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世界動乱への一歩
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その叫び声は、ちょうど今喰らおうとした大陸から響いていた。
そちらに目を向けると、こちらに鋭い敵意を向けながら向かってくる白髪の女が。
齢からして20程度か。
黒いローブを着ているな。
アレがさっきの奴か。
「何故止める?」
この大陸は最初から大陸だった訳では無い。
その実テルーが地道に積み重ねた努力の結晶とさえ言える。
それを、食ってくれと言われたのだ。
邪魔するのなら・・・
「カルマ、殺れ」
「はい!兄者!」
嬉々として躍り出るカルマ。
エルドラドとサテラは翼で、テルーは魔力で浮ける。
が、カルマは別の方法だ。
・・・そう、なんと。
空気を高速で踏んでいるのだ。
聞いたことは無いだろうか、水を歩く方法などを。
片足が沈む前に片足を上げ、もう片方で踏む。
それをさらに高速で行えば、こんなことも出来る。
ちなみに俺は普通にスキルだ。
「・・・悔しいが、カルマは儂より身体能力が高い。力ではなく、速さは儂らの中でもダントツじゃろう」
「えぇ、カルマちゃんの速さはお兄様と同等。そこらの神より速いでしょうね」
「流石カルマちゃんです!がんばれー!」
呑気にそんな事を言う。
しかし、エルドラドが言うことは間違えじゃない。
実際、カルマのステータスは速度特化だ。
プレイヤーのステータスは999999以上でerrorになるが、コイツらはその限りではない。
最後に見たカルマの速度ステータスは──
「確か、4億5000万だったな」
ほぼ、光速に近いスピードの筈だ。
ゲームシステム上光速の再現は不可能だが、システムとして『攻撃が当たらない』という特性として扱われる。
それはまさしく、ここでもその通りであった。
「おぉ、すごいですね!」
「くっ!早すぎる・・・!」
カルマはまだ歩いている程度だが、それでもかなりのスピードがある。
しかし、それに着いてくるこの女も相当だ。
ただの人間ではない。
「女、何者だ?」
「わ、私はフーカ。この大陸の『守護者』よ」
守護者?
あれか?7人の英雄とかいう・・・
だがおかしいな。
例えあの話が本当だとして、この大陸を作ったのはテルーだ。
・・・いや待てよ。
テルー=邪神なら、大陸が出来てからの話なのかもしれない。
元々その土地に住んでて、拝借された時にこの大陸に居たとしたら?
なるほど、辻褄は合う。
「お前はいつからここに居る?」
「・・・答える意味がわからない」
「そうか、なら死ね。カルマ」
「はい!」
もはや取るに足らぬもの。
この世界の謎に興味はない。
俺はただ・・・皆とまた、暮らしたい。
ただそれだけだ。
「では!ギア7で!」
そう言って、空中で体操を始めるカルマ。
ちなみに女も浮いている。
あれは多分、テルーと同じだろう。
魔力の揺らめきが見える。
「ふっふっふっふっふっふっ──」
特殊な呼吸法で、身体的な能力の底上げを行う。
少しお腹が減るという大した制約もなく、ステータス的には1.7倍という恐ろしい効果がある。
まぁ、これは俺のカルマだけの特殊能力だ。
ちなみに、カルマは一番最初のガチャ限という事もあり、かなり成長させている。
それはまさに。
神に迫るほどに。
「スキル『神撃』、ギア7バージョン、スキル『武者震い』発動!オーダー!!」
「オーダー解放、『地獄門』許可」
「ありがとうございます兄者!」
スキル『神撃』とは、一撃一撃の威力が4倍になるスキルで、ギア7状態ではさらに10倍になる。
スキル『武者震い』は細かく体が振動するもので、切れ味が上がるものだ。
そして、オーダー。
俺の従魔のみの、特殊能力。
力の制限を行い、対等な戦いをするというもので、オーダーによってその能力の解放が行われる。
まぁ、俺の許可が必要なんだけどね。
ちなみに、今回の地獄門は、殺した後に魂を回収するというもので、あのゲームでは経験値とも呼ばれていた。
「くそっ!第四位階『ダブルサンダー』!!」
女の翳した手から雷が放出される。
それをカルマは避け、掴み取る。
・・・あれはさすがに、カルマにしか無理かも。
真似をしろと言われて出来るものじゃない。
「なっ!?」
「お返しですよ」
そう言って、思い切り投げ返すカルマ。
さっきよりも早くそれは女に到達し、肩から上は灰となって消え去った。
そのまま力なく直下へ落ちていく。
呆気ないなぁ。
カルマも『え?もう終わり?』みたいな顔してるし。
一応最後のトドメはカルマだから、地獄門の効果は反映してるはずだ。
「今度俺とやるか?カルマ」
「え?いいんですか!?」
「もちろん」
あのゲームにはコイツら従魔との戦闘訓練が出来た。
それは、このAIに戦い方とかスキルの使い方とかを学習させるためのもので、これまたやり込み要素の1つとして人気であった。
「邪魔が入ったが・・・食うとするかね」
些か多いが・・・
まぁ問題ないだろう。
そうして、スキルを発動し直し──
その日、世界から突然、大陸が消えた。
跡形もなく、最初からなかったかのように。
その真相を知るのは、この世にはたった5人だけであった。
そちらに目を向けると、こちらに鋭い敵意を向けながら向かってくる白髪の女が。
齢からして20程度か。
黒いローブを着ているな。
アレがさっきの奴か。
「何故止める?」
この大陸は最初から大陸だった訳では無い。
その実テルーが地道に積み重ねた努力の結晶とさえ言える。
それを、食ってくれと言われたのだ。
邪魔するのなら・・・
「カルマ、殺れ」
「はい!兄者!」
嬉々として躍り出るカルマ。
エルドラドとサテラは翼で、テルーは魔力で浮ける。
が、カルマは別の方法だ。
・・・そう、なんと。
空気を高速で踏んでいるのだ。
聞いたことは無いだろうか、水を歩く方法などを。
片足が沈む前に片足を上げ、もう片方で踏む。
それをさらに高速で行えば、こんなことも出来る。
ちなみに俺は普通にスキルだ。
「・・・悔しいが、カルマは儂より身体能力が高い。力ではなく、速さは儂らの中でもダントツじゃろう」
「えぇ、カルマちゃんの速さはお兄様と同等。そこらの神より速いでしょうね」
「流石カルマちゃんです!がんばれー!」
呑気にそんな事を言う。
しかし、エルドラドが言うことは間違えじゃない。
実際、カルマのステータスは速度特化だ。
プレイヤーのステータスは999999以上でerrorになるが、コイツらはその限りではない。
最後に見たカルマの速度ステータスは──
「確か、4億5000万だったな」
ほぼ、光速に近いスピードの筈だ。
ゲームシステム上光速の再現は不可能だが、システムとして『攻撃が当たらない』という特性として扱われる。
それはまさしく、ここでもその通りであった。
「おぉ、すごいですね!」
「くっ!早すぎる・・・!」
カルマはまだ歩いている程度だが、それでもかなりのスピードがある。
しかし、それに着いてくるこの女も相当だ。
ただの人間ではない。
「女、何者だ?」
「わ、私はフーカ。この大陸の『守護者』よ」
守護者?
あれか?7人の英雄とかいう・・・
だがおかしいな。
例えあの話が本当だとして、この大陸を作ったのはテルーだ。
・・・いや待てよ。
テルー=邪神なら、大陸が出来てからの話なのかもしれない。
元々その土地に住んでて、拝借された時にこの大陸に居たとしたら?
なるほど、辻褄は合う。
「お前はいつからここに居る?」
「・・・答える意味がわからない」
「そうか、なら死ね。カルマ」
「はい!」
もはや取るに足らぬもの。
この世界の謎に興味はない。
俺はただ・・・皆とまた、暮らしたい。
ただそれだけだ。
「では!ギア7で!」
そう言って、空中で体操を始めるカルマ。
ちなみに女も浮いている。
あれは多分、テルーと同じだろう。
魔力の揺らめきが見える。
「ふっふっふっふっふっふっ──」
特殊な呼吸法で、身体的な能力の底上げを行う。
少しお腹が減るという大した制約もなく、ステータス的には1.7倍という恐ろしい効果がある。
まぁ、これは俺のカルマだけの特殊能力だ。
ちなみに、カルマは一番最初のガチャ限という事もあり、かなり成長させている。
それはまさに。
神に迫るほどに。
「スキル『神撃』、ギア7バージョン、スキル『武者震い』発動!オーダー!!」
「オーダー解放、『地獄門』許可」
「ありがとうございます兄者!」
スキル『神撃』とは、一撃一撃の威力が4倍になるスキルで、ギア7状態ではさらに10倍になる。
スキル『武者震い』は細かく体が振動するもので、切れ味が上がるものだ。
そして、オーダー。
俺の従魔のみの、特殊能力。
力の制限を行い、対等な戦いをするというもので、オーダーによってその能力の解放が行われる。
まぁ、俺の許可が必要なんだけどね。
ちなみに、今回の地獄門は、殺した後に魂を回収するというもので、あのゲームでは経験値とも呼ばれていた。
「くそっ!第四位階『ダブルサンダー』!!」
女の翳した手から雷が放出される。
それをカルマは避け、掴み取る。
・・・あれはさすがに、カルマにしか無理かも。
真似をしろと言われて出来るものじゃない。
「なっ!?」
「お返しですよ」
そう言って、思い切り投げ返すカルマ。
さっきよりも早くそれは女に到達し、肩から上は灰となって消え去った。
そのまま力なく直下へ落ちていく。
呆気ないなぁ。
カルマも『え?もう終わり?』みたいな顔してるし。
一応最後のトドメはカルマだから、地獄門の効果は反映してるはずだ。
「今度俺とやるか?カルマ」
「え?いいんですか!?」
「もちろん」
あのゲームにはコイツら従魔との戦闘訓練が出来た。
それは、このAIに戦い方とかスキルの使い方とかを学習させるためのもので、これまたやり込み要素の1つとして人気であった。
「邪魔が入ったが・・・食うとするかね」
些か多いが・・・
まぁ問題ないだろう。
そうして、スキルを発動し直し──
その日、世界から突然、大陸が消えた。
跡形もなく、最初からなかったかのように。
その真相を知るのは、この世にはたった5人だけであった。
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