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第1巻 1期目 当選~特別会前日
例の美女の正体
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世の中が待ちかねている特別会まであと約1週間となった。特別会の開催まで選挙の日から3週間という期間を置いたのは現総理の阿相元春に他ならないが、メディアではやれ怠慢だの、税金の無駄遣いだのと騒ぎ立てている。しかし、それまでに補選やら大都市の首長選やらで世の中全体に選挙疲れが感じられなくもなく、自分自身、ただで給料をもらえるのだからそれはそれでいいのではないかと思った。
その期間で多少なりとも現在の情勢を把握しておこうとコンビニに新聞を買いに行くことにした。しかし、エレベーターに乗り1階に降りエントランスに向かおうと歩きだしたところ、衝撃のシーンに出くわしてしまった。なんと、妹二人と議員宿舎の前で立っているときに見た、例の美女がエントランスを入りこちらに向かって歩いているのだ。
俺はすかさずキャバ嬢を振り向かせた、いやそれ以上の眼光を彼女に向かって浴びせた。しかし、彼女は踵も返さず俺の横を通り過ぎ、エレベーターに乗って行ってしまった。そして、彼女を載せたエレベーターは3階で止まった。
「今度は3階か」
「さては13階で降りたあのキャバ嬢よりも大物の顧客をだまくらかしてるな」
別に政治家のランクがマンションの下から決まっているわけではないが、俺は思い浮かぶまま彼女の正体を妄想した。
エレベーターが戻って来るまで待てず、今度は階段を駆け上がった。
カンカンカン
革靴の高い音がマンションの階下に鳴り響く。俺は3階でバッと飛び進み左右を両の目で凝視した。
「いないか」
既に彼女は自分の目的とする部屋に入ったのだろう。まさか片っ端からインターホンを鳴らして探すわけにも行かず、俺は彼女の正体を掴む機会を完全に逸してしまったようだ。
それでも、徘徊する犬のごとく鼻まできかせて彼女の残滓でも感じ取ろうと各部屋を見て回った。するとドアが半開きになっている部屋にたどり着いた。
ここに彼女が入った証拠など何もないが俺は確かめずにはいられず、そっと半開きのドアを開けて中を覗きこんだ。すると・・・
「うわっ」
突然俺の体が宙に舞い地面に叩きつけられた。一瞬のことに何が起こったかわからなかった。
バターン。
「いてえ」
どうやら俺は彼女に投げ飛ばされたようだ。武術でもやってるのだろうか。
「あなたストーカーね。どこから追ってきたの」
整った眉毛を吊り上がらせ、すごんできた。
「ちっ違う」
「俺はここに住む国会議員だ」
「嘘をおっしゃい。あなたのような顔知らないわ」
俺は国会議員の古味良一であること。今回が初めての当選で、それも2週間足らずであることを身振り手振りを交えて一生懸命説明した。
「そう。。。分かったわ。今日私をつけたことは多めに見てあげる。さあ、帰っていいわよ」
高価そうな生地のスーツに通した手を追い払うように振り、俺をあしらおうとしていた。
「ちょっと待て」
罪を許された身分ながらも俺はここで食い下がらずにいられなかった。
「あんたは誰なんだ。あんたも国会議員か」
「私は国会議員じゃないわ」
「渦川俊郎の秘書。緒川順子よ」
彼女は面倒くさそうに、しかし誇らしげに言った。
「渦川俊郎・・・」
当選回数5回を数える与党民自党の有望株だ。なかなかの論客で討論番組で何度か見たことがある。前回、厚生労働大臣として初入閣を果たし、今回も入閣候補の一人として挙げられているほどの大物だ。将来の総理大臣候補と言っても過言ではないだろう。
「さっこれで気が済んだでしょ。帰って頂戴」
バタン
乱暴に閉められたドアの前にしばらく呆然として立っていた。
「しかし、なんだって秘書だからって部屋の中まで出入りしてるんだよ」
俺は納得いかないふうに捨て台詞を吐きながらその場を後にした。
その期間で多少なりとも現在の情勢を把握しておこうとコンビニに新聞を買いに行くことにした。しかし、エレベーターに乗り1階に降りエントランスに向かおうと歩きだしたところ、衝撃のシーンに出くわしてしまった。なんと、妹二人と議員宿舎の前で立っているときに見た、例の美女がエントランスを入りこちらに向かって歩いているのだ。
俺はすかさずキャバ嬢を振り向かせた、いやそれ以上の眼光を彼女に向かって浴びせた。しかし、彼女は踵も返さず俺の横を通り過ぎ、エレベーターに乗って行ってしまった。そして、彼女を載せたエレベーターは3階で止まった。
「今度は3階か」
「さては13階で降りたあのキャバ嬢よりも大物の顧客をだまくらかしてるな」
別に政治家のランクがマンションの下から決まっているわけではないが、俺は思い浮かぶまま彼女の正体を妄想した。
エレベーターが戻って来るまで待てず、今度は階段を駆け上がった。
カンカンカン
革靴の高い音がマンションの階下に鳴り響く。俺は3階でバッと飛び進み左右を両の目で凝視した。
「いないか」
既に彼女は自分の目的とする部屋に入ったのだろう。まさか片っ端からインターホンを鳴らして探すわけにも行かず、俺は彼女の正体を掴む機会を完全に逸してしまったようだ。
それでも、徘徊する犬のごとく鼻まできかせて彼女の残滓でも感じ取ろうと各部屋を見て回った。するとドアが半開きになっている部屋にたどり着いた。
ここに彼女が入った証拠など何もないが俺は確かめずにはいられず、そっと半開きのドアを開けて中を覗きこんだ。すると・・・
「うわっ」
突然俺の体が宙に舞い地面に叩きつけられた。一瞬のことに何が起こったかわからなかった。
バターン。
「いてえ」
どうやら俺は彼女に投げ飛ばされたようだ。武術でもやってるのだろうか。
「あなたストーカーね。どこから追ってきたの」
整った眉毛を吊り上がらせ、すごんできた。
「ちっ違う」
「俺はここに住む国会議員だ」
「嘘をおっしゃい。あなたのような顔知らないわ」
俺は国会議員の古味良一であること。今回が初めての当選で、それも2週間足らずであることを身振り手振りを交えて一生懸命説明した。
「そう。。。分かったわ。今日私をつけたことは多めに見てあげる。さあ、帰っていいわよ」
高価そうな生地のスーツに通した手を追い払うように振り、俺をあしらおうとしていた。
「ちょっと待て」
罪を許された身分ながらも俺はここで食い下がらずにいられなかった。
「あんたは誰なんだ。あんたも国会議員か」
「私は国会議員じゃないわ」
「渦川俊郎の秘書。緒川順子よ」
彼女は面倒くさそうに、しかし誇らしげに言った。
「渦川俊郎・・・」
当選回数5回を数える与党民自党の有望株だ。なかなかの論客で討論番組で何度か見たことがある。前回、厚生労働大臣として初入閣を果たし、今回も入閣候補の一人として挙げられているほどの大物だ。将来の総理大臣候補と言っても過言ではないだろう。
「さっこれで気が済んだでしょ。帰って頂戴」
バタン
乱暴に閉められたドアの前にしばらく呆然として立っていた。
「しかし、なんだって秘書だからって部屋の中まで出入りしてるんだよ」
俺は納得いかないふうに捨て台詞を吐きながらその場を後にした。
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