会社員だった俺が試しに選挙に出てみたら当選して総理大臣になってしまった件

もっちもっち

文字の大きさ
19 / 94
第1巻 1期目 特別会

キャバクラレイン

しおりを挟む
 池山議員の誘いにのって俺は赤坂の夜をさらに満喫することにした。
 以前、コンビニの商品の値段は全国どこでも変わりがないと言ったが、多分それは比較するものが間違っていただろう。また、今行った高級料亭も多分、新しい時代に合わせ幅広い客を呼び込むためにメニューや値段を試行錯誤しているようで赤坂の特別さを語るまでにはいたらなかった。

 しかし、今度のナイトバーはどうだろう。

 恐らくセレブな客を相手にする高級な酒を用意したおしゃれなお店があるに違いない。そんな店でバックのジャズを背景にゆったりと酒を楽しむ年配の客を思い浮かべ少し楽しい気分になった。(まあそれも赤坂だけのものではないか)

 そんなことをもんもんと考えながらついていったのだが、池山議員はものの見事に期待を裏切ってくれた。連れられた店はレインというキャバクラだったのだ。
 それこそ池袋でも歌舞伎町でもあるだろう。いや本場だけあってそっちのキャバクラの方がいいかもしれない。
 まあ、確かに夜やっているバーであればキャバクラもナイトバーと言うかもしれないが、ちょっと期待して損をした気分になった。それに果たして国会議員二人でしかも初登院の日の夜に駆け込んでいいものだろうか。

 俺は内心帰りたくなったり、興味が湧いてきたり複雑な心境になったが、池山議員がすたすたと中に入ってしまったので、仕方なく一緒に入ることにした。

 しかし、入った途端、煌びやかな店内に心奪われた。白の高級そうなソファーに豪華なシャンデリアぴかぴかに磨かれたカラス張りの壁に、あきらかに他とレベルの違うキャストの女性。
「赤坂はここが違うのか」
変な納得をしていると池山議員にはタキシードの兄ちゃん店員が愛想よく話しかけてきた。

「池山さん。いつもの席空いてますよ」
「席だけじゃなくて彼女もね。あともう一人いい子つけてよ。この人は大事な連れだから」

 むむむ。池山議員ここの常連なのか。いったいどういった経緯でこの店の常連になったのだろう

 多少不謹慎であったが、池山議員の夜遊びのレベルの高さに半ばあきれ半ば感嘆し、この先どんな女が隣に座るのだろうと考えていたら、さらに驚くべき光景が俺の目に入ってきた。
 あの日、議員宿舎のエントランスで遭遇した虎柄ミニスカートの女が池山議員の隣に座ったのだ。

「あら」
俺が唖然として口を開けているとキャバ嬢が驚いたような声を上げてしゃべりだした。

「池山さんが国会議員の誰かを連れてくるっていうから、年配の先生かと思ったらこんな若い子」
「若いけどすごいんだよ。無所属で当選したんだから」

「ほっ」
俺は胸を撫で下ろした。

 どうやら、彼女の方は議員宿舎で遭遇したときのことは覚えていないらしい。あのときは虎柄のミニスカートなんかはいていたからどんな下世話なギャルかと思ったが、今日は派手な中にも上品な感じのある白のスーツを着て、高級店に似合いな女性の感じをかもし出していた。

「池山さんここにはよく来るんですか?」
「よく来るなんてもんじゃないよねー。タッチャン」
池山議員より先にキャバ嬢が口を挟む。
「うん。今まで東京に用事があって、アリンちゃんに会いに来なかったことなんかなかったんだから」
でれでれとした感じで池山議員が答えた。

 二人はタッチャン、アリンちゃんと呼び合う仲のようだ。県会議員だったとはいえ民自党に所属していたし、国会議員になるまでのつてで東京のこういった店にいろいろと関係があるのだろう。

 ところで、俺の中でこの二人の関係が実はやばいものではないかと考え始めている。ここで見たことだけなら、ちょっと金払いのいい客といった感じだろう。しかし、議員宿舎でも見た。そのときの彼女の行き先が今までの予感通り池山議員の部屋だったとすれば、池山議員は浮気の相手を議員宿舎に連れ込んだということになる。
それは私人としても公人としてもやばいのではなかろうか。

「本当はタッチャン、松原先生のお供で来ただけなんだけどね」
「よせよ。もう落選した先生のことなんか言うなよ」
俺は松原という人は知らないが、もしかしたら、この店を紹介した国会議員の先輩が、今は落選して、議席と一緒にキャバ嬢まで池山議員が乗っとってしまったというところではないだろうか。

「古味さん!」
「はいっ」
大分酔ってきたのか池山議員がすごんできて俺はびっくりした。

「ここで見たのが本当の私の姿です。古味さんにしか見せていません」
「これからたった一人で政界で戦っていく古味さんですが、困ったことがあったら何でも私に相談してください」
「同じ千葉出身の議員として、千葉県民としてどんなことでも力を貸して差し上げます」
相当酔っているようだ。選挙期間中に有権者にも言わないようなことを俺に言うなんて。

 その後、池山議員とキャバ嬢のアリンは二人で盛り上がってきてしまったので、邪魔をしないよう俺は自分についていたキャバ嬢にそっと帰ると伝え自分の代金(2万円)だけ払うとキャバクラを抜け出してきた。

「今日はもう帰ろう。22時のニュースも始まるし」
一人呟くと俺は池山議員の弾けた姿を目の前にし不安だらけになった気持ちを抑えながら、夜道を歩いて議員宿舎へと戻っていった。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

**俺、東大院生の実験対象にされてた。**同居している美人家庭教師のやばい秘密

まさき
青春
 俺は今、東大院生の実験対象になっている。  ある雨の夜、アパートの前にずぶ濡れの美女が立っていた。  「家庭教師です。住まわせてください」  突然すぎる申し出に困惑しながらも、なぜか断れなかった。  桐島咲楽、東大大学院生。成績は天才、料理は壊滅的、距離感はおかしい。毎日転ぶ、焦がす、なぜか距離が近い。そのくせ授業は鬼のように丁寧で、俺のことを誰よりもよく見ていた。  偏差値42だった俺の成績は、気づけば上がっていた。でも、それより気になることがある。  咲楽さんが、研究ノートに何かを書いている。「被験者」という文字が、見えた気がした。  距離が近いのは、データのためか。褒めてくれるのは、実験のためか。でも、あの顔は。あの声は。  「データじゃなくて、私がそう思っています」  嘘をついているような顔じゃなかった。  偏差値42の俺に、東大院生の美女が押しかけてきた。ドタバタな毎日の中で、俺の心臓が休まる暇がない。これはドキドキなのか、心配なのか。それとも、もう恋なのか。  不器用な天才と、鈍感な高校生の、やばい同居生活。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話

桜井正宗@オートスキル第1巻発売中
青春
 ――結婚しています!  それは二人だけの秘密。  高校二年の遙と遥は結婚した。  近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。  キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。  ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。 *結婚要素あり *ヤンデレ要素あり

久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…

しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。 高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。 数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。 そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…

至れり尽くせり!僕専用メイドの全員が溺愛してくる件

こうたろ
青春
普通の大学生・佐藤健太は目覚めると、自宅が豪華な洋館に変わり10人の美人メイドたちに「お目覚めですか、ご主人様?」と一斉に迎えられる。いつの間にか彼らの“専属主人”になっていた健太は戸惑う間もなく、朝から晩までメイドたちの超至れり尽くせりな奉仕を受け始める。

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

うちの幼馴染がデレすぎてて俺の理性はもう限界。でも毎日が最高に甘いからもうどうでもいいや

静内燕
恋愛
相沢悠太の日常は、規格外の美少女である幼馴染、白石葵によって完全に支配されている。 朝のモーニングコール(ベッドへのダイブ付き)から始まり、登校中の腕組み、そして「あーん」が義務付けられた手作り弁当。誰もが羨むラブラブっぷりだが、悠太はこれを「家族愛」だと頑なに誤解(無視)している。 「ゆーたは私の運命の相手なんだもん!」と、葵のデレデレは今日も過剰の一途。周囲の冷やかしや、葵を狙う男子生徒のプレッシャーが高まる中、悠太の**「幼馴染フィルター」**はついに限界を迎える。 この溺愛っぷり、いつまで「家族」で通せるのか? 甘すぎる日常が、悠太の鈍感な理性を溶かし尽くす――最初からクライマックスの、超高濃度イチャイチャ・ラブコメ、開幕!

処理中です...