会社員だった俺が試しに選挙に出てみたら当選して総理大臣になってしまった件

もっちもっち

文字の大きさ
20 / 94
第1巻 1期目 特別会

[ダイジェスト]ニュース22 初登院特集

しおりを挟む
 池山議員の初めて見せる姿に動揺しながらなんとか議員宿舎の自分の部屋にたどり着いた。時間は21時55分を指しており、ニュース22の時間にぎりぎり間に合った形だ。とにかく、何か世の中の情報が入ってこないと不安になる感じで、今日という初登院の日がキャバクラに行っている間に吹き飛んでしまうんではないかと思っていた。

 テレビを付けてしばらくすると22時になりジャズのオープニングテーマとともに、ニュースキャスターの久留米久志(くるめひさし)が今日の特集は初登院であると告げた。何人か有名な議員が国会正門を抜ける様子の映像が流れ、今日はいろいろな人にスポットを当てるということだった。その中には新人議員も含むらしい。(もしや俺も入っているかも)俺はかなり不安な面持ちで特集が始まる22時30頃の前にシャワーを浴びることにした。

シャアアア

 俺はあまり長湯する方ではなく、シャワーも短めなものだが、今日はいつもより長くシャワーを浴びているような気がしていた。体を拭くのもおっくうになり、水滴が垂れないレベルに拭くとそのままリビングに戻った。今日はもう酒は開けず冷蔵庫で冷やしていたウーロン茶をコップに注ぎ頭の上にバスタオルを載せながらテレビの前に座った。

 火事やら交通事故やらのニュースが流れるのをみながら、ふんふんとうなずきながらボーとしていた。内心不安であるのになぜ早く22時30分にならないかと思ったが、焦れば焦るほど時間は長く感じてくるものだった。

 ニュースキャスターの久留米久志が
「次はお待ちかね初登院特集です」
というと車のコマーシャルに入った。

「ついに今日の出来事がニュースに流れるのか。まあ、注目されている議員は決まっているから俺が変なところで映ったりしないだろう」
 ちょっと悔しい気持ちもあるが、下手打つよりはいいと思い。多分、一番乗りだったあの女性議員は特集の中に出てくるだろう。ということを考えていた。

 初登院特集はベテラン議員が何人か今回の選挙の感想といくつかの政治的課題についてありきたりなことをいうシーンから始まった。なんだいつもと変わらないじゃんとちょっと安心し油断していると、突然、久留米久志のアップに画面が変わり
「ここからは初登院5分勝負」
という声とともに、バックに間抜けな乗りのいい曲がかかりながら、突如様相が違う映像が流れだした。

「えっ」
俺が突然の出来事にびっくりしていると、ここからのトップはやはり一番乗りした小宮静江だった。なにやら言い訳がましく喚いているところに、インタビューの波が押し寄せる。
「そんなんじゃありませんから」
「じゃあなんなんですか」
押し問答が続いて流れてくる。

 そして、レポーターのマイクを取り上げて歌を歌い始めた山田太郎議員の映像になり、次は水園寺義光の「次の選挙でここに来れる人ばかりではないですから」の言葉が前後のやり取りを挟まず流れる。

すかさず、久留米久志が
「それはあなたかもしれませんよ」
というと、次の映像ではなんとあの水本上親が映っていた。

「だめだよ勝手に入ってきちゃ」

 警備員の怒号とともに水本上親が必至の抵抗を見せる。テロップには「あなたは誰ですか」と書かれていた。
「誰もかも都会の理屈や地方をわかっちょらん」
大声をかきけすように
「あんた国会議員じゃないでしょ」
という罵声とともに次のシーンへ移った。

 俺は冷や汗を流しながら食い入るようにその様子を眺めていた。

 編集スタッフの趣味なのかここまでの映像を見ると国会の前でトラブルばかりが続いて今日1日大騒ぎしていたように受け取れなくもない。さすがに現実にはそんなことないのだが、テレビはそういう見せ方をするものかもしれない。

「いやー今回の国会初日はすごいですね。でもそれだけではありません。次の映像も見てください」
と久留米が言うと

 なんと民自党新人議員の記念撮影のシーンだ。たかが写真撮影にそこまで緊張するかという面持ちで20名ぐらいの議員が移っている。際立って緊張して見えるのは池山議員だが、緊張して見えるのもカメラの見せ方だろうか?ここのシーンだけはBGMが厳粛なものに変わっている。

そして、BGMが止まると
「こんな議員も」
というテロップと「無所属古味良一衆議院議員」というテロップが流れてきた。

「やばい。俺だ」

 唖然とするや否やおかしな改革理念を叫ぶ俺の姿がテレビに流れた。そして丁度言い終わったところで俺のシーンは打ち切られた。その後しどろもどろになったところは映らなかった。なんということだ。これでは視聴者には激しく改革理念をぶちあげる新進気鋭の政治家に映るではないか。ニュース22のスタッフの手腕に脱帽せざるを得なかった。

「今回も生きがいい人はいますね。期待していますよ」
ニュースキャスターの久留米久志は俺へのコメントをそう締めくくり、初登院5分勝負は終了となった。

「落選後も考えあまり政治的な主張はしないほうがいいとも考えていたのに。これではあべこべだ」
俺はあまりの扱いに頭を抱えて臥せってしまった。

「もう今日は寝よう」

 今日のニュース22の映像を見た俺のこと知っている奴らは間違いなく笑いものにしているだろう。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

**俺、東大院生の実験対象にされてた。**同居している美人家庭教師のやばい秘密

まさき
青春
 俺は今、東大院生の実験対象になっている。  ある雨の夜、アパートの前にずぶ濡れの美女が立っていた。  「家庭教師です。住まわせてください」  突然すぎる申し出に困惑しながらも、なぜか断れなかった。  桐島咲楽、東大大学院生。成績は天才、料理は壊滅的、距離感はおかしい。毎日転ぶ、焦がす、なぜか距離が近い。そのくせ授業は鬼のように丁寧で、俺のことを誰よりもよく見ていた。  偏差値42だった俺の成績は、気づけば上がっていた。でも、それより気になることがある。  咲楽さんが、研究ノートに何かを書いている。「被験者」という文字が、見えた気がした。  距離が近いのは、データのためか。褒めてくれるのは、実験のためか。でも、あの顔は。あの声は。  「データじゃなくて、私がそう思っています」  嘘をついているような顔じゃなかった。  偏差値42の俺に、東大院生の美女が押しかけてきた。ドタバタな毎日の中で、俺の心臓が休まる暇がない。これはドキドキなのか、心配なのか。それとも、もう恋なのか。  不器用な天才と、鈍感な高校生の、やばい同居生活。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話

桜井正宗@オートスキル第1巻発売中
青春
 ――結婚しています!  それは二人だけの秘密。  高校二年の遙と遥は結婚した。  近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。  キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。  ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。 *結婚要素あり *ヤンデレ要素あり

久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…

しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。 高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。 数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。 そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…

至れり尽くせり!僕専用メイドの全員が溺愛してくる件

こうたろ
青春
普通の大学生・佐藤健太は目覚めると、自宅が豪華な洋館に変わり10人の美人メイドたちに「お目覚めですか、ご主人様?」と一斉に迎えられる。いつの間にか彼らの“専属主人”になっていた健太は戸惑う間もなく、朝から晩までメイドたちの超至れり尽くせりな奉仕を受け始める。

うちの幼馴染がデレすぎてて俺の理性はもう限界。でも毎日が最高に甘いからもうどうでもいいや

静内燕
恋愛
相沢悠太の日常は、規格外の美少女である幼馴染、白石葵によって完全に支配されている。 朝のモーニングコール(ベッドへのダイブ付き)から始まり、登校中の腕組み、そして「あーん」が義務付けられた手作り弁当。誰もが羨むラブラブっぷりだが、悠太はこれを「家族愛」だと頑なに誤解(無視)している。 「ゆーたは私の運命の相手なんだもん!」と、葵のデレデレは今日も過剰の一途。周囲の冷やかしや、葵を狙う男子生徒のプレッシャーが高まる中、悠太の**「幼馴染フィルター」**はついに限界を迎える。 この溺愛っぷり、いつまで「家族」で通せるのか? 甘すぎる日常が、悠太の鈍感な理性を溶かし尽くす――最初からクライマックスの、超高濃度イチャイチャ・ラブコメ、開幕!

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

処理中です...