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新型魔導銃の秘密
59 ついに謎が解けました?
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俺は領事館に帰ると、庭で昼寝している兄たんの身体の上に飛び乗った。
「兄たん! 美味しいお肉の気配だよ!」
「……む?」
白い三角耳を引っ張って兄狼を起こす。
そうしてクロス兄とウォルト兄に、クリスティ商会の地下で感じた「美味しい匂い」について教えてあげた。
「ゼフィがそこまで言うからには、確かめに行かなければならないな」
「……(無言で立ち上がる)」
話を聞いたクロス兄とウォルト兄は、やる気になったみたいだ。
善は急げ。
早速、夜になったらクリスティ商会の地下に忍び込もう。
ティオは俺たちの行動に困惑気味だ。
「本気で泥棒しにいくの? ゼフィ」
「美味しいお肉が俺を待っている(キリッ)」
兄狼には普通の犬サイズになってもらって、俺は黒い服に着替えることにした。
銀髪は目立つからフードを上から被る。
ミカが市場で買ってきたそのフード付きマントは、何故か黒猫をイメージした猫耳が付いていた。俺が被るとミカが「可愛い!」と目を輝かせる。こら、遊びじゃないんだからな!
最後に愛剣"天牙"を持った。
ごそごそ準備していると、部屋にパンツ一丁の男が入ってきた。
「わっ、変態を成敗……」
「するな! 俺だよ、ロイドだよ!」
長髪で猫背の男は、わたわた両手を振って降参の意思を示す。
ロイドは元神獣ハンターで、記憶を失ってクリスティ商会で新型魔導銃の開発をさせられていた。今は商会から逃げ出して俺たちがかくまっている。
俺がタヌキの姿になる魔法を掛けていたのだが、時間が経って効力が切れたみたいだな。
「よし。もっかいタヌキにしてあげるから、そこに直れ」
「ちがーう! そうじゃなくて思い出したんだよ!」
「??」
「お前がフェンリルで、ミカが弟子だってことも、思い出した」
記憶が戻ったのか。
俺は密かな懸案事項が解決して、ちょっと安心した。
ミカが目をうるうるさせて「師匠」と呟いている。
「良かったね。ミカにお礼を言いなよ」
「ああ。って、声を掛けたのはそうじゃなくて、お前ら、クリスティ商会の地下に行くのか?」
「そうだけど。ロイドも肉を食べたいのか」
「肉? 違う。俺はヤバいことを手伝わされていたんだ。あの地下にあるのは……」
言いかけて、頭痛がするのかしゃがみこむロイド。
まだ本調子じゃないみたいだ。
「無理せずに寝てなよ」
「……気を付けろ。あそこは危険だ」
意味深な警告に俺は「へえ」と不敵な笑みを浮かべた。
何があるんだろう。わくわくするな。
「行こう、兄たん」
東の空にうっすら白い月が輝き始めた。
ここからは、俺たち獣の時間だ。
人間がいっぱいの建物に真正面から忍び込むなんて、面倒なことはしない。
俺は領事館の庭で転移魔法を使った。
クリスティ商会の地下に直接、時空をつなげる。
兄狼二匹と、時空の穴に飛び込んだ。
あっという間に目的の場所の前まで辿り着く。
「この匂いは……!」
例の、地下の突き当りの扉の前。
クロス兄とウォルト兄も匂いを感じているのか、鼻先を上に向けて空気を嗅いでいる。
「確かに美味そうな匂いだ!」
「でしょ!」
俺は天牙を鞘から抜いて、分厚い金属の扉をぶったぎった。
「えい!」
音もなく扉に切れ目が走る。
扉を蹴飛ばすと同時に、氷の魔法をクッション代わりに使って、切った扉が床に当たって音が出ないようにした。
氷漬けになった扉の破片の上を踏みしめて、部屋の中に入る。
部屋の奥には、大きな水晶の花が咲いていた。
水晶の花の上に長い黒髪の女の子が浮いている。
光の翼を背負った神々しい少女だ。
『……よく来たな、限りある命の人の子よ。私はヴェルザンディ。秩序を尊ぶ神の一柱である』
少女が話し出すと同時に、赤い蝶々が部屋の中を乱舞した。
幻想的な光景だ。
『猫耳フードの少年、なかなか可愛いわね。こっちに来なさい、私の加護を与えてあげましょう』
「ええと」
「ゼフィ、あれは食べ物だ!」
「へ?」
クロス兄とウォルト兄が、目を輝かせている。
確かに少女から美味しい匂いが漂ってくるけど。
「兄たん、ヨダレヨダレ」
「美味そうだ……!」
食欲を向けられたヴェルザンディが困惑した表情になり、次の瞬間、青ざめる。
『げっ、フェンリル。神を喰らう獣! なんでこんな南の地にいるの?! ああ、変身の魔法を使っていたのね。人間かと思っちゃったじゃない!』
ヴェルザンディは俺たちを見て、水晶の上を後ずさりし始めた。
『いやっ、せっかく復活したのに! 食べないで~!』
なんだか、可哀想だ。
「兄たん、しゃべる食べ物はちょっと……」
「むむ、確かに。美味しそうなんだがなー」
「……(無言で耳を伏せる)」
せっかく来たのに、美味しそうな匂いもしてるのに、食べられないなんて。
どうしようかな。
俺は兄たんと視線をかわして悩んだ。
すると、壁際で涙ぐんでいたヴェルザンディが、不意に笑い始める。
『……ふふ。相変わらず、混沌の神族のあなたたちは、人の情にもろいのね。なら、いくらでもやりようがある。来なさい、アールフェス』
知り合いの名前が呼ばれて、俺はぎょっとした。
いつの間にか部屋の外に人の気配がある。
振り返るとそれは、虚ろな目をしたアールフェスだった。
『新型魔導銃には、私の力を使ってもらっているの。私の力に触れたものは、私の使徒になる』
アールフェスはヴェルザンディに手招きされるまま、歩いてくる。
すれ違いざま、俺と彼の視線が絡み合う。
アールフェスの唇がかすかに動いた。
――すまない。
いったい何に対しての謝罪なのか。
ヴェルザンディはアールフェスに抱き着くと、勝ち誇った顔をした。
『私を傷つけたら、この人間を殺すわよ! さあ、私の部屋から出て行きなさい、けだものども!』
人質を取るなんて卑怯な奴だ。
しかし無理やりアールフェスを取り返しても洗脳が解けるか分からないし。
ここは一旦退却するか。
「兄たん! 美味しいお肉の気配だよ!」
「……む?」
白い三角耳を引っ張って兄狼を起こす。
そうしてクロス兄とウォルト兄に、クリスティ商会の地下で感じた「美味しい匂い」について教えてあげた。
「ゼフィがそこまで言うからには、確かめに行かなければならないな」
「……(無言で立ち上がる)」
話を聞いたクロス兄とウォルト兄は、やる気になったみたいだ。
善は急げ。
早速、夜になったらクリスティ商会の地下に忍び込もう。
ティオは俺たちの行動に困惑気味だ。
「本気で泥棒しにいくの? ゼフィ」
「美味しいお肉が俺を待っている(キリッ)」
兄狼には普通の犬サイズになってもらって、俺は黒い服に着替えることにした。
銀髪は目立つからフードを上から被る。
ミカが市場で買ってきたそのフード付きマントは、何故か黒猫をイメージした猫耳が付いていた。俺が被るとミカが「可愛い!」と目を輝かせる。こら、遊びじゃないんだからな!
最後に愛剣"天牙"を持った。
ごそごそ準備していると、部屋にパンツ一丁の男が入ってきた。
「わっ、変態を成敗……」
「するな! 俺だよ、ロイドだよ!」
長髪で猫背の男は、わたわた両手を振って降参の意思を示す。
ロイドは元神獣ハンターで、記憶を失ってクリスティ商会で新型魔導銃の開発をさせられていた。今は商会から逃げ出して俺たちがかくまっている。
俺がタヌキの姿になる魔法を掛けていたのだが、時間が経って効力が切れたみたいだな。
「よし。もっかいタヌキにしてあげるから、そこに直れ」
「ちがーう! そうじゃなくて思い出したんだよ!」
「??」
「お前がフェンリルで、ミカが弟子だってことも、思い出した」
記憶が戻ったのか。
俺は密かな懸案事項が解決して、ちょっと安心した。
ミカが目をうるうるさせて「師匠」と呟いている。
「良かったね。ミカにお礼を言いなよ」
「ああ。って、声を掛けたのはそうじゃなくて、お前ら、クリスティ商会の地下に行くのか?」
「そうだけど。ロイドも肉を食べたいのか」
「肉? 違う。俺はヤバいことを手伝わされていたんだ。あの地下にあるのは……」
言いかけて、頭痛がするのかしゃがみこむロイド。
まだ本調子じゃないみたいだ。
「無理せずに寝てなよ」
「……気を付けろ。あそこは危険だ」
意味深な警告に俺は「へえ」と不敵な笑みを浮かべた。
何があるんだろう。わくわくするな。
「行こう、兄たん」
東の空にうっすら白い月が輝き始めた。
ここからは、俺たち獣の時間だ。
人間がいっぱいの建物に真正面から忍び込むなんて、面倒なことはしない。
俺は領事館の庭で転移魔法を使った。
クリスティ商会の地下に直接、時空をつなげる。
兄狼二匹と、時空の穴に飛び込んだ。
あっという間に目的の場所の前まで辿り着く。
「この匂いは……!」
例の、地下の突き当りの扉の前。
クロス兄とウォルト兄も匂いを感じているのか、鼻先を上に向けて空気を嗅いでいる。
「確かに美味そうな匂いだ!」
「でしょ!」
俺は天牙を鞘から抜いて、分厚い金属の扉をぶったぎった。
「えい!」
音もなく扉に切れ目が走る。
扉を蹴飛ばすと同時に、氷の魔法をクッション代わりに使って、切った扉が床に当たって音が出ないようにした。
氷漬けになった扉の破片の上を踏みしめて、部屋の中に入る。
部屋の奥には、大きな水晶の花が咲いていた。
水晶の花の上に長い黒髪の女の子が浮いている。
光の翼を背負った神々しい少女だ。
『……よく来たな、限りある命の人の子よ。私はヴェルザンディ。秩序を尊ぶ神の一柱である』
少女が話し出すと同時に、赤い蝶々が部屋の中を乱舞した。
幻想的な光景だ。
『猫耳フードの少年、なかなか可愛いわね。こっちに来なさい、私の加護を与えてあげましょう』
「ええと」
「ゼフィ、あれは食べ物だ!」
「へ?」
クロス兄とウォルト兄が、目を輝かせている。
確かに少女から美味しい匂いが漂ってくるけど。
「兄たん、ヨダレヨダレ」
「美味そうだ……!」
食欲を向けられたヴェルザンディが困惑した表情になり、次の瞬間、青ざめる。
『げっ、フェンリル。神を喰らう獣! なんでこんな南の地にいるの?! ああ、変身の魔法を使っていたのね。人間かと思っちゃったじゃない!』
ヴェルザンディは俺たちを見て、水晶の上を後ずさりし始めた。
『いやっ、せっかく復活したのに! 食べないで~!』
なんだか、可哀想だ。
「兄たん、しゃべる食べ物はちょっと……」
「むむ、確かに。美味しそうなんだがなー」
「……(無言で耳を伏せる)」
せっかく来たのに、美味しそうな匂いもしてるのに、食べられないなんて。
どうしようかな。
俺は兄たんと視線をかわして悩んだ。
すると、壁際で涙ぐんでいたヴェルザンディが、不意に笑い始める。
『……ふふ。相変わらず、混沌の神族のあなたたちは、人の情にもろいのね。なら、いくらでもやりようがある。来なさい、アールフェス』
知り合いの名前が呼ばれて、俺はぎょっとした。
いつの間にか部屋の外に人の気配がある。
振り返るとそれは、虚ろな目をしたアールフェスだった。
『新型魔導銃には、私の力を使ってもらっているの。私の力に触れたものは、私の使徒になる』
アールフェスはヴェルザンディに手招きされるまま、歩いてくる。
すれ違いざま、俺と彼の視線が絡み合う。
アールフェスの唇がかすかに動いた。
――すまない。
いったい何に対しての謝罪なのか。
ヴェルザンディはアールフェスに抱き着くと、勝ち誇った顔をした。
『私を傷つけたら、この人間を殺すわよ! さあ、私の部屋から出て行きなさい、けだものども!』
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