会社員だった俺が試しに選挙に出てみたら当選して総理大臣になってしまった件

もっちもっち

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第2巻 そして解散へ

解散へのプレリュード

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 さて、俺(古味良一)は時流というか偶然に乗せられ赤い絨毯を踏んだ国会議員である。3流大学の経済学科を出ているだけで政治について真面目に勉強などしたことはなく、テレビの受け売りで言っていたことがなぜか受けてここまで来てしまった。
 それだけに、当選してからずっと七転八倒、目立つには目立ったがお世辞にも褒められたものではなかった。
 だが、俺はこのままフィードアウトするのはしゃくだと思っている。それは中身がどうあれ、発言したことは俺の本心であり、トラブルから世に認知され問題提起されたこともあるからだ。それだったら 最後は全力で政治にぶつかり華々しく散ろうではないか。それで変わることもあるはずだから。

 ・・・と勇ましいというかどこか酔っ払いじみた(実際に飲んでいた)ことを一人で呟きながら国営テレビのニュースを見ていた。
 世にいう解散風というものが永田町に吹き始めたらしく、テレビも新聞もその話題で持ちきりだ。特にどうにか政権の足を引っ張りたい野党は何かにつけて解散、解散とまくし立てている。本当に解散されては自分達も失職するわけだから困るのではないかと俺は思う。それでも解散と言っているのは、今なら選挙をやって勝つ自信があるのか、自分と違って次の人生の当てがあるかのどちらかだろう。

 そうしていると、アシスタントの女性が一枚のパネルを持ち上げた。最近国営テレビのニュースの中では、ときどきこうした政治を風刺した一コマ漫画を見せたりする。これがなかなか面白い。今日は日本の上に山積みにされた花火の上に立った阿相首相を日本の対岸からロケット花火が狙い、野党が火を付けようとし、さらに水園寺が火だるまで突っ込んでくるというものだった。これはもう打ち上げる(解散総選挙)しかないんじゃないかという絵であるが、実際そのような状況であると思う。

 どうしてそのような状況になっているのか少し真面目に説明すると、まず「水園寺割り」問題に端を発する選挙制度改革があった。俺も多少なりとも因縁を持つ、水園寺幸房(父)と水園寺義光(子)は世襲というだけでなく、二人で現職の国会議員という珍しい親子でもあった。さらに、茨城県に強力な地盤を持つ水園寺親子は小選挙区制が導入された際に、一つの選挙区を親子で分け合ったという伝説を持っている。今回、当然のごとく野党からやり玉に上がったのだが、父親の水園寺幸房の方が独特の理論で反論し、国会や討論番組で大炎上を起こしたのだ。
 そして彼は未だに引き下がっていない。

 また、外交面では阿相首相が「亀」のあだ名がつくほどの外遊嫌いから、国防に関して後手後手に回っているということが挙げられる。ひと昔前の政府であれば、専守防衛を歌いながら反撃の手はずも抜かりないものであったが、阿相首相に至っては「亀」の名の通りに敵が攻めてきても甲羅に手足を引っ込めて出てこないのではないかと思えるほど国防に消極的であった。そんなわけだから、隣国は好き放題。現在日本は海に空に積極的な攻勢にさらされていて、島の一つや二つがいつ落とされてもおかしくない状態であった。
 この面に関しては与党内でも突き上げが激しく、飛翔体が日本上空を通過しようものなら政権はそこで木端微塵であろう。

 さらにこの花火の山を狙う火種に俺も一枚絡んでいるのだ。もう数か月前のことであるが、若者就職相談会(実態は引きこもっている若者への啓蒙活動)において「いざ飛び込もう社会の海へ」とうタイトルで講演を行い、例のごとく炎上した。そして、怒りに火がついた若者達はネットで呼び掛けあい国会前で一騒動起こしてしまったのだ。これはニュースでも取り上げられ、その影響からニートの就労問題はホットな話題となっている。
 ニート期間が長ければ長いほど経済的に苦しくなっていくわけだから、そのような人が大勢出てくるようになっても無策であれば、政権が揺らぐ原因となるだろう。

 いや俺はもう火種なんかでいてたまるか。さっきの風刺漫画の水園寺ではないが、火だるまになって突っ込もうかとさえ思う。
 とにかく大きく政治を動かしたいそんな今日この頃である。
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