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第1巻 1期目 特別会
首相指名選挙
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さて、開会式は何事もなく終了した。当たり前だが自分の席に着席することができた。(今まで何度も夢の中で、国会まで来たが自分の席がないというおかしな出来事を見せられたことがあったので少し心配していた。)
これからは特別会初日の大仕事、衆議院議長選挙と首相指名選挙が行われる。衆議院議長は立法府の長だけあって、他の議員よりいい給料をもらっているが、議長が自らああしたこうしたということがメディアで報道されたようなことはない。3権の長でありながらその役職は名誉職の趣が強く職権らしい職権がないためだ。だいたい第一党の長老格の議員がその役職に付くことが多い。
しばらくすると「これより点呼を命じます」という声があがり、与党側の議員から順番に氏名を呼ばれ、投票が行われていった。自分も最後の方に呼ばれ投票に向かったが、議長選挙は無記名であるので特に抵抗はなく、棄権しないで、議長は民自党の木貫康夫(きぬきやすお)、副議長は民衆党の横溝孝一に投票した。二人とも無事選任され、順番に壇上にあがり挨拶を行った。
そして、いよいよ首相指名選挙である。各党の方針で、民自党と創明党は阿相元春、民衆党は菅田直樹(すがたなおき)、もともと独立色の強い共産党は独自候補をその他の少数政党の中にも独自候補を上げる政党があった。社由党からは沼田隆二である。
今さっき選ばれた衆議院議長の木貫康夫から内閣総理大臣の指名を行うことを告げられ、一人一人壇上に登って投票していった。俺もまた最後の方に投票箱に投票用紙を入れて投票した。全員が投票を終えた後、再び議長から投票漏れがないかの確認が行われ開票が始められた。
開票を終え議長から首相指名選挙の結果が発表された。
「投票総数475票、過半数238票、無効票10票」
「阿相元春君266票」
パチパチ。議場の過半数を占める民自党の議員から大きな拍手が沸き起こった。
この時点で結果は出ているが、他の候補者の票数が順に発表されていく。
「菅田直樹君135票」
民衆党の席からまばらな拍手が聞かれた。この後何人か多い順に票数が発表されついに沼田隆二の番となった。
「沼田隆二君3票」
社由党の3名の議員達は拍手するわけでもなくそのまま座っていた。
「造反はなしですか」
それはつまり社由党から離反者が出なかったことと、社由党以外の議員(俺)が沼田隆二に投票しなかったことを意味した。
沼田隆二は眉毛が厚く重なるような細い目を少し開け自分達に従わなかった若者の背中をじっと見つめていた。
「若いのにこちらの誘いに乗らなかったか。意外にしっかりしているな。しかし、それが政界を生き残ることを意味するかはまた別の話だ」
一人ごとのように呟き、周囲の社由党の議員も特に反応を返さないまま、次の票数が発表されていく。
「山田太郎君1票」
ざわざわと皮肉交じりの拍手が聞かれた。どうやらパフォーマンスで有名な山田太郎議員が自分に投票していたようだ。
その後も何人か1票の議員が読み上げられた。意外に自分に投票する人はいるようだ。無論俺の名前は呼ばれない。俺は無記名で投票したからだ。
こうして首相指名選挙は大方の予想通り阿相元春に決まり穏やかに終了した。
俺は結局社由党の誘いには乗らず無記名で政治的スタンスを明かさない道を選んだ。次の選挙はまだ先のことだろうから、その先のことはまた考えればいいし、なにより特定の政党に属さない今の身分で自分の思うように活動してみたいと考えていたのだ。しかし、もしかしたら社由党の人たちが怒っているかなと後ろの席の様子をちょっと振り返って確認してみたが、沼田隆二の視線は自分には向いていなかった。
これからは特別会初日の大仕事、衆議院議長選挙と首相指名選挙が行われる。衆議院議長は立法府の長だけあって、他の議員よりいい給料をもらっているが、議長が自らああしたこうしたということがメディアで報道されたようなことはない。3権の長でありながらその役職は名誉職の趣が強く職権らしい職権がないためだ。だいたい第一党の長老格の議員がその役職に付くことが多い。
しばらくすると「これより点呼を命じます」という声があがり、与党側の議員から順番に氏名を呼ばれ、投票が行われていった。自分も最後の方に呼ばれ投票に向かったが、議長選挙は無記名であるので特に抵抗はなく、棄権しないで、議長は民自党の木貫康夫(きぬきやすお)、副議長は民衆党の横溝孝一に投票した。二人とも無事選任され、順番に壇上にあがり挨拶を行った。
そして、いよいよ首相指名選挙である。各党の方針で、民自党と創明党は阿相元春、民衆党は菅田直樹(すがたなおき)、もともと独立色の強い共産党は独自候補をその他の少数政党の中にも独自候補を上げる政党があった。社由党からは沼田隆二である。
今さっき選ばれた衆議院議長の木貫康夫から内閣総理大臣の指名を行うことを告げられ、一人一人壇上に登って投票していった。俺もまた最後の方に投票箱に投票用紙を入れて投票した。全員が投票を終えた後、再び議長から投票漏れがないかの確認が行われ開票が始められた。
開票を終え議長から首相指名選挙の結果が発表された。
「投票総数475票、過半数238票、無効票10票」
「阿相元春君266票」
パチパチ。議場の過半数を占める民自党の議員から大きな拍手が沸き起こった。
この時点で結果は出ているが、他の候補者の票数が順に発表されていく。
「菅田直樹君135票」
民衆党の席からまばらな拍手が聞かれた。この後何人か多い順に票数が発表されついに沼田隆二の番となった。
「沼田隆二君3票」
社由党の3名の議員達は拍手するわけでもなくそのまま座っていた。
「造反はなしですか」
それはつまり社由党から離反者が出なかったことと、社由党以外の議員(俺)が沼田隆二に投票しなかったことを意味した。
沼田隆二は眉毛が厚く重なるような細い目を少し開け自分達に従わなかった若者の背中をじっと見つめていた。
「若いのにこちらの誘いに乗らなかったか。意外にしっかりしているな。しかし、それが政界を生き残ることを意味するかはまた別の話だ」
一人ごとのように呟き、周囲の社由党の議員も特に反応を返さないまま、次の票数が発表されていく。
「山田太郎君1票」
ざわざわと皮肉交じりの拍手が聞かれた。どうやらパフォーマンスで有名な山田太郎議員が自分に投票していたようだ。
その後も何人か1票の議員が読み上げられた。意外に自分に投票する人はいるようだ。無論俺の名前は呼ばれない。俺は無記名で投票したからだ。
こうして首相指名選挙は大方の予想通り阿相元春に決まり穏やかに終了した。
俺は結局社由党の誘いには乗らず無記名で政治的スタンスを明かさない道を選んだ。次の選挙はまだ先のことだろうから、その先のことはまた考えればいいし、なにより特定の政党に属さない今の身分で自分の思うように活動してみたいと考えていたのだ。しかし、もしかしたら社由党の人たちが怒っているかなと後ろの席の様子をちょっと振り返って確認してみたが、沼田隆二の視線は自分には向いていなかった。
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