会社員だった俺が試しに選挙に出てみたら当選して総理大臣になってしまった件

もっちもっち

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第1巻 1期目 臨時国会

待機児童を考える会に参加

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 ニートをめぐる騒動を引き起こし、国会でつるし上げられて数日がたった。その間、全く別の政治的問題についての議論が行われている。
 こうして考えてみると、世の中にはいろいろな政治を巡る問題が渦巻いているようで、自分たちが大事だと思っている問題は棚上げにされている感だ。本当に政治に解決してもらおうとしたら、もっと大きな声を起こさないと難しいかもしれない。
 そんなふうに議題を聞き流しながら座っていると今日もあっという間に一日が過ぎた。そして、帰ろうと席を立とうとすると、左隣りに座っている消費者が奮い立つ会の小宮静江が声を掛けてきた。
「古味さん。今日これからお時間取れますか?」
と聞いてきたので、特段用事はないと答えると。
「ちょっとご相談したいことがありまして、議員会館の私の部屋まで来ていただけますでしょうか?」
「いいですよ」
「じゃあ行きましょう」
ということになり、二人で歩いて議員会館へ向かった。
 部屋に入ると何人か中年の女性が座っていた。恐らく小宮静江の支持者だろうと考えていると、
「こちらは待機児童を考える会の代表者の方々です」
と小宮が紹介するのに合わせ、女性達は立ち上がって挨拶する。
「で、こちらの男性が衆議議員の古味良一さんです」
と紹介されたのでこちらも挨拶して返す。
「あらまあ、最近ご活躍されている古味議員ですか。何度かテレビで見させていただいています」
 女性の輪が知っている知っていないとざわざわする。
「挨拶はこれぐらいで古味さんもこちらに座ってください」
 机を囲んだソファーに小宮静江と中年の女性達そして俺が座ると小宮静江が口を開く。
「実は、古味さんが待機児童問題にも興味を持っていると聞きまして、こちらの方々が主催している”待機児童を考える会”に参加されてみてはどうかと声をかけさせていただきました」
「待機児童を考える会ですか・・・」
 待機児童問題と言われて先日安富に言われた言葉を思い出す。独身で子供がいない俺には確かにあまり関係のない問題だった。そんな俺が参加していいのだろうか。
「実はこの問題については何度か考えもしたのですが、どうしたらいいのか全くわからない感じなんです」
と俺が正直に答えると、女性たちも顔を合わせながら難しい問題ですよねと相づちを打つ。
 そうしていると、待機児童を考える会の人が口を開く、
「私たちもなかなかいい解決方法は見いだせないでいます。しかし、黙っていては見過ごされるだけです。こういった会を通して一人一人の声を拾い上げていくことが重要だと考えているのです」
 なるほど。自分ではどうにもできていない問題だから、向こうから参加してくれというなら渡りに船だが。。。。と、特に断る理由もないので、俺は待機児童を考える会に一日だけ参加させてもらうことにした。日時は平日15時から場所は都内の貸会議室。国会議事堂からだと10分ぐらいで着けるだろう。
「古味さんいいお返事ありがとうございます。その日は私も参加しますので」
と小宮静江は明るい感じで言った。

 約束の日、議事が終わったところで急いで国会議事堂前を出発する。貸会議室に着くと20名ぐらいの待機児童を抱えた母親たちが座っていた。
 自分一人が男なのに違和感を感じながら国会議員の古味良一と紹介されると、参加者からは本日はよろしくお願いしますと温かく迎えてくれた。
「さて、本日はお役所から公表されている待機児童数の報告について皆さんの声を聞きたいと思います」
 小宮静江がそう言うと、参加者にプリントが配られる。そこにはある役所から現在待機児童数はゼロだという報告が書かれている。だが、実際には何時間もかかる遠くの保育所に預けたりして、入所希望が取り下げられたもので、本当の入所希望者数は把握されていないということだ。

 参加している母親達がざわざわする。
「私もさすがに何時間もかかるほど遠くではありませんが、希望の保育所には入れませんでした」
「私は夫と相談の上、仕事を辞めて育児に専念しています」
 ふむ。こういった会に集っているだけあって、なかなか自分の希望が叶った母親はいないようだ。
「古味さん。何かご意見はありますか?」
 小宮静江が俺に意見を求める。
「そうですね。確かにこのプリントに記述されている通り、希望通りいっている母親の方は少ないようです。皆さんが満足いくように国はもっと動くべきだと思います」
 我ながらどこかで聞いたような回答をすると、参加者からは「そうよね~」という感じに反応が返って来る。
 まあ、こうして主婦が集まっていろいろ話をしただけで、世の中解決するわけがないか。そうこうしているうちに、子供は大きくなってしまうかもしれない。
 それでも、小宮静江は参加者たちの話を聞き、時には励ましながら会を盛り上げていった。
「古味さん。今日は参加してくださりありがとうございます。ここでの声をご自身の政治活動に生かしていただけたら幸いです」
 パチパチパチと拍手が沸き起こる。俺はありがとうございますと大きく礼をしてその会は解散となった。

 そして会を退出しようとしたが、俺は思いがけない女がこの会に参加していることに気づく。渦川俊郎の秘書緒川順子だ。
「あら、一人だけ男性が参加していると思ったら古味さんだったのね」
 あらも何も最初自己紹介しただろうと言いたいが、俺の顔つきはだんだん険しくなっていく。
「そんな顔しないで古味さん。私だって一人の女性としてこの問題には興味があるわ。結婚した男性が育児を手伝ってくれるとは限らないから」
 おまえ独身なのかと問いただそうかと思ったが、この後、ちょっと付き合って欲しいというので、その問いはこの後に取っておくことにした。
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