会社員だった俺が試しに選挙に出てみたら当選して総理大臣になってしまった件

もっちもっち

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第2巻 新革党の選挙戦

再びどぶ板選挙

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 次の日、朝から俺は自転車に乗って駅前に向かうことにした。なんて清々しい日だろうか。

 プップー

「ああ、間に合った。古味さん、選挙カーのパンクの修理終わりましたよ」
 目白さんが選挙カーに乗ってやってきた。
「ずいぶんかかりましたね」
「いや、パンクの正体が不明でしたからね。あれからレンタカー会社に言い訳したらしたで、警察が来たりでいろいろ大変でした」
「そうでしたか。では、選挙カーの方は目白さんにお任せします」
「では古味さんはどうするのですか?」
「これで選挙区の駅を回ります」
「えっ・・・自転車。でも、5市にまたがる選挙区を自転車だけで回るなんて大丈夫ですか?」
「大丈夫です。私はもう選挙で楽しようとは考えないことにしました。若さと行動力が私の売りですから。自転車ならそれを示せると思うんです」
 我ながらなんて立派なことを言うんだと思う。昨日の晩の渦川の言葉が刺激になっているようだ。それに、ネットで広まった悪評を払拭するにはこれくらいのことをやらないといけないと思う。
「それではいってきます」
「いってらっしゃい」
 そう言って、俺は自転車にまたがり駅前に向かった。

 ・・・・・

 最初の駅にはだいたい20分ほどで着いた。そこで早速、選挙演説を始める。ある程度手ごたえを感じたら次の駅へ、古味良一のタスキをかけながら自転車を飛ばす姿はちょっと目立つかもしれないが、沿道から声をかけられたら手を振って返したりして、結構いいアピールになったのではないだろうか。
 しかし、3駅、4駅とめぐっているうちに道に迷ったりもしてかなり体力を消耗してきた。さすがに全部の駅を自転車だけで周るのはきついかなーと後悔もしていたが、ここまで来て自転車を置いて電車で帰るわけにもいかないので休みながら最後まで周った。結局、朝6時に選挙事務所を出た俺は、最後の駅に夜の7時に着き、そこでまた演説をして、選挙事務所に帰ってきたのは夜の10時だった。
「ああ、お帰りなさい」
 目白さんが出迎える。
「いやー疲れました。もうくたくたです」
「明日も自転車で周りますか?」
「当然です。この調子で雨が降らない日は自転車で周るつもりです」
「わかりました。古味さんの選挙ですから止めたりしません。この調子で最終日まで頑張ってください。ネットでも評判が上がっていますよ」
 おっ早速か。俺は自分に関係する書き込みのチェックを始めた。

232 名無しな政治家
 古味良一って相変わらずネットだけだよな。
233 名無しな政治家
 いや。そうでもないよ。自転車で周ってるみたい。
234 名無しな政治家
 自転車まじか。
235 名無しな政治家
 茨城県の選挙区でしょ。5市は周ることになるぜ。
236 名無しな政治家
 そ、そんなはずは・・・
237 名無しな政治家
 俺も見た。タスキかけて自転車こいでたから手を振ったら、返ってきた。
238 名無しな政治家
 ばかな。。。
239 名無しな政治家
 ばかなって?あんた誰よ?

 かなり自分の評判はいい方に流れているようだ。ちと体力的にきついが、選挙ももう終盤だしあと数日ならなんとかなるだろう。
 そう考えると冷えたビールでのどを潤したい気持ちを抑え、明日の選挙活動に備えて早く寝ることにした。
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