会社員だった俺が試しに選挙に出てみたら当選して総理大臣になってしまった件

もっちもっち

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第2巻 そして解散へ

親父の咆哮

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 さて、目白さんという助っ人を得たことで、かなり気が楽になった俺は当初の目的だった家への報告(親父の説得)に向かうことにした。
 ロータリーで再びタクシーを待っているとすぐに来たので乗って家へ向かう。

 家に着くとまだ由香は帰っていないようで母さんが一人で出迎えてくれた。
「良ちゃんお帰り。お風呂沸かしておいたよ」
 もう冬だったがいろいろ大変だったせいか服の下は汗でぐっしょりだったので、ありがたくお風呂を頂戴する。リラックスしながら残り900万円の使い道を考えていた。風呂を上がって部屋でくつろいでいると由香が帰ってきた。
「お兄ちゃんお帰り。また選挙に出るんだって?」
「うんー。なんとなく流れでね」
「でも、今度はちゃんと政党に所属して出るんでしょすごいね」
 新革党は少数といえども立派な政党だ。まあ確かに前回よりは出世したと言えるかもしれない。
「ご飯できたって先行ってるね」
 俺も由香に遅れてリビングに降りる。あらかじめ帰ると言っておいたおかげで、おかずはいろいろ豪勢だ。ゆっくりと席につき冷えた缶ビールを開ける。

 しかし、その絶望的なタイミングで親父が大声をがなりながら帰ってきたので、俺はせっかく口に入れたビールを吹き出してしまった。
「このお、また選挙に出るだとこのコンコンきちが」
 いつの時代の感情表現かわからない言葉で親父が吠える。そして、目の前が収集つかない状態になってしまったところを母親や由香が復旧する。
「いや、親父これには理由が。あちら(永田町)でもいろいろ付き合いがあってね」
「おめえなんかに政界で付き合いなんかできるんか。どこに行ってもニートの代表だなんて言われているぞ」
 あれは確かにニートを代表したような状況に陥ったが別に俺がニートだったわけではない。
「まあ、俺も1年満たない期間だったけど政治活動はしてたんだよ。ちゃんと公約で掲げたホームドアの件で鉄道会社にも行ったりして」
「政治活動をしたって本当か?」
 俺は、この1年間の実績(少なくとも活動をしたこと)について親父に説明する。適度に池山議員の名前もまぜ、政界にもこんな面白い人がいたんだよと親父をなだめにかかる。
「不倫だ離婚だなどのどこが面白いんだよ。その上カメラマンに撮られていただと」
 俺の話し方では帰って親父の不安を助長してしまったようだ。
 渦川や水園寺の話題も考えたがこちらの政変絡みの話題はやっぱり危機感を煽ってしまうだろうか。と次の話題に困っていると最悪のタイミングで由香が紙袋に気づく。
「お兄ちゃん。何これお土産?」
「あっ」
 俺が力なく手で宙を仰ぐと逆さにされた紙袋から札束がバタバタと落ちてくる。
「うわっお金だ。すごいいっぱいある」
「なんだと」
 親父がさらなる咆哮を上げながら札束を拾い上げる。
「これはなんだよ。これは。どこで盗んできたんだ」
「盗ってきたんじゃない。もらったんだよ。選挙資金だって政党から」
「金を払って選挙に出たって話は聞いても、金をもらって選挙に出るなんてことあるかい」
 親父が支離滅裂になってる。無理もない。こんなテレビの中のような出来事が目の前で起こっては。
「とにかく今度は茨城。茨城で出るから。まあ、地元じゃなくなるし親父たちに迷惑は掛からないと思う」
 親父の考えを変えることは無理そうなので、取りあえず要件だけ伝えた。
 さらに親父はこんな金を返して来いとまで言ったが、無理だと言って札束を奪い返すと自分の部屋に退散した。

 まったく、次の選挙に出ることを話したら、家ではこんな様子だと渦川や緒川順子が聞いたらなんというか。。。笑い転げるだろうか、それとも気の毒に思うのだろうか?

 部屋に退散すると親父は追ってこなかった。代わりに母親が部屋に入ってきた。
「良ちゃんごめんね。でも、お父さんやっぱり心配してるんだよ。まあこれ以上止めたりはしないから。次の選挙頑張りなさい」
 そういうと母さんは食いそびれた夕食を置いて行った。

 こんなやり取り、本当にニートの時以来だ。と思いながらむしゃむしゃ夕食を食べる。だが、もう親父の言うことを聞いて引き下がることなどできない。勝負は始まっているのだ。
 そう思うと寝床に入って次の選挙をどうするかを考え始めていた。
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