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第2巻 新革党の選挙戦
老兵は去るのみ
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選挙終盤、俺は相変わらず自転車で選挙区を周っていた。自分でこいで周るのは大変だが、車と違い歩行者が話しかけやすいからか、よく呼び止められていた。そんなときはもちろん自転車を止め話をしたり握手をしたりした。今、考えてみるとこんな効果的な選挙手法は他にないかもしれない。
さて、こうやってずっと自転車で周っていて一つの疑問が湧いていた。水園寺幸房はどうしたのだろう。初日の言動から駅前で本人が演説することはないかもしれないが、選挙カーと一回も遭遇したことがない。自分も目白さんに選挙カーの方は任せているぐらいなのに、ベテランの幸房が選挙カーを全く走らせないなどということがあるのだろうか。
「親父は何をやっている」
古味と同じ疑問を水園寺幸房の息子も持っていた。例え世間が親子で政治家を続けることを否定しようとも、親父がだらしがないのは仕方がないとしても、あの男(古味良一)に負けることはあってはならないのだ。そのためにはどんな非常手段でも取らないといけない。
「間壁、親父を勝たせろ」
義光は腹心の間壁に非常手段に出るよう指示を出した。
一方、水園寺幸房の選挙事務所。本来なら選挙期間は秘書をはじめ、運動員や支援者などが入り浸りで、てんやわんやしているはずである。しかし、水園寺幸房一人が選挙事務所に座し、他には誰もいなかった。暗い部屋の中でテレビの明かりだけがつき、そのテレビの内容は水園寺幸房自身が、炎上し叩かれている様子を繰り返し流している。
「むー。もっとこうした方が男前かな」
自身への批判はどうでもいいという様子で、髪型やら肌の写り具合などを気にしているようだ。
「先生」
そこへ、息子の腹心の間壁が入ってきた。
「どうした間壁。義光はもう当選確実か?」
「今日は先生を当選させるために参りました」
そう言うと間壁は一人の女子高生の写真を幸房に見せる。その女子高生は古味良一の妹由香であった。
「なんじゃ。この年でJKの人気を取るためにテレビに出とるとでも思ったか」
幸房のあくたれには耳を傾けずに間壁は話を続ける。
「古味良一め。先生の足元に乗り込んだだけでは飽き足らず、卑怯にもインターネットを利用して、ニートやらフリーターやらの不満をかき集めているようです。しかし、職についてようがついてまいが1票は1票。ここは、水園寺家のため、使える手段は使わなければなりません」
「わしはもうよい」
幸房が写真を突き返す。
「わしはもう政治には飽きた。というか嫌になった。古味だかなんだが知らんが、若造が勝つというのなら勝手に勝つがよかろう。義光と選挙区隣同士で突っつきあう、馬鹿馬鹿しいお笑いが始まるだけとは思うが。。。」
「息子がかわいくはないのですか?」
「息子はかわいいぞ。ならばこそわしはもう降りた方がよい」
「そうですか。ならばこれ以上は申しません」
間壁は頭を下げて幸房の選挙事務所を後にした。
「老兵は去るのみじゃ。まあ、風雲児という置き土産をわしの選挙区に残して去るのも悪くはないの」
そう独り言を言うと、再びテレビの写り具合に幸房の関心は戻っていた。
さて、こうやってずっと自転車で周っていて一つの疑問が湧いていた。水園寺幸房はどうしたのだろう。初日の言動から駅前で本人が演説することはないかもしれないが、選挙カーと一回も遭遇したことがない。自分も目白さんに選挙カーの方は任せているぐらいなのに、ベテランの幸房が選挙カーを全く走らせないなどということがあるのだろうか。
「親父は何をやっている」
古味と同じ疑問を水園寺幸房の息子も持っていた。例え世間が親子で政治家を続けることを否定しようとも、親父がだらしがないのは仕方がないとしても、あの男(古味良一)に負けることはあってはならないのだ。そのためにはどんな非常手段でも取らないといけない。
「間壁、親父を勝たせろ」
義光は腹心の間壁に非常手段に出るよう指示を出した。
一方、水園寺幸房の選挙事務所。本来なら選挙期間は秘書をはじめ、運動員や支援者などが入り浸りで、てんやわんやしているはずである。しかし、水園寺幸房一人が選挙事務所に座し、他には誰もいなかった。暗い部屋の中でテレビの明かりだけがつき、そのテレビの内容は水園寺幸房自身が、炎上し叩かれている様子を繰り返し流している。
「むー。もっとこうした方が男前かな」
自身への批判はどうでもいいという様子で、髪型やら肌の写り具合などを気にしているようだ。
「先生」
そこへ、息子の腹心の間壁が入ってきた。
「どうした間壁。義光はもう当選確実か?」
「今日は先生を当選させるために参りました」
そう言うと間壁は一人の女子高生の写真を幸房に見せる。その女子高生は古味良一の妹由香であった。
「なんじゃ。この年でJKの人気を取るためにテレビに出とるとでも思ったか」
幸房のあくたれには耳を傾けずに間壁は話を続ける。
「古味良一め。先生の足元に乗り込んだだけでは飽き足らず、卑怯にもインターネットを利用して、ニートやらフリーターやらの不満をかき集めているようです。しかし、職についてようがついてまいが1票は1票。ここは、水園寺家のため、使える手段は使わなければなりません」
「わしはもうよい」
幸房が写真を突き返す。
「わしはもう政治には飽きた。というか嫌になった。古味だかなんだが知らんが、若造が勝つというのなら勝手に勝つがよかろう。義光と選挙区隣同士で突っつきあう、馬鹿馬鹿しいお笑いが始まるだけとは思うが。。。」
「息子がかわいくはないのですか?」
「息子はかわいいぞ。ならばこそわしはもう降りた方がよい」
「そうですか。ならばこれ以上は申しません」
間壁は頭を下げて幸房の選挙事務所を後にした。
「老兵は去るのみじゃ。まあ、風雲児という置き土産をわしの選挙区に残して去るのも悪くはないの」
そう独り言を言うと、再びテレビの写り具合に幸房の関心は戻っていた。
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