊団だと勘違いして、ティオの確保を彼らに頼んだらしい。聞く方も聞く方だけど。
「野盗は、あんな立派な剣を持ってないよ」
俺はロキの腰にさげられた剣を示す。
だいたい剣はお金が無いと買えない装備だ。貧乏人は、斧や弓を使う。木こりや農夫、狩人なら簡単に手に入る武器だからだ。
「おっと、白竜くんは鋭いな」
話を聞いていたロキが、俺を感心したように見た。
「どういうこと?」
まだルーナは分かってないみたいだ。
俺は推測を口にした。
「つまり、この人たちは事情があって街から離れている騎士さまじゃないか、ってこと」
「騎士?!」
ティオが顔を上げて目を丸くする。
ロキは、正解と言う風に笑みを浮かべた。
「白竜くんの言う通り、俺たちは騎士だ。ティオくんを危ない目に合わせたりしないから、安心していいよ」
ロキは安心させるために言ったのだろうが、ティオが大人しいのは別の理由だ。少年は憧れの騎士が目の前にいると知って感動している。
俺は、ちょうどいい温かさになったスープを飲んだ。
美味しいな。
お腹が満たされたら眠くなってくる……。
竜に変身したらいつでも飛んで帰れるし、帰るのは明日の朝でもいいか。
「そんな生暖かい目で見ないで! 私には奥の手があるのよ」
「どんな?」
「森の外れにアジトを作っている人間の盗賊団に、ティオを襲って捕まえるように言っておいたわ。友達を助けたくば、私の呪いを解きなさい!」
「ほー」
ハンターのロイドとミカが護衛に付いているから、滅多なことは起きないと思うが、確かに気になるな。
「じゃあ、竜にへんしんして飛んでいこうかな」
「え?!」
俺は変身の魔法を使って、竜に変身した。
一気に目線の高さが変わり身体が大きくなる。
鱗の色は、フェンリルの時と同じ白銀で、目はアイスブルー。竜への変身は慣れていないので、角は無くて羽が生えたトカゲといった姿だが、十分さまになっている。
「嘘?! ちょっと前に変身の魔法を教わっただけなのに、何でそんなに使いこなしてるの?!」
ふっ。この数週間でいろいろ修行したからな。
驚愕するルーナをくわえて背中に乗せると、俺は森の木々を押し退けて、コウモリ型の翼で大空に舞い上がった。
ルーナに盗賊団のアジトの場所を聞いた俺は、彼らのキャンプ場のど真ん中に着地した。
時刻はもう夜だ。そこは真白山脈から離れた人里に近い地域で、まばらな雑木林の間に焚き火の明かりが見える。
「な、なんだ、ドラゴンだと?! しかも上位種の白竜か?!」
盗賊団員たちは慌てふためいている。
身体の色が白銀なのは、フェンリルの名残で白竜だからという訳じゃないが……まあ、そんなことはどうでもいい。
俺は彼らの前で、人間の姿に変身した。
熟練度が上がったからか、最近、服を着た格好に変身できるようになった。すっぽんぽんで恥ずかしい思いをするのが嫌だったので、一番に練習したのだ。
「あ、ゼフィ!」
目を白黒させている盗賊団員の後ろから、俺の姿を見つけてティオが飛び出してくる。元気そうだ。拘束されている様子はない。
「久しぶり、ティオ。ここは盗賊団のアジトだって聞いたけど……」
「盗賊? 俺たちは義賊だぜ」
体格の良い、頭にバンダナを巻いた男が話に割り込んだ。
無精髭をそったら、そこそこ見られるんじゃないかと思う、若い黒髪の男だ。腰のベルトに剣をさしている。
「ロキさん」
「白竜は人間よりも賢いと聞く。見ての通り、俺たちはティオくんを客人として歓待してるところだ。どうだ、友好の証に、一緒に夕飯を食べないか?」
ティオに「ロキさん」と呼ばれた男は、俺をじろじろ見ながら提案してきた。俺が答える前に、ルーナが白煙と共に人間の姿に変身して会話に参加する。
「ロキ! 私はその子を捕まえなさいと命じたはずよ!」
「なんで捕まえたいのか分からなかったから、とりあえず話を聞こうとしてたとこだ。ティオくん、素直な良い少年じゃないか。ははは」
ロキはルーナの苦情を笑って受け流した。
最初から分かってたけど、ルーナ、君は本当に残念な娘だ。やることなすこと、全部裏目に出とるがな。
「白竜くんはどうする?」
わなわな震えるルーナをよそに、ロキは俺に向かって問いかける。
「じゃあ、お言葉に甘えようかな」
俺は義賊だという彼らに、夕飯をご馳走してもらうことにした。
二~三十人の大所帯だからか、食事は豪快に大鍋で調理するようだ。
猪の肉と、カブや人参を煮込んだスープが入ったお椀を渡された。ついで、刻んだ棒パンが配られる。パンをスープに浸けて食べるみたいだ。
「あったまるー!」
ティオは、湯気の出るスープをふうふう冷ましながらすすっている。
こういう寒い地方だと、温かい食べ物は身に染みるよな。
真白山脈から離れてもまだ、地面のあちこちに雪は残っている。
そういえば、ティオの護衛に付いて行った、ロイドとミカの姿を見かけないな。
「ティオ、お前ひとりなの? ロイドとミカは?」
俺は熱いものが苦手なので、スープが冷めるのを待っていた。
ガツガツ食べているティオに聞く。
「ロイドさん? 僕を置いて逃げていっちゃったよ」
「……」
あれまあ、なんと頼りない護衛か。
「何で皆、私の言うことを聞かないのよぅー!」
俺の隣で、山猫のルーナが地団駄を踏んでいる。
やれやれだな。
「ルーナ。なんで、こいつらが盗賊だと思ったの?」
「なんでって……武器を持っていて、森の近くに住みついたから」
ルーナはめっちゃ適当に、盗賊団だと勘違いして、ティオの確保を彼らに頼んだらしい。聞く方も聞く方だけど。
「野盗は、あんな立派な剣を持ってないよ」
俺はロキの腰にさげられた剣を示す。
だいたい剣はお金が無いと買えない装備だ。貧乏人は、斧や弓を使う。木こりや農夫、狩人なら簡単に手に入る武器だからだ。
「おっと、白竜くんは鋭いな」
話を聞いていたロキが、俺を感心したように見た。
「どういうこと?」
まだルーナは分かってないみたいだ。
俺は推測を口にした。
「つまり、この人たちは事情があって街から離れている騎士さまじゃないか、ってこと」
「騎士?!」
ティオが顔を上げて目を丸くする。
ロキは、正解と言う風に笑みを浮かべた。
「白竜くんの言う通り、俺たちは騎士だ。ティオくんを危ない目に合わせたりしないから、安心していいよ」
ロキは安心させるために言ったのだろうが、ティオが大人しいのは別の理由だ。少年は憧れの騎士が目の前にいると知って感動している。
俺は、ちょうどいい温かさになったスープを飲んだ。
美味しいな。
お腹が満たされたら眠くなってくる……。
竜に変身したらいつでも飛んで帰れるし、帰るのは明日の朝でもいいか。
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